オリエント急行殺人事件

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

オリエント急行殺人事件

 

「オリエント急行殺人事件」

原題:Murder on the Orient Express

監督:ケネス・ブラナー

2017年 アメリカ映画 117分

キャスト:ケネス・ブラナー

     ジョニー・デップ

     ミシェル・ファイファー

     ジュディ・デンチ

     ペネロペ・クルス

 

雪の中を走るオリエント急行車内で1人の男が刺殺

される。偶然乗り合わせた名探偵ポアロは得意な推理を

進めて行くが、乗客の証言によって幾度となく先を

阻まれてしまう。


<お勧め星>☆☆☆☆ 原作を知っていても十分楽しめる

ミステリーです。


善と悪の中間はないのか?


映画館で流される予告編で幾度となく観たのですが、

どうしても灰色の脳細胞を持つエルキュール・ポアロが

1974年映画のアルバート・フィニーのイメージが強く、
TVドラマ版のポアロ役デヴィッド・スーシェに至っては、

小説から読者が想像するポアロ像そのものであるため、今回の

ケネス・ブラナーがかなり印象を変えてしまったと少々

心配しつつ鑑賞しました。

 

オリエント急行殺人事件

 

オリエント急行殺人事件
 

しかし考えてみると名探偵シャーロック・ホームズも

ロバート・ダウニー・Jr.によってダイナミックな変貌を

遂げたもののそれはそれで楽しさが増したことは確かです。

まさかのアクションが加わるなんて!
ストーリーは全て知っているし、犯人も動機もわかっている

のでさてどのように映画化されたのかと余裕で観られると

思っていたら、そうでもないのです。

 

オリエント急行殺人事件

 

映像が大変凝ったもので、乗客がオリエント急行に乗るシーン

から、車内を見せていく時、まことに滑らかに映し出され、

また車窓から見える景色も当然のことがら合成でなく、

かといってCGでもない雰囲気のあるものです。調べて

みたらスクリーン・プロセスという、合成を行わずに

映像を車外のスクリーンに投影するという、昔ながらの

方法とのこと。

 

オリエント急行殺人事件
 

また早々に起きるラチェットの殺人現場は最初はドア越しで、

見た人のみの表情でそれを知らせるものから、真上の映像に

変わり、ようやく無残な刺殺体の彼が映し出されます。

ラチェット役はジョニー・デップ。インチキ臭い嫌な男を

わずかな時間に感じ取れる好演技。遺体の彼が真っ逆さまの

位置に映るので、この列車の中で彼だけが唯一異なるタイプの

人間であると印象づけるのです。その後原作にはない雪崩が

起き列車が脱線するという事故が起きますが、これは原作では

雪だまりに突っ込んで立ち往生するというものでした。この時

に荷物がバラバラになったことで乗客の素性がポアロには

わかっていくきっかけになるのです。でも映画ではとっても

素早く描かれているので、まさかあの短い時間にあれこれ

見られたとは思えないけれど、そこはそれほど気にならず。
豪華なキャストに目を見張りながら、117分という時間内に

すべてを盛り込んで見ごたえのある映画にしたのは素晴らしい

です。ポアロが少しだけ列車外に出て追跡するシーンがあって、

あれをアクションと呼んでいいのかわからないけれど、動きの

少ないストーリーの中で「は!」と目が冴えてくる瞬間になる

かもしれません。
なんてベタ誉めしていますが、実は客人の素性が一気に分かり

すぎたというのは少し気になります。でもポアロのイメージを

一新したことは、既に公開が決まっている「ナイルに死す」に

期待が高まることは間違いありません。

ああ「ナイル殺人事件」(1978)のエンディングに流れた

「ミステリー・ナイル」が耳に蘇ります。

 

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特別捜査 ある死刑囚の慟哭

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特別捜査

 

「特別捜査 ある死刑囚の慟哭」

原題:Proof of Innocence

監督:クォン・ジョングァン

2016年 韓国映画 121分

キャスト:キム・ジョンミン

     ソン・ドンヨル

     キム・サンホ

     キム・ヨンエ

 

暴力事件を起こし刑事をクビになったピルジェは、

法曹ブローカーに転身し、コネを活用して荒稼ぎ

している。そんな彼宛に、スンテという死刑囚

から無実を訴える手紙が届くのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ 勧善懲悪の話の中にコミカルな

シーンもあって十分楽しめます。


習慣は抜けないもの


韓国映画は、警察、検察、政治家、財閥批判などを

コミカルに描きながら実際は鋭く切り込んだに内容で

日頃不満に感じている観客にとっては大変救われるもの

が多いです。サスペンス映画に関して言うと、実際の

事件を扱っているものも多く、「チェイサー」(2008)

「イテウォン殺人事件」(2009)「殺人の告白」

(2012)などは犯人がわかるものの捜査における

警察のいい加減さやその事件を取り巻く人間関係などを

上手く絡めて描いていました。一方で「殺人の追憶」

(2003)「あいつの声」(2007)

「カエル少年失踪殺人事件」(2011)は、未解決事件

を扱っているため、当然モヤモヤとしたラストになるわけ

ですが、そこに郷愁を感じる景色や歌などを挿入しており、

決して不完全燃焼に終わることはありません。

(でも犯人が捕まらないのは悔しい)

 

特別捜査
 

突然の逮捕劇で始まるこの映画は、容疑者スンテが前科者で

あり、明らかに冤罪だとわかっているのに、死刑囚になって

しまうのは、すべて韓国国内における力関係、つまり財閥が

最大限の権力を握っていることを伺わせます。

 

特別捜査
 

一方ピルジェは刑事であったものの、暴力的な捜査を行い、

ライバル、ヨンスに嵌められて、その職をクビになって

しまうのです。ついでにヨンスに暴行をしたことで賠償金等々

のために家まで取り上げられてしまった模様。そして今は

元検事に誘われて金儲け主義の法曹ブローカーになって

いるわけです。もちろん愛車はBMW。アメリカ映画でも

お金持ちさんはBMWに乗っていることが多くてメルセデス

よりも人気があるのかしら、といつも思うのです。乗ってみたい。
で、このピルジェとスンテがどうやって結びつくかというと、

そこに善意があったわけではなく、スンテの事件を担当した

のがヨンスであり、彼に復讐するために再捜査してみようと

思っただけのこと。すごいんですよ。「コネ」があるから、

警察資料も検死報告書も入手できちゃう。するとこの事件、

つまり「テヘ製鉄の嫁殺人事件」の奥にものすごい闇が存在

することに気づいてしまうのです。事件の名前も「嫁」などと

つけているし、この「嫁」が何か所も胸を刺されていたものの、

シリコン入りだったため、致命傷は1か所だったなどという

点もなんとも韓国らしい。いや日本でも実はそういうことは

起きているかもしれない。ただ「シリコン入りの

(生食パックかも?)胸を刺されたので命を落とさずに済んだ」

などとは発表されるはずもないですよね。

 

特別捜査
 

ヨンスへの仕返しだけだったピルジュの心が変わったのは、

スンテの娘ドンヒョンと幾度も会って会話をしたから、と

だけ考えるのは少し無理があり、自分自身の父が前科者で

そのせいで苦労したことを彼女に投影していたのかと考える

方が納得できるかな。

 

特別捜査
 

刑務所で死刑囚として過ごすだけのスンテにまで数々の力を

及ぼす財閥の力ってすごい。財閥の女史役は2017年に癌で

亡くなったキム・ヨンエ。大変美しいのですが、その中に

冷酷さを秘めた表情、行動は秀逸です。あちこちで起きる争い

に毎回ハラハラされつつ、ラストへと向かうとこれはもうスリル抜群。
「習慣は抜けないもの」ということを実感します。さらに

「恥」の認識を再びそして強く確認するピルジェの一言が胸を

打ちます。「恥の意識」は本当に大事なことなんです。
多少ツッコミどころがありますが、見ごたえのある映画でした。

 

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インビジブル・ゲストー悪魔の証明

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インビジブル・ゲスト

 

「インビジブル・ゲストー悪魔の証明ー」
原題:Contratiempo
監督:オリオル・パウロ
2016年 スペイン映画 106分
キャスト:マリオ・カサス
アナ・ワヘネル
ホセ・コロナド
バルバラ・トニー
フランセスク・オレーリャ

 

青年起業家アドリアンは、愛人ローラ殺害の罪で

起訴される。その彼を弁護するため敏腕弁護士

グッドマンがやって来るが、彼女は彼に対し、

隠していることをすべて話すように迫るのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ 状況が二転三転しつつ、

やっぱりねと思うけれど面白いです。


演劇仲間だったがカギ


「インビジブル」(2000)はケヴィン・ベーコン

主演のSFスリラー映画で、透明人間になったものの元に

戻れなくなった男が好き勝手しまくる内容で、VFX技術が

とても上手く使われていました。「ザ・ゲスト」

(2014)はダン・スティーヴンス主演のウルトラ

不気味な映画で、突然訪れたゲストがまさに不死身の

姿を見せつけます。ダン・スティーヴンスがイケメンな

だけに怖さ倍増(いや別に顔にこだわらないけれど)

かつかなりグロ映像もあったはず。
もちろん邦題はこの2つを合わせたような感じだけれど、

もちろん全く異なる内容であり、そもそも原題の意味が

「不慮の事故」..。これもまた地味。

スペイン映画で「悪魔」とつけばオカルト映画を必ず想像

しますね。もちろん全く関係ありません。
監督は「ロスト・ボディ」(2012)の

オリオル・パウロ。わたしは個人的にこの映画が大好きで、

トリックに全く気づかなかったのとヒロインの女優さんが

とてもきれいなのが印象に残っています。こんな感じ。

 

ロスト・ボディ
 

今回の映画も派手な映像はなく、トリックにトリックを

重ねた内容でしっかり見ていないと、いや見ていても

騙されるんです。登場人物は少なく、若手起業家

アドリアン・パウロ、愛人ローラ、そして彼の顧問弁護士

とその推薦でやってくるグッドマン弁護士、あとはある

事故の被害者の両親です。シーンも少ないんですよ。ほぼ

ホテルと回想シーンのみで動きも少ない。

 

インビジブル・ゲスト
 

インビジブル・ゲスト

 

インビジブル・ゲスト

 

それでもうまいと思うのは、前半から中盤にかけての伏線の

張り方とアドリアンとグッドマンの会話が進むうちに、

見ている側のアドリアン像がどんどん変わっていくことです。

愛人とは割り切った関係で妻子を大切にするアドリアン。

富も名誉も持っている。しかし隠してあった事実が露呈する

につれその姿は本当に醜悪なものの思えてきます。
但しサスペンス映画を見る人なら最初からピンとくるものが

あって、絶対に胡散臭いんだから確認した方がいいと思って

しまうけれど、人間追いつめられるとこうなるものだろうと

納得してしまうのです。
嘘に嘘を重ねていくと、結局の残るのは真実であって、自らの

手で首を絞めていくのだなあというのが実感。
こんな風に悪行が駆逐されていくといいのにね。
とてもおもしろいのでお勧めです。

 

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スリー・ビルボード

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スリービルボード

 

「スリー・ビルボード」

原題:Three Billboard Outside Ebbing ,Missouri

監督:マーティン・マクドナー

2017年 アメリカ映画 116分

キャスト:フランシス・マクドーマンド

     ウッディ・ハレルソン

     サム・ロックウェル

     アビー・コーニッシュ

     ルーカス・ヘッジス

 

娘を殺害されたミルドレッドは、7か月たっても捜査が

進展しないことに憤りを覚え、3枚の巨大な看板を設置

する。しかしそれは町民の反発を買い、彼女は孤立して

いくが...。


<お勧め星>☆☆☆☆半 とてもよく練りこまれた内容

かつラストに心地よい余韻を残す映画です。


ミルドレッドの怒りの正体

 

 

(多分ネタバレしていません)


監督は「ヒットマン・レクイエム」(2008)

「セブン・サイコパス」(2012)の

マーティン・マクドナー。どちらの映画も題名は知っている

ものの未見なのでこれを機会に見てみようと思います。

そして主演はわたしの大好きなフランシス・マクドーマンド。

「ブラッド・シンプル」(1984)から彼女の出演作品は

数多く鑑賞してきました。決して美人とはいけないけれど、

表情が豊かで、特に真面目な顔をしながらものすごく

おかしいセリフをサラリと言う姿はたまりません。

ミルドレッドの息子ロビー役は「囚われて夏」(2014)

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(2016)の

ルーカス・ヘッジスで、彼の繊細そうな顔立ちはこの役に

ぴったりです。

 

スリービルボード
 

ミルドレッドが笑顔も見せるのは映画のラストのみで、

冒頭から終始不機嫌そうな表情を浮かべており、それが

怒りなのか悲しみなのか嘆きなのか絶望なのか判断

つきかねるのですが、そのほぼ同じ表情でシーンごとに

違う印象を与える演技はまさに素晴らしいの一言に尽きます。
彼女はなぜ不機嫌なのか。それは冒頭に立てる3本の巨大な

看板に書かれた文字からすぐに理解できます。
「娘はレイプされ焼き殺された」

「犯人は捕まっていない」

「ウィロビー、なぜ?」
この3つの看板は町を通る1本道に立っており、町民は誰も

皆目にするし、名指しされたウィロビー署長以下警官も

見るわけです。ここで個性あふれる人々の姿を挿入し、

ウッディ・ハレルソン演じるウィロビーは人望が厚く、

サム・ロックウェル演じるディクソン巡査は人種差別主義者で

極めて暴力的...と印象づけていくのです。

 

スリービルボード

 

スリービルボード

 

この辺りも無駄な映像がなく、またすんなり理解できる内容で

知らないうちにこの町エビングに住んでいるかのような錯覚に

陥ってしまう。さてこの看板のせいでミルドレッドは町民の

大反発を買うわけですが、彼女は息子の怒りすら買っても

全く気にも留めません。そこにはミルドレッドとロビーの関係、

ミルドレッドと殺害された娘アンジェラの関係、ミルドレッドと

元夫チャーリーとの関係、ミルドレットとウィロビーの関係と

彼女を取り巻く人々との関係性も絡んでおり、この先ストーリー

はどう展開していくのか全く予想できないけれども、それらが

すべて固くつながっているのも確かなのです。

 

スリービルボード
 

そしてある事件から一変する人間関係がこれまた目を離せない

シーンの連続で、こんな風に映画を作ることができるのかと

とても感心してしまいました。
実は映画内でアメリカ国内で抱える大きな問題を提示している

のですが、それが露骨でなく、またそれを覆い隠すのに十分

すぎるほどの内容で、まさに今年見た映画ではナンバー1だと

思っています。

(あ、「バーフバリ」は別枠です。)

 

 

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お嬢さん

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お嬢さん

 

「お嬢さん」

原題:Ah-ga ssi

監督:パク・チャヌク

2016年 韓国映画 145分 R15+

キャスト:キム・ミニ

     キム・テリ

     ハ・ジョンウ

     チョ・ジヌン

     キム・ヘスク

 

1939年の朝鮮半島。華族である上月家の令嬢、

秀子のもとに新しい侍女スッキがやって来る。

スッキは珠子と名乗り、詐欺師である藤原伯爵の

手先として秀子を騙す計画だったが、秀子の孤独と

純真さにいつしか心惹かれていく...。


<お勧め星>☆☆☆☆ はい、どこまでもエロティック

であり、サスペンスも味わえ、最後まで見逃せない

シーンの連続です。


純粋な愛


原作はサラ・ウォーターズの「荊の城」で、日本でも

「このミステリーがすごい!」で第一位を獲得して

います。これは読まないといけない。2005年には

イギリスBBC制作でテレビドラマ化されており、今回は

パク・チャヌク監督によって映画化されました。
パク・チャヌク監督といえば絶対に思い出すのが

「復讐三部作」と呼ばれる「復讐者に憐れみを」(2002)、

「オールド・ボーイ」(2003)、「親切なクムジャさん」

(2005)です。三部作とはいえストーリーにつながりが

あるわけではなく、それぞれの復讐の形を驚くような展開で

描いていました。「オールド・ボーイ」は2013年に

スパイク・リー監督でアメリカにてリメイクされましたが、

映像が美しくなりすぎて、やはりオリジナルの良さを実感。

復讐っていうのはドロドロした怨念がこもったような映像で

見せられてこそ復讐なのだと思ってしまう。
他にも「渇き」(2009)があるのですが、どの映画も

スリルと残酷さと時々コミカルな映像が組み込まれていて、

必ず楽しめる内容になっています。暴力的な内容に耐えられる

ことも必要かな。
さてこの「お嬢さん」は映画が三章に分かれていて、それぞれが

予想できない展開を見せます。主要な登場人物は、泥棒の娘で

スラムに暮らすスッキ、彼女を侍女に迎える秀子、秀子の叔父で

日本人華族の上月、そしてスッキを手配した詐欺師、藤原伯爵。

だんだんわかってきますが、上月は「ど変態」なんですよ。

「悪魔のいけにえ」(1974)ではイカれた一家が登場

しましたが、それは2になるとコメディ要素が入り、能天気な

イカれた一家に変わっていました。上月の「ど変態」はこの2の

ようなどこかコミカルなイカれ具合を見せるのですが、それが

殺人ではなく、性的な変態であるのでものすごく気色悪いんです。

この役を演じるチョ・ジヌンが「最後まで行く」(2014)で

主役を演じていた人と同一人物とは到底思えません。スケベで

好奇心だらけのエロおやじぶりを好演?しています。

 

お嬢さん
 

また藤原伯爵を演じるハ・ジョンウも実はくそ野郎で、

もうね、登場する男性は変態だらけなんですよ。

 

お嬢さん
 

逆に女性は秀子とスッキ(珠子)が生まれや境遇は全く異なる

のに、どこか純粋な一面があり、この2人が繰り広げる

ラブシーンは、まことにエロティックなのです。

 

お嬢さん

 

WOWOW鑑賞だったので、ちょっと〜、ボケボケにもほどが

あるでしょう!と思うほどボケボケ。ところがペチャペチャと

響く音や声や肌のこすれる音だけでもゾクリとします。ズーム

アップされた舌や瞳...。
第一部ではスッキ視点の話。秀子の入浴を手伝うスッキこと

珠子のシーンでは、秀子が棒つきキャンディーを舐める口や舌が

ゆっくりと映ります。歯がとがっていて痛いという秀子の歯を

少しずつ擦り取ってあげるスッキの姿を見ていると、2人が、

特にスッキが秀子に惹かれていくのが手に取るようにわかるのです。
そして第二章の秀子視点の話。ここで秀子の生い立ちや上月との

関係が露呈するのですが、上月のど変態ぶりが徹底的に描かれて

おり、黒い墨のついた筆を舐めて真黒くなった舌を出す上月は

「キモイ」の一言に尽きます。チョ・ジヌン様、あなたはこんな

役もできるんですね。主役しかできない日本の一部の俳優とは

格が違いすぎます〜。
そして第三章の終盤で起きる出来事で、この上月だけでなく

藤原伯爵の端正なマスクとは全く異なる異常さ、冷酷さ?いや

劣等感からくる歪んだ上昇志向を見せつけられ、それでいて

笑っちゃう一言を言うんです。ここは見てのお楽しみ。そして

やっと出てきたグロシーン。その一方でスリルがありつつ希望の

あるシーンが交互に映り、もう145分見てよかったと実感

するのです。
映画の後調べたところ、スッキ役のキム・テリが1500分の1の

オーディションを勝ち抜いた新人女優であると知り、彼女の

体当たり演技に驚きました。
これもう一回、今度は劇場で観たいなあ。

 

 

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トンネル 闇に鎖された男

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トンネル

 

「トンネル 闇に鎖された男」

原題:Tunnel

監督:キム・ソンフン

2016年 韓国映画 127分

キャスト:ハ・ジョンウ

     ペ・ドゥナ

     オ・ダルス

     チョン・ソギョン

 

自動車ディーラーのジョンスは仕事を終え、

妻娘の待つ自宅へ戻る途中、トンネルの中で

崩落事故に遭遇する。命はとりとめたものの

一向に救助隊は到着せず。彼は次第に疲弊して

いく...。


<お勧め星>☆☆☆☆ 単なるサヴァイヴァル物

ではなく、様々なストーリーが盛り込まれています。


人の命は地球より重い


1977年日本赤軍によるダッカでの日航機

ハイジャック事件で、実行犯の連合赤軍の要求に

従った福田赳夫首相の言葉として有名なのが

「人の命は地球よりも重い」。

これによって犯行グループは身代金と拘留中の仲間を

数名獲得し、逆に人質は数々の苦難を経たものの

最終的には全員無事解放されました。
これに対し、一部諸外国や日本国内からも批判を

浴びることになるわけですが、この言葉が映画の

ラストに韓国政府高官の口から発せられるのです。

そこに至るまでの多くの状況の変化を知っていると、

この文字だけなぞっただけの言葉に何と重みのない

ことか。そこにこの映画のメッセージも含まれていると

思うのです。
映画は大きな契約を無事成功させ、娘の誕生日ケーキを

買って自宅に向かうジョンスの姿から始まります。

もう〜、運転しながらスマホで話しちゃダメですって。

ジョンス役は「チェイサー」(2008)などの

ハ・ジョンウ。そしてその妻セヒョン役は「空気人形」

(2009)でとても可愛いかったぺ・ドゥナともう

見慣れた顔ばかり。

 

トンネル
 

トンネル

 

ジョンスがハド・トンネルという新しいトンネルに

入ると何やら音がするし、トンネル内のライトが点滅

し始めあっという間に大崩落を起こすのです。ここが

怖いんです。崩落するのがわかっているのに、それが

いつなのか、どういう形で起きるのか全く予想できません。
で、いちおうジョンスは怪我無く助かるのですが、彼は

地下180m地点に埋まってしまったらしい。携帯で

のんきに警察に連絡すると、警察も相変わらずののんきな

応対、そして到着した救助隊も全く手順が悪いわけです。

毎度おなじみですねえ。おまけに人権への配慮など一切

ない報道関係者も押しかけている。とりあえずこの時点

では「チリ33人 希望の軌跡」(2015)のように

時間はかかるもののどうやって救助を待つのかその姿のみ

描かれると思うわけですよ。ところがどっこいすっとこどっこい。
ここから全く違う展開になります。序盤は救助最優先だった

はずが、掘削作業の失敗から、絶望的状況へと変貌するのです。

この手のひらを返したような対応は、マスコミに誘導された

世論にも表れるわけで、わたしたちがいかに情報によって

考えを操作されやすいか実感します。救助隊の目標は「助ける」

ことなのですよ。

 

トンネル

 

オ・ダルス演じる救助隊の隊長デギョン個人が、ジョンス

の生存を信じ、彼の行動で結果的にはジョンスは救出

されますが、その前に第二トンネル工事の遅れでかさんで

いく費用を主張する政府や救出作業中に死亡者が出たことなど、

様々な苦難を描きます。ここは多く詰め込みすぎたかも。
トンネルといっても出口も入り口もなくなった地下の

密閉空間で、少しの揺れで音がして土がこぼれ岩が動く恐ろしさは

まことに上手に映されています。ああこんな可愛いワンコも

出てきました。

 

トンネル
 

思い出されるのは1996年の北海道でのトンネル崩落事故で、

あの時は巨大な岩をどかすために爆発作業をせざるを

得なかった。しかしそれを行うことは、バスや車に残された

人々の死を家族が認めることにほかならず、彼らが流した

涙を見て胸が締め付けられる思いになりました。この映画では

妻セヒョンがたった一人で承認するのです。あんなに救出を

祈ってくれた人々が誰も「生存」を信じなくなっても、唯一の

通信手段だった携帯のバッテリーが切れ、夫の声すら聞けなく

なって幾日たっても、彼女は「生存」を信じるのです。それが

家族なんですよね。終盤はやや駆け足気味だし、あちこち

突っ込みどころもありましたが、そんな小さなことを忘れて

しまう見ごたえのある映画でした。
「全員クソ」と言ったジョンスの言葉が爽快だったなあ。

 

 

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手紙は憶えている

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手紙は憶えている

 

「手紙は憶えている」

原題:Remember

監督:アトム・エゴヤン

2015年 カナダ=ドイツ映画 95分

キャスト:クリストファー・プラマー

     マーティン・ランドー

     ヘンリー・ツェニー

     ディーン・ノリス

     ブルーノ・ガンツ

 

認知症を患い、妻の死も忘れてしまうゼヴは、

友人マックスからかつてアウシュビッツ収容所で

彼らの家族を殺した兵士を捜すことを託される。

ゼヴは1通の手紙を手にその兵士を捜すたびに出発

するが...。


<お勧め星>☆☆☆☆ まさかのラストにしばし放心し、

そして胸が熱くなりました。


求めていたのは記憶


ある程度までは先のストーリーが読めるのですが、

全く予想だにしなかった展開が登場し、1発の銃声の

後に暗転。この暗転の中に様々な思いが織り込んであります。
主役のゼヴを演じるのは「ドラゴン・タトゥーの女」

(2011)「トレヴィの泉で二度目の恋を」(2014)

などのクリストファー・プラマー。映画内でのピアノ演奏は

すべて本人のものだそうで、優しくもあり、もの悲しくも

あるその音色に引き込まれます。彼が、認知症を患う

90歳のゼヴの役をおぼつかない足取りや記憶が薄れた時の

陽気な表情、思い出そうとする時の険しいまなざしなど

高齢者特有の姿を見事に演じています。

 

手紙は憶えている
 

ゼヴは、妻の死すら忘れてしまう認知症であり、同じ施設の

友人マックスとある約束を交わしていたのです。それは

妻亡き後、かつてアウシュビッツ収容所で彼らの家族を

殺したナチスの親衛隊員を捜すこと。それをしたためた手紙は、

まずゼヴの記憶が薄れた時のために、ゼヴの名前、妻が

亡くなったことなどから始まり、捕虜の名前を盗みアメリカで

暮らすオットー・ヴァリッシュことルディ・コランダーを

名乗る4人の人物の住所が書かれているわけです。
ルディ・コランダーなどという名前が4人いて、一人ずつ

ゼヴはその元を訪れます。いったん眠ると記憶がすっかり

薄れてしまうので、腕に「read letter」と書くわけですよ。

そうそう、何かを絶対に忘れまいと思ったら、手のひらか

手の甲にそれを書き留めておくといいです。
(手を洗って消えちゃったらいけないから、できたら油性

マジックで)

 

手紙は憶えている
 

1人目はドイツ兵だったけれど、アフリカにいたので違う。

2人目は逆に腕に番号が書かれており、収容者だったことが

分かります。これも違う。3人目はすでに亡くなっていたの

ですが、その息子が州警察に勤務しながら、実はナチ信者で

あるとわかるのです。これがゼヴの腕に番号が彫ってあるのを

見た途端、豹変するのが怖い。

 

手紙は憶えている
 

この差別主義者はアメリカ国内にきっと数多くいるわけで、

その選民思想は口汚い言葉と共に暴力的な行動を引き起こす

のです。この変貌ぶりがものすごい。そのように刷り込まれ

たんだな。
ゼヴは最初に銃を購入しており、(これもいとも簡単に買える

から驚くけれど)カナダ入国審査でもパスポートの期限が

切れていても免許証で入れちゃう。まあ、逆に戻る時は大変

なんでしょうけど。で、銃をそこで使うんですよ。見事な

銃さばきは、紙に使い方を書いてもらった程度ではできない

と気づくべきでした。その時は全く気づきません。
4人目のルディは、おそらく最初からマックスは最も可能性の

高い人物を最後に書いたのでしょう。

(これは後から推測するんですが)「声」でゼヴは思い出すのです。

「こいつだ」と。
しかしそこにはさらに違う展開が待っており、認知症ではなく、

意図的に葬り去っていたはずのゼヴの記憶が呼び起こされます。

それも4人目のルディとゼヴの子供たちの前で。
「忘れていた」「思い出せなくなっていた」のではなく、

「思い出したくなかった」記憶は、あまりに残酷で、それは

大きな罪悪感を与えるものでした。
だけど許しちゃいけない。許せない罪もあるはずだから。

 

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ミーン・ドリームス

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ミーン・ドリームズ

 

「ミーン・ドリームス」

原題:Mean Dreams

監督:ネイモン・モーランド

2016年 カナダ映画 104分

キャスト:ジョシュ・ウィギンス

     ソフィー・ネリッセ

     ジョー・コブデン

     ビル・パクストン

 

田舎の農場の息子ジョナスは、隣家に引っ越し

てきた少女ケイシーに心を惹かれる。しかし

ケイシーの父で警察官のウェインの暴力的な態度を

受け、彼はケイシーを連れて逃避行することを計画

するが...。


<お勧め星>☆☆☆☆ 不条理さの中に純粋な心を

感じさせてくれる秀逸な映画です。


暴力と非暴力の愛


1971年映画「小さな恋のメロディ」は厳しすぎる

教師や煩わしい親の干渉への反抗から、「結婚したい」

と願う11歳の少年少女がトロッコを漕いでどこかへ

(未来へ)出発するものでした。一方1968年映画

「ロミオとジュリエット」はシェイクスピア原作で、

敵対する家に生まれた男女の悲恋を描いており、どちらも

純粋な「愛」を感じながら、それを多くの人間が邪魔を

するという皮肉な展開になっています。
この「ミーン・ドリームス」はそのどちらにも似通う

雰囲気がありつつ、大自然が時には美しく、時には厳しく、

そして殺伐した姿を見せながら、ストーリーが進みます。
高校すら行かず、家の農場でひたすら働くジョナス。

母親は心の病なのか、父親も彼も腫れ物に触るような態度で

接します。そんな家の隣に越してきたのが、「やさしい本泥棒」

(2013)のソフィー・ネリッセ演じるケイシー。

迷い込んできた犬を探しに来た彼女を見たジョナスの

心はズキュン!だって可愛いんだもの。

 

ミーン・ドリームズ
 

この後しばし大自然が広がる中、心を通わせる2人の姿が

映ります。でもケイシーはなぜか嘘をつくのです。
「でもあなたには真実を話すわ」

 

ミーン・ドリームズ
 

なぜ嘘をつくのか。彼女の父親は警察官であり、娘を溺愛

しているものの、その過剰な愛情は「束縛」「支配」「独占」

にほかならないことをジョナスはすぐに知ってしまう。とはいえ、

ジョナスの父親も、息子を愛しているものの(多分)どこか

他人事のように息子の話を聞くのです。極めて消極的な愛情と

いうのでしょうか。
ウェインからケイシーを救い出そうとしたジョナスは、

ウェインの恐ろしい姿を見てしまい、無計画な逃避行を

企てます。それはその後ケイシーに
「あなたには何の計画もないじゃない!」と言われ
「僕はあそこからキミを救い出したかったんだ」と答える。
「あなたの行動でわたしは救い出してもらうしかなくなった」と

言うケイシー。
そうなんです。救い出してほしいと思っていたのは、ジョナスも

同じじゃなかったんだろうか。
この2人が対照的な言葉を発するのは、逃避行の最中に銃を

購入した後のことで、とことん非暴力を貫き、弱い男と

感じられる父親のもとで育ったジョナスは、「自分より強い

奴からキミを守るために銃は必要だ」と言います。
逆に怒りがすぐに暴力につながり、それで支配する父親のもとで

育ったケイシーは「銃で物を奪うのはイヤ」と言うのです。
この対比が素晴らしかった。もちろん15歳くらいの少年少女の

カップルと老犬が移動していたら、すぐに見つかってしまい、

行く先々に父親や保安官がやって来ます。そのスリルは、

二人の行く末の不安を煽るばかりなのです。
ラストは「小さな恋のメロディ」っぽかったけれど、あの映画と

同じく、このままずっと行けるはずもないよな。きっと彼らは

元の町に戻るんだろうなと思ってしまうのは未来への希望が

少なすぎるからだろうか。
いつか太ったケイシーが5人くらい子供を持つ肝っ玉母さんに

なって、ジョナスと農場暮らしをしていたらいいなと思って

しまいました。「海」が見たいケイシーにジョナスが見せて

あげた色づく紅葉に囲まれた湖のシーンは本当に美しかったです。

 

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弁護人

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

弁護人

 

「弁護人」

原題:The Attorney

監督:ヤン・ウソク

2013年 韓国映画 127分

キャスト:ソン・ガンホ

     イム・シワン

     キム・ヨンエ

     クァク・ドウォン

     ソン・ヨンチャン

     オ・ダルス

 

1978年高卒で裁判官になったウソクは、

不動産登記専門弁護士に転身する。彼は、次々と

仕事を拡大し、釜山で最も稼ぐ弁護士の1人となるが、

その彼がかつて世話になった食堂の息子が不当な

裁判を受ける話を知ってしまう。


<お勧め星>☆☆☆☆ やはり丁寧に作られており、

俳優陣の演技力も素晴らしいです。


愛国と正義は共存しないのか


ソン・ガンホが主演なので安定の演技力なのは当たり前

のこと。そういえばこの人、朴槿恵大統領時代

「ブラックリスト」に載っていた俳優の1人だとか。

つまり国家を批判したり扇動する恐れがある人たちの

リストがまだ存在したということなのですね。
映画の前半では高卒で異例の裁判官となり、ひたすらお金を

稼ぐことに明け暮れる弁護士に転身するウソクと、後半には

国家保安法違反で逮捕された知人の息子の弁護をする

人権派のウソクはまるで別人のようです。ソウル大での

デモについて「勉強が嫌いだからデモなんかするんだ」と

言い切るのは、彼が大学に行っていないことへの劣等感の

裏返しであり、それはかつての学戦運動の際、それを阻止

する機動隊員が「あんな学生たちは親からの金でのほほんと

暮らしているとんでもない奴らだ」と刷り込まれた構図と

似ているかのように感じます。自分の知らないことを知る

努力をしないと、誰かの言いなりになってしまう。それは

とても恐ろしいことです。
映画内で出てくる釜林(プリム)事件は、全斗換政権が

釜山地域の民主勢力を抹殺するために、学生や社会人を

不当に逮捕、監禁、拷問した事件で、この拷問から自白調書を

書かせるシーンまでがまことに生々しく描かれています。

クァク・ドウォン警監演じるチャ・ドウォンが、また怖い

のなんのって。そしてその拷問を受けた1人ジヌ役はZE:Aの

イム・シワンで、韓国ってアイドルでもこんなリアルな役を

演じるんだと感動すら覚えるのです。
昔の恩人の息子のために税法専門の金儲け弁護士から一転して

人権派弁護士と変わり、それによって大企業の顧問弁護士の

座も捨ててしまう。そこまでしてウソクが求めたものは

何だろう。当時(今も多分そう)韓国司法界は、出来レースで

あり、いかに「量刑」を軽くするかを裁判官、検事、弁護士で

前もって打ち合わせているという、およそ真理の追求とは程遠い

もの。したがってウソクの求める「無罪」というものを勝ち取る

ことは限りなく困難であり、次々に証拠を出しても、それを覆す

不条理な手段を使われるのです。たまたまウソクがジヌと接見

でき、彼の体に残る拷問の跡や彼の話を聞けたから、裁判でも

主張はできたけれど、もし会うことすらないまま裁判に入って

いたら、不当な逮捕、さらに国家転覆計画の疑いなど晴らす

こともできなかったのです。いや、結局晴らせないけれど。
ウソクの孤軍奮闘ぶりは一般庶民からすると極めてまっとうな

ことなのに、全てを拒絶され、法をふりかざして「愛国」を

声高に叫ぶ権力には、立ち向かうことができないのです。
韓国にすると、北朝鮮というのは自国の領土を共産主義の金氏が

率いる労働党が占領しているという考えがあるわけで、2国の

存在を主張する人々は、そもそもの建国精神を揺るがすことに

ほかならないのです。このソン・ウソクが後の廬武鉉大統領が

モデルとなっており、彼の最期は韓国歴代大統領の

それと同じ道筋をたどったものの、1つ異なるのは、彼の死後、

彼への評価が見直され、極めて高い人気を保っているということ。

彼は最後まで庶民に寄り添う人間だったのでしょう。

 

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ミモザの島に消えた母

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

ミモザの島に消えた母

 

「ミモザの島に消えた母」

原題:Boomerang

監督:フランソワ・ファブラ

2015年 フランス映画 105分

キャスト:ローラン・ラフィット

     メラニー・ロラン

     オドレイ・ダナ

     ウラディミール・ヨルダノフ

 

アントワーヌは30年前溺死した母クラリスの死について

疑念を抱く。しかし妹アガットだけでなく、父、祖母など

周りの人間すべてが、その話を語らない。彼は自力で真相を

探り始めるが...。

 

<お勧め星>☆☆☆☆ 美しい自然美とその中で

繰り広げられる謎めいた人間模様が上手く対比して

います。

 

誰もが苦しみを隠していた

 

干潮の間だけ渡ることができる「ゴア通路」。

 

ミモザの島に消えた母

 

フランス西部の島ノアールムーティエ島の本土への通路で、

1971年に有料道路ができたものの、800mほどの距離を

結ぶこの通路は今なお利用されているとのこと。島がミモザの

名所で知られていることから、このような邦題になったの

でしょう。美しい海岸、青々とした木々が風に揺らめき、

明るい太陽光が降り注ぐ、そんな景色を見ていると画面に

吸い込まれそうになります。
原作は「サラの鍵」のタチアナード・ロネ。原作は読んで

いませんが、映画はとてもよくできたものでした。

 

ミモザの島に消えた母
 

冒頭アントワーヌ、アガット兄妹が島からの帰り道の車内で

口げんかをし、そのまま交通事故を起こします。アントワーヌ役は

「エル ELLE」(2016)のローラン・ラフィット。

アガット役は「イングロアス・バスターズ」(2009)、

「オーケストラ」(2009)などで美しいだけでなく芯の

強い女性を演じたメラニー・ロラン。
アントワーヌは30年前、ノアールムーティエ島の沖で溺死した

母クラリスが、彼に「ゴア通路の驚くべき歴史」という本を

遺していたことで、彼女の死に急に関心を持ち始めるのです。

しかしきっかけはそれだけではなく、彼自身が離婚の傷から

立ち直れす、セラピーに通っていることも理由の一つかも。

彼は「自分がなぜ元妻に愛されなくなったのか」その理由が

理解できなかったのかもしれません。それをたどっていくと、

自分が母の死に何かを知っていて、その記憶が封印されて

しまったことに、30年たった今気づいたのでしょう。
妹アガットは母を「クラリス」と呼び決して「ママ」とは

言いません。さらに父、祖母、かつての使用人さえ、母に

ついて多くを語らないのです。「蒸し返すな」と。

 

ミモザの島に消えた母
 

映画の序盤から感じるのですが、この兄妹は決して父と面と

向かって話しません。父は絶対的権威として彼らを守って

きたのです。しかしアントワーヌは、その姿がまるで実の娘

マルゴに対する自分の態度と全く同じであることに気づく

わけです。
これはもしかしたら裕福な家系である自分の家の「しきたり」

のようになっていたのではないか。

 

ミモザの島に消えた母
 

事故後収容された病院で、アントワーヌは遺体安置所で働く

アンジェルと知り合います。先に自分の生い立ちを話したのは

アンジェルで、アントワーヌはやはり話せないのです。

その心の葛藤と、真実を知りたいという強い願望にかられた時、

彼はどう行動するか。
この映画の中には悪い人間は誰も登場しません。誰もが大切な

ものを守るために「真実」を隠し続けてきたのです。ひとり

ひとりの心理状態を丁寧に描き、最後は各々が再生していくで

あろう姿を映すことで未来につながる内容になっています。
最近見た中では最も心に残る映画です。

 

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