モカ色の車

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

モカ色の車

 

「モカ色の車」

原題:Moka

監督:フレデリック・メルムード

2016年 スイス映画 89分 PG12

キャスト:ナタリー・バイ

     エマニュエル・ドゥヴォス

 

息子をひき逃げ事故で失ったディアンヌは、

家庭も崩壊し、ただ事故を起こした運転手捜しに

執念を燃やしている。そして彼女が雇った探偵が、

運転手は金髪の女性でモカ色の車を運転していたと

いう目撃情報をもたらす...。

 

<お勧め星>☆☆☆☆ 美しいピアノの調べに乗って

終始緊張感のある映像が続きます。

 

 

ネタバレしています。

 

 

主人公ディアンヌの運転する車はマツダC-X3、彼女が

追うことになるモカ色の車は

1972年製のメルセデスベンツ450SLです。

この落差はすごい。もちろん年式ね。

とても謎めいた始まり方で、彼女の名前がディアンヌと

わかるのは映画が結構進んでから。さらに息子をひき逃げ

したと彼女が確信し、自ら接近する女性の名前は最後まで

わかりません。

 

〇見どころ 

ディアンヌ役は「風にそよぐ草」(2009)の

エマニュエル・ドゥヴォス。そして彼女がひき逃げした車の

運転手と確信する女性役は「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」

(2002)のナタリー・バイと味わい深い女優の競演です。

 

モカ色の車

 

モカ色の車

 

ディアンヌが何を捜しているのか、そして何をしようとして

いるのか、少しずつ描かれていくと、そこにはローザンヌの

音楽学校に通っていた一人息子リュックをひき逃げ事故で

亡くしたことがわかってきます。おそらくは悲しみで夫婦関係も

悪化し、離婚。犯人も捕まらず、彼女は探偵を雇って独自の

捜査をするほど追い詰められた精神状況だったのでしょう。

平静を装いつつ、元夫からの電話には出ず、息子のスマホを

愛おしそうに触り続ける姿がそれを克明に表すのです。

 

モカ色の車

 

そして対象の車の持ち主夫婦に、別々に接触していくディアンヌの

様子が交互に描かれ、そこには車の持ち主夫妻の夫婦の状況、

一人娘がいること、それが妻の連れ子であり、親子関係も複雑な

ことなどが次々にわかって来ます。さらにフェリーで知り合った

ヴァンサンなんてチンピラからすごいものを入手すると、彼女の

怒りがいつ爆発するのか、もうドキドキしてしまう。

静かな映像が続くだけに、このスリルはパンチが効いています。

 

●惜しいところ

6か月以上もひき逃げ犯が見つからないなんてフランスの警察は

職務怠慢だなと思ってしまう。それとディアンヌが、犯人と

決めつけた女性もその娘も金髪なのに、なぜにそれに気づけない

んだろう。

 

サスペンス映画と思っていましたが、見終わると

「自分の気持ちを整理し、相手への赦しを受け入れる過程」を

描いた内容だと感じます。ラストに、息子のGFだった少女の

スマホに保存してあった息子の奏でるバイオリンの音色が、

美しくそして悲しいもので、それを少女と一緒に聴くディアンヌ

の姿には胸が痛くなりました。

 

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トゥルー・ストーリー

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トゥルー・ストーリー

 

「トゥルー・ストーリー」

原題:True Story

監督:ルパート・グールド

2015年 アメリカ映画 99分

キャスト:ジョナ・ヒル

     ジェームズ・フランコ

     フェリシティ・ジョーンズ

     イーサン・サプリー

 

記事をねつ造したことでNYタイムズ紙を解雇された

記者マイケルは、オレゴン州の妻子殺害容疑者ロンコ

が逃亡先で自分の名前を語っていたと知る。ロンコと

面会するチャンスを与えられたマイケルは、事件の

真相を彼の口から聞き出そうとするが...。

 

<お勧め星>☆☆☆☆ 実際の事件に基づいているだけ

あって、なかなか奥の深い内容になっています。

 

いつもコミカルな役を演じているジョナ・ヒルが冒頭から、

額に汗をかきながら取材をするNYタイムズ紙の敏腕記者で

あることを映し出します。

 

トゥルー・ストーリー

 

その妻ジル役は、「博士と彼女のセオリー」(2014)

のフェリシティ・ジョーンズです。きれい過ぎる。

 

〇見どころ

ねつ造記事で職を追われ、一発逆転を狙って妻子殺人事件の

容疑者ロンコと面会を重ねるシーンは、終始マイケルのペース

のように思えつつ、法廷では全く異なる証言をするロンコに

振り回される続ける姿を描いています。

 

トゥルー・ストーリー

 

ここで興味深いのはマイケルがロンコと信頼関係を築くことで

「真実」を自分だけに語るという確信を持ってしまうところ。

その確信によって彼は再び記者として一線で働けるという願望を

持ってしまったところです。その願望は「真相」からマイケルを

限りなく遠ざけてしまい、妻ジルの方がそこにいち早く気づきます。

ロンコの無実を証明することで、マイケル自身の復活も成功する

という、自分をロンコに投影するという極めて危うい状況に

陥るのもテンポよく描かれます。

「でっち上げの記事を書いた記者は証人にはならない」

「証拠などいくらでもあったじゃないか」

裁判関係者の言葉がそれこそ真実なのです。

 

●惜しいところ

面会シーンが多く、内容がかなり平坦であり、終盤の法廷シーン

でのロンコが、マイケルが教えた「二重否定」の論法を全く同じ

形で証言に使うまで驚くような展開はありません。

 

 

 

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アンダーカバー

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アンダーカバー

 

「アンダーカバー」

原題:Imperiun

監督:ダニエル・ラグシス

2016年 アメリカ映画 109分

キャスト:ダニエル・ラドクリフ

     トニ・コレット

     トレーシー・レッツ

     デビン・ドルイド

 

アメリカ国内にセシウム缶が違法に持ち込まれ、

ネオナチ団体によるテロ計画に使用されると

疑ったFBI捜査官アンジェラは、部下のネイトに

潜入捜査を命じる。彼はラジオ放送で決起を呼び

かけるウルフに近づこうとするが...。

 

<お勧め星>☆☆☆☆ 実話ベースなのに先が

読めない面白さがあります。恐怖も募ります。

 

ネタバレしています。

 

主役のFBI捜査官ネイト・フォスター役は「ハリーポッター」

シリーズのダニエル・ラドクリフ。成長してからは内向的、

孤独、異常性格というような役柄が多いですが、この映画でも

インテリで頭がキレるが、同僚からはのけ者にされている

頭でっかち男という感じ。

 

アンダーカバー

 

彼に潜入捜査を命じる国内テロ課のアンジェラ役は

「マイ・ベスト・フレンド」(2015)のトニ・コレット。

 

アンダーカバー

 

〇見どころ

アメリカ国内における人種差別団体はいくつかあり、有名なKKK、

ネオナチ、アーリア人同盟などの様々な男たちとネイトは接触し、

その都度スリルある会話やシーンが映し出されます。

 

アンダーカバー

 

ダラス・ウルフという白人至上主義を唱えるラジオ放送を流す

男を本丸と考えたアンジェラの見立てが異なった時のネイトの

苦悩と葛藤もとても上手く描かれているのです。

 

●惜しいところ

ネイトは白人至上主義団体のデモに参加するなど、素顔を堂々と

さらしていますが、ラストに彼が潜入であることを、他のメンバー

の前でバラしてしまう。

 

アンダーカバー

 

彼はその後のことを考えなかったのだろうか。過激な

メンバーも存在する集団からのターゲットになるに決まって

いるのに。それととてもいい話でラストを締めくくった

ところも惜しいなあ。

 

被害者意識がファシズムを生む。今の不幸を何かのせいに

することで、打開する道が開かれると単純に説く指導者に

すがることの危険を強く訴えています。

 

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ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソティ)

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ホワイト・ゴッド

 

「ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲(ラプソティ)」

原題:Feher Isten監督:コーネル・ムンドルッツォ

2014年 ハンガリー=ドイツ映画 119分 PG12

キャスト:ジョーフィア・プショッタ

     シャーンドル・ジョーテール

     ラースロー・ガールフィ

     リリ・ホルバート

 

雑種犬には税が課せられる町に住むリリは、父によって

愛犬ハーゲンを捨てられてしまう。ハーゲンは過酷な

状況を経て保護施設に収容されるが、処分の直前、

他の犬と共に施設を脱走し人間を襲い始める...。

 

<お勧め星>☆☆☆☆ 最近見た映画では最も心に

残る内容です。そして余韻の残るラストでした。

 

 

ネタバレしています。

 

 

 

〇見どころ

 

ホワイト・ゴッド

 

主人公リリが恵まれない家庭環境の中で、唯一心を許せる

のが雑種犬ハーゲン。そのハーゲンが人に慣れていて大人し

かったのに、野良犬となり、売り飛ばされ、闘犬として訓練

されるうちに、本能に目覚めていく姿が1つ1つの表情に

現れていて、まさに犬が主役の感じです。

 

ホワイト・ゴッド

 

終盤、保護施設を脱走し、ハーゲンを虐げた人間に復讐して

いくシーンは、もうホラー映画のような怖さです。

 

ホワイト・ゴッド

 

そのハーゲンがリリと対峙した時、このような顔で唸るのですが、

リリが吹くトランペットの音色で、失われた過去の記憶を取り戻す

シーンは美しい音とともに心に残るものになっています。

 

●惜しいところ

かなり残酷なシーンがあるので、見るときは要注意。

 

本作に登場する犬200〜225頭の犬たちはすべて保護施設

から来たもので、50名のトレーナーが4か月をかけて訓練し、

犬のペースで撮影したとのこと。そして撮影終了後は、すべて

里親が見つかりもらわれていったそうです。

ちなみにハーゲンを演じる犬はルークとボディという兄弟犬で

2頭1役を演じています。これはすぐに気づくと思う。

とにかく犬目線の映画であり、ラストシーンのその後を想像

することも含めて余韻の残るものでした。

 

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人生スイッチ

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人生スイッチ

 

「人生スイッチ」

原題:Relatos salvajes

監督:ダミアン・ジフロン

2014年 アルゼンチン=スペイン映画 

122分 PG12

キャスト:リカルド・ダリン

     リタ・コルテセ

     ダリオ・グランディネッティ

     フリエタ・ジルベルベルグ

 

それぞれの主人公が暴力によって復讐を企てる

ショートストーリーです。

 

<お勧め星>☆☆☆☆ どの話もおもしろい。

ブラックな笑いが満喫できます。

 

  屬かえし」 

 

人生スイッチ

 

航空機に乗り合わせた乗客全員が、ある男の恨みを買って

おり、離陸後、何気ない会話をするうちに、そのことに

気づくと飛行機は急降下していきます。

 

◆ 屬もてなし」

 

人生スイッチ

 

田舎町のダイナー訪れた客は、ウェイトレスの家族を不幸に

陥れたまさに張本人で、彼女は料理人の女に、料理に毒を

盛るように唆されますが、躊躇していると勝手に毒を盛られ、

そこへ男の息子も到着してその料理を食べ始めます。

 

 「パンク」

 

人生スイッチ

 

前を走る車に悪態をついて追い越した男の車がパンク。そこへ

先ほどの男の車が到着し、ものすごい暴挙を始めます。これ

すごいんです。おまけに市内から60kmも離れており、修理会社

の車が到着した時には、なぜか2台の車は大爆発。2人は「心中」

のように抱き合った焼死体になってしまう。この皮肉が何とも

言えません。

 

ぁ 屮辧璽蹇爾砲覆襪燭瓩法

 

人生スイッチ

 

「瞳の奥の秘密」(2009)のリカルド・ダリン主演。

納得がいかない駐車違反車のレッカー移動に始まり、彼の生活が

崩壊していく様と、爆破作業員という特殊な仕事に長けた

主人公の技で、なぜか「ヒーロー」になっていく姿がテンポ

よく描かれます。

 

ァ 峩鯊」

 

人生スイッチ

 

息子が起こしたひき逃げ死亡事故の身代わりを、自宅の使用人に

依頼する男と、彼の顧問弁護士、検察、使用人の姿を醜さも交えて

かなり滑稽に描いていますが、この話は極めて不条理です。

 

Α HAPPY WEDDING」

 

人生スイッチ

 

幸せな結婚式の途中、夫アリエルの浮気相手が会場にいることを

知ったロミーナのど派手な復讐劇。個人的にはこの話が一番面白く、

中盤ホラー映画並みの行為を重ねるロミーナはすごい!そして

まさかのハッピーエンドなんです。招待客も呆れて帰るはずだわ。

 

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コインロッカーの女

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コインロッカーの女

 

「コインロッカーの女」

原題:Coin Locker Girl

監督:ハン・ジュニ

2015年 韓国映画 111分

キャスト:キム・ヘス

     キム・ゴウン

     バク・ボゴム

     コ・ギョンピョ

 

コインロッカー10番に捨てられていた赤ん坊は、

イリョンと名付けられ、仁川のチャイナタウンで

金融業を営む「母さん」の家で暮らし始める。彼女は

借金の取り立ての手伝いをしていたが...。

 

<お勧め星>☆☆☆☆ 気持ちは暗くなるけれど、

なかなか見ごたえのある映画です。

 

韓国映画では裏社会で抗争を繰り返す男たちを描いた

ものはよく見ますが、この映画は珍しく裏社会に生きる

女がヒロインになっています。ボスも女です。

 

コインロッカーの女

 

闇金業者の熾烈な取り立てや、期限を過ぎた相手は容赦なく

殺害し、その臓器を取り出して売るためにお抱えの医者まで

いるという徹底ぶりです。そして使う武器は、もちろん銃

ではなく、ナイフ、包丁、金属バット。

10数年前ホームレスが、駅のコインロッカー10番で赤ん坊を

見つけ、それを連れ去るのが、刑事タク。彼がかつて家族と

して生活していた仁川のチャイナタウンの「母さん」に借金

返済の1つとして、赤ん坊を渡すわけです。ええ〜と思うのは

こういう子供が幾人も存在し、金を恵んでもらう、という小遣い

稼ぎをさせ、役に立たなくなったらまた捨てる、という組織が

あるということ。ここには公権力は入らないのだろうか。

イリョンは捨てられたものの、サヴァイヴァル精神に満ちており、

再び「母さん」の元へ戻るのです。「母さん」は「役立たずに

なったら殺すよ」と言い、そこで成長して疑似家族のような

生活を始めます。

 

コインロッカーの女

 

それぞれの過去は語られませんが、姉さん、兄さんと呼びつつ、

実は一切血のつながりがないのは一目瞭然で、この家に来た順番か

もしくは年齢順なのでしょう。「母さん」を中心とした疑似家族は

日本でのあの事件を思い出してしまい、とても恐怖を感じます。

家族として交流しながら一旦「母さん」に「敵」とみなされたら、

その行きつく先は、借金返済不能者と同じで、殺害され、臓器を

取られ、骨まで砕かれて下水に流されるか、ドラム缶にコンクリート

詰めにされてしまう。

序盤のイリョンの取り立てシーンは凄みがありまくりです。

しかし借金をしてフィリピンで働く父を持つソッキョンの家に

行ったとき、イリョンは彼に優しくされものすごく戸惑うのです。

普通取り立てに行った相手は抵抗するか、泣いてすがるかなのに、

彼は父を信じ、さらに自らの夢すらも語ります。「優しさ」や

「希望」などとは最も遠い位置にいたイリョンにとって、彼と

過ごす時間が楽しいし、おまけにイケメンときた。

 

コインロッカーの女

 

とはいえ、こんな生ぬるい話で終わるはずもなく、この後

ストーリーは、イリョンを追う「母さん」一味とイリョン

との戦いに変わります。まさに血で血を洗う争いであり、

失敗すれば、臓器を取り出されてしまうという残酷さ。

映画の中盤で、「母さん」が自分の母の法事の日、イリョンに

「私がお母さんを殺したんだよ」と語ったことの意味が、

ラストにつながってきます。「母さん」役のキム・ヘスの

貫禄もさることながら、韓国人女優にしてはお手入れ感のない

キム・ゴウンの笑顔も素敵でした。怒ると怖いよ。

 

 

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悪のクロニクル

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悪のクロニクル

 

「悪のクロニクル」

原題:The Chronicles of Evil

監督:ペク・ウナク

2015年 韓国映画 102分

キャスト:ソン・ヒョンジュ

     パク・ソジュン

     マ・ドンソク

     チェ・ダニエル

 

出世を控えたチャンシク刑事は、突然タクシー運転手に

襲われ、誤って彼を刺殺してしまう。証拠を消し、

その場を立ち去ったはずが、翌朝その遺体が警察署前に

クレーンで吊り下がった状態で発見されるのだった。

 

<お勧め星>☆☆☆☆ 韓国映画ならではの上手くできた

サスペンスです。面白いです。

 

主役の江南警察のチェ・チャンシク課長役はソン・ヒョンジュ。

彼の部下のオ刑事役、マ・ドンソクと共に韓国映画ではよく

見るお顔。マ・ドンソクは、腹黒いヤクザの役から、正義感の

ある刑事役まで演じることができ、なおかつ脇役としての存在感

は抜群なのです。

 

悪のクロニクル

 

この映画にはイケメンが2人おりまして、1人は新人警官ドンジュ

を演じるパク・ソジュン。

 

悪のクロニクル

 

もう1人は中盤あたりから登場する元俳優キム・ジンギュ役の

チェ・ダニエルです。

 

悪のクロニクル

 

アイドル主役ありきの映画を作り、それが結構人気になる

ような日本映画とは異なり、俳優としてしっかり演技力を磨いて

映画に出演するあたりが韓国映画が面白い理由でしょうか。

それも脇役で頑張ってくれています。

さて、ストーリーは15年現場で働き、遂に出世するかも?と

いう時期になったチャンシクが、チームにお祝いしてもらった

帰り道のタクシー運転手に殺されそうになることから始まります。

彼は格闘の末、相手を刺殺してしまう。このまま通報すれば正当防衛

にはなるけれど、出世が遠のいてしまう...。彼は全ての証拠を隠滅し、

その場を立ち去るのです。韓国警察の汚れっぷりは、襲われた彼が

「誰に命令された?...か?...か?」

などと幾つでも相手が出てくることでもわかるように、金や権力で

警察の捜査が進んでいるのです。これって今でもそうなんだろうね。

そして翌朝、警察署前の工事現場でその遺体がクレーンで吊り

下がった状態で発見されたことから、警察の威信をかけた捜査開始と

なるのです。このチームのリーダーはなんとチャンシク。自分が

犯人の事件だけれど、自分が犯したものではない姿で発見された

遺体はなぜあの状態になっていたのか?誰があの状態にしたのか?

遺体の爪の中には犯人の皮膚片があり、DNA鑑定するというし、

周辺道路の監視カメラ映像には、彼が乗ったタクシーがバンバン

映っているのです。追い詰められていくチャンシクの姿を

ソン・ヒョンジュがとても上手に演じています。これをしっかり捜査

しないと出世できないし、しっかり捜査することは自分の罪を暴く

ことになってしまうのです。彼は遺体を入れたタクシーを運転して

いた男を追い詰めたあげく射殺してしまいます。

一方チャンシクが可愛がっていた新米警官ドンジュは、チャンシク

への疑いの目を強めていくのです。根は善人のチャンシクはまさに

苦しみぬくわけですよ。

そして事件はかつてチャンシクが捜査に関わり、犯人をねつ造して

捜査を終了した12人毒殺事件へとつながってくると、映画の冒頭に

出てきた貧しい少年を思い出すのです。上意下達の警察では、

「作り上げてでも犯人を捜して来い」

という命令は絶対であり、これによって数々の冤罪が生まれているはず。

とはいえこの映画はもっと深く、ラスト付近にあっというような事実が

判明するわけです。これは気づかなかったなあ。

「元俳優」「ゲイの噂」

このキーワードをしっかり頭に残しておけばよかった。

結局この複雑な構図の事件も、たった一人の犯人がしたことになって

しまうかもしれません。いやそうなるんだろうな。それにしても

韓国警察はいつになったらまじめに捜査するようになるんだろう。

 

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THE KILLING キリング/17人の沈黙

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the killing

 

「THE KILLING キリング/17人の沈黙」

原題:the KILLING 3

キャスト:ミレイユ・イーノス

     ジョエル・キナマン

     ピーター・サースガード

 

「ロージー殺害事件」解決から約1年後、リンデンは

刑事を辞め、観光船乗り場で働き、恋人もできている。

しかし元相棒のホールダーがある少女惨殺事件が、彼女が

過去に解決した事件と手口が似ていることで、その資料を

彼女の元へ持ってくるのだった。

 

<お勧め星>☆☆☆☆ やっぱり面白いわー。

 

「THE KILLING」シリーズはシーズン1と2で1つの事件が

解決するという長丁場でしたが、シーズン3は一応12話で

一区切りになっています。だから、1本45分ほどの話を

12話見れば解決するので、少し気楽。

このドラマの舞台になるシアトルはいつも曇っていたり、

雨降りで、吐く息が白い所を見ると、やはり寒そう、と思って

しまう。寒い場所に住んでいると、人間も能天気でなくなるようで、

これがマイアミ警察の設定では到底デンマーク製作のドラマを

リメイクできなかっただろうなあ。

前回の事件を無事に解決したリンデンは、息子ジャックを元夫に

託し、刑事を辞め、パション島の船着き場で働きつつ、ちゃっかり

恋人ディックもできて幸せ満点。これはシーズン1の始まり方と

同じだぞ。

 

the killing

 

一方、相棒だったホールダーは、昇進するかもしれないという

恵まれた地位まで上っているのです。しかーし、事件は起きます。

10代の少女が喉を切られ、薬指を切り取られるという惨殺体で

発見され、その殺害方法から、ある事件を思い出したホールダーは

リンデンの家を訪ねます。もう、ディックと楽しく過ごしていたのに!

そういうホールダーも美人の検事さんという恋人がいる。それなのに

なぜに事件に深入りしていくのか。そこはリンデンが持つ第6感が

極めて重要になってくるからです。

話は、この少女惨殺事件の被害者が、10代のストリート生活を

している少女で、彼らのすさんだ生活、行方すら気にかけない親たち

の姿も同時に描かれていきます。また未成年を食い物にする児童ポルノ

製作に携わる大馬鹿ものも出てくるのでショッキングな内容ばかり。

 

the killing

 

同時進行して、かつてリンデンは逮捕した殺人犯の死刑執行までの

様子も描かれ、彼は冤罪ではなかったか、また彼の息子は何を見たのか、

など、話はめまぐるしく展開するのです。前回同様に怪しい人物が

現れては消え、現れては消え、真相はどうなっているんだろうと先が

見たくてたまらなくなります。

 

the killing

 

死刑囚役のピーター・サースガードが、死刑の間際にものすごく

取り乱すシーンは、それを執行する刑務官の苦悩も含め、丁寧に

描かれているのです。こういうところがアメリカのテレビドラマの

秀逸な点ですね。またリンデンは実は上司スキナーとかつて関係が

あり、今回またよりが戻ってしまうのも見ものです。

犯人はあの人かな、などと思っていると、おーっとどっこい、絶対に

騙されます。オープニング映像からよくできているので、期待値を

上げて見ても十分満足しました。

 

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インヒアレント・ヴァイス

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インヒアレント・ヴァイス

 

「インヒアレント・ヴァイス」

原題:Inherent Vice

監督:ポール・トーマス・アンダーソン

2014年 アメリカ映画 149分 R15+

キャスト:ホアキン・フェニックス

     ジョシュ・ブローリン

     オーウェン・ウィルソン

     キャサリン・ウォーターストーン

     ベニチオ・デルトロ

 

ロサンゼルスに住むドラッグ中毒の私立探偵ドック

の元へ元カノ、シャスタが現れる。彼女には不動産王

の愛人がおり、その愛人の妻と妻の恋人が愛人の財産

を狙って立てている計画を暴くように頼まれてしまう...。

 

<お勧め星>☆☆☆☆ 1回見ただけではすべてがわかる

わけでもないような映画ですが、独特の雰囲気に自然と

引き込まれます。

 

ちょっと「パルプ・フィクション」(1994)に似た

映画で、挿入曲も懐かし雰囲気が漂っています。ただ

アメリカの映画批評家の中では絶賛されているとのこと。

くだらない話の羅列の域を超えて、60年代後半から70年代

にかけてのヒッピー文化やベトナム戦争、民族差別問題など

にも言及していて、かなり奥が深い...らしい。

何がおもしろいかというと主人公の私立探偵ドックが、

いつもラリっていて、頭がすっきりしない姿が、そのまま

映像となって現れてくるし、彼がメモする文字がとても汚く、

さらにしばしば記憶が飛ぶので、見ている側もまるで空中を

浮遊しているような気分になってくることです。

 

インヒアレント・ヴァイス

 

さらにドックを徹底的に痛めつけるLA市警の一匹狼

ビッグ・フット警部補との掛け合いが、まるで漫才のボケと

ツッコミのようになっているのもおかしい。髭というか

もみ上げというか、とにかく顔の半分が、毛がボーボーの

ドック役はホアキン・フェニックス。そしてビッグ・フット役は

ジョシュ・ブローリン。

話はドックの元カノ、シャスタが、ミッキー・ウルフマンという

富豪の愛人であり、彼の妻がその愛人と結託してウルフマンを

陥れる計画を練っていて、シャスタにも加わるように言ってきた

から、その陰謀を暴いてくれ、というものすごくややこしい

依頼から始まるのです。

 

インヒアレント・ヴァイス

 

そこから登場する人々は、みんな胡散臭い人ばかり。ドックとは

体だけのつながりのペニーは検事補であり、この役はあの

リース・ウェザースプーンが演じています。ペニーから情報を

もらうはずが、彼女はFBIにドックを売るし、突然現れる弁護士

ソンチョは、大して役にも立ちません。この役はベニチオ・デルトロ。

「ボーダーライン」(2015)のシリアスな役とは大違い。

そして1つの殺人事件が起き、ドックは犯人扱いされるものの、

実はそこには大きな悪の組織が絡んでいるとわかってきます。

この事件をドックが調べていくと、そこにコーイという夫を捜す

妻ホープと知り合います。ホープはドラッグのやり過ぎで歯は

入れ歯だと言う。きらりと見せるこの真っ白な歯に、何の意味も

ないと思っていると、実は結構大きな意味を持つんだなあ。姿を

消したシャスタも捜し始めたドックは、どんどん深みにはまっていき、

もう何が何やらわからなくなるというもの。それでもラストは、

ドックの男気を感じ、「よりを戻したわけじゃないのよ」と言う

シャスタとも無事再会できます。そして忘れた頃にドックの家の

ドアを蹴破って侵入するビッグ・フット。彼にも彼なりの通すべき

筋があったと知るけれど、壊したドアを踏みつけて去っていく男に、

「謝罪」の気持ちはあまり感じられなかったなあ。でもあの男なり

のけじめなんだろうね。色々な人が絡み、殺人も起きますが、

そこはほぼ映らず、逆にシャスタのヌードが長い時間映るので、

それがR指定になった理由だろうと思います。いやドラッグの方が

問題か。

結構楽しい映画ですよ。

 

 

 

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執行者

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執行者

「執行者」
原題:The Executioner
監督:チェ・ジンホ
2009年 韓国映画 96分
キャスト:ユン・ゲサン
チョ・ジェヒョン
パク・イナン
チャ・スヨン
チョ・ソンハ

新米刑務官ジェギョンは、厳しい先輩ジョンホの
指導を受けながら、囚人との接し方を学んでいく。
そして12年ぶりに死刑が執行されることになり、
担当の5人に入ってしまったジョンホは大きく動揺
するのだった。

<お勧め星>☆☆☆☆ 韓国映画ならではの人間の
心の機微を丁寧に描いた内容です。


この映画は主に3人の刑務官の視点から、死刑執行に
携わることになったことへの心の動きを描いています。
ちなみに現在韓国では1997年以降死刑は執行されて
おらず、あくまでも架空の設定というクレジットが
流されるのです。その韓国で死刑が復活したら...という
のがこの映画のメインテーマとなります。


執行者

1人目の刑務官は、新米のオ・ジェギョン
公務員試験を目指す恋人ウンジュとの仲も順調で、刑務官
としての仕事も、ただ囚人の世話をするだけと軽く考えて
赴任。しかし初日からすさまじい現場に遭遇し、唖然として
しまいます。


執行者

2人目は、中堅刑務官ペ・ジョンホ
40歳近くになっても独身の彼は、女性に関しては全く奥手。
でも現場では、徹底的に暴力で囚人を押さえつける手法を
取るのです。彼の口癖は「強く出ればなめられない」
ラスト付近に彼が新人として赴任した時の挨拶シーンが映り、
成績が悪く、刑務官の仕事にやっと合格でき、希望に燃える
姿が見られます。その意気揚々とした彼がどうして変わって
しまったのか。そこにはある事件が影響しているのです。


3人目は、もうすぐ定年のベテラン刑務官キム・チョルグ
20年も獄中にいる死刑囚ソンファンとは、将棋をさすほど
親しくなっており、極めて温厚な性格。但し、この刑務所で
死刑執行に携わったことがある唯一の人物なのです。


彼らの日々の生活を描きつつ、突然法務省からの通達で死刑
が執行されることを知り、動揺する刑務官が映ります。誰も
が執行に手を染めたくないし、そもそもやり方すら知っている
者はほとんどいないのです。くじ引きで決める辺りは、かなり
脚色されていると思うけれど、日本ではどうなんだろうと思って
しまう。映画内でかつて死刑を執行した刑務官が再会するシーン
が映りますが、彼らはみんなその過去を忘れたがっています。
人を裁いて、死刑宣告をするのは、裁判官だけれど、死刑執行
を決めるのは法務大臣で(日本の場合)、ハンコを押すこと
への抵抗を感じるのも納得できます。被害者家族にしてみたら
とっとと殺してほしいと思うでしょうが、実際に生きている人
を殺す当事者になった時の執行官の苦悩はどれほどのものなの
か想像もつきません。

くじで担当になったジェギョンの恋人は、妊娠を告げますが、
ジェギョンには、これから命を絶つ仕事を控える身であり、
新しい命を受け入れる心の余裕がないのです。そんな彼に
ジョンホは
「なぜ生きている命を殺す?」
と怒ります。そう言いつつ
「クズは死ねばいい」
と死刑を肯定します。


執行者

そうして迎えた死刑執行の日は、1人ずつ丁寧に死刑執行
シーンが描かれますが、最も極悪非道で、全く反省の色のない
殺人犯チャン・ヨンドゥの時だけ、この古い床が落ちなく
なってしまうというトラブルに見舞われます。さらには、
首を吊ったヨンドゥは、いつまでも死なず、ジョンホと
ジェギョンが彼の体を引っ張らざるを得なくなる。こんな
地獄のような仕事をこなした上で、彼らは7万ウォンの手当て
を手に酒と歌で心を晴らします。
「大事な仕事」のせいで、ウンジュと子供を失ったジェギョン。

心を病んでしまったジョンホ。定年を待たずに退職したチョルグ。
「こんな事件を起こした犯人は死刑しかない」
とニュースを見ると思うけれど、実際にその死刑を執行すること
の人間としての苦悩が伝わる内容でした。それが「指示」された
だけのことだからこそ、恐怖を覚えるのです。




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