われらが背きし者

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

われらが背きし者

 

「われらが背きし者」

原題:Our Kind of Traitor

監督:スザンナ・ホワイト

原作:ジョン・ル・カレ

2016年 フランス=イギリス映画 109分 

PG12

キャスト:ユアン・マクレガー

     ステラン・スカルスガルト

     ダミアン・ハリス

     ナオミ・ハリス

 

イギリス人大学教授ペリーは、妻で弁護士のゲイルと

共にモロッコで休暇中、ロシアン・マフィアのディマ

から重要な証拠をM1:6に届けるように依頼される。

彼は単に届ける仕事と考えてロンドンに戻るが...。


<お勧め星>☆☆☆半 巻き込まれサスペンスとして

はやはりよくできたストーリーです。


高いワインにつられるな


映画「裏切りのサーカス」(2011)の

ジョン・ル・カレ原作の作品ですが、スパイがらみの

ものとしては割と単純なストーリーなんです。
冒頭でのモスクワでの一家射殺シーン。雪の中に

倒れこむドレス姿の少女がなんと美しいことか..。

と思っていたら、次はモロッコ、マラケシュのめっちゃ

暑そうな部屋での男女のベッドシーンです。は?これが

どうつながっていくんだろう。いや、この時点では1ミリ

もつながっていないんです。いつもはお尻を見せる担当の

ユアン・マクレガーはバストのみ、逆に美しい

ナオミ・ハリスがヒップを見せてくれます。(お尻なんて

言っちゃ失礼です)大学教授ペリーと弁護士の妻ゲイルは、

ペリーの浮気による関係悪化を修復するためバカンスに

訪れたらしい。あーた、そんなことで仲直りできると

思ったら大間違いよ!
そしてなぜかウルトラ高級レストラン(ワインが1ボトル

100万以上する)で、食事をしているのに、妻は仕事の

電話が入り、先に帰ってしまう。それをチラ見していたのが、

絶対に町であったら目を合わせたくないタイプの男性ディマで、

周りには護衛のような取り巻きさえ付けているんです。

「ドラゴン・タトゥーの女」(2011)でも存在感が

際立っていたステラン・スカルスガルトが、この怖ーい役に

ぴったり。でも勘違いしてはいけません。ロシアン・マフィアの

中でも実は組織に忠実であり、冒頭の射殺事件をもくろんだのが、

資金洗浄目的の銀行をヨーロッパに開くため、イギリス高官と

手を組んでいるロシアン・マフィアのトップ、新プリンスと

敵対している...。いかにもロシアらしい駆け引きと裏切りの

連続なのに、対するイギリスのMI:6側がかなりお粗末な行動

ばかり。そこには大きな理由があるんですが、たまたまディマと

接触した一民間人ペリーを活用し、悪事を暴こうとする考えは

かなり無理があるような気がします。原作は長編小説なので

そこは大きく端折ったのでしょうか。それにしてもディマが

ペリーのクレジットカード番号を一瞬で覚えてしまう能力は、

これ絶対に使われるぞと確信していました。そういうことが

わかってしまうのがとても残念でもあり、もう少し難解でも

頑張れるぞと言うのが見終わっての感想です。
モスクワ→モロッコ→ロンドン→パリ→ベルン→フレンチアルプスと

景色をいろいろ楽しめます。

 

 

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午後8時の訪問者

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午後8時の訪問者

 

「午後8時の訪問者」

原題:La fille inconnue

監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ

   リュック・ダルデンヌ

2016年 ベルギー=フランス映画 106分

キャスト:アデル・エネル

     オリビエ・ボノー

     ジェレミー・レニエ

 

医師のジェニーは、診療時間過ぎの午後8時に鳴った

玄関ブザーを無視する。そして翌日警察から、その

ブザーの主である女性が亡くなっていたことを知らされ、

彼女は女性への罪悪感に苛まれていく。

 

<お勧め星>☆☆☆半 地味な映画ですが、1人1人の

心の中が丁寧に描かれています。


人間として正しいことをすることの価値


わたしの大好きなダルテンテ兄弟監督作品です。

 

午後8時の訪問者

 

「ある子供」(2005)では、子供が生まれた

若い男女が、まだ親としての自覚のないまま、その

子供を売りに行こうとする姿を描き、

 

午後8時の訪問者

 

「少年と自転車」(2011)では、離れて暮らす

父恋しさに、実は疎ましがっている父に元へ向かう

少年を、

 

午後8時の訪問者

 

さらには「サンドラの週末」(2014)では

労働者の過酷な雇用の状態を、ある一市民の視点

から描いていました。そこには見る側がどう考える

かの問題提起のみで、ラストも唐突に終了。そこに

残るのは絶望でなく、限りなく小さな希望の灯を

感じるものばかりです。
さて、この映画は、劇場予告編では、サスペンス映画の

雰囲気がプンプン漂っていましたが、実際はどうか。
診療所の代診として勤務したジェニーは、研修医の

ジュリアンと2人でいた時、時間外に玄関ブザーが鳴る

のです。答える必要はないとジュリアンを制するジェニー

はなぜか苛立っています。実は彼女は新しい医療センター

赴任が決まり、気持ちはそちらに向いているらしい。

もう順風満帆の未来が開けてきたところなんです。ここで

知るのは、フランスにおける研修医というのは正式な医師で

はなく、これを経て国家試験を受ける身であるということ。

さらに保険診療患者ばかり引き受けている貧しい地区の

診療所への医師のなり手が極端に少ないことです。まあ、

日本でも診療科によって人気がかなり異なるし、勤務医

よりも開業医の方が絶対に収入が多い。医師という仕事は

「人の命を預かる」という極めて崇高な志のもとにめざす

べき仕事であるはずのものが、なぜか金儲けのほうに比重が

傾いていることも否めないのです。
そしてジェニーは翌日警察官から、例のブザーを押して

若い女性が亡くなったことを知らされます。その時彼女の

頭によぎるのは「なぜあの時ドアを開けなかったのか」と

いう医師としての倫理観なのです。別に診察時間外だし、

一度きりのブザーに答えなくても彼女には何の罪もない

かもしれない。しかし患者として訪れる貧しい人々や

不法就労者、移民などを毎日診ていたはずの彼女がなぜ

救えるはずの命を救えなかったのか、と悩むのは非常によく

わかるような気がします。つまり医師としての義務=人の命

を救うこと、という最も基本的なことを怠った自分への悔悟の

念でもあったのでしょう。それは人に接する態度、例えば

高飛車に出てしまったジュリアンへの自分の姿をも許せなく

なるわけで、彼女はとりあえず必死で亡くなった女性の

身元調査をするわけです。自分だったら...とか、

ここまでしなくても...という思いはあちこちのシーンに見られ、

その過程でフランスにおける底辺に蠢く人々の声なき声に耳を

傾けることができます。逆に亡くなった女性の映った防犯

カメラ映像は、ジェニーだけでなく、実は彼女を知っていた

数名の人々の心の底に眠る「人間としての心」を呼び覚ます

ものであったと思っています。やはりラストは暗転し、

その後に含みを持たせたものでした。BGMは一切なく、診療所の

玄関ブザーの音、携帯の呼び出し音、高速道路を行きかう車の

音だけが繰り返し流れ続け、いつしかその世界に入り込んで

しまうものとなっています。

 

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ゲット・アウト

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ゲットアウト

 

「ゲット・アウト」

原題:Get Out

監督:ジョーダン・ピール

2017年 アメリカ映画 104分

キャスト:ダニエル・カルーヤ

     アリソン・ウィリアムズ

     ブラッドリー・ウィットフォード

     ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ

     キャサリン・キーナー

 

黒人写真家のクリスは、恋人ローズの両親の家に向かう。

彼は家族に歓待されるが、庭師やメイドの黒人の男女の

不気味な表情が気になって仕方がない。翌日開かれた

パーティーでは、さらに奇妙な出来事が起き、クリスは

ローズと自宅に戻ることを決断すのだった。


<お勧め星>☆☆☆半  そういうことね、となかなか気づかず

後半はスリル満点です。


だから行くなと言われただろう


劇場での予告編はただ不気味なだけで、その「謎」に1つも

触れていないという優れものでした。なので全く予備知識なし。
ホラー映画のオープニングの定番、車と鹿の衝突シーンがあり、

(鹿は明らかにフェイクとわかるもの)そこで白人警官による

黒人青年クリスへの不快な対応を見ると、アメリカに確実に

存在す続ける人種差別意識を痛感します。しかしクリスは

そんな態度にはとっくに慣れており、逆に白人の恋人ローズが

気を遣う。逆パターンの映画では

「レイクビュー・テラス 危険な隣人」(2008)で、白人の夫

と黒人の妻に対し、隣人の黒人警官が執拗な嫌がらせを仕掛け

続けるというものがありました。あのサミュエル・L・ジャクソンは

ものすごく怖かった!
アフリカ系アメリカ人への差別は男女問わず、今も根強く

残っており、逆にそれが存在することで、本来の「正義」を

追求できない側面もあると考えています。この辺りはとても

デリケートな問題だったのに、愚かなリーダーを選んだことで、

パンドラの箱を大きくあけてしまった感じ。いやそれは全世界で

同じことが言えるかもしれません。

 

ゲットアウト
 

さて、この映画では脳神経外科医ディーン、心理カウンセラー、

ミシーという両親に恋人クリスを会わせるため、ローズが、

ウルトラへき地の実家へ連れて行くのです。辛うじて携帯の

電波が届くだけいいか。
とにかくクリスはものすごく歓迎されるけれど、庭師、メイドが

いずれも黒人だし、やけに無表情なのと、家族の言葉の端々に、

不快な差別感を覚えるわけです。この辺りはセリフをよく聞くと

わかります。さらに弟ジェレミーの

「黒人だから格闘技できるだろう」発言。カチン!

 

ゲットアウト
 

これはまだ序の口で、クリスはミシーにティーカップの中味を

かき混ぜるスプーンの音で催眠術にかけられてしまう。

 

ゲットアウト

 

この時の「沈む」姿が、映像的にまことに秀逸。起きたいのに

起きられない、動かしたいのに動けない、そう「金縛り」と

いわれる状態はまさにこんな感じなのでしょうか。これは

クリスが禁煙できるようにしてくれたものなのかしら?
翌日、白人だらけのパーティーでも、なぜかクリスに強い関心を

寄せる人々ばかり集まります。そこには白人の老女が若い

黒人男性の夫を連れていたりするし、その男性のファッションが

いつの時代のものかと思ってしまいます。不快な要素を小出しに

しつつ、突然起こる「動き」にドキリとし、そしてまた「静」へと

戻るの繰り返しの後、少しずつクリスは「真実」に近づいていく

わけです。もうね、この「真実」もクリスの想像することとは

かなりかけ離れていて、見ている側と同じくらい、身に起こる

ことで理解していくしかない。観客とクリスの心はほぼ同じ

レベルになっています。

 

ゲットアウト
 

冒頭に拉致された黒人、空港保安員のクリスの友人ロッドの

存在、鹿、そしてフラッシュの光。すべてを知った時、

それらが繋がって行く時、ただただ驚くのみでした。
心の奥底に誰もが持っているなにがしかの偏見をできるだけ

小さくし、きれいごとだけれど、互いを理解する努力をする

ことがいかに大事であるか再確認します。

 

 

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わたしを離さないで

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わたしを離さないで

 

「わたしを離さないで」

原題:Never Let Me Go

監督:マーク・ロマネク

原作:カズオ・イシグロ

2010年 アメリカ=イギリス映画 105分

キャスト:キャリー・マリガン

     キーラ・ナイトレイ

     アンドリュー・ガーフィールド

     シャーロット・ランプリング

 

ヘールシャム・ハウスと呼ばれる寄宿学校で学ぶ、トミー、

キャシー、ルース達は、外の世界とは一切遮断された生活を

送っている。そして18歳になるとコテージと呼ばれる場所へ

移され、ある事のために備えるのであった。

 

<お勧め星>☆☆☆

 

「生きる」ことの意味


1952年、不治の病の治療が可能となり、1967年、

人間の寿命が100歳を超え、というナレーションと共に、
キャシー・Hが介護人として、ある男をガラス越しに見ている
のです。キャシー役は、「ウォール・ストリート」(2010)、
「ドライヴ」(2012)、「華麗なるギャツビー」(2013)

のキャリー・マリガン。

そして時は遡り、1978年、ヘールシャム・ハウスという

寄宿学校で、少年少女達が外界とは隔てられた生活を送って

います。その中のキャシーは利発で、優しく、トミーは

仲間外れにされてはかんしゃくを起こす少年、ルースはお

ませな少女なのです。彼らは境界線から出ると、恐ろしい

出来事が起こると言われ続け、買い物すら出かける
こともなく、代用コインを貯めては、出張店舗で、古びた

おもちゃを手に入れることを楽しみにしています。
ここから出ると恐ろしいことが待っている、「ビレッジ」

(2004)でもそんなことが話されていました。あの映画とは

また違った内容ですが、彼らに幼い頃から植え付けけられていく

常識と呼ばれる考えが、いかに一般のものとズレているのか
が感じ取れます。非常にズレた常識の中で育てられた子供たちを

描いた映画は「籠の中の乙女」(2009)で象徴され、両親に

よって作り上げられた固有のルールを守り続ける姿を滑稽さも

混じえて描きつつ、その中での幸せを破ることへの恐怖も皮肉っぽく

見せつけました。しかしこの映画はそういった類のものとは全く

異なるのです。

トミー役は「ソーシャル・ネットワーク」(2010)の

アンドリュー・ガーフィールド。この人はどうも好みじゃない

ルックスです。からだも華奢ですが、この後「スパイダーマン」
に出演し、最近ではメル・ギブソン監督「ハクソーリッジ」

(2017)に主演しています。すっかり有名俳優の仲間入り

をしました。ルース役は「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの

キーラ・ナイトレイ。きれいなんだけどこの映画ではあまりそれが
感じられなかったなあ。彼女もこの後の「アンナ・カレーニナ」

(2012)、「はじまりのうた」(2013)とどんどん

ステップアップしていきます。

規則正しい食事と規則正しい生活、そして校長先生

(シャーロット・ランプリング)の講話などから、次第に彼らが

おかれている状況がわかってきます。イギリス特有の
曇った空とどこまでも続く草原、森林の風景が静かな恐怖へと
つながります。といっても映画の中盤には全てがわかるんですが、

それでも今その時を楽しそうに生きようとふるまっているかの
ような若者の姿が映ります。キャシーが恋したトミーはなぜか

ルースと恋人同士となり、18歳を迎え、コテージと呼ばれる場所に
移っても仲睦まじく過ごすのです。初めて町のレストランに行った

彼らが、いろいろ悩んだあげく、みんな同じものを注文する姿は

笑えます。何度もお店屋さんごっこをして練習したのにね。
「男女が恋している間は申請すれば猶予されるらしい。」
恋人同士のロッドとクリシーの言葉を、賢いキャシーは全く

信じません。それでいて介護人となって、次々と仲間の「終了」を

見届けていくうちに、本当にトミーを愛していたことに気づかされる

のです。この期間が10年ぐらいたっているんだけど、そんなに気持ち
って変わらないんだろうか。
いや、彼らの生い立ちからすればそうならざるを得ないのか。
終盤、そんなことはあり得ないと思っていても、それを信じるトミーと
共に彼が必死で描いた絵を携えて、マダムの元へ向かうキャシー。

「それはないのよ。」

トミーに告げる姿は極めて悲しいものでした。そして車を止め、

道路で叫び続けるトミー。彼らの宿命は変えられるものではないの

です。「ギャラリー」の存在は、このプログラムを遂行する者の

免罪符であり、これ自体を否定する者から見たら、無意味なの

ですよね。ヘールシャムへ途中で赴任し、すぐにそこを去った
ルーシー先生の言う通りです。静かな恐怖の中に、悲しみと切なさを

強く感じさせる映画でした。(2017年加筆)

 

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マリアンヌ

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マリアンヌ

 

「マリアンヌ」

原題:Allied

監督:ロバート・ゼメキス

2016年 アメリカ映画 124分 PG12

キャスト:ブラッド・ピット

     マリオン・コティヤール

     リジー・キャプラン

     マシュー・グード

 

1942年、モロッコでイギリスの諜報部員マックスは、

フランスのレジスタンス、マリアンヌとドイツ大使

暗殺の任務を成功させる。彼らは恋に落ち、結婚し、

ロンドンで新生活を始めるが、ある時彼女に大きな疑惑が

かけられるのだった。

 

<お勧め星>☆☆☆ ロマンスの要素が強すぎてスリルが

感じられなかった。


スパイはスパイらしく


1機の軍用機から砂漠の中にパラシュートで降りる1人の男。

それが主人公のマックスです。そして当時のフランス領

モロッコのカサブランカ市内で、妻役を演じるマリアンヌと

約束通り出会うわけです。互いにモーリス、クリスティーヌと

偽名を使っていますが、完璧に美男美女のカップルであり、

当時を再現した街並みや衣装、車などと見事にマッチしている

ので、まずそこで心がとろけそうになります。いや、待てよ、

話はここからじゃないか。

 

マリアンヌ

 

マリアンヌ役のマリオン・コティヤールは、ブラピが話す

わずかなフランス語の家庭教師をしたと言われ、これじゃ

現実に恋に落ちるのも仕方ないなと思ってしまう。

(頭に怖いアンジーの顔「マレフィセント」が思い浮かぶ

からやめた)
監督は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズや

「キャスト・アウェイ」などのロバート・ゼメキス。

VFXがさぞかしすごいんだろうと思ったら、あれ?どこで

見たかな。モロッコの作戦での爆発、銃撃シーンや

ロンドンへのドイツ軍の空襲くらいだったような。
簡単に言ってしまうと戦時下のとても大変な時期における

大人のラブストーリーであり、そこにマリアンヌへの大きな

疑惑が持ち上がってしまう。

 

マリアンヌ

 

それを晴らすために愛情1本マックスが、部下の軍用機が

ドイツ軍に撃ち落されようが、かつての作戦で大けがを

負わせた部下のことも知らずのこのこ情報を聞きに行ったり、

勝手に戦闘地域へ向かい、そこでドイツ兵をバンバン殺害

してもとりあえず妻の潔白を晴らしたい一心という、まあ

なんとも甘ったるい内容なのです。
映画内で「Vセクション」としきりに言われますが、これは

軍の諜報部門らしいと勝手に推測。(当たっている)
砂嵐の吹き荒れる砂漠に置かれた車の中や妻の疑惑が

持ち上がった時のラブシーンなど、なかなか濃厚でブラピの

お尻も見えるおまけつき。
とはいえ個人的には、あまりスリルを感じない、涙もこぼれない

普通の映画でした。

 

 

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荊棘(ばら)の秘密

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ばらの秘密

 

「荊棘の秘密」

原題:The Truth Beneath

監督:イ・ギョンミ

2015年 韓国映画 102分

キャスト:ソン・イェジン

     キム・ジュヒョク

     キム・ソヒ

     チェ・ユファ

 

テサン市長の選挙運動中、キム候補の娘ミジンが

姿を消す。母ヨノンは選挙のイメージを保ちたい

周囲の声や無能な警察を無視して彼女の行方を

捜し始めるが...。


<お勧め星>☆☆☆ 複雑に入り組んだストーリーを

上手くまとめ上げた映画です。


罪を犯していないのは誰か


テサン市長選挙戦で、現職と元アナウンサーの

新人候補が対立する構図なのですが、序盤にとても

気になるシーンがあり、あのシーンであのセリフを

言ったら、サスペンスを見慣れている人間なら、

開始早々にオチが分かってしまうと思うのです。

もちろんそれに関する動機やら人間関係やらは全く

わかりませんが。あれは不要だよな。

 

ばらの秘密
 

ばらの秘密

 

ストーリーはとても上手に組み立てられており、

「私の頭の中の消しゴム」(2004)のソン・イェジン

演じる母ヨノンと市長候補ジョンチャンを父に持つ娘ミンジンが

外出したきり戻らない出来事から始まります。

 

ばらの秘密

 

それにしても韓国映画の子供役、今回は高校生だけれど、

可愛いくないことが多いのよね。ちなみに向かって右がミンジン。

成長するとみんな同じような綺麗な顔になるのに、中高生

ぐらいはほぼ不細工なのはなぜだろう。それはさておき、

この失踪事件も案の定、警察は全く役に立たないし、

そもそも対立候補側であることがわかってしまう。こういうのも

選挙に関係してくるんだ。また、夫は選挙運動に没頭しているし、

ミンジンが会うと言っていた「ジャヘ」は存在しない人間だと

分かってしまう。ああ、娘のことを何も知らなかったのね。

娘はいずこへ?ヨノンの執念はすごいんですよ。5万通もの

ミンジンのPCメールを全部チェックし、担任のソラ先生からの

メールを知り、彼女から「ミジンがいじめられていた」ことを

知らされるのです。

 

ばらの秘密

 

そして唯一友人だったミオク(これまた可愛いくない)が

何かを隠している。その間にも対立候補側が盗聴器を仕掛けて

いたことや(これはお互い様)積極的に捜索を開始しない夫への

不信感など見る側を翻弄する情報が錯綜します。これらを

小出しにすることで絶対にミスリードさせようとしているの

がわかりますが、わたしは知っています。負けません!
脚本にパク・チャヌクが参加しているだけあって、それぞれの

苦しみ、悲しみ、怒り、憐みの心などが上手く言葉として

表れていると思います。

 

 

 

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殺されたミンジュ

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殺されたミンジュ

 

「殺されたミンジュ」

原題:One on One

監督:キム・ギドク

2014年 韓国映画 122分 R18+

キャスト:マ・ドンソク

       キム・ヨンミン

       イ・イギョン

       チョ・ドンイン

       テオ

 

ある夜女子高生ミンジュが謎の集団によって殺害される。

そして1年後、事件の実行犯が1人ずつ拉致され拷問を

受けていく...。


<お勧め星>☆☆☆ メッセージ性は強いのですが、

「嘆きのピエタ」の方がずっと上を行くと思います。


セリフの多さは、テーマをブレさせる。


かなりの低予算かつわずか10日間で撮影完了だけあって、

シーンも限られており、カメラワークも統一性がなく、

俳優の演技力によって、映画が成り立っている気がします。
「ミンジュ」というのはあちこちで書かれているとおり

韓国語で「民主」の意味であり、つまりこの1人の少女が

殺されたことを韓国国内だけでなく、全世界に広がる

民主主義の崩壊になぞらえているのです。
冒頭に襲われたミンジュは、あっという間に殺害され、

「なぜ?」ということは最後までわかりません。そして

1年後、事件の実行犯が1人ずつ拉致され、拷問を受けた

挙句、調書を書かされていくわけです。この拷問はかなり

ソフトであり、こんなもんじゃないだろうと思ってしまう。

 

殺されたミンジュ

 

殺されたミンジュ
 

この集団は「シャドウズ」と呼ばれるらしいのですが、

そんな風に映画の中で呼んでいたのか全然気づかず。
さらに、シャドウズは、ある時は警官、ある時は軍人、

ある時はヤクザ風などコスプレをして実行していくのです。

それはどの世界にも同じような「悪」が存在するという

ことを示したのでしょうか。
またシャドウズのメンバーの日常生活があまりにも

悲惨なのです。ある者は、重い病の妻のために金を借り、

取り立てに苦しむ。ある者はアメリカのアイビーリーグの

大学まで行き英語もマスターしたのに職がなく、兄夫婦の

世話になっている。認知症の母親とホームレス状態の者、

DV男から離れられない女。いずれも「負け組」にしか

すぎないのです。これでもかと見せつける「負け組」を

率いるリーダー的存在は元軍人のマ。

 

殺されたミンジュ

 

マ・ドンソクが演じています。結局は彼の個人的な

恨みを晴らすために、ネットで社会に不満を持つ者を

募ったということが分かっても、心になにも響きません。

 

殺されたミンジュ
 

「私は誰なのか?」って最初に実行犯として拷問を

受けるオ・ヒョン役のキム・ヨンミンは8役もこなし、

借金取りだの、エロ社長だの、DV男だのを演じている

ことで、「誰にでもなれる」ということを示唆している

のかもしれません。
見終わって考えなおしてみても、やはり人間は哀れで

悲しい存在なのだとしか思えず、心が暗くなるだけの

映画でした。

 

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盗聴者

4

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盗聴者

 

「盗聴者」

原題:La Mecanique de L'ombre

監督:トマス・クライトフ

2016年 ベルギー=フランス映画 91分

キャスト:フランソワ・クリュゼ

     ドゥニ・ボダリデス

     シモン・アブカリアン

 

失業中で断酒会に通うデュバルは、謎の仕事の依頼を

受ける。内容は盗聴した通話内容を文字に書き起こす

ものだったが、それが政府高官殺害に関わっていると

気づいてしまい...。

 

<お勧め星>☆☆☆ 中年失業男の転職失敗談という感じ

 

真面目ならいいというわけではない

 

生真面目が取り柄のデュバルは、それが災いし、職を失い、

アル中となり、断酒会に出席しているというのが始まり。

まあ、畳みかけるようなオープニングを後でゆっくり考えると、

つまり上司が指示し忘れた翌日の会議資料作成を、適当では

済まされない性格のデュバルが焦りまくり呆けて朝が来た、

という感じですかね。失職→アルコールに溺れる→妻逃げる、

こんな悲惨なオヤジの姿を「最強のふたり」(2011)の

フランソワ・デュバルが演じています。

 

盗聴者

 

盗聴者

 

面接で「右派ですか?左派ですか?」と面と向かって尋ねる

雇用主なんて、不信感を抱くのは当たり前だし、他の条件も

胡散臭いものばかり。しかし「働いてこそ一人前」という

真面目なデュバルはしっかり約束を守り、突然現れた上司らしき

ジェルフォの指示にも従うのです。あ、強制もあったか。

上からの指示に反発しないのは、日本のサラリーマン特有の姿と

思ったらフランスにもいたんだ。

 

盗聴者

 

彼は断酒会で知り合ったサラという女性を心の支えにしている

ようなのに、そこも一歩踏み出せず、めっちゃ歯がゆい。

役柄とはいえ表情の変化が乏しすぎるデュバルには、ちょっと

イラつきます。そこ、はっきりせんかい!それでいて急に暴走

するときもあるけれど、極めて中途半端です。

 

盗聴者

 

さらにもう一つの組織が彼に接触してくるけれど、口で言うほど

怖くない相手なんです。なんだろう。国家機密的なものを耳にして

「えらいこっちゃ」と主人公が慌てている予告編とは感じがかなり

異なります。

ラスト付近のデュバルの必死のパッチの行動だけは素晴らしいけれど、

それが吉と出たのか凶と出たのかは、暗転した画面に向かって考える

しかないのでした。

 

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クリミナルズ

4

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クリミナルズ

 

「クリミナルズ」

原題:La Peur de L'ean/Fear of Water

監督:ガブリエル・ペルティ

2011年 カナダ映画 122分

キャスト:ピエール=フランソワ・ルジャンドル

     ノルマン・ポゴナ

     ミシェル・ラピリエール

     ステファニー・ラポワント

 

カナダの小島で市長の娘ロザリーが惨殺される。

初めての殺人事件のためモントリオールからジングラ

巡査部長が捜査の応援にやって来るが、地元警察の

アンドレは相棒サボワと共に独自の捜査を進める。

 

<お勧め星>☆☆☆半 よく練りこまれたストーリーです。

 

カナダのマグダレン諸島が舞台ということで、それはいったい

どこら辺?とまず調べてみると、カナダ東部の小さな島々から

できており、この辺りです。

 

クリミナルズ

 

「赤毛のアン」で有名なプリンス・エドワード島の北にあるのが

わかります。なんでもかつては難破船の漂流者が流れ着くことが多く、

島民の多くはその末裔らしい。ケベック州に属しているので、

主要言語はフランス語です。(公用語がいち早く英語になった地域)

島の雰囲気は漁で生計を立てる住民が多いところや寒々しい海風が

吹きすさぶシーンなどで、北欧の島のような雰囲気を受けます。

 

○見どころ 

構図としては、殺人事件など起きたことのない小さな島の市長

の娘が惨殺され、「これは手に負えないな。本庁の応援を要請」

→「モントリオールからやって来た敏腕巡査部長が田舎の警察を

馬鹿にし、捜査の陣頭指揮をとる」

と、日本の警察映画でよく見るような所轄はもっぱら下働き、

県警が全てを指揮するパターンで、その見立てが「プロファイリング」

を活用するという最新式のものなのです。今じゃ普通かな。

 

クリミナルズ

 

冒頭からこの島ののどかさが伝わり、このずんぐりとしたアンドレ

巡査部長の優しく生真面目な人柄がわかるのですが、「水恐怖症」で

カウンセリングを受けていたり、妻は島を嫌ってモントリオールに

行ってしまったとか、娘モードが彼に反発しているなど様々な要素が

描かれます。結構映画内でストーリーが横道に逸れるし、怪しい人物が

次から次へと出てくるので、しっかり見ていないと、まず名前と顔、

そして人物同士の関係が理解できなくなります。

 

クリミナルズ

 

遺体で見つかったのは、市長の娘ロザリー。しかし市長は末期がん

であり、後妻の座を狙うナースがそばにいて、彼女と反目していた。

ロザリーの男性関係は奔放だし、現場の足跡などから容疑者と思われる

小児性愛犯罪歴を持つ男やら、ロザリーの残した車を燃やすドラッグの

密売人やら、今まで平穏だと思っていた島が実は、多くの問題を抱えて

いたことが、露呈するのです。

 

クリミナルズ

 

ジングラの見立てにことごとく反発するアンドレは、部下のサボワと

独自の捜査を行うと、そこは当然のごとく、ジモッティの「利」。

島民が彼にだけ話す内容の証言が出るわけです。サボワが歯の

矯正具をつけていて、それが外れたのを、必死でアンドレにアピール

するシーンは可愛いかったな。但し決して美人ではありません。そう、

この映画には美男美女はおろかサスペンスに必須のアクションや

スリルはほとんどなく、ただ地道にコツコツ捜査する姿が描かれて

いるので、DVDのジャケットも本来主役であるアンドレは横顔しか

映っていないというトホホなもの。

TVドラマ「キリング」のアメリカ版でもこんな感じだったけれど、

リンデンの相棒ホールダーは結構イケメンだったな。

 

クリミナルズ

 

小さな島なのに結構心の病を抱えている人が多く、それが全ての

人々の共通項になっているなんて、気づくこともありません。歯の

矯正具が取れた途端、ぐいぐいアプローチするサボワは何回考えても

可愛い。彼女にとって矯正具が自分を抑圧していたのかな、と全く話と

ズレたところで納得してしまいました。

 

●惜しいところ

「動機」が今一つ理解できていません。もう一度見直そうかな。

 

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ダーク・プレイス

2

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

ダークプレイス

 

「ダークプレイス」

原題:Dark Places

監督:ジル・パケ=ブレネール

2015年 イギリス=フランス=アメリカ映画 113分 PG12

キャスト:シャーリーズ・セロン

     ニコラス・ホルト

     クロエ・グレース=モレッツ

     クリスティーナ・ヘンドリック

     タイ・シェルダン

 

母妹を殺害した罪で服役中の兄ベンについて、真相を解明

したいと語るライルという男性が、リビーに接触する。

彼女は金欲しさに協力し始めるが...。

 

<お勧め星>☆☆☆半 個人的には結構好きな映画です。

 

ダークプレイス=「心の闇」

このdarkが心の中だけでなく事件当時の夜の闇を表している

気がします。いつも参考にするRotten Tomatoesの評価は

26%。低い!

 

ダークプレイス

 

この事件のあった家庭を取り巻く設定が、シングルマザーで

子供が4人、元夫は金をせびりに来る、親子、弟妹の関係が

いまいち、そこに悪魔儀式だの先住民族だの入れ込んでくる

から、極めて複雑になりすぎていると思う人も多いようで。

確かにすごいな。ストーリーの本質をぼやけさせてしまうかも

しれません。

 

○見どころ

現在のリビー・デイ役はシャーリーズ・セロン。

「モンスター」(2003)のように激変したメイクや

体重増加はしていないものの、美しい顔をキャップで隠し、

いつもタバコを吸うスレた女性役を好演。

 

ダークプレイス

 

この人、歩き方や仕草でその役になり切るからすごい。そして

兄ベンの釈放を求める集団を紹介するのが、ニコラス・ホルト

演じるライル・ワース。「殺人クラブ」なんていうから、

「完全犯罪クラブ」(2002)なんて全く違う映画を思い出し

ちゃった。

事件の唯一の目撃者で、兄ベンの有罪の決め手の決め手の証言を

したリビーは、その後、手記を出し、全米からの寄付金で生活

してきたらしい。でもこの手の事件はその後もいくらでも起きる

わけで、いつまでも寄付が来るわけもないのです。報酬欲しさに

協力し始めたものの、なぜかリビーは、当時の夢にうなされる。

これが事件当夜は白黒P.O.V映像、ただの回想シーンはカラー映像、

そして現在はもちろんカラー映像となっており、それがばらばらと

組み込まれています。ベンと面会したリビーは、お互いに何かを

隠しているのですが、それがなかなかわかりません。う〜ん、

もどかしい。でも知りたい!

 

ダークプレイス

 

当時のベン役はタイ・シェルダン。そして恋人ディオンドラ役は

クロエ・グレース=モレッツで、彼女がものすごい悪女っぷりを

見せます。あれ?なんか似合っているな。

序盤に事件の真相の重大なキーパーソンが登場するけれど、あれは

絶対に気づきません。それが終盤につながった時、しまった!と

思ってももう遅いのです。ここは見てのお楽しみ。

終始サスペンス的でありながら、家族いや人間の再生を感じさせる

映画でもありました。

 

●惜しいところ

確かに無駄な設定や人物が多かった気がします。あれらは少し削って

いいように思います。

 

 

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