(r)adius ラディウス

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ラディウス

出典:IMDb

 

「(r)adius ラディウス」

原題:Radius

監督:キャロライン・ラブレシュ

   スティーヴ・レナード

2017年 カナダ映画 93分

キャスト:ディエゴ・クラテンホフ

     シャーロット・サリヴァン

 

自動車事故を起こしたリアムは全ての記憶を失って

おり、さらに助けを求めた人々が次々と死んでしまう。

彼は何とか自宅にたどり着きそこに閉じこもるが、

突然やってきた一人の女性だけは近づいても何も
起こらない。彼女は彼同様に記憶を失っており、事故

当時同じ車に乗っていたと語るのだったが..。


<お勧め星>☆☆☆ まさかの方向転換だけれど、

それなりに楽しめます。


失った記憶こそ重要


冒頭の雷雨が吹き荒れる中、大破した自動車を見て茫然と

立ち尽くす男の姿は、サスペンス映画やSF映画の始まりに

ぴったりです。この事故はなぜ起きたのか?

 

ラディウス
出典:IMDb

 

さらにジャケットに大々的に書いてあるので、誰かが

近づいてこないかな〜と思ってしまいます。夜が明けて

1台の車に助けを求めた男に、その車が近づくものの、

なぜか道を外れて行くのです。
車内を除くと運転手の女性が瞳を白くして死んでいます。

ギョギョギョ!!

いや、魚ではなく、空から鳥が落ちてきます。さらに彼が

入ったダイナーでも、客や店員が、みんな瞳を白くして

死んでいるのです。
「これは何かのウィルスが蔓延しているんだ」

彼はハンカチで口を押えつつ、ポケットにあった免許証から

自宅を割り出し、そこへ向かいます。彼はなんと記憶が全く

なくて、名前すらも免許証で知るという有様です。ところが

この失った記憶が、結構フラッシュバックしながら断片的に

戻るんですよ。それはかなり早いです。戻り方がキーポイント

なのか、どうでもいいものから戻り、肝心なところは最後に

ようやく戻るという感じ。

これは秘密度で判断しているのかしら。つまり秘密度を1から

5に分けるとすると、名前や住所は秘密度1(いや個人情報は

重要です)、車に乗る前にいた場所は秘密度2、そして絶対に

口チャック要項は秘密度5という感じです。

 

ラディウス
出典:IMDb

 

また、彼なりに考えて、どうやら自分の半径50フィート

(15m)以内に近づく生物は全て死んでしまうと理解します。

死に方はまるで魂が抜けるように、瞳が白くなり、フラ〜と

倒れこんでそれっきりというもので、特に恐ろしくは感じません。

いや、こんな人がいたら怖いか。

 

ラディウス
出典:IMDb

 

そんなリアムのもとに一人の女性がやって来ます。必死で

逃げるリアムに近づいても彼女だけはなんともないし、さらに

同じように記憶を失っているものの、例の車に同乗していたと

語ります。なんせ名前がわからないので「ジェーン・ドゥの解剖」

(2016)同様に「ジェーン」と名乗り、二人で先ず事故現場に

向かうのです。するとその事故現場の奥の森にはぽっかり大きな

穴が開いています。
そうか、そうか。何かが飛来してその電磁波か何かでリアムに

こんな恐ろしい能力がそなわったのか。しかしもう一つ重要な

ポイントがあるのです。それは二人が一緒にいると誰も死なない

ということ。
なので二人で車で移動していても対向車線の車は全く影響を

受けないし、誰かに会っても平気です。ただ戻る記憶の中で

「なぜ二人が一緒にいたのか」

がなかなか出てこないんですよね。

 

ラディウス

出典:IMDb

 

一方で世間ではリアムがバイオテロ実行犯と疑われ始めます。

ジェーンだけならなんともないから、リアムなんて置いて、彼女を

捜している夫らしい人物の元に戻ればいいのに、ジェーンは夫に

ついて一切記憶が戻りません。
よく考えると結構都合の良いストーリー展開で、肝心の記憶と

ジェーンの夫への記憶だけが抜け落ちているというのは少し納得が

いかないところ。まあ、その後急に話が変わってしまうので、

そこからが本筋ということでしょうか。

これは絶対に想像できないと思います。
見終わって思うのは、なぜあの記憶が最後になって戻ったのかは、

リアム自身への制裁だったのか、もしくはジェーンの願望をかなえる

ものだったのか、その両方だったのだろうかということのみです。

ところで宇宙から何が飛来したんだろうね。

 

 

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クワイエット・ボーイ

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クワイエット・ボーイ

出典:IMDb

 

「クワイエット・ボーイ」

原題:In Fondo al Bosco/Deep in the Wood

監督:ステファノ・ロドヴィッチ

2015年 イタリア映画 92分

キャスト:アレッサンドロ・コラーピ

     テオ・アキーレ・カプリオ

     カミッラ・フィリッピ

 

12月5日、イタリア北部の町のクランプス祭の晩、

5歳のトンミが姿を消す。そして5年後身元不明の

少年が見つかり、DNA鑑定でトンミと判明するが、

彼の性格は以前と全く異なっていた。


<お勧め星>☆☆☆ 絶対にアレ系と思うはず。


クランプスは怖すぎる


クランプスは、ヨーロッパ中部の伝説の生物であり主に

ドイツ東南部のバイエルン州とオーストリア中部・東部と

ハンガリーとルーマニア北部のトランシルヴァニア地方と

スロヴェニアにおいて、クリスマス・シーズンの間に

聖ニコラウスに同行する行事でもある。(Wikipediaより)

つまり宗教的な行事であるわけです。日本で言うと、秋田の

なまはげのように恐ろしい扮装をした大人たちが子供たちを

脅かすというお祭りのようなものかなあ。なまはげは、

幼児に強い恐怖体験を記憶させ、その後望ましくない行為を

した場合、その恐怖体験が再現され、抑止力となるとか

なんとか。しかしあんなものが自分の家にどかどか入ってきて

「悪い子はいねえが〜」などと顔をくっつけた来たら、当分の

間夜泣きをする気がしてしまう。

 

クワイエット・ボーイ
出典:IMDb

 

しかしクランプスの扮装はその100倍くらい怖いのです。

「クランプス 魔物の儀式」(2015)はアメリカで製作

された映画なのに、子供に対して容赦なく襲い掛かります。

しかし登場するクランプス一味がありとあらゆる姿をして

いるので、それが動いて襲ってくる姿を見ただけで楽しい

ような怖いような感じでした。
「クワイエット・ボーイ」はクランプス祭の晩、怖がって

家に帰りたがる息子トンミを父親が振り払うシーンから

始まります。トンミがとても可愛い子供なのに、父マヌエルは

大酒飲みだし、母リンダは絶賛不倫中。相手はなんと町の

警察署長ときた。さらにこのリンダを溺愛する父、つまり

トンミから見たら祖父がいるのです。

 

クワイエット・ボーイ

出典:IMDb

 

この中でトンミが姿を消したので、マヌエルが容疑者として

拘束されてしまいます。結局トンミの遺体は見つからず彼は

釈放されますが、その後リンダは自殺未遂するし、リンダの

父からは「お前が目を離したせいだ」とずっとねちねちと

イビられ続けているわけです。

 

クワイエット・ボーイ
出典:IMDb

 

そして5年後、1人の身元不明の少年が見つかり、DNA鑑定

からトンミと判明します。この子がまた美少年なんですよ。

マヌエルは手放しで喜ぶのに、なぜかリンダと祖父、それに

町に1軒しかないバーの店員たちの表情がおかしいですね。

またトンミ自身もかなり無口で、突然攻撃的な行動を取ったり

するのです。
バーの店員のうち、知的障がいのあるディミトリは

「トンミじゃない、悪魔だ」とまで言います。

あれ?もしかして...。無理やり祖父が教会に連れ込むと

トンミは吐いてしまいます。これ決定的じゃないですか〜。
トンミにだけ吠える犬テックスを刺殺したり、リンダのシ

リアルにガラス片を混ぜたり(どれも証拠なし)、これはもう

絶対にアレ系ですね!ね!

 

クワイエット・ボーイ
出典:IMDb

 

ところが5年前のその日のことが少しずつ説明されていくと、

話は全く異なる方向に向かうのです。
結局マヌエルは「よそ者」だったということでしょうか。

予想外の展開でちょっと驚きました。

 

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ザ・シークレットマン

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ザ・シークレットマン

出典:IMDb

 

「ザ・シークレットマン」

原題:Mark Felt:The Man Who Brought Down

         The White House

監督:ピーター・ランデズマン

2017年 アメリカ映画 103分

キャスト:リーアム・ニーソン

     ダイアン・レイン

     アンジェロ・ラノ

 

1972年、ニクソン大統領が再選を目指していた時期に、

民主党本部に盗聴器を仕掛けようとした男たちが逮捕される。

彼らの経歴からFBI副長官フェルトは政権幹部の関与を疑うが、

捜査は早々に打ち切りが決まってしまうのだった。


<お勧め星>☆☆☆半 骨太で見ごたえのある内容でしたが、

終盤少し端折った感じがしています。


自己犠牲の精神


リーアム・ニーソンを見たら「96時間」(2008)の娘を

溺愛するものすごく強いパパとしか思えないのですが、今映画

ではほとんど無表情で笑顔すら浮かべない仕事人間を演じています。
時代はベトナム戦争反対デモが全米で起き、いわゆるヒッピーたちが

自然回帰を目指しコミューンをあちこちに形成していたのです。

映画内ではそのコミューンにフェルトの娘ジョーンがいるシーンが
あります。

 

ザ・シークレットマン
出典:IMDb

 

そして共和党のニクソン大統領は再選を目指し、目の上のタンコブ

的存在のFBI長官フーヴァーの退任を望んでいたのです。なんせFBIは

政治家の隠しておきたい嗜好や不倫、家族環境まですべて知り尽くして

おり、それをいつ活用されるかわからないので、絶対に政権の傘下に

置きたいと思ったのです。

しかしFBIは独立機関であり、約50年にわたって長官を務めた

フーヴァーによってその力は絶大なものでもありました。
フーヴァーについては、レオ様主演の「J・エドガー」(2011)

でリアルに描かれていました。
そのフーヴァーが急死すると、あっという間に「公的機密資料」を

廃棄、焼却するFBI職員の姿が映ります。さらに次期長官と思われた

フェルトは副長官のままで、司法省からグレイが長官代理として赴任
するのです。

 

ザ・シークレットマン

出典:IMDb

 

これには次期長官になると信じて、今まで私生活を犠牲にして

きたフェルトの妻オードリーは落胆極まりないし、そもそも

FBI職員は生え抜きが出世していくと信じていたので、職員内

にも動揺が走ります。

 

ザ・シークレットマン

出典:IMDb

 

この時のフェルトの表情が全然変わらないんですよ。

リーアム・ニーソンの演技がすごい。
そして起きたウォーターゲート事件を当然のことながら

グレイ長官代理は早々に捜査終了する指示を出します。なぜに

こんな大きな事件を小さな目的で行ったと済ませるのか、普通

疑問に思うけれどまあ、そんなことは今となっては幾つもあって、

「慣れ」はこわいと思うほどです。
そして反旗を翻すのが、FBIに仕えて30年のフェルトです。

民主党本部に盗聴器を仕掛けようとした犯人のうち4人が元CIAで

あり、現政権と近い人々であれば、本丸は誰か言わずもがな。

しかしそれに触れることは自分の地位を捨てることに等しい

どころか罪に問われるかもしれません。それでもフェルトは

「アメリカの正義」であると言い切り。猪突猛進するのです。

 

ザ・シークレットマン

出典:IMDb

 

これは明らかに周りを巻き込んでの強引すぎる手法ですが、

そこまで彼を行動させた原動力は何でしょうか。そこは彼の

自己犠牲の精神という精神論で終わらせたくないですね。
ニクソン大統領が「第二次世界大戦におけるドイツは正しかった」

と発言していると言うセリフを聞くと、フェルトの「正義」と

いうものの存在があぶり出されてきます。しかしそれは彼個人の

もので、彼の家族や同僚にとって同じものであったかどうかは

何とも言えない感じです。
この映画よりかなり前に観た「ペンタゴン・ペーパーズ」(2017)

はウォーターゲート事件の前のワシントン・ポスト紙記者の姿で

あり、それも含めて権力に屈せず、事実を真実として報道する
ことの重要さを確認できるものです。

真実を曲げるのはあまりにも簡単なことなのかもしれません。

 

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誰もがそれを知っている

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誰もがそれを知っている

出典:IMDb

 

「誰もがそれを知っている」

原題:Todos lo saben/Everybody Knows

監督:アスガー・ファルディ

2018年 イタリア=フランス=スペイン映画 

133分

キャスト:ペネロペ・クルス

     ハビエル・バルデム

     リカルド・ダリン

     バルバラ・レニー

 

妹の結婚式に出席するため、アルゼンチンからスペインに

帰省したラウラと子供たちは、家族や幼馴染のパコとの

再会を喜び合う。しかし式の後のパーティーの最中に

ラウラの娘イレーネが誘拐されてしまい、それをきっかけに

様々な人々の秘密が暴かれていくのだった。


<お勧め星>☆☆☆半 人間関係が複雑でさらにそれぞれの

心中を映像から察するしかなく、やや不完全燃焼の印象です。


平凡な日常は砂山

 

 

 

<ネタバレしていないと思うけれど注意してね>


アスガー・ファルディ監督の作品はいくつも見ており、結構

大好きなものばかりです。
「彼女が消えた浜辺」(2009)
カスピ海のリゾート地の海岸で姿を消した1人の女性を

巡って、仲の良かった夫婦、友人同士が互いを責め立てて

いく。冒頭に車の窓を全開にして大騒ぎをしていた男女が

どう変わっていくか、どこまでも美しい浜辺の青空と共に

描かれていました。
「別離」(2011)
娘の教育のため、外国に移住したい妻と実父の介護のため

国に残りたい夫との離婚話から始まり、貧しい介助人に

起きた悲劇を重ね合わせて、宗教戒律の厳しさ、男中心の

社会、貧富の差を強く印象付けています。
「ある過去の行方」(2013)
離婚手続きをするためテヘランから妻のいるフランスに

来た夫が、妻にはすでに再婚相手がおり、さらにその

再婚相手には、実は植物状態の正妻がいて..というかなり

ややこしい人間関係と肝心なことが最後まではっきり

わからなかったと覚えています。

で、どうなんだという感じでした。
「セールスマン」(2016)
舞台劇を演じる夫妻の妻が、ある時暴行され、その事件を

きっかけに夫婦の関係が少しずつひび割れていく様を、

舞台上の演劇を同時に映しながら描いています。まさに

水面に放った石の波形がどんどん広がっていく姿そのもの

という感じでした。
いずれの作品も明確なラストが提示されず、見る側が

推測するものになっています。

個人的には「彼女が消えた浜辺」が一番好きで、はしゃいで

いた浜辺の人々の声が悲鳴に変わった瞬間からの映画の展開の

仕方が、登場人物の心の奥底を抉り出していくような気分に

襲われます。それでいて景色はどこをとっても美しいのです。
「誰もがそれを知っている」もまさしく同じような展開です。

 

誰もがそれを知っている

出典:IMDb

 

アルゼンチンから妹の結婚式に出席するためにスペインに

戻ったラウラの娘イレーネが結婚式のパーティーの最中に

誘拐されてしまう事件から始まります。

 

誰もがそれを知っている

出典:IMDb

 

とにかく登場人物が多く、その関係を知るのに一苦労です。

ラウラ役のペネロペ・クルスやパコ役のハビエル・バルデム、

またラウラの夫アレハンドロ役のリカルド・ダリンはすぐに

覚えられるけれど、同じような年恰好の男性、女性がどれも

同じに見えてしまう。
そして身代金を要求するメールまで届いたのに

「なぜに警察に届けないのか」

とずっと疑問に思い続けました。しかしスペインの小さな町では、

誰が何をしたか、話したかなどは一晩で伝わってしまう。
したがってまずは体面を繕いたかったのだと判断しました。
ラウラにはアルゼンチンに残った夫アレハンドロがいるものの、

この町には元恋人パコがいて、イレーネが誘拐された時、

ひたすら彼に頼るのです。パコもラウラのために妻ベアが

止めるのも無視してイレーネ捜しに奔走します。ラウラの

依存心とパコの責任感の強さには少しあきれ返るほどだった

けれど、それについてはある隠された事実

(実は誰もが知っていた)が背後にあるとわかると納得です。
「あの日に戻りたい、もう一度」を結婚式でみんなで歌って

いました。そんな思いは誰もが持っているけれど、それが

叶わないことも誰もが知っているはずなんですよね。

 

 

 

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さらば愛しきアウトロー

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さらば愛しきアウトロー

出典:IMDb

 

「さらば愛しきアウトロー」

原題:The Old Man & The Gun

監督:デヴィッド・ロウリー

2018年 アメリカ映画 94分

キャスト:ロバート・レッドフォード

     ケイシー・アフレック

     シシー・スペイセク

     ダニー・グローヴン

 

1980年代のアメリカで銀行強盗と16回の

脱獄を繰り返しているタッカーを刑事ハントが

ひたすら追い続ける。そしてタッカーは遂に銀行の

金ではなく金塊を狙う計画を立てるのだった。


<お勧め星>☆☆☆ ひたすらのどかな強盗の話で

年齢を重ねたレッドフォードの人生と重なります。


銃を地面に置く


山口百恵が引退発表をし最後のステージで最終曲を

歌い終わった時、マイクを持ったまま舞台を後に

しました。その後松田聖子が婚約を発表した時の

ステージは、マイクを持ったまま舞台のそでに下がる

という対照的な行動をとったことは今でも覚えています。

ああ、でも聖子ちゃんは何回結婚したんだっけ。

そもそもその前にも数多くの噂が流れていたなあ。

女性が結婚すれば、仕事をやめ家庭に入るのが普通

だった時代に、今から考えると聖子ちゃんは時代の先を

行く女性だったのかもしれません。
そんな話と全然関係ないけれど、この映画は

レッドフォードが俳優として最後の作品だと公言して

いるものです。

 

さらば愛しきアウトロー
出典:IMDb

 

70歳にして銀行強盗を重ねるタッカーとその仲間は、

あくまでも人を傷つけずに紳士的な態度で金を奪うことが

モットーなのです。
「キミは美人だね」
「キミは仕事熱心だ」
などと銃を見せて金を奪った相手を褒めるセリフを残して

現場を去るので、被害者本人は、タッカーのそれほど悪い

印象を持たないどころか、逆に「紳士的」とまで褒めて

しまいます。かなりキザだけど、かつてイケメン俳優で

一世を風靡したレッドフォードだから許せちゃう。

彼が出演した映画で一番好きなのは「追憶」(1973)で

人気者でハンサムのレッドフォードと口から唾を飛ばす

勢いで理想に燃える活動家のバーブラ・ストライザンドの

組み合わせが両極端だと思ったことを覚えています。

バーブラが歌う「The Way We Were」は今聞いても涙が

自然と流れてきます。

 

さらば愛しきアウトロー
出典:IMDb

 

さて一方のタッカーたちを追う刑事ハント役は、

ケイシー・アフレック。最初ケイシーと気づきませんでした。

典型的な童顔だったのに、それがいつの間にか渋さを

感じさせる中年になっているんです。

 

さらば愛しきアウトロー
出典:IMDb

 

またタッカーといい雰囲気になるジュエル役の

シシー・スペイセクが最高にキュートな女性です。

「キャリー」(1976)での線の細さがそのまま残り、

皴の一つ一つに優しい年輪が刻まれているような雰囲気
なのです。
ストーリーは実話がベースなので特に目新しいものはなく、

ひたすらのんびりとした銀行強盗シーン、カーチェイスが

続き、時々クスリと笑えるようなセリフや映像が映ります。

タッカーにとって記憶の中からすっかり消え去っていた事実が、

まさか...。おーっとここは言っちゃいけない。
「スクリーン」「ロードショー」という映画雑誌の表紙を飾り、

付録のポスターにもなっていたレッドフォードは、最後まで

紳士としてふるまって銀幕を去るのでしょうか。かっこいいな。

 

 

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バーニング 劇場版

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バーニング

出典:IMDb

 

 

「バーニング 劇場版」

原題:Burning

監督:イ・チャンドン

原作:村上春樹

2018年 韓国映画 148分 PG12

キャスト:スティーヴン・ユアン

     チョン・ジョンソン

     キム・スーギョンイク

 

デパートの抽選会場でジョンスは幼馴染のヘミと

再会する。アフリカへ旅行する彼女の頼みで、

飼い猫にえさを与えることを引き受けるが、帰国

した彼女は、ベンという裕福な男性と一緒であった。
しかしある日を境にヘミに連絡が一切つかなくなり...。


<お勧め星>☆☆☆半 謎めいたストーリーと数々の

映像にどんな意味があるのか、深く考えてしまう映画

です。


猫の名前はボイル


原作は村上春樹の「納屋を焼く」という30ページ

ほどの短編小説です。もちろん未読ですが、どうもこの

原作が謎だらけらしい。妻帯者である小説家の「僕」が

語り手で、パーティーで知り合った「彼女」と懇意に

なるものの、ある時アフリカ旅行した「彼女」は「彼」

と恋仲になって帰国する。しかし「僕」の語りに嫉妬の

色は特にない..。(GQ JAPANより抜粋)
このストーリーがベースとなって、人物像に様々な改変が

あります。
監督は「オアシス」(2002)

「シークレット・サンシャイン」(2007)の

イ・チャンドン。「オアシス」はまさに純愛物語なのに、

そのカップルが、知能が低く前科持ちの男と重度の脳性麻痺
の女性ということで、周囲から全く認められないという

不条理な姿を見せられました。でも純粋すぎる愛の形をぜひ

とも見てほしいです。

そして「シークレット・サンシャイン」はこれでもかという

ほど不幸に見舞われた女性に無償の愛を注ぐ男性の姿を描き、

結構涙がこぼれたものです。

 

バーニング
出典:IMDb

 

「バーニング」では原作と異なる人物像として、「僕」である

ジョンスは、暴力沙汰で裁判中の父親を持つアルバイト青年で、

真面目かつ一途であるけれど、感情を表に出さない地味な人間です。
彼と再会するヘミは、実はカード借金まみれで家族と疎遠だとか、

虚言癖があるとかは、失踪した後にほかの人の口から聞かされます。

そして3人目の男ベンは、ポルシェ911カレラSを乗り回し、
高級マンションに住む謎の人間なのです。彼の楽しみは2か月に

1回ビニールハウスを燃やすこと。それも役に立たないとベンが

判断した古くて汚いものに火をつけると言うのです。
ヘミがアフリカに行っている間、ジョンスはネコのえさやりを

頼まれるのに、その間にネコは一度も姿を現しません。声すらも

聞こえないのです。ところが後半、ひょっこり姿を見せ、名前を

呼ぶと近寄ってきます。「え?」あの狭い部屋で見つからなかった

のに、この広い部屋では声が聞こえ、呼ぶと近づくんだ。

そのネコの存在も意味深です。
さらにベンは大金持ちらしいけれど何をしているのでしょう。

これについては一切の説明がありません。ベンのマンションが

街中にあるのに引き換え、ヘミのアパートはやや町はずれの

小さなもので、さらにジョンスの実家は、北朝鮮の対南スピーカー

が聞こえる場所です。寒々しい農村が唯一美しいと感じるのは、

3人がジョンスの家の庭でそろって夕日を見る時で

「今日が一番いい日」と語るヘミの言葉通りなのです。

 

バーニング
出典:IMDb

 

バーニング

出典:IMDb

 

ビニールハウスを燃やすという話は真実だったのか、ヘミの

行方はどうなっているのか、序盤にジョンスの実家にかかって

いた無言電話は誰からだったのかなど「謎」に対しての明確な

答えはありません。しかし謎は謎のままで受け入れられる

ようなそんな雰囲気の映画です。

 

バーニング

出典:IMDb

 

吐く息が真っ白に見える場所で、燃え盛る炎にはいろいろな意味の

エネルギーを感じます。そして全裸で雪の中を歩くのは
ものすごく寒いと体感できるものでした。

靴も捨てたんかい!

 

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レベル16 服従の少女たち

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レベル16

出典:IMDb

 

「レベル16 服従の少女たち」

原題:Level 16

監督:ダニシュカ・エスターハジー

2018年 カナダ映画 102分

キャスト:ケイティ・ダグラス

     セリーナ・マーティン

     サラ・カニング

 

孤児であったヴィヴィアンは「服従」「清潔」を

美徳として重んじられる寄宿学校で育つ。そして

養子に出される最終段階のレベル16になった時、

同じクラスのソフィーから恐ろしい事実を聞かされる

のだった。


<お勧め星>☆☆☆ ストーリーはよくあるものですが、

いくつかの映画のシーンを思い出す内容になっています。


女性の美徳


従順、清潔、忍耐、謙遜、純潔、温厚、節度を

「女性の美徳」として掲げ、規則正しい生活を送る

ヴィヴィアンたちは、毎日背が高くてとーっても怖い先生

からその規則を唱和させられているのです。

 

レベル16
出典:IMDb

 

冒頭にレベル10の時にヴィヴィアンが時間通りに顔を

洗えないことで「不潔」扱いされて、守衛に連れ去れます。

この後何があったのか、全く説明がないけれど、まあ何かの

罰を受けたんだろうな。

 

レベル16
出典:IMDb

 

そして晴れて最終学年「レベル16」になった時、かつて

彼女を見捨てたソフィーと同じ部屋になるのです。

ヴィヴィアン、目から火花を散らして彼女を威嚇します。

なんせソフィーのせいで「不潔」扱いされて進級が遅れたん

だから!わたしは優秀でとてもいい里親のもとに行けるはず

なんだから!こんな思いでしょうか。
しかし「学習」という習慣や「食事のマナー」は全くないのです。

床にトレーを置いてむしゃむしゃむしゃむしゃ食べるだけです。
彼女たちには「好奇心」「怒り」「感傷」「粗野」は

「不潔な行為」と教え込まされているので、自ら考えることは

なく、ただ規則さえ守るという日々を送っています。これこそ

人間をコントロールできる手法なんでしょうね。

 

レベル16

出典:IMDb

 

時々医者からワクチンを打たれます。これは何のワクチン?
ここまで「清潔」にこだわると「私を離さないで」(2010)

と似ている内容かと思ったけれど、彼らには男女間の恋愛、

いや友情を交わす時間が設けられていました。しかしこの

寄宿学校はどうでしょう。まさに日光すらあたらない監獄の

ような環境なのです。

映画の中盤くらいで「目的」が理解できますが、それが結構

あり得そうなものだから怖いです。
「闇の子供たち」(2008)を見た時には、貧困ゆえの選択が、

命の価値に格差を与えていると実感し、見終わってから

ひたすら心が重くなりました。「ひとつの命」は同じ重さで

あるはずなのにそれが今全く実感できなくなっているのがとても

悲しいです。このヴィヴィアンたちも家族に売られてきた

身の上なのです。
ヴィヴィアンたちは毎晩、ビタミン剤をしっかり飲みますが、

それがたまたま「青色」というだけで彼女たちはうれしそうな

表情を浮かべます。ん?色は教わっていたんでしょうか。そして

最も驚いたのは実は「字が読めないんです」。

「動く絵」=「映画」それもかなり古いものを見ることだけが

楽しみで、セリフすら覚えてしまっています。
後半次第に明らかになっていくこの学校の真相は、想定内のもの

でしたが、それでもどのように展開していくか、とか「友情」に

気づけるかとかいろいろな思いで見てしまいます。さらに守衛たちが
ロシア語?を話していることから、実はとても大きな国際組織が

背後にいることに気づいてしまうのです。これもあり得そうで怖い。
人間の欲望は際限がなく、それを叶えることで金儲けをたくらむ

人々はいくらでもいるのだと思うと絶望に近い思いを抱いて

しまいました。でも映画の最後は良かったです。
あんなバカ力が出るのかとか、筋肉トレーニングしてないのに

足が速いとか、ソフィーの近眼はどうなったなどいろいろツッコみ

どころはありますが、スリルは味わえます。

 

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未来を乗り換えた男

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未来を乗り換えた男

出典:IMDb

 

「未来を乗り換えた男」

原題:Transit

監督:クリスティアン・ペッツォルト

2018年 ドイツ=フランス映画 102分

キャスト:フランツ・ロゴフスキ

     パウラ・ベーア

     ゴーデハート・ギーズ

 

ファシズム体制下のドイツ。ヴァイデルという作家に

手紙を渡すように依頼されたゲオルグは、彼の死を

確認し、遺品を持って貨物列車に乗り込む。そして

マルセイユにたどり着いたゲオルグは謎の女性を何度も

見かけながら、自分の身を守るためにヴァイデルに

なりすまし、メキシコへ亡命することを計画するのだった。


<お勧め星>☆☆☆半 結構ややこしい内容ですが、現代の

問題に置き換えて考えると納得できるものになっています。


自分でなくてよかったという恥


監督は「東ベルリンから来た女」(2012)

「あの日のように抱きしめて」(2015)の

クリスティアン・ペッツォルトです。

「東ベルリンから来た女」は、ベルリンの壁崩壊前の

東ドイツを舞台にした小児科医バルバラの話で、医師と

してのモラルと自分の将来を天秤にかけざるをえなかった

女性の葛藤が描かれていました。秘密警察シュタージの

監視対象に対する行為は、身体精査などというおよそ

非人道的なものが存在し、恐怖しか感じません。
そして「あの日のように抱きしめて」はナチス強制収容所で

顔に大けがを負い、再生手術を受けた女性が、彼女に

気づかない自分の夫の態度に驚きつつ、それを受け入れて

いくもので、自分の存在をアピールする妻とひたすら

それから目をそらそうとする夫との駆け引きは見ごたえが

あります。
この「未来を乗り換えた男」はファシズム体制下のドイツ

から逃れてきたゲオルクという男性が主人公です。

彼は反体制派の仲間から作家ヴァイデルへの手紙を託される

のです。
ずっと疑問なのは、ゲオルクがなぜIDを持っていないのか

とか「ドイツ人と占領軍の掃討作戦」は何に対して行われる

のかとか、そもそもこれはいつの時代の話なのかということ

です。通信手段は固定電話や手紙なのに、道路を走っている

警察車両は現代のもの。これが最後まで違和感として漂い

続けるものの、中盤あたりでゲオルクが可愛がっていた子供と

その母が姿を消し、その部屋に数えきれないほどの難民らしき

人たちがいるのを見ると、これはナチス時代の迫害と今

ヨーロッパで起きている難民排斥の波と被るのではないかと

感じます。

その話は別にして、ゲオルクはヴァイデルの死を知らされ、

彼の遺品を半ば押し付けられるのです。そしてケガをした

ハインツと貨物列車に乗り込みマルセイユにたどり着くと、

彼は亡くなり、ゲオルクは辛うじて追手から逃れることが

できます。彼は仲間の指示通りハインツの家をたずねると、

そこには息子と耳が不自由な母親が住んでいる。

 

未来を乗り換えた男

出典:IMDb

 

この二人がドイツ人の風貌ではないのです。ここはとても

ややこしいです。

 

未来を乗り換えた男
出典:IMDb

 

さらに街では同じ女性に数回出会い、2回は誰かと間違えられ

肩に手をかけられます。この女性は誰なのか?
それを知った時には、ゲオルクは身の危険を感じてヴァイデルに

なりすまし、メキシコへ渡航する手続きを進めています。

マルセイユ→メキシコ→アメリカへと乗り継ぐらしい。そのときの

メキシコ領事の

「捨てられた者と捨てた者とどちらが先に忘れる?」

という問いも意味深ですね。ゲオルクだけ亡命することを知り、

ハインツの息子は二度と会おうとしません。またヴァイデルは妻に

絶縁状を送られていたらしいのです。

 

未来を乗り換えた男
出典:IMDb

 

そして例の女は医者のリヒャルトと愛人関係にあるのに、ゲオルク

にも気のあるそぶりを見せます。

ゲオルクが彼女のためのビザ申請に成功すると(これは成功と

いうのかしら)酒場で二人は大喜びするのです。

 

未来を乗り換えた男
出典:IMDb

 

そのとき周りにいた人たちの冷たい視線は

「不幸な者は他人の幸福を嫌う」

というナレーションとぴったりなんです。また映画内でゲオルクが

ヴァイデルになりすまして取り締まりから逃れた時に他の女性が

連行されますが、そのときホテルにいた人々がみな下を向くのです。

「自分でなくてよかった」と考えたことを恥じているという

ナレーションがここで流れ、その通りだと感じます。
最終的にゲオルクが決断したことは、タクシー内で例の女性マリーに

聞いた言葉が引き金でしょうが、全て振り返ってもあの選択しか

ありえなかったと思うのです。ゲオルク、リヒャルド、マリーの
胸の内を深く考えてしまう映画でした。

 

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ロスト・マネー 偽りの報酬

4

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

ロスト・マネー

出典:IMDb

 

「ロスト・マネー 偽りの報酬」

原題:Widows

監督:スティーブ・マックイーン

2018年 アメリカ映画 129分

キャスト:ビオラ・デイビス

     ミシェル・ロドリゲス

     エリザベス・デビッキ

     シンシア・エルホ

     コリン・ファレル

     リーアム・ニーソン

 

シカゴで4人の強盗犯が逃げ込んだ倉庫の爆発で

死亡する。そしてその金が市議会議員候補ジャマール

のものであったため、強盗の主犯格ハリーの妻ヴェロニカ

は金の返済を迫られるのだった。


<お勧め星>☆☆☆ 豪華な俳優陣に目を見張りますが、

内容は普通。


神父様、あなたはどちらの味方ですか?


1983年放映のイギリスBBC製同名ミニシリーズを

「それでも夜が明ける」(2013)の

スティーブ・マックイーン監督が映画化したものです。

「妻たちの落とし前」という邦題で劇場公開予定でしたが、

中止になりました。「ロスト・マネー 恐怖の報酬」

「妻たちの落とし前」どちらも題名がいまいち。
「それでも夜が明ける」では自由黒人ソロモンの12年間の

奴隷生活を描いていました。ソロモンが騙されて

売り飛ばされ、働かされる農場の監督官役のポール・ダノが

本当に陰湿で、そればかり印象に残っています。
アカデミー賞作品賞を受賞したものの、個人的には

「自由黒人」というものの存在を初めて知った程度の感動しか

覚えませんでした。
さてこの「ロスト・マネー」では、とにかく登場する俳優が

豪華です。シカゴ市議会18ブロック候補ジャック・マリガン役

はコリン・ファレル、その対抗馬ジャマール・マニングの弟役が

「ゲット・アウト」(2017)のダニエル・カルーヤです。

 

ロスト・マネー

出典:IMDb

 

ロスト・マネー

出典:IMDb

 

「ゲット・アウト」は劇場で鑑賞しましたが、(毎度おなじみ

ボッチ鑑賞)「何かがおかしい」というポスターの通り、

最初から違和感を覚え、それがまさかあのような展開に
なっていようとは...。「わたしは全然差別していないのよ」

という温和な顔と裏腹の心の内があのような恐怖になって

現れるなんて...。これぜひとも見てほしい映画です。
そして序盤に派手な強盗シーンを繰り広げる4人の男性の内

リーダー格のハリー役はなんとリーアム・ニーソン。

 

ロスト・マネー

出典:IMDb

 

隠れこんだ倉庫で車ごと大爆発してしまうんです。その前に

映った妻ヴェロニカとのネチネチチューシーンは、

「電車の中のべたべたカップルのキモさ」並みに気色が悪い

けれど、お二人ともきれいだから許す。

 

ロスト・マネー

出典:IMDb

 

そのヴェロニカ役は「ヘルプ〜心がつなぐストーリー」(2011)

のビオラ・デイビス、同じように夫を亡くしたリンダ役は

ミシェル・ロドリゲス、アリス役はエリザベス・デビッキという

素晴らしい顔ぶれです。特にエリザベス・デビッキの190cmと

いう高身長とツイギー人形のように手足が細く長くスタイル抜群の

美人ぶりには目が釘付けになります。彼女の映画内の母親役が

「アニマル・キングダム」(2010)の肝っ玉ばあさん、

ジャッキー・ウィーバーでこの映画では娘にエスコートサービスで

稼ぐように促す腹黒い自己中女性を演じています。怖いんですよ。
彼女たちの夫が強奪した金が、市議会議員候補ジャマールのもので、

それを30日以内に返却するように迫られたヴェロニカが、

ひょんなことで手に入れた夫の犯罪計画ノートを活用して、一攫千金を
狙うというのがこの映画の主要なストーリーです。

 

ロスト・マネー

出典:IMDb

 

中盤以降までそれぞれの境遇や夫との関係、市議会議員候補ジャックと

ジャマールの状況が細かく描かれ、とにかくジャマールの弟の残虐性

にはどきりとさせられてばかりです。ヴェロニカの愛犬をあんな風に

掴むなんて許せないわ!
ところで、ハリーがどんな人物だったのかということについては、

あまり丁寧に説明されず、それほどのワルだったのかとか、なぜ

この地域で勢力を持っていたのかよくわかりません。それと中盤付近に
発覚する事実で、先が読めてしまうのがとても残念です。あれは

最後にわかった方がよかったんじゃないかなあ。
またジャックと父親の対立と彼が何を目的に行動していたのかも

十分理解できませんでした。
それでもアフリカ系住民の貧しくすさんだ生活がリアルに描かれ、

彼らを支配する白人たちの偽善的な行動にも目が向けられた気が

します。しないよりした方がいいに決まっているけれど、それは
現代の奴隷のようなものになってしまうとも思うんですよね。

 

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迫り来る嵐

4

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

迫り来る嵐

出典:IMDb

 

「迫り来る嵐」

原題:The Looming Storm

監督:ドン・ユエ

2017年 中国映画 120分

キャスト:ドアン・イーホン

     ジャン・イーイェン

     トゥ・ユアン

     チェン・ウェイ

     チェン・チュウイー

 

1997年、中国南部のある町で連続女性殺人事件が

起きる。現場近くの工場の保安員ユイは、その事件に

強く関心を持ち、同僚リウと共に犯人捜しを始めるが...。


<お勧め星>☆☆☆半 単なるサスペンス映画ではなく

この時代の中国の社会問題も描いています。


醒まさないのはあなたの方


監督は「薄氷の殺人」(2014)のドン・ユエ

(ディアオ・イーナン)。見るからに幸薄そうな女性と、

私生活と刑事としてのキャリアでも失敗をし、酒におぼれた

男が登場する寒くて暗いサスペンス映画です。
でも結構好き。

「白昼の花火」がラストに打ち上げられ、刑事ジャンの

深い胸の内がそれにすべて反映されていたように思います。
そして今回は、廃工場の爆破風景と空から降り注ぐ雪が

主人公ユイの心を描いています。
冒頭、刑務所を保釈されるユイは、遡ること1997年、

国営鉄工場の保安課で働き、同僚たちの信望も厚く、さらに

このところ立て続けに起きる女性殺人事件の現場で捜査に

当たるジャン刑事とも(ここでも刑事がジャン)顔なじみ

なのです。

 

迫り来る嵐

出典:IMDb

 

しかし「立場をわきまえろ」と言われてしまう。とはいえ職場

でのユイ探偵などと言われているので本人はなんとかこの事件

の犯人を見つけたいと思うわけです。

 

迫り来る嵐

出典:IMDb

 

そんなことをしている間に社会が変貌していることに

これっぽっちも気づきません。
1997年という年は、香港がイギリスから中国に返還された年で

あり、今まさに抗議活動で揺れる香港が、中国という国家に

戻されたことが意味するものは、経済面だけでなく人々の心にも

大きな変化を与えていたと考えられます。この映画は中国本土側

から見た香港返還による影響で、その変化に気づかない、もしくは

ついていけない人々を描いており、絶対に混乱していたはずの

社会を直接的には描いていません。

ひたすら降り続く雨、ぬかるんだ道路、流れていく雨水に血が

混じっていく様で、あらゆる面において多くの犠牲を伴って変貌を

遂げて行ったことを意味しているように思えます。
余談ですが、ユイ役のドアン・イーホンがとてもイケメンなんです。

 

迫り来る嵐
出典:IMDb

 

保安員であるユイが模範工員として表彰されるとき、壇上で

スピーチを任されるのですが、その時になぜか上から白いものが

降ってきます。それがラスト2008年にこの地を襲った

大寒波によって降る注ぐ雪と重なり、偽りが現実となっていく

ことを象徴しているかのようです。
また殺人事件に関心を持ち過ぎたことで、1つまた1つと、

大きなものを失っていきます。それが自分のせいだと気づけない

ユイには歯がゆさしか感じません。

 

迫り来る嵐
出典:IMDb

 

そして幾度となく映る陸橋の上に立ち、手すりにもたれるユイの

姿は、時を経て少しずつ変貌します。

「あなたの望みはなに?」と尋ねてくれたイェンズに何も

答えなかったユイ。その「望み」はなんだったのでしょう。
次に待ち合わせる時、そしてラストに映る陸橋の風景は、下を走る

列車を見ただけでも大きく変化したことを感じるのです。
ユイの名前は余と書き、「余分の余だ」と2008年に語るユイの

年齢を重ねた風貌が、全てを悟った彼の姿そのものでした。

 

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