1944 独ソ・エストニア戦線

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JUGEMテーマ:洋画

 

1944

 

「1944 独ソ・エストニア戦線」

原題:1944

監督:エルモ・ヌガネン

2015年 エストニア=フィンランド映画 99分

キャスト:クリスティアン・ウクスクラ

     カスパール・フェルベルク

     マイケン・シュミット

     ヘンリク・カルメット

 

第二次大戦末期、ドイツ親衛隊エストニア隊は、ソ連赤軍

の猛攻に遭っていた。そしてカールはソ連軍のエストニア人

ユーリによって射殺されてしまう。ユーリは、カールが持って

いた手紙を宛先の人物に届けるのだが...。

 

<お勧め星>☆☆☆☆ 地味な映画ですが、戦争の不条理さを

丁寧に描いています。

 

1939年独ソ不可侵条約が締結されていたのに、ナチスドイツは

1940年、ソ連に併合されていたエストニアを軍事占領します。

そして敗戦色の濃い1944年、ソ連赤軍がエストニアのドイツ軍に

攻撃をする。このエストニアはこの辺り。

 

1944

 

いわゆるバルト三国と呼ばれ、1991年にソ連から独立後、

EU、NATOにも加盟し、極めてIT関係に強い国になっています。

しかし第一次大戦時にはドイツ軍側として戦い、勲章をもらった

人々が、ソ連による併合後処刑されたり、第二次大戦では、

ナチス親衛隊軍、ソ連赤軍と、同じエストニア人でも分かれて戦った

経緯があったのです。

この映画の戦争シーンはCGは一切なく、本物の火薬を使って爆発

させたそうで、ドンパチ、ドッカーンに派手さはないものの、

リアルな恐怖を感じます。

 

1944

 

〇見どころ

ドイツ親衛隊エストニア隊と呼ばれながら、誰一人

「ハイル、ヒトラー」

と言いません。そこにはヒトラーのために戦う人間は誰も

いないのです。そして侵攻してくるソ連赤軍にとっては、彼らは

「敵」そのもので、互いを容赦なく攻撃するのです。何かいつも

手紙を書いているカールが主役かと思ったら、彼は赤軍のユーリに

よって射殺されます。このどちらもエストニア人なのです。

 

1944

 

1944

 

ユーリはカールの胸ポケットに入っていた例の手紙を宛先に

届けるとそこにいたのは美しいカールの姉。

 

1944

 

ユーリは彼女に心を惹かれるけれど、彼女から、カール以外の

家族はソ連赤軍’ヨギ’の指示で全員検挙されたことを聞くのです。

ユーリの名前は、ユーリ・ヨギ。彼は自らの罪の深さ実感し、

平時であったら彼女と普通に出会い、デートをしただろうと、

手紙を書くわけです。この姉をめぐる人々の決して重ならない

人生が、極めて短い時間に描かれていきます。エストニア人と

して生きたくても赤軍を裏切ることは、即強制収容所送りを意味し、

それは自分以外の家族の運命も左右するのは、「チャイルド44」

でも書かれていました。それが「ソ連の力」と口にする赤軍の大佐。

「戦争が人を殺した」というのは容易いけれど、罪なき人が罪を感じ、

罪深い人はそれを感じない、という姉の言葉は胸に刺さります。

映画内で前日にはドイツ親衛隊エストニア隊兵士に手料理をふるまった

農民夫婦が、翌日はソ連赤軍のエストニア人兵士に、何も気づかず

料理をふるまいます。そして、すべてを悟った時の表情が頭から

離れません。

 

●惜しいところ

特にありません。ここでの戦いを知らない人には是非見てほしいです。

 

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ブラックホーク・ダウン

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JUGEMテーマ:洋画

 

ブラックホークダウン

 

「ブラックホーク・ダウン」

原題:Black Hawk Down

監督:リドリー・スコット

2001年 アメリカ映画 145分 PG12

キャスト:ジョシュ・ハートネット

     ユアン・マクレガー

     トム・サイズモア

     サム・シェパード

     エリック・バナ

 

内戦下のソマリアへ介入した米軍は、1993年

10月3日、急襲作戦を決行する。30分で終わる

計画だったが、敵の思わぬ逆襲で、ブラックホークは

墜落、兵士は敵陣に取り残されてしまう。

 

<お勧め星>☆☆☆☆ 極めて臨場感の溢れる映像で

あり、これぞ「戦争」という姿を描いています。

 

映画のメインシーンは、1993年10月3日の急襲計画と

その作戦の展開を描いていくのですが、時間にすると

それほど長いものではないのに、数か月も続いたかのような

戦闘の連続です。そこに詰め込まれたストーリーは祖国で

無事を祈る家族へのセンチメンタルな感情とか、ソマリア人

への同情などは、ほとんど入っていません。戦地に行ったら、

そして1発でも銃弾が飛んで来たら、政治などどうでもよくなる、

と語った兵士が出てきたように、その場での兵士の生き残りへ

の戦いに次ぐ戦いが映されていくのです。

 

〇見どころ

序盤に説明らしきシーンで米軍内での指揮系統、デルタフォース

とレンジャー部隊のメンバーが映され、計画実行の時1人の隊員が

ヘリから落下してしまう。そこから始まる泥沼のような戦闘は、

瞬きをする暇もないほどのシーンの連続です。

 

ギャリソン少佐役のサム・シェパード。

 

ブラックホークダウン

 

エヴァーズマン二等軍曹役のジョシュ・ハートネット。

 

ブラックホークダウン

 

サンダートン一等軍曹役のウィリアム・フィクトナー。

 

ブラックホークダウン

 

銃を構える兵士の目、発射音、空の薬莢の転がる音が次々と

映り、まるで自分が戦場にいるかのように思えるほどです。

敵陣営の真ん中に取り残されたヘリから仲間を救うため、

もう一機ヘリが向かいますが、これも墜落。陸路は民兵によって

激しい攻撃を受け続け米軍兵士は負傷、死亡するものも続出。

その姿は目をそむけたくなるようなものも多いですが、これが

戦争なのです。

 

ブラックホークダウン

 

●惜しいところ

約24時間の戦闘で米兵は19人死亡。ソマリア人は1000人

以上死亡。この数を最後に字幕で流すけれど、その前にこの戦闘に

加わった兵士が祖国で賞賛されたことが知らされます。1人の

兵士の傷の手当シーンに、あれほどまでに時間を取った割に、

ソマリア人はバンバン殺されていきました。命の重さの描き方が

偏りすぎている気がします。

 

緊急事態の代替案がなかった米軍と戦闘に慣れている民兵間

では力の差は歴然であり、基地からのテンポのズレた指揮に

イラ立つ兵士の姿も、幾度なく描かれ、現場と机上での計画

との落差を感じることがしばしばでした。

「自ら英雄になろうとする兵士はいない」映画のラストに

1人の兵士が語ります。ここでの「英雄」アメリカ国内から

判断されたものであり、ソマリアでは存在しないはずです。

またアメリカがソマリアから撤退し、国連軍も去った後、

この国はどうなったか。暫定国家ができるまでに10年の歳月が

かかり、その前後も貧困と飢饉、周辺国家からの介入などで

海賊行為やテロ行為を繰り返す人々が続出しているのです。

その問題は別として、戦争映画としてはよくできた内容で、

甘っちょろいきれいごとだらけの作品とは一線を画していることは

確かです。

 

 

 

 

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野火 1959年版

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JUGEMテーマ:邦画

 

野火

 

「野火」

監督:市川 崑

原作:大岡昇平

音楽:芥川也寸志

1959年 日本映画 104分

キャスト:船越英二

     ミッキー・カーチス

     滝沢 修

     山茶花究

     佐野浅夫

 

太平洋戦争末期のフィリピン、レイテ島。田村一等兵は、

肺を患い、中隊からも病院からも追い出される。行き場を

失った田村は、ジャングルの中をひたすらさまよい始める

のだった。

 

<お勧め星>☆☆☆☆ 白黒映画ならではの迫力と、音楽

の効果で、戦争の悲惨さを伝えています。

 

2015年版塚本晋也監督「野火」を先に見ているので、

大体のストーリーはわかっているのですが、市川崑監督の

オリジナル版は、まだグアムやフィリピンの島に残留日本兵が

いる頃に製作されており、あのままサヴァイヴァル生活を送る

兵士がいたのだと知ると、戦争の残酷さを痛感します。

1945年2月、太平洋戦争末期のフィリピン、レイテ島で

田村一等兵は、肺を患い、村山隊を追い出され、向かった病院も

追い出され、病院に入れてもらえない兵士達の仲間として病院前

に陣取っているのです。

「入院を断られたら自決せよ」という上官の命令に棒読みの

返事をしたものの、田村はそれでも何とか生きて日本に戻りたい

と願っているわけで、それはここにいる捨て駒にされた兵士たち

皆が思っていたはずなのです。既に部隊の食料はなくなり、島の

住民が住む村を襲っては食料を確保する状況であり、戦闘など

するわけでもなく、ひたすら防空壕を掘る兵士の手にはヘルメット。

さらに彼らの表情のない姿が、強い絶望感を伝えるのです。

病院が空爆されたとき、田村はまだ生きている仲間を見殺しに

してしまう。さらに日本兵の遺体の山が転がる村で、現地の男女

を見つけ、騒ぐ女性を射殺してしまうのです。そこで入手できた

塩は、彼にとっての大きな食料となるわけですが、命と塩。

平和な時なら秤にかけられることもないようなものが、ここでは

同じように扱われてしまうことの恐ろしさを感じます。

 

野火

 

なぜか水筒に水を入れ、食料探しをする自分に驚く田村の心の

声も人間の本能を上手く描いています。そして病院前で一緒

だった安田と永松に再会します。なぜに安田が永松をこき使うか

と思っていたら、安田がかつて女中に子供を産ませ、その女中の

子供が永松というつながりがあると知って納得。父は安田では

ないだろうけれど、過去の上下関係を戦地でも活用しているのです。

永松役のミッキー・カーチスぐらいしか、現在生きていないんじゃ

ないかな。すごく個性のある演技をしています。

田村の伸びたヒゲ、伸びすぎて曲がってしまった爪、そして森の中

を容赦なく照り付ける太陽光、額や背中の汗が、この島の不衛生で

地獄のような暑さを物語ります。

 

野火

 

亡霊のように歩き続け、時折受ける銃撃で仲間が倒れようとも、

ただ前に進む姿は人間の心を無くしている人々を描くのには十分

すぎるほど。さらに落ちている靴を、自分のボロ靴と替え、次の兵士

はもっとボロい靴を、それと替え...。田村が来た時にはその靴は

底がなく、田村の靴と同じだったから、結局裸足で歩いていくという

シーンは滑稽ながら、悲惨さも物語るのです。

戦闘シーンはほとんど描かれなくても、銃撃の光や音、そして

その後に無数に転がる遺体を見れば、何が起きたか一目瞭然です。

終盤、また安田と永松と出会った田村は、永松が「猿」を獲っている

という話を聞かされます。田村は歯が悪く、硬くて食べられないと

答えますが、それが何であるかは、もちろん知っているし、それが

ラスト付近の口や軍服を、血で染めた永松の姿で、確信でき、

人間の狂気をこれ以上の映像はないだろうというもので映します。

白黒映画だからこそ、それを想像し恐怖を覚えるのです。

「普通の生活をしたい」と野火をたく島の農家の方へ向かっていく

田村を、容赦なく銃弾が襲いますが、それは、その島で彼らが犯した

罪への報復でもあり、胎児の様に丸まって横たわる田村を見ると、

ようやく彼に平穏な時が訪れたのだろうと実感するのです。

 

 

 

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ベルファスト71

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

ベルファスト71

 

「ベルファスト71」

原題:'71

監督:ヤン・ドマジュ

2014年 イギリス映画 99分 PG12

キャスト:ジャック・オコンネル

     ポール・アンダーソン

     リチャード・ドーマー

     ショーン・ハリス

     バリー・キーガン

 

1971年、紛争が激化している北アイルランド、

ベルファストに着任した新兵ゲイリーは、初出動の際、

混乱に巻き込まれて、敵の陣営に一人取り残されて

しまうのだった。

 

<お勧め星>☆☆☆☆ 派手な戦闘シーンはなく、静かな

ストーリーで戦争の不毛さを描いています。

 

<ネタバレしています>

 

1971年の北アイルランドといえば、

IRA(北アイルランド共和国軍)の爆弾事件ばかり思い

浮かべますが、この映画内では、英国軍、北アイルランドの

カトリック系、プロテスタント系住民、IRAなどが入り乱れ、

IRA内でも穏健派と過激派との対立が深まるなど、混乱を

極めていたことがわかります。「名もなき塀の王」(2013)

のジャック・オコンネルが、今回は新兵ゲイリー・フックを

演じています。映画が進むにつれて、彼の体や顔の傷がどんどん

増えていくのは「名もなき...」と同じ展開。もうボロボロに

なるんです。

 

ベルファスト71

 

ゲイリーは、弟ダレンを施設に預け、軍に入隊し、初めての

出動が北アイルランドの治安活動になります。

 

ベルファスト71

 

序盤のお気楽ムードは、紛争地帯における住民の反発で一挙に

消え、銃を盗んだ少年を追うゲイリーは、同じく新兵の

トンプソンと共に住民の袋叩きに遭うのです。そこは節度の

あるご婦人の一言で終了したかと思いきや、どこからともなく

現れた少年の一発でトンプソンは息絶えます。ここがまことに

恐ろしい。誰が武器を持っているのか、それを捜すために、

警察は住民を暴力的に詰問し、持っていない住民まで連行されて

いきます。これは「大量破壊兵器が隠してある」ということで、

市街地を空爆したイラク戦争の縮図のように思えるのです。

「これは殺人ではない。戦争だ」映画の終盤でゲイリーを撃つこと

に躊躇する少年に、リーダー格の男が言いますが、その同じ言葉を

英国軍の工作員も言っていました。いや、戦争であっても「殺人」

には変わりがないと誰も主張できないのが辛い。

 

ベルファスト71

 

ただ一人置き去りにされたゲイリーのサヴァイヴァルシーンは、

本来敵であるはずの人々の好意や、味方である相手による攻撃など、

何を信じていいのか、彼はその場で判断するしかありません。敵で

あるはずのIRA内に警察は内通者をもうけ、それを活用してIRAの

弱体化を図るものの、爆発事件を自作自演しようとして失敗。

その爆弾をゲイリーがたまたま見てしまったことで、表向きは彼の

救出作戦のはずが、実は彼を抹殺する作戦になっているとは、彼の

属する隊の中尉すら知らされないという軍の上層部の指示の恐ろしさ

をこの目でじっくり見ることができます。戦争において1人の兵士の

命など、何の価値もない、ただの駒の1つに過ぎない。さらに、

上意下達の軍の規律の恐怖も感じさせます。

出動前は、弟の施設の管理人に対し、極めて低姿勢だったゲイリーが

この事件後、威圧的で暴力的な態度をとる姿にも戦争の怖さを感じる

のです。アメリカ映画のような派手な銃撃や爆発シーンがあまりない

ことが、かえって話の内容を心に強く残すものになっています。

 

 

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カルバラ〜イラク戦争・奇跡の4日間

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JUGEMテーマ:洋画

カルバラ

「カルバラ〜イラク戦争・奇跡の4日間」
原題:Karbala
監督:クシシュトフ・ウカシェヴィッチ
2015年 ポーランド=ブルガリア映画 116分
キャスト:バルトーメェイ・トパ
アントニー・クロリコフスキ
フリスト・ショポフ

「イラクの自由作戦」に参加したポーランド軍の
カリツキ大尉の部隊は、重要拠点カルバラ市庁舎を
ブルガリア軍と防衛する任務を受ける。しかし、武装
したイラク人過激派によって、急襲を受け、完全に
包囲されてしまうのだった。

<お勧め星>☆☆☆☆ イラク戦争での知られざる真実
を見事に映像化しています。


2003年から「イラクの自由作戦」というアメリカ主導
の多国籍軍が、イラク軍壊滅のため戦闘を開始したことは
周知の事実ですが、そこにポーランド軍やブルガリア軍が
加わっていたことは全く知りませんでした。
東欧に位置するポーランドやブルガリアは、冷戦時代は
当時のソビエト連邦をリーダーとする東側の国であったのに、
冷戦終結後、民主化が進むと、かつての西側のリーダー、
アメリカの傘下に入らざるを得なかったのは、時代に翻弄
される国の事情を物語っています。

但し、このイラクへ派兵されたポーランド軍は、2500名
にも上ったものの、あくまでも「平和維持活動」を目的と
していたわけで、現地で戦闘を行うなどとは想定していなかった
と思われます。それは、冒頭の軍用機の中で軽口をたたき合う
ポーランド兵士の姿からもうかがえるのです。


カルバラ

しかし移動の途中で、過激派の攻撃に遭い、負傷した仲間を
連れ戻そうとしたガリサは銃撃を受け死亡。最初に連れ戻し
を命じられた新米衛生兵カミルは、救助拒否、命令不服従の
罪に問われることになります。カミルだって実弾がビュン
ビュン飛ぶ中を移動できるほどの訓練を受けていたとは、到底
思えません。お金になるから、イラクに来たのです。
そして重要拠点であるカルバラ市庁舎を過激派から防衛し、
捕虜を監視するために、カリツキ大尉の部隊は、ブルガリア軍
がいるその場所へ向かうのです。


カルバラ

ところが、この市庁舎の周囲を武装した過激派が取り囲み、
自動小銃、ロケット砲などで攻撃を開始します。


カルバラ

移動中に攻撃を受け仲間からはぐれたカミルは、現地の案内人
ファリドの手助けもあって、なんとか逃げ延びるのですが、
ファリドの家で、多国籍軍の化学兵器のために死亡した彼の
娘の遺体を見てしまう。
一方カルバラでの攻防は激しさを増し、頼みの綱のアメリカ軍の
援軍は来ない上、過激派は少年にロケット砲を持たせたり、女
子供を人間の盾として利用するという極めて卑劣な手法を取るの
です。ここで卑劣といったのは、この行為のみで、過激派が
捨て身の行動をとるのには、様々な要因が絡んでいます。しかし
そのロケット砲を向けた少年を撃ったポーランド兵士は自分を
責めるのですよ。人間の心を壊していくのが戦争だとしたら、
なぜこんな行為を始めるのか。

3日3晩、市庁舎を守り抜いたポーランドとブルガリア軍は、
ブルガリア兵1名の死者を出したのみで、大将からは賞賛され
ます。しかしアメリカ軍は、この戦闘はなかったことにする、と
言うわけです。つまり「安全な地域の安定を守る」ために出動
したのだから、「戦闘」など起こってはいけない。イラク市民が
自らの手で危機を乗り越えた、そんな「平和な国」をもたらした
アメリカ及び多国籍軍の功績は素晴らしい。そんな筋書きで発表
されたのでしょう。

ラストにお金のために参加したカミルは、軍法会議に向けて弁護
費用を気にかけ、兄弟で参戦したものの過激派の車にはねられ
両足を失った弟は、その姿で軍用機に乗り込みます。彼らにとって
この任務に意味はあったのでしょうか。
そしてそもそもこの戦争は必要だったのでしょうか。


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鬼が来た!

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鬼が来た

「鬼が来た!」
原題:鬼子来了
監督:チアン・ウェン
2000年 中国映画 139分
キャスト:チアン・ウェン
     香川照之
     チアン・ホンポー
     ユエン・ティン
     ツォン・チーチェン

1945年、日本軍占領下の中国北部の村に住むマーは、
ある夜、麻袋2つを押し付けられ、引き取りに来るまで
の5日の間に中の男を尋問するように命じられる。村人
たちは、彼らを尋問するが、引き取り手は一向に現れ
ないのだった。

<お勧め星>☆☆☆☆ 何とも重い内容の映画です。
「鬼」はいったい何をさすのか、見終わっても考え込む
ばかりでした。


映画は終始モノクロで進行し、ラストに地面を転がる生首
の視点から初めてカラー映像に変わります。それが意味する
ことは何なのでしょうか。
1945年、日本軍占領下の華北の村。毎朝軍艦マーチを演奏
しながら、日章旗を掲げて行進する日本海軍、野々村隊が
映し出されます。占領下のため、村人は蔑まれているけれど、
集まってくる子供たちに隊長は飴を与えるなど、どこかのどか
な雰囲気を醸し出しているのです。
しかしある夜、未亡人と情事を重ねていたマー・ターサンの家に
「私」がやって来て2つの麻袋を置いていきます。


鬼が来た

「30日に引き取りに来るまで尋問しておけ。日本軍に見つかれ
ば、村人全員殺す」
え〜!マーは村人や長老を集め、その袋を開けると中から出てきた
のは2人の男であり、1人は日本兵、花屋小三郎。(香川照之)
そしてもう1人は、中国人通訳のトン・ハンチェンなのです。帝国
軍人の教育を受けた花屋は、それは汚い言葉で村人を罵り、捕虜と
いう辱めをうけたことで「殺せ」と言うのですが、なんせ言葉が
通じません。通訳のトンは、限りなく真反対のことを話し、彼らは
極めて友好的だと思われてしまいます。この翻訳は、花屋が真剣に
怒るほど滑稽であり、映画もこの辺りはまだのんびりしています。
「できるだけ汚い言葉、下品な言葉で激怒させる」と息巻く花屋に
トンが教えた言葉は

「お兄さん、お姉さん、新年おめでとう」
なんで怒りながら日本人はこんな言葉を発するのか、なんて疑問に
思いつつ、村人は彼らの世話を続けます。
しかしいつになっても「私」は現れません。
日本人を救うこと→売国奴
この日本人を殺したことで村人全員が死ぬことを招く→売国奴
このジレンマに悩むわけですよ。
そして村人の決心で2人を殺すことになったのに、マーは彼らの
命を救って、のろし台に匿ってしまいます。それがバレるとマーは
殺し屋を雇うことにするのですが、それが「ひと太刀リウ」。でも
全く役に立たず、そうこうするうちに花屋は「生きたい」と思い
始めるわけです。自分だって実は、こんな農家の出身だった。生きて
日本の地を踏みたい。
するともう殺されないように言う言葉は言いつくしてしまっていると
いうこれまたコミカルなシーンが映ります。


鬼が来た

でも本当に怖いのは花屋が所属していた陸軍の隊長酒塚の登場から
です。花屋が提案した小麦粉を分ける話の前に、花屋はもうぼっこ
ぼっこにされます。当然なんですよ。捕虜になった男が偉そうに
上官に意見を言うなんて信じがたき行為なんですから。しかしなぜか
村人たちは褒美をたくさん持たされ、ついでに酒塚隊の軍人たちと
村で飲めや歌えやの大宴会を開催することになります。ここでとても
嫌な予感がたちこめます。そして酒塚になれなれしく近づいた村人の
手を花屋が切り落としたことから、楽しい宴は地獄絵図に変貌して

行くのです。モノクロの中、赤い火だけが立ち昇ります。そして
序盤に野々村隊長から飴をもらった少年は、その野々村隊長に刺殺
され、村全体が焼き討ちにされるのです。その中で冒頭の銃が映ります。
それは誰が持っていたのか、いやそれに意味はなく、銃を使うように
命令した何者かが存在したのかもしれません。
そして実はこの時、既に戦争は終結しており、それを知らせない酒塚の
あくまでも「軍人」であり続けたいという心も伝わります。
そして村は今度は連合軍支配下に置かれ、トンは中国人でありながら
国民党の指示で銃殺され、日本兵に復讐を図ったマーは、命を救った
花屋によって斬首されるのです。中国人でありながら、敵兵日本兵の命

を救ったあげく、そのせいで生活を全て無くし、助けた花屋の手で命
を奪われる。この皮肉なラストが戦後も続く中国国内の不条理さを意味
しているのかもしれません。



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ビースト・オブ・ノー・ネーション

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JUGEMテーマ:洋画

ビースト・オブ・ノー・ネーション

「ビースト・オブ・ノー・ネーション」
原題:Beasts of No Nation
監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
2015年 アメリカ映画 136分
キャスト:イドリス・エルバ
     エイブラハム・アッター

西アフリカのとある国で内戦が起き、戦況の
悪化に伴い、アグーは家族と引き裂かれてしまう。
森に逃げ込んだ彼は武装集団に入ることを強要され
次第に少年兵として戦い始めるのだった。

<お勧め星>☆☆☆☆ こんな現実が今まさに起きて
いると思うと、心が痛くなる内容です。


これまたNetflixにて配信されたものを鑑賞しました。
監督は「ジェーン・エア」(2011)の
キャリー・ジョージ・フクナガです。
アフリカの内戦地域で少年兵となる子供の姿は
「ジョニー・マッド・ドッグ」(2007)を始め
として、様々な媒体で見たことがあります。ただこの
映画のようにほぼドキュメンタリー映画のように描かれ
ているものは、初めて見たかもしれません。

西アフリカのある国。戦時下であるため、学校は閉鎖
されているものの、アグーは、中立地帯に住んでおり、
友人ディケたちと平和維持軍兵士相手に、小銭を稼いだり、
食物をもらったりしています。アメリカ製作なので、平和
維持軍がとても善良に描かれているのが少々気になります。
また内戦のきっかけが何であったのかは、おそらくは大国
の思惑に翻弄された国の指導者たちの争いであっただろうに、
そこは一切触れていません。

さて、アグーはそんな環境下でも家族そろって仲良く暮らして
おり、上の兄は、ただいま女子に夢中。元教師の父は難民の
ために部落を作り、全員で教会に通う信心深い生活を送って
いるのです。
しかし軍事クーデターが起き、この地区へ政府軍がやって来ます。
女性や子供は逃がしたものの、アグーは車に乗り切れず、父
兄、足の不自由な祖父と共にこの地に留まると、「反乱軍」と
決め付けられ、一気に銃撃を受けるのです。
「逃げろ」
という父の声に兄と逃げたものの兄も射殺され、アグーは一人
森の中へ逃げ込みます。この細い脚や小さな体で、この後
どうやって生きて行くのだろうと思ってしまう。


ビースト・オブ・ノー・ネーション

するとジャングルの中でNDFという武装集団に捕まります。
アグーを捕まえたのも少年だし、そこにいる武装した人物も
まだどう見ても十代。彼らは唯一大人である指揮官の元で
ひたすら戦闘にあけくれているのです。アグーに指揮官は
「父親を殺した連中に復讐したくないか?そのために戦うのだ」
と教え、怒鳴り、儀式やまじない、生贄をささげる姿を見せて
「自分たちは不死身だ」
と信じさせていきます。これはある意味洗脳なんだろうな。

指揮官にはもちろん指示を与える組織があるわけで、彼はその
指示に従って、次々に村を破壊していくのです。
アグーはキリスト教の教えに背くことを拒んでいたのに、まるで
テストのように、彼らが襲った車列の生き残り者に斧を振り下ろす
ように指示されます。この車列は橋の修理に来ただけであり、
戦争には一切関係がないのだけれど、この殺人から、アグーは
人を殺すことへの罪悪感が消えて行くのです。


ビースト・オブ・ノー・ネーション

集団は、銃で武装し、暴力やドラッグ、強姦などを繰り返しつつ
前進します。指揮官はアグーやストライカを慰み物にもして
いるのです。しかし彼らがここを抜けてどこに行けるのか。
また指揮官も自分の言う通りになる少年たちを率いることが
快感であり、目的などなくなっているのではないかと思うのです。
途中国連の車が通りますが、ただビデオ撮影していくだけです。
こうして人を殺すことに慣れて行くことは、人間を獣に変えて
行くのだと実感します。

冒頭にあんなに子供らしいイタズラ好きな少年だったアグーの
容貌が、終盤には感情を持たない殺人マシンのように変わって
います。その姿を自ら
「ぼくは老人なんだ」
と言う。考えるのを辞めた時、人は人間でなくなるのかもしれ
ません。それが最も恐ろしいことなのだけれど。




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プライベート・ライアン

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JUGEMテーマ:洋画

プライベートライアン

「プライベート・ライアン」
原題:Saving Private Ryan
監督:スティーヴン・スピルバーグ
1998年 アメリカ映画 170分
キャスト:トム・ハンクス
     トム・サイズモア
     バリー・ペッパー
     アダム・ゴールドウィング
     ヴィン・ディーゼル
     マット・デイモン

1944年、6月、ノルマンディー上陸に成功した
ミラー大尉に、落下傘部隊のライアン二等兵を捜す
任務が与えられる。彼は7人の部下を率いてドイツ
占領下のフランスへと入って行くが...。

<お勧め星>☆☆☆☆ リアルな戦闘シーンの連続に
戦争の虚しさを感じるばかりです。


冒頭20分のノルマンディー、オハマビーチでの上陸時
の戦闘は、上陸する前からのドイツ軍の猛攻によって、
次々に倒れていく米兵の姿がまことにリアルに描かれて
います。


プライベートライアン

銃撃、爆撃の連続の中、ひたすた上陸を目指すミラー大尉役は
トム・ハンクス。やがてドイツ軍の迎撃隊が全滅すると辺りは
静けさを取り戻すのですが、そこにはおびただしい遺体が転がり、
打ち寄せる波は彼らの血で真っ赤に染まっているのです。この
動と静の使い分けがまことに素晴らしいです。しかし直視に
耐えかねるシーンも多く、ミラー大尉が無線で指示を仰がせて
いた部下の兵士が、一瞬目をそらし、次にミラーが彼をせかした
時には、既に顔が無くなっているという酷い姿もいくつも見られ
ます。戦争というものの悲惨さをこれでもかというほどに映して
いくのです。


プライベートライアン

そしてこの死闘を戦い抜いたミラー大尉は、中隊長となり、7名の
部下を連れて、ライアン二等兵の救出という任務にあたることに
なります。なぜライアンを救出するのか。それは国防省のトップが
たまたま4人兄弟で入隊し、3人の兄の死亡通知が同時になった
ことを知って、全員死んでもらうわけにはいかない、ということで
急遽思いついたというもの。まさに戦地で戦う者とただ指令を出す
者との温度差を感じる瞬間です。
しかしミラー達は、絶対服従の命令に従い、ドイツ占領下のフランス
へと入って行くわけです。8人は、ミラー、ホーヴァス、メリッシュ、
ジャクソン、カーパゾ、ウェイド、ライベン、そしてフランス語と
ドイツ語ができるというだけの新兵アパム。それぞれの個性が短い
時間にとてもわかりやすく描かれています。

ミラーは「部下が一人死ぬと十人いや二十人の人を救ったと考えて
いる」と言います。映画内で8人のうちの誰かが「こんなバカな戦争」
と言ったように、こんなバカな戦争で、さっきまでそばにいた部下が
次々と命を落としていくことに耐えるためには、こう考えるしか
なかったのでしょう。彼の右手が時折震えるのは、その過酷な状況
からなのだと察します。
そして一人、また一人と、生死も不明、いる場所も不明のライアンの
ために部下が命を失っていきます。途中、捕虜となったドイツ兵を
その場で射殺しようとしたミラーに対し、アパムは「法律違反だ」
と言う。戦場で法律に乗っ取って行動する兵士がどれほどいること
でしょうか。そもそも戦争自体が法律違反なのではないしょうか。

しかし自分の墓穴を掘らせたドイツ兵を、彼は解放します。これが
終盤に再びドイツ兵として登場するから、人間って醜いと実感する
のです。命乞いをし、ナチスドイツを罵り、最終的には米国歌まで
歌っていたのに。


プライベートライアン

そして遂にライアン二等兵を見つけ出すことに成功します。しかし
彼の部隊は、「橋を死守せよ」という任務を遂行しなければならない
のです。「橋を死守し、彼を本国に連れ帰る」という極めて困難な
任務をミラーは「やるしかない」と認めます。ライアン役はまだ
若々しいマット・デイモン。彼が亡き兄3人との思い出をミラーに
話すシーンは、BGMにエディット・ピアフの歌が流れ、しばしの
静けさを感じます。これは次なる激闘への予兆に過ぎないのです。


プライベートライアン

そして連合軍の空からの救援部隊が到着するまでの、乏しい重火器を
用いての戦闘は、冒頭のものほどではありませんが、熾烈極まるもの
になっています。銃を撃てなかったアパムがラスト付近に一発発射
した相手は、米国歌を歌った例の捕虜でした。彼はドイツ兵として
彼らに歯向かいメリッシュを刺殺したのです。銃弾を首からぶら下げ
たまま、彼らの元へ行けなかったアパムは、また捕虜として両手を
あげ、にこにこ笑う男を許せなかった。自分が逃がすよう進言した
相手が、仲間を殺し、自分がこの銃弾さえ持って行っていれば、仲間
は死ななかった。実戦で始めて放った銃弾がこれとは、その後の彼の
心に大きな傷を残したはずです。

それは「ジェームズしっかり生きろ」と、死ぬ間際のミラーに言われた
ライアンも同じことだったと思います。
始まりと終わりは、数多くの兵士が眠る墓に家族とたたずむ老人が
映ります。これがその後のライアンであり、家族を持ち、にぎやかに
暮らしているのだということがせめてもの救いなのでしょう。






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硫黄島からの手紙

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硫黄島からの手紙

「硫黄島からの手紙」
原題:Letters From Iwo Jima
監督:クリント・イーストウッド
2006年 アメリカ映画 141分
キャスト:渡辺 謙
     二宮和也
     加瀬 亮
     伊原剛志
     中村獅童

1944年、栗林中将は硫黄島へ指揮官としてやって
くる。しかし戦局は悪化しており、本土からの援軍が
送られないまま、日本軍はアメリカ軍の猛攻にさらされ
るのであった。

<お勧め星>☆☆☆☆ 「アメリカン・スナイパー」とは
全く異なる局面から、戦争に対する高揚感への注意を喚起
しているように思えました。


2005年、硫黄島で旧日本軍の基地を掘るシーンから
始まります。基地といっても洞窟ですが、そこから何が
出てくるのかは、映画のラストへとつながるのです。
1944年、硫黄島の砂浜にひたすら穴を掘る日本軍兵士
の姿が映ります。彼らは日本に家族を残し、召集されてきた
身の上で、その中の西郷役は二宮和也です。


硫黄島からの手紙

演技を買われてこの映画に出演したそうですが、童顔なので
とても身重の妻がいるようには見えません。映画的にはかなり
レベルが下がりますが、「永遠の0」(2013)の岡田准一
同様に、ジャニーズのイメージは戦争とは真反対に位置している
ように思えます。
さてこの西郷達が駐留する硫黄島に、陸軍中将、栗林が指揮官
としてやって来ます。栗林はかつてアメリカと友好関係にあった
頃、アメリカ軍の幹部と仲良く食事をし、ピストルまでプレゼント
されている。また、馬術でロサンゼルス五輪に出場した西中佐も
アメリカ生活を経験しており、ここでの兵士への無謀な労働や
暴力を否定するのです。もちろん本土から来た海軍の上層部とは
意見が食い違い、対立し続けたまま、戦況は悪化の一途をたどり

ます。しかしここで、アメリカ軍は正しい行為ばかり行っていた
のかと思うと、時間や場面を変えて、双方が全く同じことをして
いると描くのです。
捕虜として捕まえたアメリカ兵を日本兵が銃剣でめった刺しに
する一方で、負傷したアメリカ兵の手当てを指示する西中佐。
手当の甲斐なく亡くなった彼の懐からは、母からの手紙が出てきて
それを読むと、日本兵が親から言われたこととほぼ同じことが
書かれていると知るのです。

「鬼畜米英」
と教えられてきたけれど、兵士のほとんどがアメリカ人を知らないし、
アメリカのこともほぼ知らないのです。知らない相手を攻撃する
ことに何の意味があるのでしょうか。また、知らないからこそ、相手
に恐怖を抱くのではないでしょうか。こんなことを今さら言っても
遅いのですが。
逆にアメリカ兵も、終盤白旗を持って投降した日本兵を、ただ見張りが
面倒だということで、いとも簡単に射殺してしまいます。射殺された
1人は、憲兵隊をクビになりこの島へ送られた来た加瀬亮演じる清水
です。彼が憲兵隊をクビになった理由も、実は彼が優しすぎたから
なのです。

戦局が悪化の一途をたどり、本土からの援軍は来ず、島はどんどん
アメリカ軍に占領されていくと、武士の本懐、潔い死に様、靖国で会おう
などと言って、次々に手りゅう弾を爆発させていく日本兵たち。
島の北部にいる栗林中将は、総攻撃のため、皆を呼び寄せたはずが、
彼と意見を異にする伊藤中尉の命令で、既に陥落した場所で自決を命じ
られたのです。


硫黄島からの手紙

中村獅童演じる伊藤中尉のような軍人がほとんどであり、映画内では
彼がとても悪者のように感じられますが、その時代、皆、軍国教育を
受けており、それがごく普通のことに思えていたことが恐ろしいですね。
メディアや政府の取り上げ方で、民衆の考えはどんどんある方向に
向かってしまう。そんなことが起きないように肝に銘じておかないと
いけません。

実は硫黄島は、わずかな期間に陥落するとアメリカ軍は考えていたの
ですが、栗林中将、西中佐の活躍により、予想をはるかに超える長期間
持ちこたえていたことは、映画では特に描かれていません。そうする
ことで、好戦的なイメージを払しょくし、戦勝国出身の監督が作った
とは思えない、極めて公平な内容になっていると思います。

わずかな軍備でアメリカ軍と対峙し、本土の国民のために1日も長く
ここで戦おうとした栗林中将の思いは強く伝わりました。でも全ての
指示を出していた大本営の軍人の多くは、無傷で終戦を迎えたんだよね。
そして東京裁判で裁かれたわけですが、今それを検証し直そうなんて
言いだす政治家もいるのです。名も知られないまま散っていった兵士に
失礼極まりないと思います。


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フューリー

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フューリー

「フューリー」
原題:Fury
監督:デビッド・エアー
2014年 アメリカ映画 135分
キャスト:ブラッド・ピット
     シャイア・ラブーフ
     ローガン・ラーマン
     マイケル・ペーニャ
     ジョン・バーンサル

第二次世界大戦末期、ナチスドイツは総力戦で連合国軍
と死闘を繰り広げていた。米軍のコリアー軍曹の乗る
戦車フューリー号はいまだ負け知らずで戦い続けていたが
1人の仲間を失い、未経験のノーマンという新兵が加わる。

<お勧め星>☆☆☆☆ これが戦争なのだと実感させる
映像が次々に繰り出されます。悲惨です。


第二次世界大戦中、米国戦車はドイツ軍のそれよりも劣って
いた。というクレジットから始まり、映画の序盤から「戦争」
とはこういうものだ、これが「兵士」の務めなのだ、という
アピールを強く感じます。映画内で幾度となく映る戦闘シーン
は迫力があり、戦車の破壊力や砲撃のすさまじさは、その後
に倒れる兵士の山で思わずビクっとなるほどの脅威を覚えます。
1945年4月、ナチスドイツと連合国軍の戦闘は遂に総力戦
となり、ナチスドイツは民間人、老人、女性、子供までも
戦争に巻き込んでいました。そんな中第三小隊のフューリー号
は、ドン・コリアー軍曹の元、一名を亡くし、新兵ノーマン
がその戦車に乗り込むことになるのです。


フューリー

シャイア・ラブーフ演じる通称バイブル、マイケル・ペーニャ
演じる通称ゴルド、ジョン・バーサル演じる通称クーンアスの
中にあって、元タイピストというノーマン・エリソン役は
「ウォールフラワー」(2012)のローガン・ラーマンです。
およそ戦争映画には似つかわしくない雰囲気。彼は直後の戦いで
ドイツ兵に発砲できず、味方を1名失わせてしまうのです。
「相手は子供だった」


フューリー

「ドイツ兵を見たら殺せ。それが兵士の務めだ」
コリアーは言います。
「無理」
と涙を流すノーマンが、幾つもの戦闘を経て終盤には
「クソナチ!」
と言って弾丸の雨を降らします。短い期間での彼の心の変化
の様子がとてもうまく描かれています。
制圧した村で、味方の兵士はドイツ人女性を弄びます。そこで
ノーマンは1人の女性エマとつかの間の愛を育むのですが、
その直後ドイツ軍の空襲で町は破壊され、彼女は無残な死を
遂げるのです。味方が味方を殺す、という戦争末期の惨状には
思わず目をそむけたくなります。それでも軍の命令によって

戦車は次の地区へ進むのです。地面に横たわるドイツ兵の遺体
には何の関心も持たず、戦車はいとも簡単に踏みつぶしていく
のです。これが「戦争」「戦場」の現実なのですね。


フューリー

したがって敢えて言葉で表現しなくても、こららの映像だけ
見せていれば、映画のテーマをうまく見る側に伝えられたかも
しれません。そして強烈な反戦映画として心にその記憶を
刻めたかもしれません。そこがやや惜しかったと思います。


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