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- 2023.01.12 Thursday
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JUGEMテーマ:韓国映画全般
出典:IMDb
「EXIT」
原題:EXIT
監督:イ・サングン
2019年 韓国映画 104分
キャスト:チョ・ジョンソク
ユナ
コ・ドゥシム
パク・イナン
キム・ジヨン
韓国の都心の一角から有毒ガスが蔓延し始める。
次々と人が倒れていく中で、あるビルの一室で母親の
古希祝いパーティーに参加していたヨンナムは、大学
の後輩でそこの副店長をしているウィジュが気になって
仕方がない。しかし有毒ガスはそのビルにも迫ってくる
のだった...。
<お勧め星>☆☆☆☆ スリルと笑いと人情が混ぜ
合わさった楽しい映画です。
ハニーって呼ぶな!
韓国映画はホラー、サスペンス、恋愛、戦争、人間ドラマ
などあらゆるジャンルにおいて、脚本が秀逸だし、俳優の
演技も素晴らしいし、なによりテンポがいいです。「泣き」
のシーンがやけに長い邦画とは全然違うのです。もちろん
邦画の中にも素晴らしい作品もありますが、アイドルや
人気俳優を主役にする映画はなかなか心惹かれるものと
出会いません。
さてこの「EXIT」はとにかくテンポがいいです。
公園の鉄棒で真剣に筋トレするヨンナムに対し、それを
見ているのは老婆たち3人と唐辛子を干す中年女性で、
ようやく通りかかった甥ジホは、友達に彼が「叔父」である
ことを知られたくない様子。
ヨンナムは大学時代クライミング部に入っており、ウィジュ
という美人の後輩に心を寄せていたものの、当然のごとく
フラれ、あーんあーんとバス停で泣いた過去を持つらしい。
さらには就職が一向に決まらず、結婚して家を出ている姉に
がみがみ言われ続けているのです。しかし家族の仲が悪いか
というとその真逆で、映画の中でピンチになると、みんな
家族を心配し、そのために自分の身を投げ出す覚悟もできて
います。ずるい人だらけの財閥一家とは違うのです。
(韓国ドラマでよくある設定)
そして母親ヒョノクの古希祝いのため、てんやわんやの支度の
後で、すっかり時間に遅れて会場へ向かいます。なぜ家から
車で1時間半もかかる会場を選んだのかは、そこにウィジュが
働いているからで、ヨンナムの未練がましい性格もわかって
しまう。でも憎めない。
宴席はエンドレスに続くのに、その間に外では有毒ガスが蔓延
し始め、人々がバタバタ倒れ、車の事故が連発しているのです。
カラオケ歌っている場合じゃない。
出典:IMDb
ようやく外の変化に気づいた一家は逃げ出すことができず、
(あのうるさい姉さんはガスを浴びて怪我をしている。
それを救ったのはヨンナム!)屋上へ行こうと提案する
ヨンナムに耳を貸さず、それでいてネット情報に従って屋上
へと向かいます。(ヨンナムの信用ゼロ)
出典:IMDb
ここで大体ズルい奴が登場します。はいはい、ウィジュに
言い寄っていた店長で、屋上への鍵を取りに行かせようと
したり、ようやく到着した救助ヘリにしれ〜っと乗り込みます。
「定員オーバー」だから誰か降りなくちゃいけないんです。
そもそも屋上の鍵を取りに行けなくて、隣のビルに乗り移って
屋上の外から鍵を開けたのは、何を隠そうヨンナムですよ。
ただスリルだけなく、ヘリに気づいてもらうために、屋上に
上がった全員がSOSのライトのリズムを取り、カラオケマイクを
使って「タタタタターター」と信号を送るのは、必死であるが
ゆえに、逆に笑いを誘います。その匙加減がいい塩梅です。
出典:IMDb
2人残されてしまったので、これから高い場所へと乗り移って
いくアクションが始まります。ここは危機管理能力に優れた?
ヨンナムの知恵の見せどころで、完全防備して一旦下に降り、
違うビルに上っていくのです。毎日鉄棒で鍛えているからか、
ヨンナムの足はものすごく早いし、ウィジュも同じくらい
早いのです。確かクライミング部では彼女の方が上手かったはず。
一方救助された家族たちは、ヨンナムのことをただただ心配
します。
屋上を走る続ける2人と病院でわめき、嘆き、何かしようと
考えている家族が交互に映り、この先どう展開するのかと
思っていると「ドローン」が登場するのです。
もちろん最初から彼らを撮影するために飛ばしたのではなく、
このガスの様子を映そうとした男たちが違法に飛ばしているの
ですが、そこに2人が映ります。
おお、ようやくヘリに来てもらえる...いや向かいのビルの塾の
一室に子供たちが閉じ込められているじゃないか。この時
ヨンナムとウィジュは同じ行動をとるのです。このシーンは
二人の息がぴったり合っていて笑えるような泣けるような、
そんな気持ちにさせられます。
しかしガスはどんどん上に上がって来るし、ガソリンスタンドで
引火し、大爆発が起きたことで、そのガスが一気にヨンナム
たちの方に向かってくるのです。もう大ピンチ!!
とにかく登れ!跳べ!走れ!(ジャケットにもそんなこと
書いてある)パルクールのように華麗ではなく、あくまでも
素人のアクションですが手に汗を握るのです。
「ドローン」もこういう風に活用したら、危険を察知できるし、
結構役に立つなあと思ってしまいました。
「ドローン・オブ・ウォー」(2014)を見て、また今
アフガニスタンで使われている無人攻撃機を見て、遠く離れた
場所で指1本で爆撃ボタンを押せることに絶望してしまいますが、
この映画のドローンは素晴らしい使い方をされます。
最後にウィジュが店長をグーパンチするところも気に入って
います。
なにが「ハニー」だよ。
マジキモイぜ。
ヨンナムの方が100倍いい奴じゃん。
JUGEMテーマ:韓国映画全般
「新感染 ファイナル・エクスプレス」
原題:Train to Busan
監督:ヨン・サンホ
2016年 韓国映画 118分
キャスト:コン・ユ
キム・スアン
チョン・ユミ
マ・ドンソク
チェ・ウシク
別居中の妻の元へ娘スアンを送り届けるため、
ソグは高速鉄道に乗り込む。しかし列車内で奇妙な
姿の女性が介抱をする乗務員を襲い、そして襲われた
乗務員が他の乗客を襲って感染が広がっていく。
ソグはスアンや他の生存者と共に後方の車両に避難
するが...。
<お勧め星>☆☆☆☆ とても丁寧に作られた感染物で、
最後までスリルにあふれ、人間ドラマに感動します。
アロハオエを歌おう
感染物つまりゾンビ映画は、韓国ではほぼお初という
ことで、監督はアニメ映画出身のヨン・サンホ。
アニメ映画では感染物が人気のジャンルだそうで、
遂に実写化されたのかという感じです。
新感染→高速鉄道内での感染パニック...なんとなく
微妙な邦題。
走る列車内でのパニック映画で、はっと思い出したのが、
ポン・ジュノ監督の「スノーピアサー」(2013)
なのですが、あれは近未来の地球でずっと走り続ける
列車の中に暮らす人々の階層社会内の反乱だったと
思い出し、ああ勘違いです。
この映画の良い点は、それぞれのキャラクターが
はっきりしていて、名前を覚えなくても顔だけでどういう
人物かわかるというところ。
ソグ役のコン・ユは今回はファンドマネージャーに就いており、
儲けのためなら他人や家庭を顧みない極めて自己中心的な男
なのです。「トガニ 幼き瞳の告発」(2011)では
あんなに心の優しい教師を演じたのに、こうも違う役を
できるものかと感心します。
それは身重の妻を持つサンファを演じるマ・ドンソクも同じ
ことで、闇金の親分やら汚職警官やら今回のような根は
優しいのにすぐに手が出るような男性もバッチリ。
韓国映画の素晴らしいところは、脇役もしっかり演技ができる
ことと、子役も上手なことですね。スアンを演じる少女も、
笑うととても可愛いく、それが肝心なところで笑うのみ
なのでとてもいいポイントになっています。
さて序盤に列車内の異変に気付いたソグは、席を譲ったり
する心優しいスアンに「自分が大事」などと言い聞かせます。
おそらく仕事で上を目指す者は、この考えでないと生き抜いて
いけないのでしょう。他に身重の妻ソンギョンをいたわる
サンファ、野球チームのメンバー、ヨングクと応援団長ジニ、
バス会社の社長という横柄な男、初老の姉妹、ホームレス風の
男(この人が感染者かと思った)などが、大田駅で止まった
列車から避難しようとすると、待っているはずの軍人も感染
していて、逃げる逃げる。この感染者たちは大変足が速く、
目が白く変わるのが感染の証拠なのです。列車に戻る際の
混乱やトイレに隠れるシーン、列車内を感染者を倒しながら
移動する姿などどれをとってもスリル満点。それでいてよく
あるグロテスクな映像はほとんどないので安心して見られます。
そして絶対に必要な悪い奴はバス会社の社長であり、
パニックに陥ったとき、人間の本性はこうなるのかと
絶望感も味わってしまう。感染したくないから、その可能性が
ある者は排除したい、この論理は理解できるんだけど、「人間」
の持つ良心に鑑みた時どうなんだろう。自分が右に倣えとなる
人物にならないと断言できるだろうか。
日本でも2009年の新型インフルエンザ流行の時に感染源と
疑われた学校の生徒や鶏舎の持ち主はどういう風に扱われたか。
胸に手を当ててよく思い出してほしい。
一方でこの映画ではホームレスらしき男性が終盤に女性と
子供の命を救うのです。彼女たちをないがしろにしたのは
地位も名誉もあるだろう人物。格差社会の中で「善意」を
持つ人物は、その地位とは関係ないとも実感します。
感染パニックと人間ドラマ、そしてそれに高速で走る列車を
加えたスリルと感動にあふれる映画でした。
ただ1点、噛まれてから感染する時間が人によって異なるのが
気になりました。そこは本題ではないのでよしとしよう。