この世界の片隅に

4

JUGEMテーマ:邦画

 

この世界の片隅に

 

「この世界の片隅に」

監督:片渕須直

原作:こうの史代

2016年 日本映画 126分

声:のん

  細谷佳正

  小野大輔

  潘めぐみ

  新谷真弓

 

広島に住む浦野すずは、呉の北條家に嫁ぐ。

戦時下の生活は食糧不足にあえぐ日々であったが、

彼女は持ち前の明るさでそれを乗り越えていく。

しかし戦争のさらに激しくなり..。


<お勧め星>☆☆☆☆半 静かに静かに戦争について

考えさせてくれます。


人間の当たり前は何だろう。


広島、呉は、私の祖父が海軍の兵隊として出港した

場所です。昭和20年3月に37歳で召集され、祖母は

母を含め3人の子供を連れ、出港前の祖父に面会に

行ったのです。その時渡されたのが、立派な海軍の

軍服姿の祖父の写真と髪の毛であり、それきり

フィリピンの沖合でアメリカ軍機の攻撃により軍艦は

沈没したとのこと。映画内のすずの兄要一の遺骨箱に

あったのが石ころ1つだったのと同様に、祖父の

遺骨箱には紙きれ1枚しかなかったそうです。
広島市出身のすずが、呉の海軍に勤務する周作と結婚

するまでののどかな、ごく普通の生活。いつもぼーっと

していて、兄とケンカをし妹とじゃれ合う。少しズレて

いるから、周りのみんなからそれを揶揄されても笑って

済ませるおおらかな姿が描かれる序盤。

 

この世界の片隅に
 

そして開戦後結婚し、全く知らない土地である呉で暮らし

始めても、彼女の個性は失われず、日々困窮していく

食生活も、彼女なりの工夫で乗り越え、戦艦を写生して

いて「スパイ」として憲兵に叱責されても、家族そろって

笑い話に変えてしまう、そんな和やかな家庭を見ていると、

これから訪れる大きな戦禍を知っている観客は、しばしの

幸せな時間に浸ってしまうのです。実際は配給が激減し、

草花をおかずに、水の多いお粥を食べていたというのに。

 

この世界の片隅に
 

そして多くの戦争を描いた映画と一線を画すのは、涙を流したり、

傷ついたり、破壊されていくシーンを限りなく削り、

その時々に人々がどのように、それに耐え、前に進もうと

したかを描くことに徹したことだと思うのです。もちろんアニメと

実写の違いもありますが、淡々と描くことで、見る側がいろいろな

考えを持つことができます。

 

この世界の片隅に


すずの婚家の畑から見える呉港の景色が次第に変わり始め、

全てがなくなり、玉音放送を聞いたときに、すずは激しく

慟哭します。それは何に対しての涙だったのでしょうか。

 

この世界の片隅に


「呉の皆さんがんばって下さい」などと放送されるラジオの

声があまりに空しく響き、逆にがんばっていない姿の方が

ずっと心に響くものになりました。

 

 

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何者

3

JUGEMテーマ:邦画

 

何者

 

「何者」

監督:三浦大輔

原作:朝井リョウ

2016年 日本映画 97分

キャスト:佐藤 健

     有村架純

     二階堂ふみ

     菅田将暉

     岡田将生

     山田孝之

 

拓人とルームメイトの光太郎は就活中。同じ

アパートの2階に同級生瑞月の友人が住んでいた

ことから、そこを就活会議場と決め、それぞれ

活動し始めるが...。

 

<お勧め星>☆☆☆半 映画の方がずっと面白かった。

 

本音を見せることはかっこ悪いのか。

 

原作は「桐島、部活やめるってよ!」の朝井リョウの

同名小説で、この作品が映画化されると聞き、本を

読んだものの、何となく後味が悪く、結局WOWOWにて

鑑賞。原作本の方は、文字の数が極端に少なく、Twitterの

文面がずらずら並んでおり、その行間を読み取らないと、

中身がうまく伝わらないという感じがしました。

facebookのメアドからTwitterのアカウントを検索?

そうなんだー。

したがって映像化された時に、個々の表情が目の前で

見られたのでずっと理解しやすかったです。

 

何者
 

何者

 

御山大学で、演劇にのめり込んだ拓人、バンド活動で人気を

博した光太郎はどちらも留年。さらに同級生、瑞月は

海外留学のためやはり留年し、5年生に就活をするわけです。
皆同じリクルートスーツを着込み、同じ髪型、黒いバッグ、

黒い靴..。いつからこうなったんだろう。その異様な姿に

すっかり慣れたもののその中から個性を見出せるのだろうか。

 

何者

 

何者
 

そして瑞月のホームステイ先で知り合った理香と

その同棲相手隆良も登場します。本ではそれぞれの説明が

もう少し詳しくされていたような気がしますが、映画は

終始拓人目線で進みます。エントリーから試験の合否に

至るまでメールで届くという世界に身を置くと、私生活でも

それを常に活用している若者たちは、いつ「本音」を

語るのでしょうか。光太郎のように裏表のない人間もいる

かもしれないけれど、人間関係を潤滑にするために?

周りから浮かないために?「本音」を隠しているうちに、

自分が「何者」であったことすら忘れてしまうのかもしれません。
終盤に判明する拓人と理香の裏の姿を批判し合うシーンは、

まさに背筋がゾッとします。
但し、演劇の置き換えて拓人の心の中、つまり「裏垢」で

語っていたことを描いていく手法は素晴らしく、ラストも

なんとなくすがすがしいものでした。

 

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エル・クラン

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

エル・クラン

 

「エル・クラン」

原題:El Clan

監督:パブロ・トラペロ

2015年 アルゼンチン映画 110分 PG12

キャスト:ギレルモ・フランチェク

     ピーター・ランサーニ

     ジゼル・モッタ

     フランコ・マシニ

     リリー・ポポビッチ

 

1980年代のアルゼンチン。軍事政権下で要人に

あったアルキメデスは、政権交代により職を失い、

誘拐ビジネスに手を染める。彼は仲間と共に、長男

アレックスも仕事を手伝わせていたが...。


<お勧め星>☆☆☆ ジャケットのようなコミカルな

雰囲気は感じません。


見返りを求めずに、正しいことをせよ


アルゼンチンはまたまた地球上の位置が分かりませんね。

南米のこの辺りです。

 

エル・クラン

 

サッチャー首相時代のイギリスとフォークランド紛争が

起きたことくらいしか記憶にありません。2001年には

通算6回目の債務不履行国となり、経済状況が極端に悪化

したようですが、今は安定しているとのこと。こんな話は

日本ではほとんど耳にしません。
そしてこの国は1976年にビデラ将軍による軍事クーデターが起き、

より強固な軍事政権が生まれたものの、例のフォークランド紛争で

見事に失敗。文民統制へと移行しつつあった時代の事件なのです。

なので映画内で幾度となく「時代は変わったんだ」とか

「いやまだあの時代はやって来る」などと口走るのも納得できます。

 

エル・クラン


映画の主人公はアルキメデス・プッチオ一家。アルキメデスは

かつて軍の要職にあったもののその職を失い、富裕層を狙った

誘拐、殺人ビジネスを実行しているのです。彼には教師をする

妻と娘2人、息子3人がいて、直接手伝っているのは、

ラグビーの花形選手で長男のアレックスのみ。

 

エル・クラン

 

犯罪一家を描いた映画は「アニマル・キングダム」(2010)

を思い出すけれど、あれは祖母を頂点にしたものすごく悪い

犯罪者一家なのに一家の結びつきはとても強く、それが冷たい

恐怖として伝わりました。一方このプッチオ一家はというと、

なんかのんびりしているんですよね。ラテンのノリというか、

事件に手を貸すことに罪悪感を覚えるアレックスも結局次も

手伝ってしまうし、自宅の2回に被害者を監禁しているのに、

気づかずに過ごす娘たちもやや不思議。さらにさらに、誘拐方法や

身代金の要求の仕方が毎回ワンパターンで、絶対に警察に

ばれていると思うけれど、それは実力者を知っているから

見過ごされてしまうという当時の混乱した状況を物語ります。

また直接的な描写はあまりないので、残酷さを感じさせないし、

逆になぜにPG12指定かと思ってしまう。WOWOWだからかな。
実際の事件もその内容より、その事件を生み出した当時の政治的な

混乱やこれに全く気付かなかった周囲の人々について注目が

集まったようで、映画内でも毎朝家の前の舗道の落ち葉を掃き、

近所の人とにこやかに挨拶するアルキメデスの姿が幾度となく映ります。

 

エル・クラン


序盤から家族の映像の中に挟み込まれる、アレックスとモニカが

拘束されるシーンや一家のもとへ警官隊が踏み込むシーンを見ると、

結末はうすうすわかるのですが、その多くは字幕で流されると

いうもので、そこは多少なりとも映像で見たかったところ。
父親アルキメデスに反抗できなかったアレックスの姿は非常に

もどかしく、その彼に恩着せがましい発言をする父親への怒りは

あのようになるわけですね。
「見返りを求めずに、正しいことをせよ」
はアルキメデスの書斎に貼られた紙に書かれていたそうで、

彼は出所後弁護士になったというから、お国柄の違いって

凄いなと実感してしまう。犯罪映画としてはそれほど面白く

なかった気がします。

 

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SCOOP!

3

JUGEMテーマ:邦画

 

scoop!

 

「SCOOP!」

監督:大根 仁

2016年 日本映画 120分 PG12

キャスト:福山雅治

     二階堂ふみ

     吉田 羊

     滝藤賢一

     リリー・フランキー

 

フリーのカメラマン静は、パパラッチをして

自堕落な生活を送っている。そんな彼は写真誌

「SCOOP!」の新人記者、野火とコンビを組む

ことを押し付けられてしまう。

 

<お勧め星>☆☆ リリー・フランキーのジャンキー

ぶりがすごいです。以上。

 

パパラッチにラブと正義は不要

 

パパラッチを描いた映画といえば、ジェイク・ギレンホール

主演の「ナイトクローラー」(2014)を絶対に思い出す

はず。あのギラギラしたまなざし、そしてとことんクズな姿に、

鑑賞後気分が悪くなりました。それでも「成功」のためには

「良心」など持ってはならない、という心意気が伝わったのです。
さて、この映画はどうかというと、あの美しい

(ふん、もう他人のものだけどね)

福山雅治演じる都城静が、冒頭からホテル代をケチり、車の

後部座席でコールガールと事を済まし、その直後ターゲットの

写真を撮影するというクズっぷりを映像で見せます。

口から出るのは下ネタと金の話、だらしない歩き方、

ボサボサ頭、無精ひげで汚さをアピールしたところで、

やはり福山雅治なんです。映画内で見せる元カノで写

真週刊誌のチーフ、横川定子役の吉田羊とこんな風な

美しい絵になってしまう。

 

scoop!
 

まあ、そこは仕方がないとして、前半は、リリー・フランキー

演じるチャラ源とつるむ姿や定子との会話もゲスで、こいつ

クズだなと思わせることには成功していると思います。

 

scoop!

 

どん臭い新人記者、行川野火を押し付けられ、彼女を

お荷物以外の何物にも感じない姿は、二階堂ふみの好演も

加わり、映画に引き込まれていきます。

 

scoop!
 

しかし、実は彼は元この写真誌の編集部にいた敏腕カメラマン

だったとか、「報道スクープこそ原点だった」などとストーリーが

流れ始めると、「ん?」と思い始めるのです。

まあ、日本の道路事情でできるはずもないカーチェイスに挑戦し、

銃の代わりに花火(よほど花火がお気に入りらしい)で追手を

振り切る辺りは、アイデアで乗り切った感じもします。

 

scoop!
 

最も冷めてしまったのは、野火とのものすごく中途半端な

ベッドシーン。二階堂ふみがヌードがアウトなら、始まりと

終わりだけ映像化すればいいのに、なにやら夢の中のような

雰囲気の画面に変わっても、そんなもの時間の無駄と思って

しまう。また、唐突にカメラマンを志したきっかけが「キャパ」に

憧れたと語り、この写真を取り出す。

 

scoop!

 

ああこれは絶対に使われるなと確信する瞬間です。
クズなら、何の恩義があるのかしらないけれど、情報屋らしき

男も利用し、大金を稼ぐことに専念すべき。終盤の強引な展開は、

ドキリとするものの、私の中ではこの映画の評価が下がる一方

でした。
前半の面白さが100とすると、後半は0で、結局50くらいの出来

だったなとブツクサ思うのです。

 

 

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バーン・カントリー

3

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

バーン・カントリー

 

「バーン・カントリー」

原題:Burn Country

監督:イオン・オールズ

2016年 アメリカ映画 104分

キャスト:ドミニク・レインズ

     メリッサ・レオ

     ジェームズ・フランコ

     レイチェル・ブロズナハン

 

アフガニスタンから亡命してアメリカにやって来た

オスマンは、友人の実家に居候することになる。

田舎町に溶け込もうとした彼は、1つの殺人事件に

遭遇したことで、危険な謎解きを始めるが...。

 

<お勧め星>☆半 不協和音のようなBGMの流れる中、

理解不能なシーンの連続です。

 

ココハ アメリカ アナタハ ナニヲシタイ?

 

サスペンス映画...らしい。
冒頭、女性が何語かわからない(後にポーランド語と判明)

言葉を発しながら独演会をしています。ものすごく変な

ダンスをものすごく奇妙な写真を背景に見せてくれるのです。

まあこれがこの映画全編に漂う不協和音の始まりに過ぎない

のです。主人公のオスマンは、アフガニスタンで戦場記者の

仲介役をしていた経歴を持ち、亡命先のアメリカ、カリフォルニアで

夢と希望に満ちた生活を送れると考えている...らしい。

 

バーン・カントリー
 

そしてオスマンがアフガニスタンで仲介した戦場記者ゲイリーの

母で保安官のグロリア(これがメリッサ・レオ←ほぼ素顔で老け

具合がすごい)の家に滞在することになるのですが、ゲイリーと

グロリアはほとんど連絡を取っていない...らしい。理由は知らん。
オスマンは、自分の経歴にやけに自信があるから、地元新聞社から

何とかもらえた退屈な作業では物足りないのです。

ここがわからないのよね。亡命して何かのキャリアがあるなら、

もっと都会に行けばいいのに、なぜにこんな超田舎町に来て、

即仕事があると思うんだろう。ゲイリーがほら吹いたとしか思えない。
そしてオスマンは、保安官の仕事をこなすグロリアに無理やりに

ついていくわけです。どう見ても邪魔。待っていてと言われると

待たない、するなと言われるとする、行くなと言われると必ず

行くという「困ったちゃん」。

 

バーン・カントリー
 

そこに登場するのが町の鼻つまみ者リンジーで、この役は

なんとジェームズ・フランコです。よーく見ないと気づかない

ぐらいほどのやさぐれ感を漂わせています。
一つの遺体の発見と怪しげなソクーロフ兄弟、そして何かを

ひた隠しにする町に住民などサスペンス要素があるかのように

見せかけて、何のことはない結論。
ゲイリーが戦場からかける電話に耳を澄ませるオスマンは、

無音の中に何を聞き取ったのだろう。故郷のしばしの静けさか。
ふん、ちっともおもしろくないぞ。

 

 

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チリの闘い

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JUGEMテーマ:映画

 

 

チリの闘い

 

「チリの闘い」

原題:La batalla de Chile

監督」パトリシオ・グスマン

1975年 チリ=フランス=キュバー映画 263分

 

東西冷戦下の70年代、チリでは社会主義のアジェンダ政権が

民主的選挙で誕生する。しかしアメリカの支援を受けて

数々の妨害工作が行われ、遂には軍事クーデターによって

その政権は崩壊するのだった。

 

<お勧め星>☆☆☆☆ 三部作に分かれており長さも気に

ならない面白さ。

 

歴史はわれわれのもの

 

チリはどこにあるんだろう?名前を聞くことはあっても漠然と

「南米のどこかの国」程度にしか思えません。地図では

この辺りになります。

 

チリの闘い

 

日本から遠いですね。
この映画は全編263分あり、第一部「ブルジョワジーの叛乱」、

第二部「クーデター」、第三部「民衆の力」と分けて描かれた

ドキュメンタリーフィルムの編集なのです。

 

チリの闘い


第一部は大統領宮殿が空爆されるシーンから始まります。

これは1970年に民主的な選挙で選ばれたアジェンデ大統領の

最期であることは一目瞭然です。ここからは人民連合政権

(1970〜73)の末期の困難に満ちた様を映し出していくのです。
1959年のキューバ革命後、南米各地で起こった混乱は、米国への

脅威にほかならないわけで、特にベトナム戦争で敗北しつつあった

時期に誕生したチリのアジェンデ政権は、なんとしても潰したい

存在になっていたのです。
チリ国内の野党にあたるキリスト教民主党など右派は、アメリカの

援助を受け、ありとあらゆる方法で政権への打撃を試みるのです。

労働者の権利でもあるストライキまでも利用する。そして第一部の

終了間際に軍部によるクーデター未遂が起こり、その時の銃弾に

倒れたカメラマンの映像が第二部の冒頭にも使われます。

 

チリの闘い

 

「知らなかったかもしれない」ことが、この映像によって

「実在したことと知ることができた」瞬間です。

そして第二部は冒頭の大統領宮殿破壊の映像で終わります。

その後始まる第三部は、ほとばしるほどのエネルギーを

見せつける民衆の姿が工場で、農場で、街頭で見られるのです。

それはアジェンデ政権がもたらした社会主義国家への道のりを

国民自らの手で作り上げていく姿であり、与えられたものに

従うにではなく、各々が考え行動する姿になっています。

そこにはこの政権下での社会への希望に満ちたものばか

りではなく、激しく討論する姿も見受けられます。
三部作がそれぞれ終了するたびに

「撮影者 ホルヘ・ミューラー・シルバの思い出に」

とクレジットが出ます。購入したパンフレットを読むと、

彼はグスマン監督とともに活動した「三年目」のメンバーの

一人で「左翼革命運動(MIR)」に属していた人で、恋人と

共に軍事政権ピノチェトの秘密警察DINAに捕らえられ

行方不明になったと知ります。
歴史を正しく伝えることの難しさを体感する映画でした。

ぜひともこのフィルムを国外に持ち出すことにどれだけ

困難を極めたか、そしてこのフィルムが存在したことで

「事実」を知ることができたことの意味を考えてほしいと

思います。

 

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あなた、その川を渡らないで

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JUGEMテーマ:韓国映画全般

 

あなた、その川を渡らないで

 

「あなた、その川を渡らないで」

原題:My Love,Don't Cross That River

監督:チン・モヨン

2013年 韓国映画 86分

キャスト:チョ・ビルマン

     カン・ゲヨル

 

結婚76年を迎える夫婦は、毎日お揃いの民族衣装を

着用し、手をつないで歩いている。しかし年齢と共に

おじいさんは、咳き込むことが多くなり、おばあさんは

膝の痛みに悩まされ始めるのだった。


<お勧め星>☆☆☆ いい映画だと思うけれど、好きに

なれない内容です。

 

あまりにも美しすぎる夫婦の絆

 

絶賛するレビューが多い中、極めて少数意見を書いて

みました。冒頭に雪の中で川に向かって泣くおばあさん。

これを見たらどういう展開かすぐにわかるじゃありませんか。
まさに2人は理想の夫婦なんです。庭の落ち葉を片付けながら、

葉っぱを掛け合って遊び始める。花を摘んでおばあさんに

渡すと、おばあさんはおじいさんの耳に花を飾り、しまいには

お互いに花を飾り合う。

 

あなた、その川を渡らないで

 

夜、トイレ(家の外にある)についてきてもらい、夫に外で

歌を歌ってもらう。雪が降れば雪で遊び2つの雪だるまを作る。

春には川で野菜を洗うおばあさんにおじいさんが水をかけ、

その後で家の庭で水の掛け合いをする。いくつものシーンで

夫婦が深い愛情で結ばれている姿が描かれるのです。
監督自身がこの夫婦がTV番組で紹介されたのを見て、

「凄い夫婦」と思い、映画にしたいと考えたとのこと。

 

あなた、その川を渡らないで

 

「色鮮やかなお揃いの民族衣装を着て町に出る老夫婦」と

して紹介され、実際にお会いすると2人の姿が素晴らしく、

15か月間、3人で過ごしたそうです。したがってドキュメンタリーに

近いものの、監督の思い入れから編集された部分もかなり

あるはずで、それをそのまま事実として観客に伝えるのは、

少し違和感を感じます。
「世界の果ての通学路」(2013)という映画でもかなりの

演出が見られましたが、そこには伝えたい強いメッセージが

受け取れました。この映画はどうか?

 

あなた、その川を渡らないで


最も人間味があったのが、おばあさんの誕生日会に一族が

そろったとき、両親への関わり方で息子と娘が喧嘩を始めた

シーンでした。それを止めもせず悲しそうに見つめる

おばあさんが大映しになるわけです。夫妻が歩んできた

道のりも全て感動するものばかりで、こんな理想な夫婦に

なりたいものだと伝えたいのでしょうか。
あまりにストレートすぎると、天邪鬼なわたしは、感情移入が

できなくなります。ドストレートな題名もいや。おばあさんの

その後を描かないのもいや。

 

 

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ベイビー・ドライバー

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JUGEMテーマ:アクション映画全般

 

ベイビー・ドライバー

 

「ベイビー・ドライバー」

原題:Baby Driver

監督:エドガー・ライト

2017年 アメリカ映画 113分

キャスト:アンセル・エルゴード

     リリー・ジェームズ

     ケビン・スペイシー

     ジェイミー・フォックス

     ジョン・ハム

 

通称「逃がし屋」のベイビーは、あるダイナーで

デボラというウェイトレスと出会う。彼は彼女に

心惹かれ、この仕事から足を洗おうと決心するが、

ボスであるドクから次の仕事を指示されるのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆☆ 文句なしの満点です。

とにかくまだ興奮しています。


音楽とカーアクションの見事なマッチング!


久しぶりの劇場鑑賞です。そしてこの映画は絶対に

劇場で見るべき映画なのです。なぜに上映館が少ないの

だろう。そしてTVなどでのCMが少なかったのだろう。

案の定劇場にいたのは、平日ということもありますが、

10人足らず。レディースデイなのでもっと入っても

いいのに、そこはラブストーリーではないからでしょうか。
Rotten Tomatoesでは驚異の100%評価も獲得して

いるんですよ!
監督は、わたしの大好きなエドガー・ライト。

「ショーン・オブ・ザ・デッド」(2007)、

「ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!」(2007)

などで有名な彼が、20年前から作りたかった

カーチェイス映画を遂に完成させたのです。しかし

ロンドンではあの道路事情でカーアクションができる

はずもなく、撮影はアメリカ、ジョージア州アトランタで

行われました。なんでもアメリカ国内でもカーアクションが

できる都市が少なくなっているそうな。
主人公のベイビー役は「きっと、星のせいじゃない」(2014)

のアンセル・エルゴード。童顔であるものの、身長は

190cmもあり、そういえば他の俳優さんより頭が一つ

出ていたような気がします。そして彼が好きになってしまう

ダイナーのウェイトレス、デボラ役は「シンデレラ」(2015)

のリリー・ジェームズ。このコスプレに近いウェイトレス姿

は胸をズキュンすること間違いなしです。

 

ベイビー・ドライバー
 

ベイビーは幼いころの自動車事故が原因で耳鳴りに悩まされており、

いつもipodで歌を聴いているのです。わたしは洋楽に

ものすごく疎くてこっぱずかしいのですが、そのイヤフォンから

流れている曲には身体が自然に反応してしまう。ノレるんですよ。

そしてある理由からドクの指示で「逃がし屋」をさせられ

始めたのですが、このドライブテクニックがものすごいんです。

冒頭6分弱のチェイスシーンのうち、最も気に入っているのは、

この赤い車3台並走のトリック。

 

ベイビー・ドライバー

 

この時上から警察へリが追っているわけです。そして

トンネル内での車線変更の後の上から映像では、どれが

対象車かわからなくなります。ちなみにこの時の車はスバル、

インプレッサ、WRX。他2台はフォルクスワーゲンとシボレー

でした。(車種名までは知らん)
毎回仲間は入れ替わりますが、その中にバッツという

それはそれは悪い男がおりまして、その役を演じるのが

ジェイミー・フォックス。あらま、奴隷から大統領、

そして今度は犯罪者とすごく幅広い演技を見せてくれるのねえ。

 

ベイビー・ドライバー
 

そしてベイビーには体の不自由な養父がいて、常に彼のことを

気にかけている。そしてそんな養父をこよなく愛し、今は逆に

彼の世話をしているのです。そんな2人はとても強い絆で

結ばれています。またベイビーはいろいろな音を録音して

ミキシングするのが趣味。その中に入っている

亡き母の歌声のテープを聴くと、彼はかつての両親の姿や

母親の胸に飛び込む自分が思い浮かぶわけです。

これがまさか....おーっとネタバレしちゃいけません。
さらにこの映画では色使いも素晴らしく、デボラとベイビーが

初めてデートするコインランドリーでは、背後では赤、黄、青の

布がそれぞれ個別にクルクル回っています。もちろんこの時も

音楽はイヤフォンから流れているんです。

 

ベイビー・ドライバー

 

音楽、カーアクション、色と3拍子揃った素晴らしい映画です。

 

 

 

少しだけネタバレ

物事には「償い」が不可欠。それも描いていてよかった。

 

 

 

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殺されたミンジュ

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殺されたミンジュ

 

「殺されたミンジュ」

原題:One on One

監督:キム・ギドク

2014年 韓国映画 122分 R18+

キャスト:マ・ドンソク

       キム・ヨンミン

       イ・イギョン

       チョ・ドンイン

       テオ

 

ある夜女子高生ミンジュが謎の集団によって殺害される。

そして1年後、事件の実行犯が1人ずつ拉致され拷問を

受けていく...。


<お勧め星>☆☆☆ メッセージ性は強いのですが、

「嘆きのピエタ」の方がずっと上を行くと思います。


セリフの多さは、テーマをブレさせる。


かなりの低予算かつわずか10日間で撮影完了だけあって、

シーンも限られており、カメラワークも統一性がなく、

俳優の演技力によって、映画が成り立っている気がします。
「ミンジュ」というのはあちこちで書かれているとおり

韓国語で「民主」の意味であり、つまりこの1人の少女が

殺されたことを韓国国内だけでなく、全世界に広がる

民主主義の崩壊になぞらえているのです。
冒頭に襲われたミンジュは、あっという間に殺害され、

「なぜ?」ということは最後までわかりません。そして

1年後、事件の実行犯が1人ずつ拉致され、拷問を受けた

挙句、調書を書かされていくわけです。この拷問はかなり

ソフトであり、こんなもんじゃないだろうと思ってしまう。

 

殺されたミンジュ

 

殺されたミンジュ
 

この集団は「シャドウズ」と呼ばれるらしいのですが、

そんな風に映画の中で呼んでいたのか全然気づかず。
さらに、シャドウズは、ある時は警官、ある時は軍人、

ある時はヤクザ風などコスプレをして実行していくのです。

それはどの世界にも同じような「悪」が存在するという

ことを示したのでしょうか。
またシャドウズのメンバーの日常生活があまりにも

悲惨なのです。ある者は、重い病の妻のために金を借り、

取り立てに苦しむ。ある者はアメリカのアイビーリーグの

大学まで行き英語もマスターしたのに職がなく、兄夫婦の

世話になっている。認知症の母親とホームレス状態の者、

DV男から離れられない女。いずれも「負け組」にしか

すぎないのです。これでもかと見せつける「負け組」を

率いるリーダー的存在は元軍人のマ。

 

殺されたミンジュ

 

マ・ドンソクが演じています。結局は彼の個人的な

恨みを晴らすために、ネットで社会に不満を持つ者を

募ったということが分かっても、心になにも響きません。

 

殺されたミンジュ
 

「私は誰なのか?」って最初に実行犯として拷問を

受けるオ・ヒョン役のキム・ヨンミンは8役もこなし、

借金取りだの、エロ社長だの、DV男だのを演じている

ことで、「誰にでもなれる」ということを示唆している

のかもしれません。
見終わって考えなおしてみても、やはり人間は哀れで

悲しい存在なのだとしか思えず、心が暗くなるだけの

映画でした。

 

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ミモザの島に消えた母

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

ミモザの島に消えた母

 

「ミモザの島に消えた母」

原題:Boomerang

監督:フランソワ・ファブラ

2015年 フランス映画 105分

キャスト:ローラン・ラフィット

     メラニー・ロラン

     オドレイ・ダナ

     ウラディミール・ヨルダノフ

 

アントワーヌは30年前溺死した母クラリスの死について

疑念を抱く。しかし妹アガットだけでなく、父、祖母など

周りの人間すべてが、その話を語らない。彼は自力で真相を

探り始めるが...。

 

<お勧め星>☆☆☆☆ 美しい自然美とその中で

繰り広げられる謎めいた人間模様が上手く対比して

います。

 

誰もが苦しみを隠していた

 

干潮の間だけ渡ることができる「ゴア通路」。

 

ミモザの島に消えた母

 

フランス西部の島ノアールムーティエ島の本土への通路で、

1971年に有料道路ができたものの、800mほどの距離を

結ぶこの通路は今なお利用されているとのこと。島がミモザの

名所で知られていることから、このような邦題になったの

でしょう。美しい海岸、青々とした木々が風に揺らめき、

明るい太陽光が降り注ぐ、そんな景色を見ていると画面に

吸い込まれそうになります。
原作は「サラの鍵」のタチアナード・ロネ。原作は読んで

いませんが、映画はとてもよくできたものでした。

 

ミモザの島に消えた母
 

冒頭アントワーヌ、アガット兄妹が島からの帰り道の車内で

口げんかをし、そのまま交通事故を起こします。アントワーヌ役は

「エル ELLE」(2016)のローラン・ラフィット。

アガット役は「イングロアス・バスターズ」(2009)、

「オーケストラ」(2009)などで美しいだけでなく芯の

強い女性を演じたメラニー・ロラン。
アントワーヌは30年前、ノアールムーティエ島の沖で溺死した

母クラリスが、彼に「ゴア通路の驚くべき歴史」という本を

遺していたことで、彼女の死に急に関心を持ち始めるのです。

しかしきっかけはそれだけではなく、彼自身が離婚の傷から

立ち直れす、セラピーに通っていることも理由の一つかも。

彼は「自分がなぜ元妻に愛されなくなったのか」その理由が

理解できなかったのかもしれません。それをたどっていくと、

自分が母の死に何かを知っていて、その記憶が封印されて

しまったことに、30年たった今気づいたのでしょう。
妹アガットは母を「クラリス」と呼び決して「ママ」とは

言いません。さらに父、祖母、かつての使用人さえ、母に

ついて多くを語らないのです。「蒸し返すな」と。

 

ミモザの島に消えた母
 

映画の序盤から感じるのですが、この兄妹は決して父と面と

向かって話しません。父は絶対的権威として彼らを守って

きたのです。しかしアントワーヌは、その姿がまるで実の娘

マルゴに対する自分の態度と全く同じであることに気づく

わけです。
これはもしかしたら裕福な家系である自分の家の「しきたり」

のようになっていたのではないか。

 

ミモザの島に消えた母
 

事故後収容された病院で、アントワーヌは遺体安置所で働く

アンジェルと知り合います。先に自分の生い立ちを話したのは

アンジェルで、アントワーヌはやはり話せないのです。

その心の葛藤と、真実を知りたいという強い願望にかられた時、

彼はどう行動するか。
この映画の中には悪い人間は誰も登場しません。誰もが大切な

ものを守るために「真実」を隠し続けてきたのです。ひとり

ひとりの心理状態を丁寧に描き、最後は各々が再生していくで

あろう姿を映すことで未来につながる内容になっています。
最近見た中では最も心に残る映画です。

 

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