ベイルート

3

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

ベイルート

 

「ベイルート」

原題:Beirut

監督:ブラッド・アンダーソン

2018年 アメリカ映画 109分

キャスト:ジョン・ハム

     ロザムンド・パイク

     ディーン・ノリス

     ラリー・パイン

     シェー・ウィガム

 

1982年、内戦状態のレバノンで、アメリカ

政府職員が武装組織に拉致される。かつてレバノン

で妻を失ったメイソンは既に外交官を辞めていたが、

当時の友人を奪還するため、レバノン行きを指示

されるのだった。


<お勧め星>☆☆☆ 中東における国や組織の複雑な

駆け引きの構図を垣間見ることができます。


交渉能力


脚本はボーンシリースのトニー・ギルロイ。後でこの

ことを知ると、複雑なストーリーや身内の裏切り、交渉

の姿などが巧みに描かれていることも納得です。
主役の元外交官メイソン役は「ベイビー・ドライバー」

(2017)でバディ役を演じたジョン・ハム。セクシー

な恋人を連れたインテリ風な姿でしたが、今回もやはり

インテリ風。映画内では、幼少期から交渉術を学ぶ家庭で

育っていたと話します。家庭内の交渉術=父母間の信頼の話。

まあそこにも交渉が必要で、一方だけの主張を通すのは

後々問題が起こる種になるというものです。
さてのどかで優雅なホーム・パーティーのシーンは1972年

のレバノン、ベイルート。メイソンは妻ナディアと養子で

パレスチナ人のカリームと共に要人をもてなしているのです。

ここでピンとくるのは1972年という年です。この年の

9月にはミュンヘンオリンピック選手村でパレスチナ武装勢力が、

イスラエル選手、コーチを11名殺害する「黒い九月事件」

が起きたその年なのです。この事件は2005年に

スティーヴン・スピルバーグ監督が「ミュンヘン」として

映画化しており、事件前後の様子と、これに報復する

イスラエル諜報組織モサドの作戦が実にリアルな映像で描かれ、

モサドのそれはそれはすごい情報収集能力と残虐さ

(これはどこのスパイ組織でもそうなんだろうけど)
を思い知らされた気がしました。そういえば、ナチの戦犯

アイヒマンを潜伏先の南米で拉致したのもモサドだったなあ。
したがってこのパーティーの途中で起きる爆撃事件は

「黒い九月事件」に関連して起きたものだと想像できるのです。

とにかくPLO、イスラエル、アメリカ、そしてこの国レバノン

の立ち位置をしっかり把握していないと話について行けないし、
それをすることで今再び悲惨な出来事が起こっている中東情勢

について知るきっかけにもなります。宗教、民族、領土、

すべてが絡んだ場所での紛争に大国の思惑が絡み合うと、

本当に収拾がつかないのではないかと絶望的な思いにもなるの

です。
カリームは爆撃したメンバーに連れ去られ、(彼の兄は

「黒い九月事件」によって逮捕されている)妻ナディアを失った

メイソンは、そのままアメリカへ戻り、10年後、アルコール

に溺れながら法律事務所で民間企業専門の仲裁を行っている。

そこへ突然ベイルート行きの話を持ち掛けらるのです。あれほど

美しかった街並みはことごとく破壊され、10年間の内戦の

爪痕がそこかしこに残り、要所では民兵が検問をしている。

遠くで砲撃の音やすぐそばで銃撃音が鳴り響く街。

 

ベイルート
 

その中でメイソンに課せられた任務は、武装集団に誘拐された

アメリカ人2人を連れ戻すこと。このうちの1人は彼の

友人カルだったため、メイソンが呼ばれたらしい。ここで

頭が混乱するのですが、メイソンはどこに雇われたのか。

ロザムンド・パイク演じるサンディやゲインズ、そしてカル

はCIAのスパイらしい。ルザック大佐は国家安全保障会議(NSC)、

さらにはウォーレン大使もいて、それぞれの思惑が必ずしも

一致しないし、相対するのが、イスラエル軍なのか、PLOな

のか、民兵組織なのか、今一つ理解できません。しかしながら

話はとてもスリルにあふれており、カリームが成長してすっかり

武装組織の一員としてふるまっていたり、カルとメイソンの会話が

暗号を含んでいたりと、その都度はっと思わされることばかり

なのです。

 

ベイルート

 

但し人物相関図はなんとなーくあやふやなままラストに突入。

「ブリッジ・オブ・スパイ」(2015)のように人質の

交換シーンは、まさに時間との争いもあり、手に汗を握る

ものです。しかしこれを見ると、ラストに流される当時の

レーガン大統領の「中東に平和と安全を」という言葉が

いかに薄っぺらなものであるのか痛感してしまうのです。
この作戦は上手くいったと言えるのだろうか。そもそもこの

状況を作り出したのはなにがきっかけだったのだろうか。

 

 

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必ず捕まえる

5

JUGEMテーマ:韓国映画全般

 

必ず捕まえる

 

「必ず捕まえる」

原題:The Chase

監督:キム・ホンソン

2017年 韓国映画 110分

キャスト:ペク・ユンシク

     ソン・ドンイル

     ペ・ジョンオク

     チョ・ダルファン

 

金にうるさいアパートの家主ドクスは、家賃

滞納中の住人で元刑事のチェと酒を酌み交わす。

彼は30年前の連続殺人事件と同じ手口の事件が、

今まさに起きているとドクスに伝えるが、その

チェは翌日首つり遺体で見つかるのだった。


<お勧め星>☆☆☆ よく練りこまれたストーリー

かと思いましたが、一番肝心なところがほつれて

いる気がするのです。


30年前の記憶

 

 

少しネタバレ


見終わったときは、二転三転四転五転する?展開に、

思わず、おおぅ〜と唸ってしまったのですが、落ち

着いてよく考えると、結構ツッコミどころが満載の

映画です。調べてみるとウェブ漫画が原作らしい。
舞台は韓国、ソウルのアリ洞。

「努力しても何も変わらない」とここにある

アリ・アパートの住民ジウンが口にするように、かなり

低所得者が居住している地区のようです。きらびやかな

ソウルの繁華街とは全く縁がないような雰囲気ですが、
ソウルを舞台にした映画でも、少し道を入ると、細い路地

が幾つもあって、大体そこで殺人が行われたり、逃走劇が

繰り広げられることを思い出すと、生活水準の格差の

大きいことに改めて気づくのです。

アリ洞を知り尽くしているシム・ドクスという男が、

経営するアパートの家賃の取り立てを行うシーンは、

相変わらずコミカルで、場が和むのですが、一方で映り

込む川や廃屋で発見される遺体の姿を見るとそんな

のんきな気分は吹っ飛ぶというもの。やめてウジは!

それも何回も映さないで!
この2つの出来事がどうやってつながるかというと、実は

家賃滞納男は元刑事チェと言い、30年ほど前の事件への

執着で家族を失ってしまったらしい。そしてそのチェが

翌日アパートで首つり遺体で発見され、さらにチェの友人

ヒョンダイがドクスの元を訪れたことで、2人の探偵ごっこ

が開始されるわけです。

 

必ず捕まえる

 

探偵ごっこといっても本格的ですよ。なんせ30年前の

捜査資料をチェが持っていたので、それを使いまくっちゃう。

でも30年前の容疑者なんてもうおじいさんばかりなんですよ。

捜す2人もおじいさんなら、捜される犯人もおじいさん。

ちょっと待ってくださいね。手口がそっくり、というだけで、

同じ犯人と考えるのは、とっても安易じゃないかしら。
「模倣犯」ってよく聞くじゃない?でもそれを気にしないほど

ストーリーは進んでいくし、ジウンが姿を消し、その部屋の

冷蔵庫の前には血だまりがあり、冷凍庫にはジウンの親友の

頭が入っている、という衝撃的なシーンを見ると、細かいことは

すっかり忘れて画面に見入ってしまいます。

 

必ず捕まえる
 

ただ序盤に登場し、とても温厚そうに見えるあの人は、

すぐに怪しいと感じてしまいます。しかしそれだけではなく、

もっと証拠のそろった人物が登場するんですよ。混乱して

きますね。その人物も登場するとわずかな時間で車にはね

飛ばされてしまいます。そうなんです。事件は結構入り

組んでいるんです。とはいえ30年待ってジウンを拘束

した理由はわかるとしても、30年後に同じ手口で事件を

起こしていく犯人の理由が、明確にわかりません。たとえ

「老人」への怒りだとしても、30年前の手口を使う理由

にはならないですね。まあ、いいのかな。ドクスじいさんと

ピョンダンじいさん(彼は不死身だと思います)による犯人

捜しのゲームは、ピョンダンと犯人との2回、いや3回の

格闘を経て遂に終結します。この時にピョンダン役の

ソン・ドンイルが肋骨を痛めたと前もって読んでいたので、

どのシーンを見ても「痛い」「痛いってば」としか思えない。
ラスト付近は本当にハラハラしますが、「虫けらを殺す

意味はない」にはちょっと同意しかねるなあ。相変わらず

全く無能な警察が、ちゃんと捜査をしてくれるのだろうか。

 

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手遅れの過去

3

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

手遅れの過去

 

「手遅れの過去」

原題:Too Late

監督:デニース・ホーク

2015年 アメリカ映画 107分

キャスト:ナタリー・ジー

     ディーチェン・ラックマン

     クリスタル・リード

 

ロスアンゼルスの丘の上でドロシーは何者かに殺害される。

ストリッパーだった彼女がなぜ殺されたのか。私立探偵の

メルは犯人を追いつめていくが、そこには大きな理由が

あり...。


<お勧め星>☆☆☆ too lateの意味が最後の最後にわかる

んです。それがわかると切なくなります。


2ショットのプリクラ


ロスアンゼルスの街を見下ろす丘の上で、アホそうなマシュー

とジェシーが見かけた可愛い子はドロシー。彼女は何かの

助けを求めてメルに電話をかけています。丘の上からズーム

アップして1件の家の中を映すとそこにメルが女といる。

このメルとドロシーの関係が「1回会っただけ」と言う割に

なぜに助けを求めるのかとても不思議。またその後ドロシーが

草むらで用を足していると、親し気に話しかけてきた男
(自然保護監視官の制服)に突然絞殺されてしまうのです。

え、え、え〜!この男がシリアルキラーなのかと思って

しまうけれどそうではありません。疑問だらけの内容が

少しずつ話が進むにつれて解明されていき、メルが呼ばれた

理由とか次のシーンでなぜに胸にけがをしていたのかなど

説明されますが、なんせ時間軸が少しずつ入れ替わってシーン

が変わるので、これはいつのことなのかと考えてしまいます。
とりあえずメルのけがと白い車か黄色い車かで判断しましょう。

白い方はまだ許せるワイルドな車だけれど、黄色い方は醜悪な

コンバーチブル。車種はわかりませんが、目立つのなんのって。
さてドロシーの遺体を発見したのは、メルだけでなく、最初に

登場し、彼女にドラッグを販売したアホ2人もいるわけで、

アホは自分たちのドラッグのせいで彼女が死んだと思い、遺体

を見つけたメルを消そうと考えるのです。それがわかるのは

ラスト付近なんですよ。

 

手遅れの過去
 

次のシーンでは若い妻をもらったストリップ劇場支配人

ゴーディーとロジャーの大豪邸となり、ゴーディーの

妻ジャネットはほぼ全裸のまますたすた歩きまわります。

この姿に意味はあるのかどうかわからないけれど、そこへ

けがをしているメルが訪れる。ん?これはいつのことだろう。

ここでのやり取りは少しモタつくけれど、潔く放たれた

銃弾によって爽快に終了。ジャネット、何か着てほしい。

 

手遅れの過去
 

次はメルとドロシーが初めて会った時に戻るんです。これが

too lateの理由だろうか。ここで意地悪いジェリービーンと

いうストリッパーが登場するのを忘れないようにしないと

いけません。アジア系の女性で特に美人ではないけれど印象

には残ります。

 

手遅れの過去
 

さらに年を経て、メルとジェリービーンが再会。これが実は

一番最後のシーンになるのかな。その後が一番始めのシーン

になるのだと思う。ここでわかるのが驚愕の事実。大体そんな

つながりなんて思いもよらないし、情報が少なすぎると思う。
実は途中で適当に見ていたので、ここでちょっと巻き戻して

鑑賞しなおすと、そうか、あの時のメルの表情や言葉、

そして彼の執念深い行動の理由が全てわかります。
ただ見終わって感じるのは原題通り「遅すぎた」ということ

だけです。遅すぎたことですべてが取り返しがつかなくなって

しまったのです。メルとドロシーのプリクラが、これまた

可愛いのなんのって。それを見ると少し切なくなりますね。

 

 

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散歩する侵略者

4

JUGEMテーマ:邦画

 

散歩する侵略者

 

「散歩する侵略者」

監督:黒沢 清

2017年 日本映画 129分

キャスト:長澤まさみ

     松田龍平

     高杉真宙

     恒松祐里

     長谷川博己

     前田敦子

 

鳴海は失踪して戻ってきた夫真治が全く別人の

ようにふるまい「地球を侵略に来た宇宙人なんだ」

と発する言葉に驚く。。一方町では一家惨殺事件が起き、

それをきっかけに人格がすっかり変わってしまう人々

が続出するのだった。


<お勧め星>☆☆☆ 黒沢清監督の映画の中では、一番

好きな内容かもしれません。


最も価値のある概念

 

少しネタバレ


黒沢清監督の映画とは本当に相性が悪く「ドッペルゲンカー」

(2003)「LOFT ロフト」(2006)「Seventh Code」

(2014)と見ましたが、すみません、どれも眠くなり

ました。映画全体が静かなのと、映像がモノクロームに近い

ようなものが多く、催眠療法にかかったようになるのです。
なので今作も期待値0にて鑑賞。確か、昨年のカンヌ国際

映画祭に出品されていましたよね。前田敦子さんが他の俳優

さん達と一緒に赤絨毯を歩いていたような覚えがあります。

しかし、映画内での登場シーンはごくわずかであり、時間に

して5,6分かなあ。あ、敦ちゃんだ!と思ったら涙を

一筋こぼして去っていく...。
内容的には血しぶき満載なはずなのに、冒頭の一家惨殺事件

以外では、ほとんど血が流れません。銃で撃たれようと、

車ではねられようと、爆発に遭おうともです。そして題名

通り静かに侵略されていく町の人々の姿を、この監督らしく

淡々と描いています。
宇宙人の侵略物といえばいの一番に上がるのが

「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」(1956)です。

これは「SF/ボディ・スナッチャー」(1978)、

「ボディ・スナッチャーズ」(1994)、「インベージョン」

(2007)と何度もリメイクされるほどの名作であり、

この中で実際に見たことがあるのは3作目以外すべてですが、
1作目の不気味な雰囲気が一番ゾクリとしました。さらに侵略?

挨拶?なのか突然世界のあちこちに出現する宇宙船を描いた

「メッセージ」(2016)はその目的よりも映画の内容が

秀逸で、ああそういうことかと理解すると自然と涙が流れて

しまうものです。登場する宇宙人は姿を見せるものの少しも

怖くないし、逆にそれへの対応で世界各国の輪が崩れてしまう

恐怖を体感します。そして最終的には「人生」について深く

考えさせられる内容になっていました。

 

散歩する侵略者
 

しかしこの映画は宇宙人の目的が「地球侵略」と早々に真治の

口から語られます。真治役の松田龍平が、本当に飄々として

いて、悪く言うと無表情で、いったい何を考えているのか全然

わかりません。その彼の浮気をののしり、病院に連れていき、

訳の分からないことを口走る夫にイラつく妻鳴海役は長澤まさみ。

二人が全く対照的なのが印象的です。表情豊かで、怒り、焦り、

嘆き、あきれる、そんな姿を見せ続けた鳴海には、実は心の

奥底にマグマのように強く燃える「愛情」が隠されていると

気づくのは、本当に映画の終盤なんです。もう、鈍感で

すみません。

 

散歩する侵略者
 

冒頭の血まみれ女子高生あきら、彼女と同じ能力を持つ天野、

そして彼らに「ガイド」=信頼できるパートナーとして力を

貸す、ジャーナリストの桜井の関係と、真治とそのガイドと

なる鳴海との関係は明らかに本質が異なるのです。信頼できる

パートナーであっても愛情が存在しない、するはずがない、

前者と、かつては愛情で結ばれていた(今も?)後者では

関わり方が異なるのは当然なのでしょう。
真治が中盤「愛」の概念を集めようとして、教会の牧師のもとへ

向かうのですが、あまりに大きすぎて概念がまとまらず、

それを抜き取ることを断念します。

 

散歩する侵略者

 

ちなみに抜き取る時は、相手にその概念をしっかり頭の中で

まとめさせておいて、その額に人差し指を当てると、スルっと

入手でき、その途端、相手は一筋の涙を流し、倒れこんで

しまうのです。敦ちゃん、「所有」を抜き取られちゃったよ。
「愛なんてイメージできるはずないじゃない!」ときつく答える

鳴海の言葉はまっとうなこと。「仕事」「邪魔」などは

それぞれの頭ですぐにイメージできても、あまりに大きくて

漠然としている「愛」は実は最も強い力を持つ存在なのかも

しれません。これはとてもありきたりだな。でもそれが

すんなり理解できるのは、愛の概念を受け取った真治が

「全部違って見える」と言い、抜き取られた鳴海が

「何も変わらない」と無表情で答えた時です。
何も変わらないのではなく、何もなくなって抜け殻のように

なってしまったかもしれませんね。
あらゆることを一から考え直す「タイミング」はいつだって

あるし、そうしないと世の中が本当に崩壊していく道をたどる

のだと思ってしまいます。

 

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グリーンルーム

4

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

グリーンルーム

 

「グリーンルーム」

原題:Green Room

監督:ジェレミー・ソルニエ

2015年 アメリカ映画 95分 PG12

キャスト:アントン・イェルチン

     イモージョン・プーツ

     パトリック・スチュワート

     カラム・ターナー

 

売れないパンクロックバンド「エイント・ライツ」は

知り合いの紹介で、ポートランドのライブ会場で演奏

をする。しかしそこはネオナチの拠点であり、パットが

不運にも殺人現場を見てしまったことでメンバー全員が

楽屋に閉じ込められてしまうのだった。


<お勧め星>☆☆☆ ネオナチVSパンクロッカーの勝ち目

のない闘いなのですが、意外と強い。


無人島で聴きたいバンド名を言うな


グリーンルーム=「楽屋」
監督は「ブルーリベンジ」(2013)の

ジェレミー・ソルニエで、あの映画は復讐に燃える男の姿

を静かにそして残酷に描いていました。私個人の好みと

しては好きな映画の1つです。ただ、周りの人間から
映画の趣味の悪さを指摘され、観たいと思う映画の多くは

ボッチ鑑賞。ふふん、レディースデイに行った

「ゲットアウト」だって女性一人鑑賞がたくさんいたぞ。

さすがに「ピラニア3D」はいなかったけれど。
ついでに「ピラニア3D」は笑えちゃうからいけない。
ところがホラー、サスペンス映画が好きを自称していても

苦手なタイプのものがあり、「スクワーム」(1976)

のように芋虫的なものが登場するものや「ディセント」

(2005)のように閉鎖的な場所に閉じ込められるものは
見ることは見るけれど、ちょっと目を覆っちゃう。芋虫嫌いは、

小学校の廊下のゴミ箱の上にお蚕の箱が置いてあって、

桑の葉をむしゃむしゃ食べるお蚕が..いや、もう言わない。

あれがトラウマに違いない。
そして閉鎖的な空間が怖いのは、幼少期、近所の神社にあった

防空壕の跡に入り込んだのが怖かったのを引きずっているのだ

と思う。今は「立ち入り禁止」の札が立っていたなあ。
この映画でも売れないロックバンドのメンバーがライブ会場

の楽屋に閉じ込められます。しかしそれは特に「監禁」と

いう恐怖ではなく、ドアの向こうに何が待っているかという

恐怖の方が強いです。
メンバーの一人パットが演奏後、入っちゃいけないと言われた

楽屋にスマホを取りに戻ったことが原因なんですね。そこで

女性が殺害されているのを見てしまう。
「なにも見ていません」「誰にも話しません」
いやいやこのライブ会場の雰囲気を見たら、ヤバイと気づけよ!

と思ってしまう。

 

グリーンルーム

 

スキンヘッドに革靴、黒ずくめの衣装の白人が見えなかった

かな。最初に歌った「ナチ・パックス」でナチスを侮辱した

歌詞を歌った時、彼らが唾を吐いたり、今にも飛びかかり

そうだったことに気づけよ!
パット役は「スタートレック」より「ゾンビ・ガール」

(2014)の方が印象に残っている2016年に27歳で

事故死したアントン・イェルチン。彼はバンドのメンバーと

殺された女性の友人、そしてネオナチの男と共に楽屋に

閉じ込められるわけです。おまけに警察官がボスらしい。

 

グリーンルーム

 

グリーンルーム

 

どう見ても勝ち目はないと思ったら、あら、リースったら

格闘技の締め技が上手いじゃありませんか。しかしドアを

隔てた向こうにはネオナチの集団がいるわけで、彼らが

使うのは大陸系マフィアが使うようなナタと犬(ピットブルか)

であり、それのよって傷つけられた時の切り傷や噛み傷はまこと

にリアルです。監督自身がこのリアルさにこだわったそうで、

「実際の作り物を使う」という手法ながら作り物に見えない、

とてもすんごい出来栄えになっています。痛いってば。
楽屋から出るたびに人が減っていき、じゃあここにとどまって

殺されるのかと思ったらまさかの展開です。パットが語った

「ペイントボール作戦」がなぜに成功したのかは気にしないで

おくと、どんな飼い主でも犬は忠実なんだなと実感する

ラストシーンは少ししんみりします。

もうロックバンドのメンバーは残っていないしね...。

 

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潜入者

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潜入者

 

「潜入者」

原題:The Infiltrator

監督:ブラッド・ファーマン

2016年 アメリカ映画 127分

キャスト:ブライアン・クランストン

     ダイアン・クルーガー

     ジョン・レグイザモ

     エイミー・ライアン

 

麻薬取引の取り締まりを行う潜入捜査官ロバートは、

麻薬カルテル撲滅のため、資金洗浄について捜査を

開始する。彼は同僚エミールとコロンビアの麻薬

カルテルへの接触を図るが...。


<お勧め星>☆☆☆  実話を基にしていて見ごたえが

ありますが、かなりソフトな内容です。


結婚式に大集合。


潜入捜査を描いた映画はいくつもありますが、麻薬

ではなくテロ計画阻止のため、ネオナチ組織に潜入した

FBI捜査官を描いた「アンダーカバー」(2016)

はとても印象的でした。主役は「ハリーポッター」

シリーズのダニエル・ラドクリフ。彼がスキンヘッドと

なり、心底ネオナチ思想に傾倒していくかのように

振舞う姿は、恐怖と共に、その心の葛藤も映し出され、

潜入捜査の困難さを体感しました。
日本で「おとり捜査」と言ったらやはり

「おとり捜査官 北見志穂」

ですよ。松下由樹さんが、毎回何かに扮して

(コスプレっぽく思えるほど)潜入し、危険ギリギリの

ところで、同僚の助けが来て事件が解決という、とっても

わかりやすいお話です。
さてこの映画では、1980年代に繰り広げられた

アメリカにおける麻薬犯罪カルテル崩壊作戦の1つを

描いているのです。まず主人公のボブが潜入捜査をして

いて逮捕されるシーンから始まり、彼が税関の捜査官で

あるとわかります。しかしこんな小さな取引では組織

壊滅はできないということで、麻薬取引で動く大量の金に

目をつけ、その資金洗浄の中に潜入しようということになる

わけです。とりあえず、名前が覚えられたのがボブ、相棒と

なるエミール、ボブの妻イヴ、ボブの上司ボニーですね。

 

潜入者
 

潜入者

 

後にボブの「婚約者」役として捜査に加わるのが

「女は二度決断する」(2017)のダイアン・クルーガー

演じるキャシーで、彼女がとても綺麗なんです。これは

映画を見ないといけない。
ところがこれ以降カルテルに接近するために下っ端に取り

入っていくのに、名前と顔が一向にくっつきません。

ラテン系のルックスなのと、麻薬取引でしばしばみられる

残虐な行為が見られないからでしょうか。特徴がつかみきれ

ないんです。

 

潜入者

 

それでも話は地道にコツコツ進み、悪人たちと知り合って

大物に近づいていくのです。中盤に登場する

ロベルト・アルケイノと妻にいたっては、人間的にはとても

好意的に描かれているし、ロバートもキャシーも親しくし

すぎてしまったと後悔している通り、あれでは「悪人」と

感じられません。そしてBCCI(国際商業信用銀行)も出てきて、

それはCIAに資金提供しているという。ちょっとすみません。

同じ国の中でたくさん組織があってそれが全然交流していなくて、

いや逆に敵対しているのは難しすぎます。
とにかくボブとキャシーの偽りの結婚式が開かれる10月3日に

全員が集合し、そこで一挙に確保するという計画が出来上がる

のはいつだった?そこまでの信用を得る努力があまり描かれて

いなかったけどいいのかな。

 

潜入者
 

麻薬カルテルというと血なまぐさい映像ばかり出てくると思う

けれど、それはほとんどないし、非情なシーンも少ないので

安心して見られる反面少し物足りないかな。「ボーダーライン」

(2015)のように心にずしんとは来ませんでした。

 

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壁の中の男

4

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壁の中の男

 

「壁の中の男」

原題:The Man in the Wall

監督:イェフゲニ・ルーマン

2015年 イスラエル映画 92分

キャスト:タマル・アルカン

     トム・アントポルスキー

     シュロミ・アブラハム

 

シルが寝ている間に愛犬と散歩に出かけた夫ラミは戻らず、

犬だけが近所の人に保護される。彼女は夫の身を案じ

あちこちに連絡するが..。


<お勧め星>☆☆☆ 何が起きているのか好奇心をくすぐられ

続ける映画です。


安息日だったのに...。


ネタバレしています。

 


舞台はラミとシルが暮らす自宅アパート内のみで、シルは

そこから一切外に出ません。一度だけ庭に出て夫を捜した

のみだと思います。その代わりに幾人もの人がこの部屋を訪れ、

様々な話をしていきます。それがどれも夫の失踪につながり

そうなものばかりなのです。何か起きた時最悪のことを想定

する人とそうでない人と分かれるものですが、シルはどちらに

入るのだろう。最悪のことを想定しておけば、大体のことは

受け入れられるのかもしれないけれど、なぜかわたしは個人的

には割と良い方に考えてしまい、あとでがっかりすることが

多いです。

さて、夫ラミ、いやまず愛犬ブルーノを呼んだかな。それから

夫を捜す姿から始まるこの映画は、玄関のチャイムや、

ノック音、携帯電話の着信音でしばしば動きが遮られます。
1人目は犬グルーノを連れてくる男性。ここでシルはラミが

失踪したのではないかと不安に囚われます。ウンチを片づける

ように言われてもそこは後回しで、まずラミに持ち物をチェック。

よし、すべてあるぞ。何がよしだ。

では事故に遭ったのではないか。
2人目は親友アディ。彼女はラミの元カノで、恋人と一緒に

ワインを持って登場。安息日を一緒に過ごす約束だったらしい

けど、シルはそれどころじゃないのよ。それにしてもこの部屋は

乱雑すぎる。テーブルの上にとどまらず、キッチンのシンクも

寝室も「お片付け」というものができない2人のようです。

そこでアディは「ラミは根に持つタイプ」「狂人」とまで言うの

ですよ。見ている側としたら夫妻に対する予備知識がないので、

そうか、何かあってラミは根に持っているのかと憶測してしまう

はず。それは何だろう。それがこの失踪の原因だろうか。
3人目は2人連れの警官。失踪では相手にされないのでDVを

受けた、と通報したことに対し、これまた嘘の理由をしつこく

聞いたあげく、ラミには暴力的な経歴があるとまで暴露していく

のです。警官は「ラミが浮気して失踪したんじゃないか」と言う。

あら〜、それじゃあ、ラミは不倫していたのかしら。また見て

いる側は悩むわけです。
4人目はドロン。彼はラミの実父だけれど、幼い頃に離婚して

いるからめったに会わないらしい。「なんとかなるさ」まるで

わたしが思うような言葉をかけて、いったんはドアを閉めるのに

再び戻ってきて「ラミは2万シェケル借りに来た」と伝えます。

調べてみると2万シェケルは日本円で60万円ほど。かなり

中途半端な額なので、これが失踪の原因なのか全く判断できません。

ああ、謎ばかり増えていきます。
5人目はトミー。彼は家に入らず、外の庭から電話しているんです。

会話から想像するにシルの不倫相手らしい。あらら、シルが

不倫していたのね。いやまだわかりません。
6人目はシルの母。でも、これはシルがマリファナを吸って

いい気分になったときに見た幻影です。

 

壁の中の男
 

これらの人々が現れては消える間にも幾度となく家の中で

物音がし、シルはあちこちのドアを開閉するのです。幾度と

なく映るドアに貼ってある写真。題名通り壁の中に隠れている

のかと思ってしまう。
7人目は5人目と同じトミー。じゃーん!やはり浮気相手だった

のね。まったくもうシルったら無理やりに誘惑しちゃって...。

ああ、たいへんそこに
8人目のドゥディが登場します。彼はラミの親友であり、何かを

疑っている模様なんだよね、それは序盤にシルがかけた電話でも

におわせていたな。傘やら靴やらで夫以外の男がいたことが

バレちゃって、シルったら大変よ〜。
9人目はラミの携帯に数多く通話履歴が残るエラ。これこそ

ラミの浮気相手?これだけもったいつけといて、彼女はただの

ドラッグの売人だとわかっちゃうとシルはなぜかイラつくんです

よね。この時のシルの気持ちはエラが浮気相手だったら良かった

のにと思っていたのかも?と勝手に憶測しました。

 

壁の中の男
 

さて、ラミはいつどこで見つかるか。これだけ好奇心をくすぐって

おいて、なんと玄関からしれ〜と戻って来るんです。そして愛犬

ブルーノだけにあいさつをするという仕打ち。そこで思い出すのは

アディが「ラミは根に持つタイプ」という言葉。いや、根に

持つというより、もう一つの言葉「狂人」の方がぴったりくると

思う。家中に仕掛けられた盗聴器で自分がいない間の妻の言動を

全て外で聞いていたなんて、何の目的があったのかと思って

しまうわ。
シルが薬を大量に飲んでしまったラミに「今日は死なないで」と

必死で介抱するシーンを見ると、ああ、シルの心は本当に彼から

離れているのだなと実感します。ラミもドゥディに

「シルはつまらない」と語っていたというから、だったら別れたら

いいのにと思うけれど、そのタイミングは今日ではないということ

でしょうか。
ラストシーンはおそらくは冒頭のシーンの前の姿で、夫妻が別々に

眠っていることから、この2人の関係が全く上手くいっていなかった

ことを物語るのです。
いや、ややこしい。確かにラミは「根に持つ」嫌な男だわ。

 

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物静かな男の復讐(静かなる復讐)

3

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物静かな男の復讐

 

「物静かな男の復讐(静かなる復讐)」

原題:Tar de para la ira

監督:ラウール・アレバロ

2016年 スペイン映画 92分

キャスト:アントニオ・デ・ラ・トレ

     ルイス・カイェホ

     ルス・ディアス

     ラウール・ヒメキス

 

アナは8年前の強盗事件に関わり服役中の夫クーロと

一人息子がいる。彼女は兄の経営するバーで働いて

いたが、1人の物静かな男が毎日通っていることに

気づくのだった。


<お勧め星>☆☆☆半 心の奥に秘めた静かな怒りを

ひしひしと肌で感じる映画です。


無表情に隠された怒りの炎


映画開始後すぐに始まる強盗事件の犯人たちの顔は

黒いマスクに覆われており、唯一顔が分かるのは運転手役

の男です。あとから考えるとこれが大きなカギでもあった

と気づきます。
映画は3つの章に分かれており、まず「バー」と出てくる

のです。バーと言っても家族経営のような小さな店で、

常連客が日中カードゲームをしてのんびりと過ごすような感じ。

そこにたった一人無表情の男がカウンターで酒を飲んでいます。

なぜにカウンター席にいるのかとか目的があるのかとか全く

わかりません。とりあえず場違いなのは確か。

 

物静かな男の復讐

 

彼の名前がホセであるというのも次の章「アナ」に入って

ようやくわかるというくらい、不明な点がたくさんあるのです。

大体人物相関図が全くつかめない。毎回映画ではメモを取るの

ですが、名前を書きとめるにも名前がわからないので「ひげ1」

「おしゃべり女」などと書く始末です。

 

物静かな男の復讐
 

そして「アナ」の章でホセがアナの後を追い、2人は意気投合

したことやアナの夫クーロが収監中でもうすぐ釈放されることを

知ります。このホセとアナのラブシーンは、刑務所内でのアナと

クーロのラブシーンと同じくまことになまめかしいです。

(スペインって刑務所への面会であんなことができちゃうんだー。)

 

物静かな男の復讐
 

しかしながらホセの素性がまだわからないのです。彼が病院へ

見舞う意識不明の老人は誰なのか。ただクーロの顔を見て、

ああ、あの時のドライバー役の男であると確信すると、ホセの

目的が少しずつわかってきます。
いや、邦題で「復讐」とあるから、ホセが冒頭の事件の関係で

何かの復讐を企てているのだととっくに想像できてしまいますね。

「復讐」といえば、韓国映画パ・チャヌク監督のの復讐三部作

「復讐者に憐れみを」(2002)「オールド・ボーイ」

(2003)「親切なクムジャさん」(2005)を思い出します。

しかしながらあのようなドロドロした復讐劇ではなく、

静かに静かに進んでいくのです。
「怒り」の章では、まさにここまでとことん静かだったホセの

眉間の皺がみるみるうちに深くなり、ピクピクと少し動いたかと

思った瞬間、突然爆発します。これこそ彼が8年間ため続け、

防犯テープを擦り切れるほど見返し、毎日病院へ見舞い、孤独と

絶望に耐えながら自分を奮い立たせてきたものの正体であると

知ると、その大きさに恐怖しか感じません。そのシーンでは

無機質な効果音が流れ、ズームアップされたホセの顔が映るのです。
ホセは後半はほぼクーロと車で旅を遂行しますが、それは当然

クーロが望んだものではなく、ホセ主導です。釈放直後は

イキがっていたクーロがなぜにホセに歯向かわないのか。ホセが

本当に成し遂げたかったことは何かを知るのは、見る側の頭の中で

考えるしかないのですが、幾つかシーンを思い返して、彼が最初に

持っていた思いが、アナやクーロと接していくうちに少しずつ

変わっていたことは確かだと思います。それほどまでに彼は孤独で

あったことにも気づかされ愕然とするのですが。

 

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空の沈黙

4

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空の沈黙

 

「空の沈黙」

原題:The Silence of the Sky/O Silencio do Ceu

監督:マルコ・ドゥトラ

2016年 ブラジル映画 102分

キャスト:レオナルド・スバラーリャ

     カロリーナ・ジッケマン

     チノ・ダリン

     アルバロ・アルマン・ウゴン

 

夫マリオが留守中に妻ダイアナは2人組の男に

乱暴される。偶然その現場を見てしまったマリオは

ダイアナがその事実打ち明けることを望むが、彼女は

一切口にせずいつも通りの生活を送っていく..。


<お勧め星>☆☆☆ なんとなく不快な思いに包まれた

ままエンドロールを迎えます。


言葉と心の断絶


オープニングクレジットの背景は昼間の真っ青な空。

この空の下のある一軒の家では大変なことが起きている

のです。それはまずダイアナの視点から描かれ、おそらく

2人組の男が彼女の自宅の寝室で彼女を乱暴しています。

彼女の悲鳴とぼんやりした映像、そして男たちの声と

ガタガタと小さく響く音が何が行われているのかを想像

させるのです。そしてすべてが終わった後、1本の電話が

かかり、夫マリオからだとわかっても、子どもたちの迎えを

頼むだけなのです。なぜに夫に知らせないのか。そもそも

なぜ通報しないのか。

 

空の沈黙
 

一方、この時間を再び映し、今度はマリオの視点からダイアナが

乱暴を受けるシーンが映ります。外で岩を持ち、ガレージでそれを

はさみに持ち替え、現場付近まで行くものの、結局何もできない。

彼は妻に電話をかけ、普通通りの会話をするのです。なぜに

お互いに知らないふりをするのでしょう。この2人の間に広がる

心と心の隔たりは何に起因しているのでしょうか。

 

空の沈黙
 

どうやら夫婦は8年間の結婚生活のうち、2年余り別居しており、

妻子を残して、マリオは他の女性と暮らしていたらしい。何と

なく会話がおかしいなと思っていたら、夫妻はスペイン語で

話すのに、ダイアナは知人とはポルトガル語で話しているらしい。
これは後から知ったことで、この言葉の壁によって微妙な感情を

伝えきれずにいたかのように感じられます。何かを象徴するように

出てくるサボテン。このトゲがまたとても鋭いのです。サボテンは

昔はよく見かけましたが、今は観葉植物の方が多く売られていて、

敢えてとげとげしたサボテンを購入することもなくなりましたねえ。
マリオは最初のシーンで、このサボテンを握ったために掌が

ぼつぼつの血まみれになるんです。これは夫妻のお互いの心の中を

表しているのかもしれません。
そしてマリオは独自に暴行犯を調べ上げていくのです。調べて

どうするというのか。そこでも真っ青な空が映ります。
エンドロールの背景は少しずつ明るさを取り戻していく早朝の空。

ただただ無音でその光景が映るのみです。目の前で起きたことは

大変なことばかりなのに、お互いに何もかも知っている夫妻は、

何もなかったかのように「家に入ろうか」と言葉を交わす。この

夫妻はずっと平行線をたどるような人生を送っていくのでしょうか。

それを考えると深い絶望のような感情に包まれて、明け方が

夕やみに変わっていくように思えました。

 

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ベター・ウォッチ・アウト

3

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ベターウォッチアウト

 

「ベター・ウォッチ・アウト」

原題:Better Watch Out

監督:クリス・ペッコーバー

2017年 アメリカ=オーストラリア映画 89分

キャスト:オリビア・デヨング

     ヴァージニア・マドセン

     パトリック・ウォーバートン

     デイカー・モンゴメリー

 

両親がクリスマスパーティーに出かける晩、ルークは

シッターのアシュリーと過ごすことになる。しかし、

無言電話や不気味な物音がし、2階に人の気配を感じた

ことから2人は恐怖の中様子を見に行くのだったが...。


<お勧め星>☆☆☆ もう笑えない不快な部分が多すぎる

けれど、あっと驚く展開が見られます。


どこが「ホーム・アローン」だ!!


映画内でシッター、アシュリー役を演じた

オリビア・デヨングと主人公ルークの親友ギャレット役

のエド・オクセンボウルドは、ナイト・シャラマン監督

「ヴィジット」(2015)で姉弟役を演じていた2人と

知り、この年頃の成長の早さを実感します。

 

ベターウォッチアウト

 

「ヴィジット」に関しては、シャラマン監督の原点回帰映画と

思えるようないくつものトリックがありましたが、やはり

「シックス・センス」(1999)に勝る映画には

なりませんでした。あれ以上の作品がこの先生まれるの

でしょうか。

 

ベターウォッチアウト
 

さて、この映画の良い点は2つ。オリビア・デヨングがとても

美しく成長したことと、主人公リッキー役のリーバイ・ミラーが

将来有望な美少年なのです。役の上では12歳。まだまだ

シッターがいないと家を空けられない年齢なんですよ。
母親は特に彼を子ども扱いし、アシュリーに一から十まで

指示をして行きます。しかーし、このお年頃の少年たちの頭の

中は妄想が渦巻いているんでしょうね。今宵、なんと、

アシュリーとキメたい!と思っているんです。え、え、え〜〜。
アシュリーと二人きりになると、ホラー映画を見て「キャー」と

しがみつくのを待ったり、2階から聞こえる不気味な物音に

「僕が君を守る」なーんてかっこつけたりします。どれもかなり

幼稚な発想なんだけど、それが物音や電話のベルを鳴らせたり、

窓に人影などを映らせることで、見ている側はすっかり違う方向の

話と思ってしまいます。
くそう、間違えちゃったじゃないか!
ところが後半に入ると、話はすっかり様相を変え、このクソガキ

いい加減にせいよ!と必ず思うシーンの連続です。ルークが

美少年すぎるのが功を奏し、冷たい恐怖を感じつつ思いがけない

ラストへと突入。
だてにホラー映画ばかり見ていたわけではなかったんですねえ。

 

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