弁護人

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

弁護人

 

「弁護人」

原題:The Attorney

監督:ヤン・ウソク

2013年 韓国映画 127分

キャスト:ソン・ガンホ

     イム・シワン

     キム・ヨンエ

     クァク・ドウォン

     ソン・ヨンチャン

     オ・ダルス

 

1978年高卒で裁判官になったウソクは、

不動産登記専門弁護士に転身する。彼は、次々と

仕事を拡大し、釜山で最も稼ぐ弁護士の1人となるが、

その彼がかつて世話になった食堂の息子が不当な

裁判を受ける話を知ってしまう。


<お勧め星>☆☆☆☆ やはり丁寧に作られており、

俳優陣の演技力も素晴らしいです。


愛国と正義は共存しないのか


ソン・ガンホが主演なので安定の演技力なのは当たり前

のこと。そういえばこの人、朴槿恵大統領時代

「ブラックリスト」に載っていた俳優の1人だとか。

つまり国家を批判したり扇動する恐れがある人たちの

リストがまだ存在したということなのですね。
映画の前半では高卒で異例の裁判官となり、ひたすらお金を

稼ぐことに明け暮れる弁護士に転身するウソクと、後半には

国家保安法違反で逮捕された知人の息子の弁護をする

人権派のウソクはまるで別人のようです。ソウル大での

デモについて「勉強が嫌いだからデモなんかするんだ」と

言い切るのは、彼が大学に行っていないことへの劣等感の

裏返しであり、それはかつての学戦運動の際、それを阻止

する機動隊員が「あんな学生たちは親からの金でのほほんと

暮らしているとんでもない奴らだ」と刷り込まれた構図と

似ているかのように感じます。自分の知らないことを知る

努力をしないと、誰かの言いなりになってしまう。それは

とても恐ろしいことです。
映画内で出てくる釜林(プリム)事件は、全斗換政権が

釜山地域の民主勢力を抹殺するために、学生や社会人を

不当に逮捕、監禁、拷問した事件で、この拷問から自白調書を

書かせるシーンまでがまことに生々しく描かれています。

クァク・ドウォン警監演じるチャ・ドウォンが、また怖い

のなんのって。そしてその拷問を受けた1人ジヌ役はZE:Aの

イム・シワンで、韓国ってアイドルでもこんなリアルな役を

演じるんだと感動すら覚えるのです。
昔の恩人の息子のために税法専門の金儲け弁護士から一転して

人権派弁護士と変わり、それによって大企業の顧問弁護士の

座も捨ててしまう。そこまでしてウソクが求めたものは

何だろう。当時(今も多分そう)韓国司法界は、出来レースで

あり、いかに「量刑」を軽くするかを裁判官、検事、弁護士で

前もって打ち合わせているという、およそ真理の追求とは程遠い

もの。したがってウソクの求める「無罪」というものを勝ち取る

ことは限りなく困難であり、次々に証拠を出しても、それを覆す

不条理な手段を使われるのです。たまたまウソクがジヌと接見

でき、彼の体に残る拷問の跡や彼の話を聞けたから、裁判でも

主張はできたけれど、もし会うことすらないまま裁判に入って

いたら、不当な逮捕、さらに国家転覆計画の疑いなど晴らす

こともできなかったのです。いや、結局晴らせないけれど。
ウソクの孤軍奮闘ぶりは一般庶民からすると極めてまっとうな

ことなのに、全てを拒絶され、法をふりかざして「愛国」を

声高に叫ぶ権力には、立ち向かうことができないのです。
韓国にすると、北朝鮮というのは自国の領土を共産主義の金氏が

率いる労働党が占領しているという考えがあるわけで、2国の

存在を主張する人々は、そもそもの建国精神を揺るがすことに

ほかならないのです。このソン・ウソクが後の廬武鉉大統領が

モデルとなっており、彼の最期は韓国歴代大統領の

それと同じ道筋をたどったものの、1つ異なるのは、彼の死後、

彼への評価が見直され、極めて高い人気を保っているということ。

彼は最後まで庶民に寄り添う人間だったのでしょう。

 

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奇蹟がくれた数式

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JUGEMテーマ:洋画

 

奇蹟がくれた数式

 

「奇蹟がくれた数式」

原題:The Man Who Knew Infinity

監督:マシュー・ブラウン

2015年 イギリス映画 108分

キャスト:デブ・パテル

     ジェレミー・アイアンズ

     デビカ・ビセ

     トビー・ジョーン

     ズスティーブン・フライ

 

1914年、インド人ラマヌジャンは、イギリスの

ケンブリッジ大学のハーディ教授に招かれイギリスへ

渡る。彼は天才的な数式を発見していくが、周囲の

目は冷たく、また本国に残してきた妻への思いも募る

のだった。


<お勧め星>☆☆☆半 伝記映画としてとても上手に

作られています。


数学ではなく数覚


数学についてラマヌジャンが妻にその楽しさを語る

シーンがあります。そこで彼は海岸の砂を手に取り砂の

粒でたとえ話をするのですが、数学オンチの私には

まったく理解できません。それは天才であったラマヌジャンが、

その数学に対し、深い愛情を感じ、そこに眠る無限の謎を

解き明かしていく喜びに取りつかれていたのだと思うのです。
高校時代、数学や物理が得意な生徒が幾人かいて、なぜ

その公式に結びつくのか、どうしたらその発想ができる

のか不思議でたまりませんでした。逆に彼らの中には、

国語の論述問題が苦手という人もいる。それが学問の世界

かもしれません。両方苦手でもスポーツだけはできます!

という子もいましたね。
主役のラマヌジャン役を演じるデブ・パテルは、

「スラムドッグ$ミリオネア」(2008)

「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」(2011)

でもインド人として登場し、豊かな表情には大変好感が

持てました。
1914年、インド、マドラスで、学位のないラマヌジャンの

不遇な身の上から、ケンブリッジ大学に招聘されたものの、

「インド人」であるがゆえの差別、第一次世界大戦勃発に

よる学術部門での苦悩、またマドラスにおける実母の妻に

対する仕打ちなどが次々に映ります。
映画の中では「数学」について話をするシーンがあちこちに

映り、「博士と彼女のセオリー」(2014)のように

私生活に重きが置かれておらず、あくまでも数学者としての

ラマヌジャンの真摯な姿が全編に渡って流されます。病に

侵されたことも、その後の展開も出来る限り最小限の映像で

収めて、ラマヌジャンとハーディ教授、リトルウッド教授の

研究の姿を描き切ったことは、ポイントのズレがなく見られると

思います。またラマヌジャンによって、ハーディ教授自身も

「他人との関わり方」を身につけて行くのもわかるのです。

学者バカではやはり共同研究はできなし、他人の賛同を得る

ことも難しい。ラマヌジャンは無神論者のハーディ教授に自らの

発想は

「女神(ヒンドゥー教?)が毎朝枕元に数式を置いていく」と

語るのです。(マドラスは現在はチェンナイという名称)やはり

宗教に心のよりどころを持つと、逆境にも立ち向かえるのだろうか。

いやそこには才能というものがプラスされなければいけないな。

彼の死から一世紀を経て「ブラック・ホールの研究」に彼の

数式が役立っているということを知ると、やはり宇宙規模の

能力の持ち主だったのだと納得します。そしてその魅力に

取りつかれた者はいつの時代もその夢の中から抜け出せなく

なるのだろうなと勝手に考えています。

 

 

 

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特捜部Q Pからのメッセージ

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

特捜部Q

 

「特捜部Q Pからのメッセージ」

原題:Flaskepost fra P

監督:ハンス・ペテル・モランド

2016年 デンマーク=ノルウェー=スウェーデン

=ドイツ映画 112分

キャスト:ニコライ・リー・カース

     ファレス・ファレス

     ポール・スベーレ・シュミット

 

「助けて」と書かれた手紙の入った古いボトルが

海岸で見つけられる。カールとアサドたちQチームは

その手紙に事件性を疑い、捜査を開始すると宗教絡みで

行方不明になっている子どもたちの存在を知る...。

 

<お勧め星>☆☆☆半 やはり面白い。北欧の寒々しい

雰囲気がぴったりです。


子供は無知だが夢を持っている


特捜部Qシリーズで映画化された「檻の中の女」(2013)

 

特捜部Q

 

「キジ殺し」(2014)

 

特捜部Q

 

はいずれも原作を読んでから映画を鑑賞したのですが、

今回は未読のまま映画を見てしまいました。なので映画

単体での出来具合が逆によくわかるというもの。

(いややはり原作は読んでおくべきだとamazonにて購入

しました)
「檻の中の女」はとにかく主役のカールが小説にイメージと

ぴったりだったのに驚きました。そしてほぼストーリーは

同じで、限りなく最小限度にそぎ落とした感じ。その年観た

映画では満点をつけたほどです。そして「キジ殺し」は逆に、

とても大事な部分を変えてしまったことで、それは

「ソロモンの偽証」の映画化と同じで、そこを変えたら話が

すっかり変わってしまうじゃないとやや憤慨したものです。
さてこの「Pからのメッセージ」は海岸に流れ着いたボトルの

中の手紙から話が始まります。もちろんその前に手紙を苦労

して書いた少年が映るので、ああ、これが事件の発端なのだと

理解します。前回の事件の衝撃で休職中のカール、そして

部下アサド、ローセが手紙を解読し、捜査を開始する一方で、

「神の弟子」という宗教集団の信者の姿が映ります。

「檻の中の女」では5年前に失踪し、自殺したことになっていた

女性政治家、「キジ殺し」では20年前の寄宿学校での殺人事件を

追いましたが、今回はこの手紙が書かれた7,8年前の事件を

追うことになります。まず手紙の解読、書かれた文字から

被害者が子供であること、宗教関係でいなくなった子供は

いないか、など次々に情報を収集し、ターゲットを絞っていく。

このテンポの良さはおそらくは原作ではかなりのページを

さいていたはず。そして見つかったのが、ドラッグ中毒で不良の

たまり場にいるトレクヴェであり、彼は自分がどこにいたのか

「ある音」でしか覚えていません。

 

特捜部Q

 

一方この事件の犯人は早々にわかり、いかにも美男子を絵に

かいたような男性です。そして同じ頃幼い姉弟を誘拐する

わけです。彼がこのような行為をする理由は、幾度となく

映る彼自身の不遇な生育環境にあったわけですが、それが

どういった形で自分を正当化していたのか。それを知る

のは映画の終盤であり、姉弟の両親が身代金を受け渡す

場所に指定された列車のシーンでは、今回お初となる

ヘリコプター登場。Qチームもこれだけ事件を解決して

いたら予算もつくもんだと思ってしまいます。まあ、列車の

中に犯人がいるかどうかなど普通分かり切ったことなので、

それを妄信して大量の捜査員を送る警察の姿はちょっと

違和感あり。それでもその後に続くスリリングなシーンの

連続で目はくぎ付けなのです。
そうそうトレクヴェが聞いていた「ある音」というのが

何かが判明するのは、もう危機一髪の時なんですよ。人間の

耳は危機的な状況下におかれ続けると研ぎ澄まされ、その時の

音を決して忘れないんだろうなと思ってしまう。それは映画内で

幾度も映った「アレ」の音だとは。
犯人がなぜカールの携帯番号を知っていたのかとか、

毎回現場に到着するのがアサド一人とかそんな些細なことに

目をつぶるとたいへんよくできていたサスペンスでした。
名前から分かるように神への信仰の厚いアサドと、全くの

無神論者のカールの対比もジョークを交えて映され、

ラストは宗教色を残してエンディング。このシリーズは

原作がまだたくさんあるから次もできるんだろうな。

楽しみな映画です。

 

 

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われらが背きし者

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

われらが背きし者

 

「われらが背きし者」

原題:Our Kind of Traitor

監督:スザンナ・ホワイト

原作:ジョン・ル・カレ

2016年 フランス=イギリス映画 109分 

PG12

キャスト:ユアン・マクレガー

     ステラン・スカルスガルト

     ダミアン・ハリス

     ナオミ・ハリス

 

イギリス人大学教授ペリーは、妻で弁護士のゲイルと

共にモロッコで休暇中、ロシアン・マフィアのディマ

から重要な証拠をM1:6に届けるように依頼される。

彼は単に届ける仕事と考えてロンドンに戻るが...。


<お勧め星>☆☆☆半 巻き込まれサスペンスとして

はやはりよくできたストーリーです。


高いワインにつられるな


映画「裏切りのサーカス」(2011)の

ジョン・ル・カレ原作の作品ですが、スパイがらみの

ものとしては割と単純なストーリーなんです。
冒頭でのモスクワでの一家射殺シーン。雪の中に

倒れこむドレス姿の少女がなんと美しいことか..。

と思っていたら、次はモロッコ、マラケシュのめっちゃ

暑そうな部屋での男女のベッドシーンです。は?これが

どうつながっていくんだろう。いや、この時点では1ミリ

もつながっていないんです。いつもはお尻を見せる担当の

ユアン・マクレガーはバストのみ、逆に美しい

ナオミ・ハリスがヒップを見せてくれます。(お尻なんて

言っちゃ失礼です)大学教授ペリーと弁護士の妻ゲイルは、

ペリーの浮気による関係悪化を修復するためバカンスに

訪れたらしい。あーた、そんなことで仲直りできると

思ったら大間違いよ!
そしてなぜかウルトラ高級レストラン(ワインが1ボトル

100万以上する)で、食事をしているのに、妻は仕事の

電話が入り、先に帰ってしまう。それをチラ見していたのが、

絶対に町であったら目を合わせたくないタイプの男性ディマで、

周りには護衛のような取り巻きさえ付けているんです。

「ドラゴン・タトゥーの女」(2011)でも存在感が

際立っていたステラン・スカルスガルトが、この怖ーい役に

ぴったり。でも勘違いしてはいけません。ロシアン・マフィアの

中でも実は組織に忠実であり、冒頭の射殺事件をもくろんだのが、

資金洗浄目的の銀行をヨーロッパに開くため、イギリス高官と

手を組んでいるロシアン・マフィアのトップ、新プリンスと

敵対している...。いかにもロシアらしい駆け引きと裏切りの

連続なのに、対するイギリスのMI:6側がかなりお粗末な行動

ばかり。そこには大きな理由があるんですが、たまたまディマと

接触した一民間人ペリーを活用し、悪事を暴こうとする考えは

かなり無理があるような気がします。原作は長編小説なので

そこは大きく端折ったのでしょうか。それにしてもディマが

ペリーのクレジットカード番号を一瞬で覚えてしまう能力は、

これ絶対に使われるぞと確信していました。そういうことが

わかってしまうのがとても残念でもあり、もう少し難解でも

頑張れるぞと言うのが見終わっての感想です。
モスクワ→モロッコ→ロンドン→パリ→ベルン→フレンチアルプスと

景色をいろいろ楽しめます。

 

 

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パッセンジャー

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JUGEMテーマ:SF映画 一般

 

パッセンジャー

 

「パッセンジャー」

原題:Passengers

監督:モルテン・ティルドゥム

2016年 アメリカ映画 116分

キャスト:ジェニファー・ローレンス

     クリス・プラット

     マイケル・シーン

     ローレンス・フィッシュバーン

 

スペース・コロニーを目指すアヴァロン号に乗船

したジムは、あるアクシデントにより、90年早く

目覚めてしまう。彼は船内に同じような人間がいない

か探し始めるが...。

 

<お勧め星>☆☆☆ SF+ラブストーリー+サスペンス

という感じで、ラブが特に強いかな。


目覚めたのが美男でよかった


監督は

「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」

(2014)のモルテン・ティルドゥム。あの映画は、

予告編では想像できない本編の展開に、良い意味で期待を

裏切ってくれました。今回の「パッセンジャー」では

VFX映像を駆使した宇宙船内や宇宙空間、そして近未来の

日常生活機器まで丁寧に描かれています。さすがセットに

1億1000万ドルかけただけのことはあります。宇宙船の

姿も極めて独特な姿で、その動きすら目を見張ります。
さて、大前提として言いたい、声を大にして言いたいのは、

あと90年冬眠するはずが、流星の衝突で覚醒してしまった

可哀そうな人間が、クリス・プラット演じるイケメンのジムで

よかった。これが崩れると全ておじゃんになってしまいそう..。

5000名の乗客の中でもエコノミークラス扱いの技術者に

すぎないジムは、船内で利用できる食事や施設なども限られて

いるわけで、これって豪華客船のクルーズでも同じかなと

思ってしまう。行ったことないけどそうなんだろうな。
そしてもう一人の乗客オーロラ役をジェニファー・ローレンスが

演じているんですが、彼女はいわゆるファーストクラスなんですよ。

それはさておき、ジェニファー・ローレンスと言えば、

アカデミー賞授賞式でドレスの裾を踏んでずっこけたり、

自撮り写真が流出したりと(あれは見ちゃダメ)いろいろ

お騒がせがあるものの、安定の演技力とハスキーボイス&ふくよかな

体型がとても魅力的なんです。映画内でとてもおかしな水着を

着用して幾度となくプールで泳ぐシーンがあり、あの色っぽさは

何度見ても目が釘付け。あ、クリス・プラットもお尻が

見えていたか。あれはどうでもいいかな。このプールシーンでは

後半、突然無重力になり、水から抜けられなくなります。

その時の演技のために長時間にわたって鼻まで水につけることを

し続けたとのこと。迫真の演技です。
そしてあと2人、アンドロイドのアーサーとほぼ終盤に突然現れる

クルーの1人ガスがいるだけで、限られた空間の中での2人の

人間ドラマを堪能するというところでしょうか。
そもそもなぜエコノミークラスのジムとファーストクラスの

オーロラ2人なのか、そして2人がラブから喧嘩シーンに

変わるのはなぜなのか。それを知るとアメリカ国内で反発を

呼んだのも頷けるのです。まさに「murder」ですよね。
ラスト付近の勇敢な行動ですべてがチャラになることや

そもそもあんなに簡単にひび割れたり、故障したりするのか

とも思うけれど、希望のあるラストは好感が持てました。

 

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午後8時の訪問者

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

午後8時の訪問者

 

「午後8時の訪問者」

原題:La fille inconnue

監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ

   リュック・ダルデンヌ

2016年 ベルギー=フランス映画 106分

キャスト:アデル・エネル

     オリビエ・ボノー

     ジェレミー・レニエ

 

医師のジェニーは、診療時間過ぎの午後8時に鳴った

玄関ブザーを無視する。そして翌日警察から、その

ブザーの主である女性が亡くなっていたことを知らされ、

彼女は女性への罪悪感に苛まれていく。

 

<お勧め星>☆☆☆半 地味な映画ですが、1人1人の

心の中が丁寧に描かれています。


人間として正しいことをすることの価値


わたしの大好きなダルテンテ兄弟監督作品です。

 

午後8時の訪問者

 

「ある子供」(2005)では、子供が生まれた

若い男女が、まだ親としての自覚のないまま、その

子供を売りに行こうとする姿を描き、

 

午後8時の訪問者

 

「少年と自転車」(2011)では、離れて暮らす

父恋しさに、実は疎ましがっている父に元へ向かう

少年を、

 

午後8時の訪問者

 

さらには「サンドラの週末」(2014)では

労働者の過酷な雇用の状態を、ある一市民の視点

から描いていました。そこには見る側がどう考える

かの問題提起のみで、ラストも唐突に終了。そこに

残るのは絶望でなく、限りなく小さな希望の灯を

感じるものばかりです。
さて、この映画は、劇場予告編では、サスペンス映画の

雰囲気がプンプン漂っていましたが、実際はどうか。
診療所の代診として勤務したジェニーは、研修医の

ジュリアンと2人でいた時、時間外に玄関ブザーが鳴る

のです。答える必要はないとジュリアンを制するジェニー

はなぜか苛立っています。実は彼女は新しい医療センター

赴任が決まり、気持ちはそちらに向いているらしい。

もう順風満帆の未来が開けてきたところなんです。ここで

知るのは、フランスにおける研修医というのは正式な医師で

はなく、これを経て国家試験を受ける身であるということ。

さらに保険診療患者ばかり引き受けている貧しい地区の

診療所への医師のなり手が極端に少ないことです。まあ、

日本でも診療科によって人気がかなり異なるし、勤務医

よりも開業医の方が絶対に収入が多い。医師という仕事は

「人の命を預かる」という極めて崇高な志のもとにめざす

べき仕事であるはずのものが、なぜか金儲けのほうに比重が

傾いていることも否めないのです。
そしてジェニーは翌日警察官から、例のブザーを押して

若い女性が亡くなったことを知らされます。その時彼女の

頭によぎるのは「なぜあの時ドアを開けなかったのか」と

いう医師としての倫理観なのです。別に診察時間外だし、

一度きりのブザーに答えなくても彼女には何の罪もない

かもしれない。しかし患者として訪れる貧しい人々や

不法就労者、移民などを毎日診ていたはずの彼女がなぜ

救えるはずの命を救えなかったのか、と悩むのは非常によく

わかるような気がします。つまり医師としての義務=人の命

を救うこと、という最も基本的なことを怠った自分への悔悟の

念でもあったのでしょう。それは人に接する態度、例えば

高飛車に出てしまったジュリアンへの自分の姿をも許せなく

なるわけで、彼女はとりあえず必死で亡くなった女性の

身元調査をするわけです。自分だったら...とか、

ここまでしなくても...という思いはあちこちのシーンに見られ、

その過程でフランスにおける底辺に蠢く人々の声なき声に耳を

傾けることができます。逆に亡くなった女性の映った防犯

カメラ映像は、ジェニーだけでなく、実は彼女を知っていた

数名の人々の心の底に眠る「人間としての心」を呼び覚ます

ものであったと思っています。やはりラストは暗転し、

その後に含みを持たせたものでした。BGMは一切なく、診療所の

玄関ブザーの音、携帯の呼び出し音、高速道路を行きかう車の

音だけが繰り返し流れ続け、いつしかその世界に入り込んで

しまうものとなっています。

 

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ブレードランナー(1982年版)

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ブレードランナー

 

「ブレードランナー」(1982年版)

原題:Blade Runner

監督:リドリー・スコット

1982年 アメリカ=イギリス映画 116分

キャスト:ハリソン・フォード

     ルトガー・ハウアー

     ショーン・ヤング

     エドワード・ジェームズ・オルモス

     ダリル・ハンナ

 

21世紀に入り、人類は人間に酷似したレプリカントを

製造し、宇宙空間での過酷な労働に使用してきた。その

最新型のうち6体が宇宙植民地を脱走し地球へ侵入する。

デッカードはブレードランナーとしてそれらの処分を

命じられるが..。


<お勧め星>☆☆☆半 独特の世界感にあふれ、見終わった

後に様々なことを考えます。


白い鳩は何を意味するのか


「ブレードランナー 2049」を鑑賞するための第一段階と

してまずこれを見ることにしました。なんせ5つのバージョン

があるため、どれから見たらいいものやらと思っていたら、

「全部見るべき」との助言をいただき、全部見ることに決め

ました。じゃーん!見れるかな。
設定は2019年11月のロスアンゼルス。環境汚染にまみれ、

酸性雨が降り注ぐ、多人種の入り乱れる街であり、言語も

「シティースピーク」という多国籍の言葉が混じったものを

使っているとのこと。但し主要な言葉は英語で話されています。

ストーリーは、「レプリカント」なるアンドロイドのような

人間型ロボット?の進化系ネクサス6が、宇宙植民地から

脱走し、地球へ侵入、それをブレードランナー特捜班である

デッカードが排除していくというもの。あちこちに書いて

あるけれど、そのレプリカントの数がどうも合わないのよね。

「6体逃げた」と言うから「6」とメモしたけれど、チェック

していっても1つ足りない。これについてはあとでいろいろ

論議が起こったのも仕方のないことですね。レプリカントか

否かの判別機やフューチャーカー、スピナー(飛行車)

などが当時予測しえた未来都市感を印象付けます。また

デッカードが使用する武器ブラスターの破壊力も強い。しかし

ながら全編に漂う退廃的な雰囲気は、全てのスピードの遅さと

重なり合って、SF映画と言えどもワクワクした気持ちには

なりません。また主役であるはずのデッカードがなり弱く

(銃がないと全然ダメ)、レプリカントのボス、

ロイ(ルトガー・ハウアー)が凶暴ながらも、悲哀に満ちた

表情とその行動には逆の魅力を感じてしまうのです。レプリカントの

プリス役のダリル・ハンナがまだ売り出し中だった頃でしょうか。
ちょっと驚いたのは映画内で話されている日本語がほぼ正しい

発音だったことです。ここまでこだわりを持っていたのかしらね。
さて次のバージョンも見ないと。

 

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ミス・シェパードをお手本に

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ミス・シェパードをお手本に

 

「ミス・シェパードをお手本に」

原題:The Lady in the Van

監督:ニコラス・ハイトナー

原作:アラン・ベネット

2015年 イギリス映画 103分

キャスト:マギー・スミス

     アレックス・ジェニングス

     ジム・ブロードベント

     フランシス・デ・ラ・トゥーア

 

ロンドン北部のカムデンタウン。劇作家ベネットが

引っ越してくると、そこにはオンボロのバンで

路上生活するミス・シェパードがいた。町の人々の

行為に対し憎まれ口ばかり返す彼女は、やがて

ベネットの家の前に車を置き始めるのだが...。


<お勧め星>☆☆☆ マギー・スミスの演技力を堪能しました。


公正さと寛容さ、貧しき人々への優しさ


劇作家アラン・ベネットが実際に自宅の前で車上生活を

していたミス・シェパードを回想して書いた原作の映画化

です。この作品は先に監督ニコラス・ハイトナー、主演

マギー・スミスで1999年に舞台化されており、ラジオ

ドラマを経て映画製作に至ったとのこと。このコンビは

変わっていないので、もうマギー・スミスの定番作品の

ようになっています。

 

ミス・シェパードをお手本に
 

ミス・シェパードは、偏屈で怒りっぽく、人に厳しく、常軌を

逸しており、無礼でそして臭いのです。なんせお風呂に

入らないし、車内の袋の用を足しているから当たり前のこと

ですね。映画の中ではいつもは気高い英国夫人を演じる

マギー・スミスが、スクリーンから臭いが立ち込めそうな

いでたちで現れます。
ただなぜ彼女がそのような境遇に至ったのかは、冒頭の自動車

事故映像と後半にベネットが独自に調査を始めたことから知る

のみで、彼女の口からはほとんど語られません。さらになぜ

カムデンタウンの住民が、このミス・シェパードを邪険に

扱わないのかという疑問に対し、

「自らが富を築いたことへの罪滅ぼし」とナレーターも務める

ベネットが言います。行政がとても貧しい人々の面倒を見るべきだ

と考える人々が9割を占めているイギリスならではのことで

しょうか。いやこの調査は2007年のものだから、現在は

明らかに減少していると思う。
映画内のミス・シェパードは、実に憎らしい。せっかく「梨」を

分け与えようとしても「それは腹に悪い」と言うし、子供の歌声

すらも「騒音」と言ってのけるのです。ただピアノの音色に

だけは過剰に反応する。そこに隠されたのは...。

 

ミス・シェパードをお手本に
 

ベネットは離れて暮らす実母を題材に作品を書いており、

その母は認知症が進んでいるのです。それでいて母を施設に

入れ、赤の他人のミス・シェパードを庭に住まわし、結局の

ところ後見人のような扱いを受けても、大きな反論はしません。

そこにはどこかミステリアスなミス・シェパードへの好奇心が

働いて、彼女と共存することで自分のための作品を作り上げて

いくことができると思ったのかもしれません。とはいえ、老女を

庭に招き入れることは、確実に老いていく彼女の「下の世話」を

手助けすることになるわけで、実際にはどうだったんだろうと

無粋な勘繰りをしてしまいます。

 

ミス・シェパードをお手本に

 

ミス・シェパードの少しずつわかってきた素性があまりに

ドラマティックであり、高潔であるがゆえに、他人と協調

することができなかったのだと見終わって感じました。

3か月家の前を貸すはずが実際は15年も居座ることになる

とはお互いに思わなかっただろうし、その間にある種の

親近感も生まれたんだろうなあ。よくわからなけど。

 

 

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ゲット・アウト

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

ゲットアウト

 

「ゲット・アウト」

原題:Get Out

監督:ジョーダン・ピール

2017年 アメリカ映画 104分

キャスト:ダニエル・カルーヤ

     アリソン・ウィリアムズ

     ブラッドリー・ウィットフォード

     ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ

     キャサリン・キーナー

 

黒人写真家のクリスは、恋人ローズの両親の家に向かう。

彼は家族に歓待されるが、庭師やメイドの黒人の男女の

不気味な表情が気になって仕方がない。翌日開かれた

パーティーでは、さらに奇妙な出来事が起き、クリスは

ローズと自宅に戻ることを決断すのだった。


<お勧め星>☆☆☆半  そういうことね、となかなか気づかず

後半はスリル満点です。


だから行くなと言われただろう


劇場での予告編はただ不気味なだけで、その「謎」に1つも

触れていないという優れものでした。なので全く予備知識なし。
ホラー映画のオープニングの定番、車と鹿の衝突シーンがあり、

(鹿は明らかにフェイクとわかるもの)そこで白人警官による

黒人青年クリスへの不快な対応を見ると、アメリカに確実に

存在す続ける人種差別意識を痛感します。しかしクリスは

そんな態度にはとっくに慣れており、逆に白人の恋人ローズが

気を遣う。逆パターンの映画では

「レイクビュー・テラス 危険な隣人」(2008)で、白人の夫

と黒人の妻に対し、隣人の黒人警官が執拗な嫌がらせを仕掛け

続けるというものがありました。あのサミュエル・L・ジャクソンは

ものすごく怖かった!
アフリカ系アメリカ人への差別は男女問わず、今も根強く

残っており、逆にそれが存在することで、本来の「正義」を

追求できない側面もあると考えています。この辺りはとても

デリケートな問題だったのに、愚かなリーダーを選んだことで、

パンドラの箱を大きくあけてしまった感じ。いやそれは全世界で

同じことが言えるかもしれません。

 

ゲットアウト
 

さて、この映画では脳神経外科医ディーン、心理カウンセラー、

ミシーという両親に恋人クリスを会わせるため、ローズが、

ウルトラへき地の実家へ連れて行くのです。辛うじて携帯の

電波が届くだけいいか。
とにかくクリスはものすごく歓迎されるけれど、庭師、メイドが

いずれも黒人だし、やけに無表情なのと、家族の言葉の端々に、

不快な差別感を覚えるわけです。この辺りはセリフをよく聞くと

わかります。さらに弟ジェレミーの

「黒人だから格闘技できるだろう」発言。カチン!

 

ゲットアウト
 

これはまだ序の口で、クリスはミシーにティーカップの中味を

かき混ぜるスプーンの音で催眠術にかけられてしまう。

 

ゲットアウト

 

この時の「沈む」姿が、映像的にまことに秀逸。起きたいのに

起きられない、動かしたいのに動けない、そう「金縛り」と

いわれる状態はまさにこんな感じなのでしょうか。これは

クリスが禁煙できるようにしてくれたものなのかしら?
翌日、白人だらけのパーティーでも、なぜかクリスに強い関心を

寄せる人々ばかり集まります。そこには白人の老女が若い

黒人男性の夫を連れていたりするし、その男性のファッションが

いつの時代のものかと思ってしまいます。不快な要素を小出しに

しつつ、突然起こる「動き」にドキリとし、そしてまた「静」へと

戻るの繰り返しの後、少しずつクリスは「真実」に近づいていく

わけです。もうね、この「真実」もクリスの想像することとは

かなりかけ離れていて、見ている側と同じくらい、身に起こる

ことで理解していくしかない。観客とクリスの心はほぼ同じ

レベルになっています。

 

ゲットアウト
 

冒頭に拉致された黒人、空港保安員のクリスの友人ロッドの

存在、鹿、そしてフラッシュの光。すべてを知った時、

それらが繋がって行く時、ただただ驚くのみでした。
心の奥底に誰もが持っているなにがしかの偏見をできるだけ

小さくし、きれいごとだけれど、互いを理解する努力をする

ことがいかに大事であるか再確認します。

 

 

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わたしを離さないで

3

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

わたしを離さないで

 

「わたしを離さないで」

原題:Never Let Me Go

監督:マーク・ロマネク

原作:カズオ・イシグロ

2010年 アメリカ=イギリス映画 105分

キャスト:キャリー・マリガン

     キーラ・ナイトレイ

     アンドリュー・ガーフィールド

     シャーロット・ランプリング

 

ヘールシャム・ハウスと呼ばれる寄宿学校で学ぶ、トミー、

キャシー、ルース達は、外の世界とは一切遮断された生活を

送っている。そして18歳になるとコテージと呼ばれる場所へ

移され、ある事のために備えるのであった。

 

<お勧め星>☆☆☆

 

「生きる」ことの意味


1952年、不治の病の治療が可能となり、1967年、

人間の寿命が100歳を超え、というナレーションと共に、
キャシー・Hが介護人として、ある男をガラス越しに見ている
のです。キャシー役は、「ウォール・ストリート」(2010)、
「ドライヴ」(2012)、「華麗なるギャツビー」(2013)

のキャリー・マリガン。

そして時は遡り、1978年、ヘールシャム・ハウスという

寄宿学校で、少年少女達が外界とは隔てられた生活を送って

います。その中のキャシーは利発で、優しく、トミーは

仲間外れにされてはかんしゃくを起こす少年、ルースはお

ませな少女なのです。彼らは境界線から出ると、恐ろしい

出来事が起こると言われ続け、買い物すら出かける
こともなく、代用コインを貯めては、出張店舗で、古びた

おもちゃを手に入れることを楽しみにしています。
ここから出ると恐ろしいことが待っている、「ビレッジ」

(2004)でもそんなことが話されていました。あの映画とは

また違った内容ですが、彼らに幼い頃から植え付けけられていく

常識と呼ばれる考えが、いかに一般のものとズレているのか
が感じ取れます。非常にズレた常識の中で育てられた子供たちを

描いた映画は「籠の中の乙女」(2009)で象徴され、両親に

よって作り上げられた固有のルールを守り続ける姿を滑稽さも

混じえて描きつつ、その中での幸せを破ることへの恐怖も皮肉っぽく

見せつけました。しかしこの映画はそういった類のものとは全く

異なるのです。

トミー役は「ソーシャル・ネットワーク」(2010)の

アンドリュー・ガーフィールド。この人はどうも好みじゃない

ルックスです。からだも華奢ですが、この後「スパイダーマン」
に出演し、最近ではメル・ギブソン監督「ハクソーリッジ」

(2017)に主演しています。すっかり有名俳優の仲間入り

をしました。ルース役は「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの

キーラ・ナイトレイ。きれいなんだけどこの映画ではあまりそれが
感じられなかったなあ。彼女もこの後の「アンナ・カレーニナ」

(2012)、「はじまりのうた」(2013)とどんどん

ステップアップしていきます。

規則正しい食事と規則正しい生活、そして校長先生

(シャーロット・ランプリング)の講話などから、次第に彼らが

おかれている状況がわかってきます。イギリス特有の
曇った空とどこまでも続く草原、森林の風景が静かな恐怖へと
つながります。といっても映画の中盤には全てがわかるんですが、

それでも今その時を楽しそうに生きようとふるまっているかの
ような若者の姿が映ります。キャシーが恋したトミーはなぜか

ルースと恋人同士となり、18歳を迎え、コテージと呼ばれる場所に
移っても仲睦まじく過ごすのです。初めて町のレストランに行った

彼らが、いろいろ悩んだあげく、みんな同じものを注文する姿は

笑えます。何度もお店屋さんごっこをして練習したのにね。
「男女が恋している間は申請すれば猶予されるらしい。」
恋人同士のロッドとクリシーの言葉を、賢いキャシーは全く

信じません。それでいて介護人となって、次々と仲間の「終了」を

見届けていくうちに、本当にトミーを愛していたことに気づかされる

のです。この期間が10年ぐらいたっているんだけど、そんなに気持ち
って変わらないんだろうか。
いや、彼らの生い立ちからすればそうならざるを得ないのか。
終盤、そんなことはあり得ないと思っていても、それを信じるトミーと
共に彼が必死で描いた絵を携えて、マダムの元へ向かうキャシー。

「それはないのよ。」

トミーに告げる姿は極めて悲しいものでした。そして車を止め、

道路で叫び続けるトミー。彼らの宿命は変えられるものではないの

です。「ギャラリー」の存在は、このプログラムを遂行する者の

免罪符であり、これ自体を否定する者から見たら、無意味なの

ですよね。ヘールシャムへ途中で赴任し、すぐにそこを去った
ルーシー先生の言う通りです。静かな恐怖の中に、悲しみと切なさを

強く感じさせる映画でした。(2017年加筆)

 

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