ノー・エスケープ 自由への国境

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JUGEMテーマ:洋画

 

ノー・エスケープ

 

「ノー・エスケープ 自由への国境」

原題:Desierto

監督:ホナス・キュアロン

2015年 フランス=メキシコ映画 88分 

PG12

キャスト:ガエル・ガルシア・ベルナル

     ジェフリー・ディーン・モーガン

     アロンドラ・イダルゴ

 

アメリカへ不法に入国しようとしていたメキシコ人

たちを乗せた車が故障する。彼らは砂漠の国境地帯を

徒歩で進み始めるが、突然何者かに狙撃され始めるのだ

った。


<お勧め星>☆☆☆ 実にタイムリーな内容なのですが、

何を訴えたいのかメインテーマがぼやけている気がします。


砂漠という壁


トランプ大統領が大統領選挙前に公約に掲げていた

「メキシコとの国境に壁を建設する」ことは実際に進んで

いるようですが、その費用を「メキシコ側に求める」は実行

されているのかわかりません。そして「壁」があるはずの

国境に、この映画ではただ有刺鉄線が張られているだけで、

ひょいとくぐれてしまうのです。

 

ノー・エスケープ

 

なぜにこのような状況かというと、それは有刺鉄線の向こうに、

そう、地平線のかなたまで広がる荒涼とした砂漠を見れば

一目瞭然。日中の気温は50度以上にもなり、日よけもなく

砂漠と岩山があるだけの場所を徒歩で超えるのは、ほぼ

自殺行為に等しいと気がつきます。後から出てきますが、

蛇の大群もいるんです。

 

ノー・エスケープ
 

そして国境付近を、犬を連れ、酒を飲みながら車で走って

行く男は、「うさぎ狩り」をしている、と言う。いやあ、

これは違うな。しかし彼について説明されることはほとんど

なく、少ない情報から推理するに、おそらく軍隊出身、

おそらく移民の増加で職を失ったか、犯罪行為にあったか、

治安の悪化を嘆いているらしい。彼にはトラッカーという犬

しか相棒がおらず、この犬がまた彼に忠実かつかなり凶暴

なのです。

 

ノー・エスケープ
 

一方不法移民側も、無駄に話し始める可愛くもない犬の

ぬいぐるみを持つモイセスとアデラという女性以外は、ほぼ

顔と名前がわからないまま、バタバタ倒されていくのです。

こうなると2人VS男と犬という闘いにしか見えなくなります。

ただこの男から逃げ、砂漠を抜けるサヴァイヴァル映画の

ように思えてくるのです。
モイセスは合法的にアメリカに入国したのに、車のライトの

不備で拘束され、強制送還されてしまった。その際生き別れ

になった息子の元にどうしても向かいたいというのが目的で

あり、変なぬいぐるみは息子とに手渡す約束のものらしい。

その割には結構雑に扱ってしまうのが納得がいかないなあ。
終盤の岩場においての、上下、前後、左右というモイセスと

男の攻防は、ちょっとコントみたいで、緊張の糸が切れて

しまいます。「移民は侵略者」と考え「愛国心」で国境を

警備するという自警団とは全く異なる(自警団を容認している

わけではありません)ただの「人間狩り」が趣味のアル中男と

家族との生活や安全な暮らしを求める善良な?不法移民という

構図ではどう考えても不法移民に肩入れしたくなるというもの。
ではこの映画は何の目的で作られたのだろうと考えると、特に

メッセージ性もなく、リアルな殺戮シーンが続くだけだった

ようにも思えるのです。モイセスについてもっと説明があれば、

もしくは犬を連れた男に何かの説明があれば、感情移入できた

のにとかなり残念に思えてしまいました。

 

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サンド・ストーム

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サンド・ストーム

 

「サンド・ストーム」

原題:Sufat Chol/Sand Storm

監督:エリート・ゼクサー

2016年 イスラエル=ドイツ映画 87分

キャスト:ラミス・アマル

     ルバ・プラル

     ハイサム・オマリ

 

イスラエルの砂漠地帯に暮らすレイラの父は第二夫人

と結婚する。華やかな宴の後、第一夫人であるレイラ

の母アシュラは不機嫌となり、レイラの携帯電話に

男性からの着信があったことから、彼女の外出禁止を

言い渡すのだった。


<お勧め星>☆☆☆ 古い価値観が今も存在し続ける

社会をこの目で見ると、どこか似ている部分を感じて

しまいます。


トンネルと格子窓


映画の序盤と終わりに、おませな次女が新婚夫婦の部屋

をのぞき見するのですが、その中にいるのはまったく

別の2人であり、またまったく違う表情を見せています。

しかしのぞいている次女もいずれはこの格子窓の世界に

入っていくのだろうと思えるのです。
この映画はイスラエルとドイツの合作映画で、イスラエル

におけるイスラム教徒、ベドウィンと呼ばれるかつての

遊牧民族の姿を描いています。戒律の厳しいイスラム教徒

の姿を描いたものはイラン映画「彼女が消えた浜辺」

(2013)があり、男たちがしきりに口にするのは

「名誉と恥」という言葉で、この映画でも「恥」「手順」

など宗教だけでなく部族のしきたりに縛られた人々の姿を

見ることができるのです。
砂漠の中を走る車を運転しているのは、女学生のレイラで、

彼女の成績をしきりに気にする父スリマンが映ります。

 

サンド・ストーム

 

そうか、この父は進歩的な人なんだ、と思ったのもつかの間、

人家が見えてくると運転をサッと交代するのです。何となく

ですが、この砂漠に暮らす人々の中にも新しい風が吹き込んで

いるようにも思えるのですが、いったん村に入るとその風は

ぱたんと止まってしまうのです。

 

サンド・ストーム
 

第二夫人をもらうスリマンに対し、終始不機嫌な第一夫人

ジャリラは、レイラにも厳しく、因習に縛られた人物そのもの

のように感じるのですが、やはり終盤には、隠されていた

本当の心を表します。
「ここで生きなくていい」
さらに幸せそうな第二夫人アファフも、レイラに対し

「早く結婚しないと私のようになる」つまり「年の離れた男性の

第二夫人にしかなれない」と語り、自らの境遇を望んで選んだ

わけではないと知るのです。

 

サンド・ストーム
 

レイラには学校でのBFアンワルがいるけれど、彼女の村では

部族同士で男たちの決めた相手と結婚しないといけない。

アンワルがレイラの家を訪れた時、風にはためく洗濯物が

邪魔で邪魔でたまりません。どれだけ洗ったんだろうと思う

ほどの量の洗濯物がロープに挟んで並んでいます。それが

彼女を含め、ここに住む人々の囚われている多くの物を

示しているように見えます。なんせ駆け落ちしちゃったら、
「恥」をかかせたということで首を切られても文句が

言えないほどなのです。アンワルについて細かく描かれて

いませんでしたが、何か宗教的な罰を受けることで家を

壊さなければならないと語っていたような。
そんな家に嫁がせるなど、スリマンにとっては「恥」に

ほかならないわけです。あれほど冒頭に開けた話をしていた

スリマンが、村の長老には二つ返事でレイラの婚姻を受けて

しまう。そこにレイラの意志は存在しません。
レイラは第一夫人としての座も追われた母の姿を見、恋しい

相手の存在も知らせ、そして遂に家を出ようと決心するの

ですが、「真ん中のトンネルを抜けたら待ってるよ」という

アンワレのもとにどうしても行けないのです。
あそこにトンネルの出口が見えていて、向こうは明るいのに..。

ここで車の中で泣き崩れるレイラを見ると、なぜかその

気持ちがわかったような気になります。日本でも田舎の因習は

目に見えないけれどとても厳しく、それを破ると二度と戻れ

ないし、戻ったとしても、居心地の悪い生活しか送れなくなる。

郷に入ったら郷に従え。いや、そんなんじゃない。地縁血縁

のつながりが強すぎるのです。
レイラが戻ってきたのは夜の闇に包まれた村であり、スリマンに

強い意志でわがままを言うのです。それは彼女が守りたかった

ものがバラバラにならないために仕方のないことなのだろうか。
母と父と妹たちと祖父母を捨てるエネルギーを持つには、まだ

レイラは幼すぎたのだろうか。ここを出た先の生活への不安が

強かったのだろうか。それともそれら全てなのだろうか。
戻ったレイラの気持ちがよくわかると同時に、彼女もきっと

母や第二夫人同様に、いつかは後悔するんだろうなと思って

しまうのでした。

 

 

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フルートベール駅で

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フルートベール駅で

 

「フルートベール駅で」

原題:Fruitvale Station

監督:ライアン・クーグラー

2013年 アメリカ映画 90分 PG12

キャスト:マイケル・B・ジョーダン

     オクタヴィア・スペンサー

     メロニー・ディアス

 

2009年、元日。オスカー達はサンフランシスコ

市内に行った帰りのバート内で喧嘩に巻き込まれる。

彼らはフルートベール駅で警察官に拘束されるが、

必死で話をするオスカーに対し、1人の警察官が銃を

発砲してしまう...。


<お勧め星>☆☆☆半 不条理すぎる現実が正確に映像化

されています。


オスカーという人物


2009年、1月1日にカリフォルニア州、オークランド

で発生したオスカー・グラント3世射殺事件を題材にした

映画で、かねてから見たいと思っていたのですが、見る

勇気が起きず、今回遂に決心して鑑賞しました。
事件当時の周りにいた人々が撮影した動画から始まるこの

映画は、最初から緊張感が走ります。予告編などで知り得た

情報から、丸腰の黒人青年が白人警官に射殺された事件を

取り上げているのは知っていましたが、実際の映像を見ると

「丸腰」とはいえなぜに拘束されたのか、その経緯を

どうしても知りたくなるのです。なぜに彼らはあんなに興奮

していたのか。そしてなぜに警察官たちは暴力的に制圧

しようとしていたのか。
オークランドと言えばメジャーリーグのオークランド

アスレチックスの本拠地です。「マネーボール」(2011)

ではこの貧乏球団が常勝球団になったのか、ビリー・ビーン

というGMの独自の理論が見事に映画化されていました。
この球場へは数年前に足を運んだことがありますが、本当に

古い球場で、建物も古く、翌日向かったサンフランシスコ

ジャイアンツの本拠地AT&Tパークが、新しくてきれいで

その差に驚きました。ビールサーバーが幾つもあり、ちょうど

野球の開催日でなかったので飲むことができなくて悔しい思い

をしました。そういえばアスレッチクスにはガーリックの絵が

いっぱい描いてあったな。その理由を聞いたのにすっかり忘れて

います。

 

フルートベール駅で
 

映画では常に淡々とオスカーの人となりを描いていきます。

12月31日、母親の誕生日パーティーの準備を着々と進める

オスカー。彼には恋人ソフィーナと娘タチアナがいるのですが、

幾つかの前科持ちだし、仕事は遅刻が原因で解雇されている。

家賃の工面にも困っているのに、子だくさんの妹から、家賃用の金

を貸してほしいと電話をもらい、二つ返事で了承しています。

 

フルートベール駅で
 

さらにマリファナの売人もしているらしい。おまけについ最近、

他の女性と浮気をしていたという。このような彼の悪い面を

映しつつ、その一方で、売人から足を洗いたい、仕事が欲しい、

困っている人を助ける、野良犬を大事にする、家族への強い愛情

を見せる極めて優しい心の持ち主であるとも印象づけられるのです。

オスカーの母親役はオクタヴィア・スペンサー。

 

フルートベール駅で

 

人間だれしも聖人であるはずもなく、必ずや悪い面を持ち合わせて

おり、それが「人間」というものだと思うのですが、彼が受けた

報いが正当なものであったかどうかはこれを見れば即座に判断

できるのです。
しかし逆に白人警察官からしてみると、治安の悪い地域において

争いごとの多くは黒人同士のものであり、体が大きく、声も大きく、

数も多ければ、「恐怖」を抱かないはずもありません。

知り合いがサンフランシスコへ向かうバートの車内で、ipodに

合わせて大きな声で歌いながらダンスを始めた黒人女性を注意

する白人男性を見かけたそうですが、彼女は「差別をしているのか」

と言い放ち、その一言で白人男性は黙ってしまったとのこと。

善悪のまえに差別を持ち出すことが到底妥当とは思えないけれど、

差別を受け続けた歴史を持ち、今も大変デリケートな問題として

横たわっていることは確かなのです。

 

フルートベール駅で
 

オスカーを射殺した警察官は、殺人罪ではなく

「テーザー銃と間違えた」

とされて過失致死罪で2年の懲役刑となり11ヶ月で出所した

そうです。その判決が軽すぎるのかどうかではなく、監督が

「オスカーという人物と観客が一緒に時間を過ごす機会を作れれば
こんな出来事が再び起きるのを減らせるかもしれない」と語った

ことはとても心に沁みます。
人種だけでなく他の面でも差別について、政治的な立ち位置に

よって、見方が変えられてしまうのはとてもおかしいことだと

も思うのです。

 

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ハーフネルソン

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ハーフネルソン

 

「ハーフネルソン」

原題:Half Nelson

監督:ライアン・フレック

2006年 アメリカ映画 106分

キャスト:ライアン・ゴズリング

     シャリーカ・エップス

     ステファニー・バスト

     セバスチャン・ソッツィ

     アンソニー・マッキー

 

ブルックリンで公立中学の歴史教師をしているダンは、

夜はバスケットのコーチもしている。しかしある日、

トイレでコカインを吸っているところを、教え子

ドレイに見つかってしまう..。


<お勧め星>☆☆☆ 何はともあれライアン・ゴズリング。


1人では非力、1人では孤独


ライアン・ゴズリングが大好きなので出演している映画は

ほとんど見ていると言っても過言ではありません。
「完全犯罪クラブ」(2002)で初めてライアン・ゴズリング

を見たと思うのですが、内容を全く覚えていません。
「きみに読む物語」(2004)はライアン・ゴズリングと

レイチェル・マクアダムスの共演のラブストーリーの王道です。

「君はいつも戻ってきた」の一言に、ラブストーリーなんて

ちゃんちゃらおかしいわ!と思っていても号泣してしまいました。
「ラースと、その彼女」(2007)「ブルーバレンタイン」

(2010)と続き、「ドライヴ」(2011)では逃がし屋を

している寡黙な男を演じ、わたしのハートをわしづかみにして

スクリーンの向こうへ、いや、レンタルDVDとして返却され

ました。一時期PCの壁紙や携帯の待ち受けはこのライアン一色

だったものです。「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命」

(2012)「オンリー・ゴッド」(2013)等を経て遂に

壁紙を一新する作品「ラ・ラ・ランド」(2016)登場です。

劇場で複数回鑑賞することはほとんどないのに、それでも飽き

足らずBlu-ray購入し、サントラも購入しました。友人によると

「あのネズミ顔の男の人のどこがいいの?」だそうで、心の中で、

「あなたのダンナはゲーハータヌキだろう!」と言い返したいのを

ぐっとこらえました。

そのライアン・ゴズリングがアカデミー賞主演男優賞にノミネート

された作品がこの映画です。この映画でも悲しい顔、寂しい顔、

はにかむような笑顔と女心をくすぐる表情を随所で見せています。

 

ハーフネルソン
 

ブルックリンで公立中学の歴史教師をしているダンは、指導

すべきこと内容ではないことを教え、生徒には人気があるの

です。また彼自身、自分が教えている「対立理論」というのが、

学校から教えるように言われている「公民権運動について」

よりも、ずっと生徒のためになると考えているらしい。

ブルックリンの貧困層が多い黒人が通う公立中学で「公民権」

について教え込むのは、彼らが苦難を経て手に入れたこの

権利を脅かす犯罪行為に走る少年少女がいかに多いかという

ことでしょうか。授業では生き生きしているダンも私生活では

コカイン中毒者であり、GFはすでに更生し、他の男性と婚約

している。しかし自分は更生に失敗し、今この状態にいると

いう泥沼から抜け出せない境遇に深い孤独と焦燥感を覚えて

いるようです。
映画の後半で、彼が行くのを避けていた自分の実家が映るの

ですが、父は極端な白人至上主義者であり、母親と弟も特に反発

していないのです。つまり彼が学校で教えようと考えていた理論は、

自分の家庭環境への反発であり、社会への反発であり、

ささやかな抵抗でもあった気がするのです。

 

ハーフネルソン
 

その彼がトイレでラリっているところを生徒のドレイに

見つかってしまいます。ドレイはシングルマザーの家庭で、

母は働きづめだし、兄はドラッグ関係で収監されているのです。

おそらくは彼女はとても賢く、この境遇でなければもっと

高等な教育を受けるチャンスがあるはずなのに、そんなことは

夢のまた夢。この2人の奇妙な友情は互いの孤独を埋める目的

だというほど深いものではなく、寂しい時間に側にいるという

だけで自然と落ち着くような感じになるものではないのかなあ。

何かを禁止したり押し付け合うことのない少しだけ和らいだ

空気感を漂わせることができる相手。

 

ハーフネルソン
 

しかし遂にドラッグ販売を手伝ってしまったドレイが、その

ドラッグを届けた先にいたのがダンなのです。互いの最後の砦、

つまりダンはドラッグを吸っているけれど、それを買う姿を

見られたくなかったし、ドレイは兄の友人で売人のフランクの

手先として動いている姿を特にダンに見られたくなかったの

でしょうね。

 

ハーフネルソン
 

ラストはダンの自宅のソファの両脇にちょこんと座る2人が

映ります。全く違う立場であり、境遇であるけれど、最低でも

「孤独」ではなくなった証であり、これからどう転ぶか予想も

できないけれど、少しだけ希望が持てるものでした。

ちなみに「ハーフネルソン」はプロレスの技の1つで「羽交い締め」

を表すそうです。ダンの状況を物語っているのかな。

 

 

 

 

 

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愛の亡命

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愛の亡命

 

「愛の亡命」

原題:Despite the Falling Snow

監督:シャミム・サリフ

2016年 イギリス=カナダ映画 94分

キャスト:レベッカ・ファーガソン

     サム・リード

     アンチュ・トラウェ

     オリバー・ジャクソン=コーエン

 

1961年、ニューヨーク。アメリカを訪れた

ソ連使節団の1人サーシャは突如アメリカに亡命

する。1992年同じアメリカ。サーシャの

姪ローレンが展覧会開催のため、ロシアへ向かう

話を聞き、彼は妻カティアを思い出すのだった。


<お勧め星>☆☆☆ スパイ物と思っていたら、

ほぼほぼ悲恋物語でした。


雪が降っているのにもかかわらず


映画は冷戦時代のソ連とそのソ連崩壊後のロシアと

アメリカのシーンが、行ったり来たり映ります。

 

愛の亡命

 

その中で際立って美しいのが、1959年当時ソ連で

学校教師をしていたカティヤを演じるレベッカ・ファーガソン。

「ミッション:インポッシブル/ローグネーション」

(2015)より「ガール・オン・ザ・トレイン」

(2016)でヒロインの元夫の現在の妻アナ役を

演じていたことの方が印象的です。なんせスタイルは抜群、

そして整った顔立ちは美人そのものなんです。

 

愛の亡命
 

愛の亡命

 

この映画では主役のサーシャの姪ローレンも演じているの

ですが(下の写真の向かって左側)メイクや髪型、

ファッションですっかり印象が変わってしまうのだと実感。
ストーリーは1959年、ソ連の政府高官だったサーシャが

教師であるカティヤを好きになり、ほどなく結婚するも、

実は彼女はサーシャの同僚ミーシャ

 

愛の亡命

 

(サーシャ、ミーシャって猫の名前みたいに感じるけれど、

アレクサンドル、ミハイルの愛称)の指示で動くアメリカの

スパイであり...と割とありきたりなもの。カティアの両親が

反体制派だったことで処刑されたことなども拘束のシーン

のみ映像になっているだけであとはセリフで表されます。

彼女が11歳の時に両親が連行されたこと考えると

「チャイルド44」に書かれていたように国家保安省(MGB)

が反体制派を次々に摘発し、拷問、処刑した時代で、その

凄まじさは映像にしなくてよかったかもしれません。ちょっと

疑問なのは兄はアメリカに亡命し、カティアは教師という職に

就いていることで、孤児たちがひもじい暮らしを強いられて

いたのではなかったのか、これは特別なんじゃないかとか考えて

しまう。
冷戦時代のソ連ではしんしんと雪が降り、凍え切った空気感を

覚えるのですが、1992年のロシアは暖かい日差しが降り

注いでいます。敢えてそのように描いたのでしょうか。また

サーシャの姪ローレンの行動力溢れる姿が、30年という時の

変遷を感じ、彼女がロシアの政治記者マリナと恋に落ちかける

姿を見ても、自由な時代になりつつあったのだと感じるのです。
そこで冒頭から一切語られていなかったカティヤの消息はどう

なっているのか。冷戦時代、ソ連からアメリカに亡命すれば、

残された家族はおろか上司、同僚すらも責任を免れなかったと

推測するのは当然なのです。ただなぜサーシャは亡命したのか。

またカティヤはなぜスパイ行為を行い続けたのか。様々な謎が

解けてくると、まさに「悲恋話」と思ってしまいます。これが

サーシャがスパイでカティヤが何も知らないという逆の立場

だったらどう描かれたのでしょうか。
やはりスパイ物にはスリルとアクションが欲しいし、本物の

恋愛を混ぜ込むと何とも甘ったるくなってしまうなあという

のが本音です。

 

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はじまりへの旅

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はじまりへの歌

 

「はじまりへの旅」

原題:Captain Fantastic

監督:マッド・ロス

2016年 アメリカ映画 119分 PG12

キャスト:ビゴ・モーテンセン

     フランク・ランジェラ

     ジョージ・マッケイ

     サマンサ・アイラー

     アナリース・バッソ

 

ベンと子供たち6人は森の中で自給自足の生活を

送っている。しかし病気のため入院していた妻が

自殺し、彼らは葬儀に出席するために街へと出て

いくが...。


<お勧め星>☆☆☆半 何が幸せか深く考えさせ

られる映画です。


理想の敗北は新たな一歩


見終わったときに感じたのは、主人公のベンはいったい

何を悟ったのだろうかということ。それは冒頭から

見せられる森の中で外界との接触をほぼ遮断した一家の

生活、狩猟に始まり、体力作り、そしてひたすら難しい本

を読む。全て父であるベンの設定したルールであり、

(妻も納得していたはず)それらを6人の子供たちが

極めて優秀な頭脳と運動能力をもってこなしていくわけです。

 

はじまりへの歌
 

「うわ〜すごい。こんなこともできじゃうんだ」じゃないのよ。

大体映画内で、ノーム・チョムスキーという人物を口にされた時、

全く知らない人物でさっそく調べてしまいました。彼は現存の

哲学者であり、「現代言語学の父」と評され、ベトナム戦争の

有名な批評家であったとのこと。哲学といえば大学の時、最も

単位がとりやすい講義で、コマ数の足りない学生は講義に

出なくても試験さえ受ければ単位をくれるということでこぞって

とっていました。(私もその一人)おじいちゃん教授が、とっても

小さな声で話す内容は今一つも頭に残っていません。ただ覚えて

いるのは、試験の時、できた学生から退出していいという決まりで、

多くの学生が退出したのですが、最後まで残っていたら

「早く出してください」とその教授に言われたことです。その

穏やかな教授が唯一声を荒立てたのは、違う講義を行う教授が

学生と遊びで付き合っているという話をした時ですね。

ああ、この話は本当だったんだ。そしてこの先生は学生では

なくその教授に対しものすごく腹を立てているんだと肌で感じ

ました。今思うと極めて倫理観の高い方だったのだ、もっと

しっかり講義を聞いておくべきだったと後悔しています。
この映画ではこのチョムスキーを含め、とても難しい事柄を

末の子供まで知っており、それについて自分の考えも述べる

ことができるのです。但しこれには父の思想が大きく関わって

いることも確かで、それが全てじゃないことをいつか知ること

ができるのかと途中で心配になりました。

 

はじまりへの歌
 

ある意味「楽園」であったはずのこの森の一家は、妻レスリー

が精神を病み、そして自殺してしまったことで急変します。

彼女の遺言通りに葬儀を行いたいベンは、子どもを連れて

街に向かうわけです。なぜレスリーが精神を病んだのか、

映画内ではベンの口からでしか理由は語られません。それは

ベン自身もわからなかったんだろうなあ。

 

はじまりへの歌
 

客観的に見るとかなり裕福な家庭の一人娘レスリーが親に

反発し、いわゆるヒッピーのような青年ベンと暮らし始めた

ものの、子どもが生まれた時、自分たちの求める理想を

その子供に押しつけることが正しいのかどうか深く悩んだ

のではないでしょうか。映画内で「任務」と称される万引き

行為は、実社会では明確な犯罪であり、また武器や格闘で

身を守ることが本当に重要なのかは、誰も判断できないと

思うのです。したがって自分たちのルールを守るためには、

一生森で暮らさなければならず、それは「何も知らない」

人生を子どもたちに送らせることを意味するのではないか。
序盤からずっと持ち続けた違和感は、終盤にようやく解消

されます。何でも知っていると思っていたベンが実は

「何も知らなかった」ということに気づくわけです。しかし

彼は間違っていたとは思えない。「現実」だけに生き続ける

よりも「理想」を追求し、その2つをその時々上手に折り合い

をつけて行くことが人間なんじゃないのかなと思っています。

とても難しいことだけれど。

 

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人生タクシー

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人生タクシー

 

「人生タクシー」

原題:Taxi

監督:ジャファル・パナヒ

2015年 イラン映画 82分

キャスト:ジャファル・パナヒ

 

パナヒ監督が運転する1台のタクシーにテヘラン

市民が次々に乗り込んでくる。彼らは路上強盗やら

事故に遭って病院へ向かう夫婦やら金魚鉢を手に

した婦人たちなど境遇は全く異なり、それらを車載

カメラが映し出していくのだった。


<お勧め星>☆☆☆ 監督の置かれた状況を考えると

極めてアイデアに富んだ秀逸な作品です。


尋問官の声は耳から離れない


ジャファル・パナヒ監督は少し調べるとすぐにわかり

ますが、イランにおいて反体制的な作風で映画を作り、

2009年大統領選で改憲派を支持したことで2度

逮捕された上、20年間の映画製作、脚本執筆、

海外旅行、インタビュー禁止という立場にあるのです。
タクシーの運転手が主人公の映画は最近見たものでは

「しあわせへのまわり道」(2014)を思い出します。

それについては既にDVDになっているので是非ご

覧くださいとお勧めするにとどめますが、その映画とは

全く異なる手法であり内容であり見終わって多くのことを

考えさせるものになっています。そもそも監督自らが

タクシーのハンドルを握り、その車載カメラで客の姿や

街の様子を映すなどということを誰が思いつくでしょうか。
イラン映画には多くの制約があり、「イスラム文化指導省」

に認められないと上映はおろか製作もできません。これまで

に見たイラン映画は「運動靴と赤い金魚」(1997)

「チャドルと生きる」(2000)「彼女が消えた浜辺」

(2009)「別離」(2011)で、どの映画も多くの

慣習、制約に縛られたイラン国内の人々を特に子供や女

性を中心に描いていました。
『俗悪なリアリズム』は禁じられているため、なにかしらで

象徴したり、想像させるシーンが数多く見られます。

『俗悪な』って、映画内で監督の実の姪ハナが疑問を呈して

いる通り、都合がいい現実のみを描くことが良くて、その

『俗悪さ』を招いた原因やまさに『俗悪』になっている

今の世の中を描くのを禁じるのは、その社会を作り出した

指導者自身がそれ自体の存在を否定するという、全く矛盾した

行為なのです。とはいえ映画はその様子を軽妙に描いていきます。
乗り合いが常のタクシーの最初に乗っているのは3人で、

軽微な罪で死刑になったことを発端に死刑制度について討論を

始めるのは、路上強盗と女教師。そして助手席にいるのは、

海外のDVDを違法に販売する業者。

 

人生タクシー
 

次は突然タクシーを止めるバイク事故に遭った夫婦で、

血まみれの夫は「紙をくれ」と言う。パナヒがティッシュを

差し出すと「遺書を書く紙だ」と言うのです。そうか、

イランでは妻の立場が極めて低く、もしもこの夫が亡くなったら

わずかな財産は夫の男兄弟にわたってしまうわけか。これが

どう見ても死にそうもないケガなのが笑えます。

 

人生タクシー
 

その後金魚鉢を持ったおしゃべりな女性2人が乗り込んできて

「急がないと死んでしまう」と言う。この死んでしまう理由

もおかしければ(いやこれは笑ってはいけない)車の揺れで

金魚鉢が割れてしまい、大混乱になる様もおかしい。

 

人生タクシー
 

そして姪ハナを拾うのだけれど、彼女の個性もかなり強く、

正義感にあふれ、好奇心が強く、意思も強いのです。それで

いて叔父の立場はよくわかっていないらしい。それでもハナの

姿を見ると他の映画でも思いましたが、たくましい女性に

よってこの国に未来は明るいものになるのではないかという

淡い期待を持つのです。と同時に裕福な夫妻の結婚式のわきで

ゴミを漁り、落とした金を拾っていく少年のボロボロの衣服を

見るにつけ、この国においても貧富の格差はかなり大きのだと

実感します。それは、冒頭の客の女教師が

「誰もが悪人ではなく、その犯罪には理由があるのだ」と語った

言葉が思い起こされ、それはラスト映像にもつながっていきます。

 

人生タクシー
 

バレーボールの観戦に行っただけで逮捕拘留されている女性も

含め、イランという国の不条理さを見せつけられる内容でした。

終盤パナヒは「ある声」に耳を澄ませます。それは拘禁されていた

時の尋問官の声であり、彼は目隠しをされていたため相手の姿を

見ていないけれど、その声が耳から離れないほどの行為を受けた

ことをさりげなく見ている側に知らしめるのです。

それでも空爆で破壊され毎日多くの人々が亡くなっていく国に

比べると、戒律に厳しい宗教指導者であろうとも強力な政権が

運営できている方が国民にとっては救いがあるのではないかと

思ってしまいます。それは絶対に理想ではないにしろ。

 

 

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偽りの忠誠 ナチスが愛した女

4

JUGEMテーマ:洋画

 

偽りの忠誠

 

「偽りの忠誠 ナチスが愛した女」

原題:The Exception

監督:デビッド・ルボー

2016年 アメリカ=イギリス映画 108分

キャスト:リリー・ジェームズ

     ジェイ・コートニー

     ジャネット・マクティア

     クリストファー・プラマー

 

オランダに亡命した元皇帝ヴィルヘルム2世の

邸宅へドイツ軍将校ブラントが護衛役として赴任

する。彼はその邸のメイド、ミーカと恋に落ちるが、

彼女には重大な秘密があり...。


<お勧め星>☆☆☆ メロドラマとして鑑賞すれば普通


リリーちゃんにドキリ


原題の「The Exception」は除外、例外、特例などと

いう意味になるけれど、どれがあてはまるのだろう。
舞台は1940年代のオランダ。ナチスがドイツを

支配した後、元皇帝ヴィルヘルム2世はその地に亡命

していたのです。とはいえまだドイツがヨーロッパ各地を

占領していく時代のことで、大そうな邸宅に住み、多くの

使用人に囲まれてまあ悠々自適に暮らしていた模様。

彼が亡くなるのは独ソ戦が始まる直前であり、ヒトラーを

称えている話もしているので、彼の主義には一定の賛同を

持っていたと思われます。この役を演じる

クリストファー・プラマーがまさに皇帝そのものなんですよ。

2015年映画「手紙は憶えている」のように認知症を

患うわけでもなく、威厳に満ちて、皇帝の座に返り咲く

ことを期待しつつ、戦闘における様々な戦術を模索する

日々を送る。一方で彼の性格は苛烈であり、激高しやすい

という姿も食事のシーンなどで見受けられます。

妻ヘルミーネ役は「ハンナ・アーレント」(2012)

のジャネット・マクティア。

 

偽りの忠誠
 

そしてストーリーのメインは何と言っても甘い甘い、メイド、

ミーカとドイツ軍大尉グラントとの「恋愛」なのです。

ここはちょっと肩透かしを食らった感じです。邦題に「ナチス」

とつくとなぜか第二次大戦におけるナイツドイツの蛮行や

それに耐え、抵抗し、無残にも殺されていった数多くの人々の

姿を思い浮かべてしまう。違うんですよ。
このミーカちゃんは、ヴィルヘルム2世にも気に入られているし、

グラントには一目ぼれされちゃう。だって「シンデレラ」

(2015)のリリー・ジェームズですもん。

「ベイビー・ドライバー」(2017)のデボラですもん。

 

偽りの忠誠
 

グラント大尉なんて赴任したその晩に、離れにやって来た

ミーカに「服を脱げ」なんて言うんですよ。それにしれ〜っと

従うミーカもすごいです。

 

偽りの忠誠

 

グラント役は「ダイ・ハード/ラスト・デイ」(2013)

のジェイ・コートニーなんですが、あのアホぶりとは打って

変わって結構かっこいい役だし、からだもマッチョで魅力的

です。ちなみに2回目はミーカに「服を脱いで」と言われて、

同じようにしれ〜っと脱いでしまうというお互いに潔い姿を

見せてくれます。この戦時中のスパイ捜しにやっきになって

いる同僚をよそにとっても甘い時間をちょいちょい過ごすのです。

この秘密の恋愛が、「恋愛禁止令」が出ているのについイケメン

と写真を撮られちゃうアイドル歌手みたいで、ドキドキするん

です。もちろんのぞき見している年長メイドもいれば、彼女を

目の敵にしているヘルミーネの存在もあるけれど、全然大丈夫。

だってこっちにはなんせ元皇帝がついているもーん。で、

この辺りにイギリスと通じるスパイがいるという話を聞き、

ゲシュタポもやってきて捜査をするんです。誰がスパイか

なんて最初からわかっていますよね。それをどうやって

見つからないようにするか、そんなことはミーカが努力しなく

てもちゃんと守ってくれる人がいるんです。

映画の中盤に登場するヒムラー役は「おみおくりの作法」

(2013)のエディ・マーサンで、彼の優しい表情とは裏腹に

冷酷な言葉を発する時だけ「戦争」というものを実感します。

 

偽りの忠誠
 

彼女の生い立ちは自らの口からちょっと語られるし、映画内に

序盤から挿入される射殺された人々の映像はブラントが戦争に

参加した時のものらしい。しかしどちらも特に深い意味を

持っていなくて、ただこの二人の行く末がどうなるのかを

見るだけのような内容になっています。まあ、ラストは

ほっこりするものなのでいいのでしょうか。たまには

こんな甘い、食べすぎると頭が痛くなるようなチョコレートを

少し口にしたような気分になる映画もいいかもしれません。

 

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gifted/ギフテッド

4

JUGEMテーマ:洋画

 

ギフテッド

 

「gifted/ギフテッド」

原題:Gifted

監督:マーク・ウェブ

2017年 アメリカ映画 101分

キャスト:クリス・エバンス

     マッケンナ・グレイス

     ジェニー・スレイト

     オクタヴィア・スペンサー

 

フランクは、フロリダのある町で、姪のメアリーと

暮らしている。メアリーは数学的才能に秀でているが、

彼は彼女を普通の小学生として育てたいと思っていた。

しかしメアリーの祖母イブリンは、彼女の才能を伸ばす

ためにより良い環境で育てることを提案するのだった。


<お勧め星>☆☆☆ ストーリーは普通なんだけど子役

の演技が素晴らしいです。


普通に暮らす自由


監督は「(500)日のサマー」(2009)の

マーク・ウェブ。トムとサマーの出会いから完ぺきな別れ、

そしてそれぞれの道を進み始める500日の夏の終わりを、

ちょっと胸キュン、時々イラ、最後納得、という感じで

描いていました。

 

ギフテッド
 

この映画は予告編で幾度となく見ているので、メアリーの

天才ぶりはわかっていましたが、前歯がなかったり

(永久歯に生え変わる)体型が7歳の少女そのもので、

まさにこの役は彼女のためにあるのかと思うほどでした。
もう記憶が定かではないのですが、小学校の頃、知能検査

だったかクレペリン検査だったか全員受けさせらる時期が

あって、時間内の到底解けるはずもない膨大な量の問題に

取り組まされた覚えがあります。あれはいったい何のテスト

で何のために受けたのか、今調べてみても一向にわからず、

ただわかったのは、当時から「天才」ではなかったという

ことだけです。大体あのテストは戻ってこなかったしなあ。
メアリーは数学的才能に秀でているいわゆる天才児で、

その母でフランクの姉ダイアンも天才数学者だったものの、

ある日自殺してしまったのです。

 

ギフテッド

 

それがきっかけで同じ数学者である実母イブリン、つまり

メアリーの祖母、とは疎遠となり、フランクとメアリーは

フロリダでごく普通の暮らしているわけで、なぜかわから

ないけれど、近所に住むロバータがものすごく親身になって

彼らを見守ってくれています。ロバータ役は「ドリーム」

(2016)のオクタヴィア・スペンサー。このおばちゃま

とフランク達がなぜにこんなに懇意なのかは最後まで

説明がなかったけれど、彼女の良い人オーラで映画が何と

なく心地よくなることは確かです。

 

ギフテッド
 

さらに忘れちゃいけないのは、右目がない猫のフレッドの

存在です。メアリーを巡ってフランクとイブリンが対立し、

法廷闘争へと発展、そして苦渋の決断をした後に、このフ

レッドの存在があったからこそ、物事が良い方向に変わっていく。
ちょっと終盤は駆け足っぽくて物足りなさも感じましたが、

「キャプテンアメリカ」の優しい父親代わり姿や恋愛シーン

も楽しめたので、ラストも含めてチャラとしましょうか。

 

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ドリーム

3

JUGEMテーマ:洋画

 

ドリーム

 

「ドリーム」

原題:Hidden Figures

監督:セオドア・メルフィ

2016年 アメリカ映画 127分

キャスト:タラジ・P・ヘンソン

     オクタビア・スペンサー

     ジャネール・モネイ

     ケビン・コスナー

     キルステン・ダンスト

 

1961年NASAに勤務するキャサリン、メアリー、

ドロシーは、女性でありかつ黒人であることから、

いくつもの差別を受けながらもそれぞれの夢を

かなえていく..。


<お勧め星>☆☆☆半 夢に向かって自分の力で未

来を切り開いていく姿がとても清々しい。


偏見を持っていないという思い込み


この映画の舞台となった時代が東西冷戦真っただ中の

1961年。そしてアメリカ国内でまだ白人と黒人の

分離政策が行われていたバージニア州での様子です。

このようにリアルに有色人種を差別していた時代を

見るのは本当に辛いですが、その差別が今は一切

なくなったかというとそんなはずもなく、「差別主義者

ではない」と言い切っていながら心の内ではそのもの

ズバリであるという白人の姿は「ゲット・アウト」

(2017)でとても不穏に描かれていて、空恐ろしく

なりました。

 

ドリーム
 

ドロシー役のオクタビア・スペンサーは「ヘルプ〜心が

つなぐストーリー〜」(2011)でも1960年代の

黒人女性を演じ、そこでは白人家庭でメイドとして働く

女性たちの権利を静かに主張する、穏やかなそして芯の

強い姿を見せていました。

 

ドリーム

 

そして冒頭に飛び級するほど賢い少女が映りますが、その

キャサリンの後の再婚相手ジムは「ムーンライト」(2016)

のマハーシャラ・アリ。さらにNASAでの計算係の

上司ミッチェル役はキルステン・ダンスト、そして責任者

ハリソン役はケビン・コスナーと豪華な顔ぶれです。
幾つもの苦労話をそれぞれの立場から映します。たとえば、

ドロシーがどんなに年数を積んで仕事をしても昇進は

できません。それどころか臨時採用のままなのです。

 

ドリーム

 

またメアリーも自分の能力のいかせる部署への転属は、

不可能な条件を克服するしかない、つまり不可能なのです。

さらにどんなに未知の数式を正しく計算できてもキャサリンは、

「検算係」にすぎない。これらの不条理な姿をいくつもの

エピソードを組み込んでテンポよく映していきます。
ただ自分の権利を主張するだけではないのです。また大きな声で

反論するわけでもないのです。わたしの知り合いのアメリカ人

男性が地下鉄の中で見た光景では、大音量で音楽を聴きながら

ステップを踏んでいる黒人女性を注意した白人男性に対し、

その女性が激怒し、最後は「差別主義者」と言い放ったそうです。

このマナー1つをとっても白人が黒人に対し注意をすることの

難しさは今も大変デリケートな問題であるとも思うのです。

ちょうど公開中の「デトロイト」(2017)では黒人に対する

白人の恐怖感が大暴動へとつながった事件を扱っていますが、

現在もなお、いや今は一層そういう面が露呈してきた気がして

なりません。この映画では個人的にとても心に残ったのが

キルステン・ダンスト演じるミッチェルの役どころで、

「わたしは偏見を持っていないの」

と能力を見せ始めたドロシーに言うと、ドロシーが

「知っていますよ。あなたはそう思い込んでいるんです」と

言い返したときの、ミッチェルの表情が、なんともいえない

居心地の悪さを感じさせとてもうまく描かれていたと思います。
映画のテーマが困難を乗り越えて夢を実現していった実在の

女性たちの姿のため、メアリーの夫が人種差別撤廃の活動を

していたことや、実際のデモ、世間の流れなどはあまり

描かれず、やや物足りない部分もありましたが、逆に焦点が

ぼけなくてよかったのかもしれません。60年代のファッション

や車も楽しめるもので、時折入り込む音楽も軽快で楽しいものでした。

 

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