ブランカとギター弾き

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JUGEMテーマ:洋画

 

ブランカとギター弾き

 

「ブランカとギター弾き」

原題:Blanka

監督:長谷川宏紀

2015年 イタリア映画 75分

キャスト:サイデル・ガブデロ

     ピーター・ミラリ

     ジョマル・ビスヨ

     レイモンド・カマチョ

 

フィリピンのスラム街のストリートチルドレンで

あるブランカは、段ボールハウスに一人で暮らし、

盗みを働いて生活している。そんな彼女は盲目の

ギター弾きピーターと出会うのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ 血縁はなくとも心の底から

信じ合える相手との絆は本当に強く固いと感じます。


鶏は空を飛ぶ


多くの人々が行きかうフィリピンのスラム街には、

路上に眠っている少年少女があちこちにいるし、家と

呼べるものがあったとしても、ボロボロ。その光景

からは食べ物のにおいと人の汗の臭いが混じり合い、

今にも画面から漂ってきそうな雰囲気を感じます。

 

ブランカとギター弾き
 

そんな街で、旅行者から金を奪うグループの一員である

ブランカは、常に何かを渇望し、危険を察知するかのような

ギラギラと輝く野生の瞳をしています。彼女自身の口から

後に語られる身の上は、生まれた時からいない父親と、

いつも酒を飲んでいて男と逃げてしまった母親を持つという

絶望的なものなのですが、このスラム街にはそんな子供たちは

幾らでもいるわけで、その悲惨さを打ち消すほどのエネルギーを

彼女たちから感じます。それは負のエネルギーでもあるん

ですけどね。
そして盲目のギター弾きピーターのギターの音色に聞き入り、

1度目は金を入れたものの、次はそこから金を奪おうとする

ブランカ。この時ピーターのかける言葉がいいんです。
「この前は金をくれたのに今度は盗むのかい?朝飯代だけ

残しておくれ」
このような優しい言葉を彼女は生まれた時からかけてもらった

ことがあったのしょうか。有名な女性がホームレスの子供を

養子にしているニュースを見て、彼女は

「母親を3万ペソで買う」ということを思いつくのです。

「子どもを買う大人がいるのに大人を買う子どもがなぜ

いけないのか」幼さゆえの純粋さが、このような突拍子も

ない行動へと彼女をかきたてたのだと思う。3万ペソと

いう金額は、たまたま一緒にテレビを見ていた大人が適当に

答えた金額だし、そもそも母親が欲しいのではなく、普通の

暮らし、つまり学校に行ったり、一緒に遊びに行ったり、

買い物に出かけられるような環境が欲しかったに過ぎない

のかもしれません。映画の中盤でピーターと遊園地で遊ぶ

ブランカの喜びに満ちた顔がそれを物語ります。

このシーンは本当に幸せにあふれ、二人の笑顔が目に焼き

付いています。

 

ブランカとギター弾き
 

ピーターのギターに合わせて歌を歌うことになったブランカが、

最初はとてもか細い声なのに、次第に自信を持っていく姿を

見ていると、彼女の底知れぬエネルギーを感じます。しかし

そんな生活も短く、結局路上生活に逆戻りするのです。その時、

再びブランカは野生の瞳に戻り、ラウル、セバスチャンと共に

泥棒を重ねていきます。

 

ブランカとギター弾き

 

ラウルは13,4才くらいかな。ブランカが同じ年齢であった

ならば、きっと「夢」など抱くこともなく、彼のようにここで

生き続けることしか考えなかったと思う。逆にブランカよりも

年下らしいセバスチャンは、彼女と同じで「家族」が欲しい

わけです。その幼さがまだ純粋な部分を保ち続けられる理由

でもあるかもしれません。
「見えるものにこだわりすぎる」と語るピーターは、「目の

見えない者ばかりなら戦争は起きない」と語ります。おそらくは

ブランカのようにストリートチルドレンであったピーターが

どうして優しく穏やかなのかは、そこに起因しているので

しょうか。終盤、ブランカを襲う危険は、実際にそういう場所に

入り込んでしまった少女がいくらでも存在することを物語ります。

そしてそれに手を貸すラウルのような少年もいれば、セバスチャン

のように、そこで踏みとどまり人間としての誇りを保つ者も

いるのでしょう。幼いというだけでは片づけられないと思う。
ラストに見られる3人の笑顔は、過酷な状況でも、深くつながり

合った心の強さを感じ、未来への希望を物語るものでした。

 

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カメラを止めるな!

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JUGEMテーマ:邦画

 

カメラを止めるな!

 

「カメラを止めるな!」

監督:上田慎一郎

2017年 日本映画 96分

キャスト:濱津隆之

     真魚

     しゅはまはるみ

     長屋和彰

 

人里離れた森の奥の廃施設でゾンビ映画を撮影

していたクルーの前に本物のゾンビが現れる。

しかし監督はリアルを追求するため撮影を強行する

のだった..。


<お勧め星>☆☆☆☆ 思いがけない展開とラスト

には笑いと涙があふれ...いや、涙は出ませんがジーン

ときます。


護身術習おうかな


映画でネタバレしていけないものはたくさんある

けれど、わたし個人では

「シックス・センス」(1999)と

「エスター」(2009)

は「げ・ん・き・ん」と思っています。それは

何年経っても、まだ見ていない人の前で話しちゃ

いけない。それをペロリと話す人とは未来永劫絶交

したい気分になります。まさかその中にこの映画が

入るとは思いませんでした。
大体の雰囲気は様々な情報源から伝わってきており、

見ないようにしていても、ネットニュースの見出しに

デカデカと載ってわかってしまったこともあります。

でも核心部分やストーリーは一切見ないで鑑賞しました。
始めのうちは胃の中で直前に食べたばかりのたこ焼きが

逆流しそうな映像の連続で、その中にちょっと「ん?」

と思ってしまうものを感じます。とりあえずヒロイン役

の秋山ゆずきさんが魅力的です。
特にべっぴんさんというわけではないけれど、なんかいい。

ホットパンツ(死語かしら)から伸びる健康的な脚や、

下から延々とお尻を映し続ける映像にはどうしても目が

釘付けになります。
「よろしくでーす」
あとは映画監督日暮の娘真央役の真魚さんが個性あふれる

演技を見せてくれます。グイグイ相手に迫る雰囲気は自然

なものとしか思えません。この映画のヒットをきっかけに

大手芸能プロダクションに入ったそうで、人生どう転がるか

わからない、強く願うと道が開けるのだなとも思う。彼女が

わたしと出身地が同じなのもうれしい限りです。
他にも個性的な俳優さんが出演しており、彼らがほとんど

無名な人(わたしは誰も知りませんでした)ばかりなのも

すごいと思います。ここに有名な俳優さんが一人でも入って

いたら、すりこまれたイメージでその人を見てしまうだろうし、

映画のストーリーに没頭できない気がします。低予算ゆえに

逆に良い結果を生んだのかもしれません。
このような実のない感想ですが、とにかくこの映画は前情報

なしで観て、自分で確認するのが一番だと思う。そしてラスト

にジーンと感動すると、この映画の良さを実感し、そしてまた

観たくなるんじゃないかな。
わたしももう1回観たいと思っています。ツボにはまると

お腹の皮がよじれるほど笑えてくるのでご注意を。

 

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RAW 少女のめざめ

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JUGEMテーマ:Horror

 

RAW

 

「RAW 少女のめざめ」

原題:Grave

監督:ジュリア・デュクルノー

2016年 フランス=ベルギー映画 98分 R15+

キャスト:ガランス・マリリエール

     エラ・ルンプフ

     ラバ・ナイト・ウフェラ

     ローラン・リュカ

 

ベジタリアンのジュスティーヌは、姉アレックスが

通う獣医大学に入学するが、新入生の洗礼式として

うさぎの腎臓を食べることを強要される。そして

その晩から彼女の体に異変が起こるのだった..。


<お勧め星>☆☆☆ ラストの1シーンで全てが理解

でき、そして悲しさも感じる映画です。


家族の愛情表現

 

ネタバレしているかも

 

 

オープニング映像が、最初何かわからなかったんです。

一本道がずっと映され、何かいるのかなと見続けていると、

一台の車がようやく走ってきます。そして同時に人が

一人フラフラと出てきてそれをよけた車は街路樹に激突

するのです。すると倒れていた人がむくりと起き上がり、

その車の方へ向かっていく...。

この意味やこの人物が誰かは映画の中盤以降にわかって

きます。
獣医大学に入学するジュスティーヌはベジタリアンで、

過保護すぎるほどの母親の干渉を受けている模様。父は

穏やかで、ヒステリックな母の言動にも、ただそれを

かばう発言をするのみ。ふむ。
そしてジュスティーヌは、姉アレックスが通う獣医大学に

入学したものの、入寮した晩から手荒い歓迎?を受けるは、

姉は冷たいはで「だって涙が出ちゃう。女の子だもん」的

にしくしく涙を流すのです。

 

RAW
 

シーツにくるまってまるで赤ちゃんのように泣くんです。

よく見ると、眉毛は整えてないし、腋毛もボーボー、男性と

交際したこともないらしい。つまり「女の子」のまま大学生

になり、神童と呼ばれるほど頭脳明晰だったけれど、他の面

では全く成長していなかったということです。ちょっと疑問

なのはそんなに頭がよかったら他の学問を専攻したらよかった

のに、ということ。なんで獣医なんだろう。
彼女曰く「猿を強姦するのは人間にそれをするのと同じ」

猿=人間と聞くと周りの級友はドン引きするのです。ここも

キーポイントで、猿は人間に最も近い存在であるけれど、

まったく同じなはずはなく、医学部と獣医学部がわかれている

ように、人と獣は区別されているはずなのです。本能のままに

振舞うのは獣であり、それを制御できるのが人間ということ

かしら。
そして洗礼式と称するものでうさぎの生の腎臓を食べることを

強要されます。「あたし、ベジタリアンなの。お姉ちゃん、

知ってるでしょ!」と主張しても全く聞き入れられず、逆に

姉にきつく責め立てられ一応口に入れるものの、そのあとで

リバースしてしまう。

 

RAW
 

これが始まりの始まりなんですね。その晩からものすごい

痒みに襲われ、まためちゃくちゃかきむしるジュスティーヌ。

あのね、痒いからかくなんて子供なのよ。痒くても我慢すれば

ひどくならないんだから。ほら、一皮も二皮もむけちゃった

じゃないの。そう、この皮がむけたことは、彼女の中で何かの

「目覚め」を象徴しているのです。
うさぎの腎臓→学食でハンバーグ万引き→ケバブばか食い

→冷蔵庫の生肉かぶりつき。この辺りまで来ると、ジュスティーヌ

の本当の姿がわかってきますが、それを見せるのがストーリーの

本筋ではありません。しかし次々にグロテスクな映像が出てくる

ので要注意です。
冷たいと思っていたアレックスは実はとても妹思いなのは、

一緒に立ちションさせたり(これは別にそうでもないな)妹の

ムダ毛処理をしてあげたりする姿から実感するのですが、そこで

ある事件が起きてしまうのです。ジュスティーヌ、最初、ペロと

一なめし、ちょっと噛んでみる。そして遂にはポリポリ食べ

始めてしまう。もう〜、かりんとうじゃないんだからね!

 

RAW
 

ルームメイトでゲイのアドリアンの優しさにほっこりしていると、

終盤にギョエっとなります。しかしそれもこれも、姉アレックスの

愛情であり、ジュスティーヌの成長を描いた映画であったと気づくと
それをほのめかすシーンがあちこちにあったと感じます。
そしてラストシーン。ジュスティーヌの賢い頭でどう考えていく

のか、人間の大人としての行動は自分自身で見定めていくしかない

ということでしょうか。

そのために姉や両親が自らで例を示したということでしょうか。

 

 

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マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー

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JUGEMテーマ:洋画

 

マンマ・ミーア

 

「マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー」

原題:Mamma Mia! Here We Go Again

監督:オル・パーカー

2018年 アメリカ映画 114分

キャスト:アマンダ・セイフライド

     ピアース・ブロスナン

     コリン・ファース

     ステラン・スカルスガルド

     リリー・ジェームズ

     シェール

 

前年に母ドナを亡くしたソフィはホテル・ヴィラ・ドナの

再オープンの準備に追われている。しかし夫スカイは、

ニューヨークの仕事に忙殺され戻って来れそうにない。

ソフィは亡き母の写真を見ながら彼女と3人の父との

出会いに思いを馳せるのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ どこまでも抜けるように青い空と

降り注ぐ明るい日差しの下で、歌って踊って笑って泣いて、

ラストまで本当に楽しめます。


ドナはいつまでも輝き続ける


ギリシャ、カロカイリ島の海が見下ろせる高台に

建つホテル・ヴィラ・ドナ。そこで前作より

ちょっと大人になったアマンダ・セイフライド

演じるソフィがホテルの再オープンの準備に

追われています。私生活でも前作終了当時は交際

していたドミニク・クーパー演じる夫スカイは、

ニューヨークで仕事をしており、何となく心がすれ

違い気味なのです。ここで2人が歌う

「One of us」は、この映画での切ないシーンの
2つのうちの1つ(2つしかないと思う)。とはいえ、

まあ、別に心がズタズタになるほどのことでもなく

「寂しいな」「心細いな」という感じでした。
そしてソフィは亡き母ドナの写真を見ながら思いを

馳せるのです。母はたった一人でこの島で自分を生み、

このホテルを建てたのだけれど、どれだけ心細かった

のだろうかと。ここから現在の姿、つまりそれなりに

年齢を重ねたサム、ハリー、ビル(3人の父親候補)

やソフィを取り巻く人々と25年前のドナの姿が

交互だったり、重なり合って描かれていきます。この

25年前のドナを演じるのが
「ベイビー・ドライバー」(2017)

のデボラことリリー・ジェームズ。卒業式で

ドナ・アンド・ザ・ダイナモスが歌い始めるとエンジン

がかかりますよ。ドナがめちゃくちゃかっこいいんです。
リリーちゃんの小顔から想像できないムチムチした脚で、

床をドンドン踏み鳴らすと、心もボンボン躍り上がると

いうもの。あー、席を立って歌いたい。

歌詞を覚えていないけど。

声はやや低めですが、圧倒的に声量があります。前作

ではアマンダちゃんの甘くて透き通った声に魅了され

ましたが、あら〜、今回はどう見てもリリーちゃんに

くぎ付けだわ。
そしてドナとサムの出会いにはプッと笑ってしまいます。

でも20年経ったら、コリン・ファースになるのよ。

ちょっとこれひどくない?なんて思っているとドナと

サムがレストランで歌って踊る「Waterloo」は目が

離せないくらいキレキレの動きとパワーを見せつけて

くれます。あー、また踊りたい、歌いたい。

歌詞を覚えていないけど。
ドナがなぜ3人の男性とほぼ同時に関係を持ったのかなどは、

あまりにあっけらかんとしているので、特に気に

なりません。まあいいじゃないのと思ってしまう。
そして終盤まさかのシェール登場です。

「月の輝く夜に」(1987)でニコラス・ケイジと

共演した時とほとんど変わっていない?そして彼女が歌う

「Fernando」は、日本で言うと演歌の大御所が歌うように
ずしりと重みがあり、心に深く、それは深く染み込みます。
エンドロールに全員登場して歌う「Super Trouper」は、

まさしくドナをさして歌っているのだなと思うとじわーっと

胸にこみ上げる感情を抑えきれなくなります。

最後の最後まで席を立ったらダメなんですよ。
席を立って退場しようとしていた人たちも思わず立ち

止まって見ていました。あ〜、歌って踊りたい。

歌詞を覚えてないけど。

 

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ありがとう、トニ・エルドマン

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JUGEMテーマ:洋画

 

ありがとう、トニ・エルドマン

 

「ありがとう、トニ・エルドマン」

原題:Toni Erdmann

監督:マーレン・アーデ

2016年 ドイツ=オーストリア映画 162分 

PG12

キャスト:ペーター・シモニスチェク

     サンドラ・フラー

     ミヒャエル・ビッテンホルン

     トーマス・ロイブル

 

悪ふざけが大好きなヴィンフリートは仕事に追われる

娘イネスを心配している。そして彼の愛犬が亡くなった

のをきっかけに、突然娘が暮らすブカレストへやって

来るのだった。


<お勧め星>☆☆☆半 とにかく長い。独特のテンポが

あって飽きることなく見られるけれど、長い。


その瞬間を生きる


映画の出だしのヴィンフリートの悪ふざけが全く笑えない

ので、少々不安になります。これは「Mr.ビーン」のように

どっちらけ映画になるのではないか。いやあれがイギリス風

ユーモアなんだからあれで笑わないとオシャレじゃないのよ、

という心の声はとても小さく「Mr.ビーン」より「Mr.Boo!」

の方が絶対面白いのだという絶叫にかき消されています。

(注:個人の好みです)
ヴィンフリートは老犬ヴィリーと暮らしていて、どうやら妻

とは離婚し、近くに住む老母の様子を見に行くのが日課らしい。

娘イネスが久しぶりに実家に戻ったということで妻の元を

訪れると、イネスは電話でずーっと話をしており、父娘の

団欒など夢のまた夢。ヴィンフリートは寂しいというより、

イネスをとても心配になるわけです。そして愛犬が亡くなった

後、ヴィンフリートは突然イネスの働く会社を訪れます。

母国ドイツを離れてルーマニア、ブカレストで働くイネスは、

ばりばりの仕事人間。そこにひょっこり現れたヴィンフリートは、

変なかつらと入れ歯で変装?をし、適当な職業を名乗るのです。

 

ありがとう、トニ・エルドマン
 

この変装に何か意味があるのかと深く考えようと思いましたが、

もしかしたら何も意味はなくて、ただ娘を笑わせたかっただけ

なのかも?などと思い画面を見続けます。
イネスは大きなプロジェクトを抱えており、変なおやじに

かまっていられないのに、行く先々に現れる父(トニ・エルドマン

と名乗る)にリズムを狂わされてばかり。とはいえ、イネスが

ほとんど笑わないのもとても気になります。いつも眉間にしわを

寄せ、顧客や上司、チームとの会議や電話に私生活の大半を

奪われている。恋人らしき同僚ティムとの逢瀬も普通じゃない

よねえ。クラブに行っても楽しめず、一人でタクシーで帰る始末。

これはちょっとまずい状況じゃないのかと思っていると、やっぱり

父がいたずらをするんです。ここはもうイライラマックスですね。
ところが序盤から感じるのですが、イネスがホテルに滞在するとき、

とても横柄な態度をとり、父が「あれはやり過ぎだ」と言うと

「うちの会社はお得意様だから」と答えます。その階級意識と

いうのでしょうか、顧客への対応と自分たちが客であることでの

態度の格差が大きすぎるのではないか。またイネスの会社が

関与する石油採掘現場での作業員への冷淡な対応や生活の格差に

彼女は何も感じず、ひたすら合理化のことばかり考えているわけ

です。ルーマニアのブカレスト市内の洗練された都会と全く異なる

田舎の姿は、そのまま貧富の差を物語るけれど、それすらも全く

意に介しません。
これでは「お前は人間か?」と父に問われても仕方がない。しかし

それらを全て見過ごさずにすくい上げていたら、彼女の会社の

仕事が成り立たなくなるのです。この辺りの矛盾はイネスや

ヴィンフリートが何かをしたところで絶対に変わるはずのないこと

でしょうね。余談ですが、この採掘作業のような労働を移民が安価で

請け負い始めたヨーロッパでは、元々の住民の仕事が奪われたわけで、

それにより移民排斥の機運が高まっていく構図もわかる気がします。

自分たちの生活を脅かす存在がこれ以上増えることを望む人間は

そうそういないと思う。どうしたら寛容な世界が生まれるのだろう。
イネスは自分の誕生日パーティーに何を着るかドレスが決まらず、

遂に素っ裸になるのです。素っ裸にはならないだろうけれど、時間が

迫った時に服が決まらない時の焦りは手に取るようにわかります。
こんな時に限って服がパツンパツンで脱げないんだよな。

汗が出るよな。でもこの姿を見ると、彼女が本当に切羽詰まった

状態で、コップの水が今にも溢れそうなくらいにたまっていた時の

ような心でいたことが理解できるのです。ちょっと揺らしたら

溢れちゃうんですよ。ちなみにこの時のイネスより部下のアンカの

ヌードの方がずっと魅力的です。

 

ありがとう、トニ・エルドマン

 

アンカはただ自分の存在を認めてほしくて裸になり、上司

ゲラルトは、イネスに機嫌よく仕事をしてほしくて裸に

なったんだろうか。どちらにしてもその後突然ブルガリアの

魔除け「クケリ」姿で現れる父の姿の方が、インパクト大です。

 

ありがとう、トニ・エルドマン
 

そして公園で抱き合って泣く父娘。この絵が短いガウン1枚の

女性と「クケリ」なので泣くに泣けないという感じになります。

娘の幸せのために、ひたすら自分の時間を削る父の姿を見ると、

親子のつながりの強さを実感するとともに、実は似た者同士

なんじゃないかと思ってしまいます。同じように入れ歯をはめて

帽子をかぶって笑うと...似てない。

 

ありがとう、トニ・エルドマン
 

「生きる意味」=その瞬間は気づかないけれど、後になって

もっと大事にすればよかったと思う瞬間を逃さないように、

そして自分のために使うことが大事なんだと思います。

それはとても難しいことだけれど。

 

 

 

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デトロイト

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

デトロイト

 

「デトロイト」

原題:Detroit

監督:キャスリン・ビグロー

2017年 アメリカ映画 142分

キャスト:ジョン・ボイエガー

     ウィル・ポールター

     アルジー・スミス

     ジェイコブ・ラティモア

     ジェイソン・ミッチェル

 

1967年7月、デトロイトで黒人による大規模な

暴動が起きる。暴動3日目の夜、アルジェ・モーテル

から響いた数発の銃声が、そこにいた黒人が多く

含まれた客に対する警官たちの非情な行為が始まる

のだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ 差別主義者の暴力的な姿を

鮮明に印象づけています。


命の価値は5000ドル


自分より強い者に「力」を振りかざすことは、そもそも

「権力」という強大な力が相手にあるわけだから限り

なく不可能。したがって弱い人間であればあるほど、

自分より弱い立場の者に薄っぺらな「力」を振りかざす

ものだと常々考えています。そしてそれは例えば、大人が

子供に、力の強い男性が体力的に劣った女性に、また

人間が動物に行うのと同じ構図なのだと思うのです。
実はこの映画は公開当初から、見たいという気持ちと

同じくらい、見たら必ず心が暗くなるという気持ちで

揺れ動いていました。今回、何とか力を振り絞って鑑賞。
監督は「ハート・ロッカー」(2009)

「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012)

のキャスリン・ビグローです。イラクにおけるアメリカ

軍爆発処理班兵士の姿を描いた「ハート・ロッカー」は
緊迫した状況が終始続き、画面から砂が舞ってくるかの

ように感じられました。また「ゼロ・ダーク・サーティ」

ではビンラディンの行方を追うCIAの狂気に満ちた任務を

ヒロインを通じて描いており能天気に「アメリカ万歳」

映画では終わっていなかったです。

「エンド・オブ・ザ・ホワイトハウス」(2013)

「ホワイトハウスダウン」(2013)のような

エンタテインメント性がないのでその手の映画が好きな人

にはかなりつらい時間になるかもしれません。
1967年デトロイト。権力や社会への不満から大暴動を

起こした黒人への対応に警察、州兵、軍まで駆り出された

その街で、ウィル・ポールター演じる白人警官クラウスは、

略奪していく丸腰の黒人を背後から撃ってしまう。もうね、

こいつが完ぺきな「差別主義者」なんですが、これっぽちも

それが悪いと考えていないのが大変特徴のある眉毛を持つ顔に

あらわれているのです。「ここで止めなければもっと悪い

方向に向かう」とペロリと話すけれど、上司には叱責され

「殺人」として報告すると言われてしまうのです。おそらくは

警官の中でも能力的に劣っていたのでしょうね。それでも

混乱する街の警備に当たるため、そのまま任務を続けるわけ

です。

 

デトロイト


一方暴動を起こす黒人たちを横目に、同じ黒人である

ディスミュークスは食料品店の警備員として働いています。

極めて現実的な男であり、反抗することが自らを危険に

晒すし、生活の基盤を失うと考えていたと思う。

 

デトロイト
 

もう一組はザ・ドラマティックスとしてメジャーデビューを

めざすラリーやフレッドをはじめとする黒人の若者たちです。

 

デトロイト

 

この3つがアルジェ・モーテルを舞台に交錯し、いくつもの

悲劇を生んでいくのです。全く関係のない部屋から(いや

そこに少し前までラリーたちはいたか)放たれたおもちゃの

銃の音を周りにいた警官隊は「狙撃者存在」と認識します。

そしてモーテルにクラウス、フリン、デメンズが突入し、

モーテルの客を拘束し、威圧的に暴力的に不当な尋問を行って

いくのです。このシーンは極めて長く、見ていると本当に

気分が悪くなります。この緊迫した晩に警察への不満を表す

ためにふざけたカールにも非がないわけではない。しかし

そこから延々と続くクラウス主体の行動は、「銃のありか」

を知るためではなく、自分たちの不満や暴動を起こす黒人へ

の怒り、恐怖などが鬱積したものではなかったのでしょうか。
その後警察での尋問、裁判シーンとつながりますが、ここでも

まことに不当な扱いを黒人たちは受け続けるのです。クラウス

たちを担当する弁護士が、これまた嫌らしいったらありゃあ

しない。また被告人席のクラウスが全然悪いと思っていない

表情を浮かべているんですよ。演技が上手すぎて、ちょっと

一発張り倒したくなるくらい。

この半世紀前の事件がいつまた起きてもおかしくないような

状況に陥っている気がして、人種間の差別意識は消えることは

ないんだろうかと絶望に近い気持ちに襲われます。そして

自分の心の中で、せめて自分だけは、人種、民族、宗教などで

差別することが絶対にないようにしたいと強く心に誓うのです。

 

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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書

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JUGEMテーマ:洋画

 

ペンタゴン・ペーパーズ

 

「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」

原題:The Post

監督:スティーブン・スピルバーグ

2017年 アメリカ映画 116分

キャスト:メリル・ストリープ

     トム・ハンクス

     サラ・ポールソン

     ボブ・オデンカーク

     トレイシー・レッツ

 

ベトナム戦争が泥沼化し、反戦気運の高まる

1971年のニクソン政権下のアメリカ。

ニューヨーク・タイムズ紙がペンタゴン・ペーパーズ

の存在を暴露する。それは政府から差し止め要請を

受けるが、同じ頃ワシントン・ポスト紙のデスクに

謎の女性からその文書の一部が持ち込まれるのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ まさにタイムリーなそして骨太な

映画です。


報道が仕えるのは国民


ウォーターゲート事件と聞くと、時のニクソン大統領の

再選を完全に阻み辞任へと追い込んだ大事件という記憶

だけしかないのですが、この映画のラストには、その

ウォーターゲート事件の始まりが映ります。ニクソンの

再選を望む共和党運動員が、ワシントンのウォーター

ゲートビル内にある民主党本部に盗聴器を仕掛けようと

した事件で、これを報道したのもワシントン・ポスト紙

だったとのこと。インターネットが普及していなかった

時代はハッキングもなく、このような方法で相手陣営の

動向を探っていたのだと思うと、時代の変遷がとても早く

感じられます。
このワシントン・ポスト紙は、メリル・ストリープ演じる

キャサリンの父親が社主だった会社で、後を継いだ

夫フィリップが自殺を遂げたため、自らの意志ではなく、

家族経営ということでそのまま社主になったキャサリンの

自信のない姿を彼女がとてもうまく演じています。

 

ペンタゴン・ペーパーズ

 

映画の前半では、政財界の大物と語り合うものの、政治の

話になるとキャサリンも含めて女性は別の部屋に移動し、

料理やファッション、ゴシップなどの話題で盛り上がります。

それが楽しいかどうかは別として、この時代、女性が政治に

口出しすることが極めて少なかった時代であることがわかる

のです。古き良きアメリカは、夫は外で働き、妻は家で子育て

と料理をして家庭を守っていた...なんて映画をいくつも見て

きました。きっと今でもそう思っているアメリカ人がいるん

だろうな。ましてや日本ではどれだけの数の人間がそう思って

いるのかわからない。気の遠くなるほど高いガラスの天井が

上に張り巡らされているんだろうな。

(ヒラリーのあのスピーチには泣けちゃったな。)
キャサリンは、株式公開にあたっても周りの役員に全て決定を

委ねるわけで、それを発表するときのスピーチの稚拙さが、

彼女の自立していない姿を表しているような気がしました。

映画の終盤に登場する彼女の娘の方がずっと意志が強そうに

感じられます。

 

ペンタゴン・ペーパーズ
 

報道の現場は、当然のことながら男性がほとんどであり、

通信手段は固定電話、秘密の内容は公衆電話という1970年代

の姿をリアルに描いています。コインを入れながらメモを取り

続けるというかなり困難な状況で仕事をこなしていくのです。
そして最高機密文書であるペンタゴン・ペーパーズは、

国務長官マクナマラの指示でまとめたもので、内容はベトナム

戦争へのアメリカの介入状況や当時の戦況が如実に記されて

いたわけで、アメリカの誤った決定の連続が4人の大統領の下で

行われ、戦争が無意味に続き、多くの兵士の命が奪われていた

ことを示すものだったのです。こんなものを世の中に出しちゃ

困る。6年も前に勝てないと分かっていた戦争を今も続けている

政権への大打撃にほかなりません。だから、

ニューヨーク・タイムズの記事を差し止めることを司法に訴え、

さらには情報提供者を捜し出そうとします。そんな時に

ワシントン・ポスト紙の編集長ブラッドリーは、新聞としても

使命を果たすために後追い記事を書こうと考えるわけです。それ

にはその情報の詳細が必要。同僚のバグディキアンに情報提供者
との接触を依頼。彼の行動はドキドキの連続です。公衆電話で

接触を図ると、電話を変えろと言われ、違う電話機に変える。

するとメモを取っているので小銭をぶちまけてしまう。それを

拾いながら言われた番号を復唱して再び電話をする..。
このように苦労して入手した文書は最高機密という個所がカット

されたため、ページがバラバラのものが4000枚以上あり、

数人が読み上げながらその文書の順番を整えていきます。大事な

文書は今でも紙で残すといけれど、ページをバラバラにしたら、

事件や登場する政府高官の名前などで組み合わせていく必要があるし、

間違っても廃棄なんてしちゃいけないよなあ。
しかしこの記事を新聞に載せるか否かでまた新聞社の幹部と現場が

対立するのです。投資家や銀行は危ない橋は渡りたくないし、

政権に歯向かうことでこの地方紙が訴えられたら、社の存続だけ

でなく、記者や社主が投獄される可能性も大きいのです。映画内で

発せられたのは「共謀罪」「法廷侮辱罪」「反逆罪」だったと思う。

 

ペンタゴン・ペーパーズ

 

最後の決定を迫られたキャサリンは、ゆっくりとそして数回

「やりましょう」
と答えるのです。この「間」が絶妙で、ものすごく深く考え、

あらゆる悪いことを想定したうえでの言葉にしては、

「寝る前に一言」的な雰囲気で発せられるのが対照的に思えます。
「私の会社」の「新聞の使命」を果たすために何をなすべきか。
政権、特定個人への疑問や批判を国家への反逆と考える大統領は

「私が国家」と言っているようなものだと述べる情報源の

エルズバーグの言葉が頭に叩き込んでおきたいです。この時から

約半世紀経ち、それでも米国憲法修正第1条で保障された表現や

宗教の自由を守っているアメリカの報道機関の姿勢は素晴らしい

と思います。それほど憲法は重い意味を持つのです。

 

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悪女/AKUJO

4

JUGEMテーマ:韓国映画全般

 

悪女

 

「悪女/AKUJO」

原題:The Vilainess

監督:チョン・ビョンギル

2017年 韓国映画 129分 R15+

キャスト:キム・オクビン

     シン・ハギュン

     ソン・ジュン

     キム・ソヒョン

 

父親を殺されたスクヒは、朝鮮系マフィアの

ジュンサンに殺し屋としての訓練を受けながら

育ち、やがて結婚する。しかし彼がソウルの

やくざ組織に殺害されると、彼女は復讐に燃え、

単身その事務所に押し入るのだった..。


<お勧め星>☆☆☆☆ とにかくすごい。

それしか言いようがありません。


平凡に暮らすのは到底無理


監督は「殺人の告白」(2012)の

チョン・ビョンギル。2017年に

「22年目の告白ー私が殺人犯です」でリメイク

されていますが、どう考えてもオリジナルの方が

数倍おもしろい。

 

悪女
 

ピーピーピーと口笛が鳴り、ある人物の視線で始まる

オープニング。銃をバンバン撃ちまくり、ヤクザ者

たちがドスやナタで襲ってくるのをバタバタ倒して

いきます。一通り終わると静けさが戻り、足元には

死体の山が転がっているのです。弾倉を入れ替える

手際の良さはもはや芸術的。そして銃をはたき

落されると次は2本の刀を使って、切って切って

切りまくるのです。暗い廊下から明るい部屋に
移動し、初めて相手に倒された時、今までの視線の

持ち主が若い女性であるとわかります。そこでも

数十人と格闘し、最後には窓から飛び降りるアクションを

見せ終了。この7分間がひと時たりとも目が離せない

映像ばかりであり、揺れ動く画面にやや頭がくらくら

するかもしれません。
そして警察に確保されたこの女スクヒは、この腕を買われ、

国家情報院で殺人請負人としての訓練を受け始めるわけです。

ここでまず整形させられるのと、訓練の中に演劇やバレエの

練習も入っているのは別人物として生きていくための準備

ということかな。整形した割にはあまり顔が変わって

いないスクヒ役は「渇き」(2009)

「高地線」(2011)のキム・オクビン。「高地線」でも

狙撃兵として見事な腕前を見せていました。この映画では

なんとウェディングドレス姿でトイレの換気扇の隙間から

狙撃するシーンがあり、白いドレスと長い銃という

アンバランスは絵が見られます。これは考えつかないな。
国家情報院にこんな組織があるんかいな、と疑問を持つ暇も

なくストーリーは進み、実はスクヒは妊娠していて、施設内

で出産するのです。え?父親は誰?この疑問はこの後、回想

映像を挟み込んで説明されていくので大丈夫。
またソクヒ自身の生い立ちについても同じような手法で時系列

バラバラに描いています。施設を出て娘と平凡に暮らすための

最後のミッションで、彼女はターゲットと暗闇の中、刀と刀を

ぶつけ合い火花を飛ばしながら戦い、とどめを刺すときに、

ターゲットの娘がそれを見ている。そのシーンと自分が重なる

ことで、ソクヒの父もこのように殺されたのだとわかるのです。

もう容赦のない殺し方です。
中途半端ではなく徹底的に叩き潰します。ここはすごいに

尽きる。そして父を殺されたソクヒを殺し屋として育てる

朝鮮系マフィア、ジュンサン役は

「復讐者に憐れみを」(2001)

「高地線」(2011)のシン・ハギュン。安定の演技力です。

 

悪女
 

晴れてミッションを終え、ウネと2人で平凡に暮らすために

アパートに引っ越してくるのに、やはり彼女の行動を監視

するヒョンスが隣の部屋に同時に引っ越してくるのです。

この役はモデル出身のソン・ジュン。なかなかのイケメンさん。

 

悪女

 

2人の間のかなり緩いというかありきたりというか

やっぱりね的な感じの恋愛模様も、それほどまどろっこしく

ないんです。ラブシーンは皆無に近い。キス止まり。潔いです。
個人的にこの手の映画に、男女間の真剣な恋愛は不要と

思っているので、こんな感じがとても好き。このおまけの

ような恋愛を終盤の復讐に活用するとは、見る側にとって

感情移入しやすいというものです。いやこの展開は実は

とても可哀そうで、ウネの気持ちになったらたまったもん

じゃないと思う。子どもの流す涙は本当に心が痛みます。
しかし想像もできないほどのアクション、例えばバイクを

走らせながら、刀同士を戦わせたり、パトカーを踏み台に

してバイクでジャーンプ!民族衣装を脱ぎ捨て、かんざしを

使ってのアクション。

 

悪女
 

もっともすごいのはラスト付近のバスと車のアクションで、

ソクヒったら、車のボンネットに乗り、ハンドル操作を

するという神業を見せます。

(エンジンブレーキかからないのかーい。いやしっかり見ると

アクセルをペットボトルで固定しているシーンがありました。)

そして斧でしがみついたバスの中での長い長いバトルは、

これが永遠に続くのかと思うけれど、全然見飽きない映像の

連続です。日本映画ならここで...だけど、そこは韓国映画!

きっぱり、すっきりかたをつけるのです。
細かなところではいろいろツッコミどころがあるけれど、斬新な

アクションと、本当にどうやって撮影したんだろうというような

映像の連続で、とにかく楽しめました。

 

 

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ソウルガールズ

4

JUGEMテーマ:洋画

 

ソウルガールズ

 

「ソウルガールズ」

原題:The Sapphires

監督:ウェイン・ブレア

2012年 オーストラリア映画 98分

キャスト:クリス・オダウド

     デボラ・メイルマン

     ジェシカ・マーボイ

     シャリ・セベンズ

 

1960年代末、アボリジニとして差別を受けて

いた3人の姉妹は、カントリーミュージックの

グループを組み、コンテストに参加するがあえなく

落選。しかしその歌を聴いたデイヴは、彼女たちに

ソウルミュージックを歌わせて、ベトナムでの

アメリカ軍慰問の仕事につかせようと考えるが...。


<お勧め星>☆☆☆☆ ストーリーはすこしほころびも

あるけれど、歌が素晴らしい。とにかく元気になれる

映画です。


アボリジニへの差別


先住民族への差別は、世界各国に存在し、最近見た

「サーミの血」(2016)ではスウェーデンにおける

それを描いていました。
オーストラリアではアボリジニが存在し、映画の冒頭で

1967年まで市民権がなく、動植物扱いだったと文字が

流れると、独自の文化を持ちコミュニティを形成してきた

民族へ、後から入植した人々の非道な扱いに憤りを感じます。

アボリジニは1968年まで特定の居住区住まいを強いられ、

70年代まで続いた「白人同化政策」で、肌の白い

アボリジニの子供を、政府が合法的に拉致し、白人家庭で
育てる行為を続けていたと知ると、ある意味「民族浄化」

だったのではないかと思ってしまう。
ただ映画ではこの辺りは、それほど深く重く描かれず、

主なストーリーは、アボリジニ出身の4人の女性がいかに

してベトナムで見事な歌声を聴かせるまでになったかを、

幾つかの恋愛も絡めて映し出されていくのです。
これはほんの数年間のことであり、実在した彼女たちのグループ

「ザ・サファイアズ」がメジャーデビューするわけでもなく、

その後故郷でアボリジニのために様々な活動を続けている

期間の方が長いのです。

長女ゲイルは、鋼の心臓を持ち、すべてにおいて決定権が

ある。次女シンシアは陽気で惚れっぽい。三女ジュリーは

抜群の歌唱力を誇るシングルマザー。そして従妹のケイは、

例の政策で「白人」として育てられ、「白人」として暮らして

いるのです。このケイがなぜ3人に加わったのかそこの

心境の変化は少しわかりづらいかな。

 

ソウルガールズ
 

3姉妹で挑戦したコンテストに落選し、(ウルトラ下手

くそな白人の女性が優勝)そこで司会をしていた白人の

デイヴに「ソウルミュージック」を歌うことを勧められる

のです。

 

ソウルガールズ

 

彼女たちの歌は「カントリーミュージック」であり、どちらも

「喪失」を歌っているけれど、カントリーミュージックは

「喪失から懐かしい故郷に戻る」ことを歌い、

ソウルミュージックは「喪失からその失ったものを取り戻す」

ことを歌っているとデイヴは言ういます。それは彼のソウル

好きの思いをそのまま語ったのだと思うけれど、なんだか納得。

 

ソウルガールズ

 

そしてカイも加わり「サファイアズ」としてベトナム戦争中の

アメリカ軍慰問の仕事に就くわけですが、このベトナムでの

シーンも歌のシーンは素晴らしいけれど、戦争中であることの

恐怖は終盤に少し感じるくらいで、かなり表面的にしか描かれ

ません。ただベトナムから逃げるために乗ったヘリコプターで

白人の兵士が、カイの恋人で黒人兵ロビーに傷を触られると

「その汚い黒い手で触るな!」と怒鳴るわけです。そういう

差別が映画のあちこちに挟み込まれ、その都度胸が痛くなるの

です。しかしやはりそのシーンを引きずらず、彼女たちの

生き生きした姿を見せ続けるのは、この映画のテーマが
差別への批判ではなく、夢に向かって突き進んだ女性たちの

姿を見てほしいということではないでしょうか。
4人の女性が自分たちの民族に誇りを持ち、その思いを同じ

民族の人々に伝えていく姿はとにかく爽快でした。映画内で

歌われていた歌はどれもすてきで、サントラが欲しくなります。

 

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パターソン

4

JUGEMテーマ:洋画

 

パターソン

 

「パターソン」

原題:Paterson

監督:ジム・ジャームッシュ

2016年 アメリカ映画 118分

キャスト:アダム・ドライバー

     ゴルシフテ・ファラハニ

     バリー・シャバガ・ヘンリー

     クリプ・スミス

     永瀬正敏

 

ニュージャージー州、パターソンの住むバス運転手

パターソンは、妻ローラをベッドに残して出勤し、

仕事の合間に詩を書き留め、帰宅。そして夕食後

愛犬マーヴィンと散歩し、バーに立ち寄るのが日課

である。そんな彼の一週間をカメラで追っていく..。


<お勧め星>☆☆☆ 何も大きな変化はないけれど、

所々クスリと笑える映画です。何も変わらない幸せを

感じます。


レインコートを着てシャワーを浴びる


ニュージャージー州パターソンは、ニューヨークから

30〜40kmしか離れていない場所なのに、とても

のどかで自然にあふれ、治安も悪くないように感じます。

そこでバスの運転手をしているパターソンの一週間を

淡々と描いていくのです。パターソン役は

「スターウォーズ」シリーズのアダム・ドライバー。

彼が毎朝ほぼ同じ時間に起き、隣で眠る妻ローラにキスを

して、出かける支度をするのです。
起きた時に妻が話す「昨晩見た夢」の内容がちょっと

おかしい。そして出勤するとバス会社のドクが

「最悪の調子」をパターソンに説明するのですが、その

内容もかなりおかしい。

 

パターソン
 

パターソンは起きた時から、ずっと詩を考えていて、それが

文字として画面に映し出されます。毎日その内容が少しずつ

進んでいくのです。妻が「双子を授かった夢を見た」と聞いた

その日からあちこちで双子が目にいるパターソン。何かの

きっかけでいつも気に留めなかったことに視線が行くように

なるのかもしれません。
バスの運転中、乗客が交わす会話を切り取って、パターソンの

耳に届ける内容も、どうもおかしい。そして勤務を終え、

自宅に戻ると、いつもポストが傾いているのです。その理由が

後でわかるけれど、それを知るとこれまたおかしい。

 

パターソン

 

家に入れば、毎日家の中が少しずつ変わっているのです。

ローラが白と黒で統一しているのをパターソンはちょっと

違和感を感じながらも「素敵でしょう?」と言われると
「うん、そうだね」この会話の微妙な間と、その後少しだけ

パターソンが微笑みを浮かべることで、彼はローラを深く

愛しているし、この変化も気に入っているのだろうなと

思うのです。
そして夕食を食べ、愛犬マーヴィンの散歩に行く途中、

バーに寄るのがパターソンの日課。ここで毎日何かが変わり、

何かが起きます。大きな事件(それも大したことではない)は

金曜日に起きただけだったと思う。それも真相を知るとクスリ

と笑えます。

 

パターソン
 

平凡な毎日の中で少しだけ何かが変わり、それも普通の出来事

として流れていくのに、土曜日の晩、2人で映画に行って帰宅

すると、大事件が起きているのです。この時のマーヴィンの

申し訳なさそうな姿が壁から半分だけ見えて、この犬、

すごいな!と思ったら、カンヌ国際映画祭で「パルムドッグ賞」

を獲得したそうです。残念なことに映画公開前に亡くなった

そうで、エンドロールで追悼していました。

 

パターソン
 

意気消沈したパターソンの日曜日、一人で散歩に行くと日本人

に出会うのです。これが永瀬正敏さん。詩の話で盛り上がり、

彼からgiftを贈られると、それは何も書いてないノートです。

ここから月曜日が始まり、また新しい詩を書き始めるパターソン

が映るのです。とても単調なんだけれど、とてもおかしくて、

そしてみんな善人で、小さな幸せを感じる映画でした。

 

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