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- 2023.01.12 Thursday
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JUGEMテーマ:洋画
「トゥルース・オブ・ウォー」
原題:Soldado Argentino Solo Conocido Por Dios
監督:ロドリゴ・フェルナンデス・エングレル
2016年 アルゼンチン映画 99分
キャスト:マリアーノ・ベルトリーニ
フロレンシア・トレンテ
セルヒオ・スラコ
1982年、兵役で入隊したフアンは、突然
フォークランド諸島へ送られる。彼らは訓練では
なく兵士として戦う運命となるが、アルゼンチン軍は
3か月で敗れ、不安は恋人や両親の待つ故郷に戻らぬ
まま時は過ぎていく...。
<お勧め星>☆☆半 アルゼンチン視点での
フォークランド紛争映画ですが、戦争か戦後かやや
中途半端な描き方です。
国の汚点
フォークランド紛争は、ほんの少し前の出来事だと
思っていたら、1982年であり、イギリスでは亡き
サッチャー首相が政権を担っていた時代です。
アルゼンチンは日本から見ると遠く、さらにイギリス
から遠くにあり逆にアルゼンチンの目と鼻の先にある
フォークランド諸島の領有権をなぜ争う戦いを起こしたのか、
当時は全く分かりませんでした。フォークランド諸島は、
第二次世界大戦後手放さずにすんだ海外領土の1つであり、
そこは冷戦下の軍事拠点、南極の資源発掘の基地として
イギリスには極めて重要だったらしい。一方アルゼンチン
は当時軍事政権下にあり、国民の不満をそらす目的がこの
軍事行動の1つの理由であったのです。
とにわか知識で語ったものの、映画ではその辺りは全く描かれず、
既に入隊しているラモンが、故郷に戻ってきて友人フアンに
「アナ(ラモンの妹)と婚約した」と言われ、激怒するの
シーンから始まるのです。ここは未成年の妹を思う兄の思いだ
と納得できるのですが、入隊したラモンと兵役を嫌うフアンには
大きな心の隔たりがあるようで、それでいて、あれよあれよと
いう間にフアンは入隊するのです。
当時の雰囲気は戦争に行かないものは臆病者であり、最低でも
兵役に就くべきだと思われていたのでしょうか。ところが訓練と
思っていたラモンたちが連れていかれたのは、フォークランド
諸島なのです。
つまり訓練なしの実戦というにわかに信じがたい場所であり、
前半の戦闘シーンは、低予算だと十分うかがえる地味なもの
ですが、それなりに丁寧に描いてあります。大国イギリスが
本気に戦闘を開始したら空から海からぞくぞくと兵士が攻めて
くるわけで、にわか兵士でありろくな戦備も備わっていない
アルゼンチン軍などはすぐに蹴散らされてしまうのです。
ところがストーリーの本編はここかららしく、数年経って
アナが、フアンの元を訪れるというシーンが突然映し出されます。
ラモンは一応戦争当時は名誉の戦死をしたらしい。しかし、
政権が民主主義政権に変わると、あの紛争は「国の汚点」となり、
イギリスが占領しているフォークランド諸島でアルゼンチン軍の
戦死した兵士の身元確認など無関心になっているのです。
それは遺族もまた生還した兵士も同じで「あの戦争に行った」と
口にすることは仕事を無くすほどの評価になっていると知ると
驚きます。ただここも丁寧に描かれていないので、アナが
イギリス兵の間で「兵士ペトロの伝説」と呼ばれているのは
兄ラモンのことではないかと調査を要請する相手の態度がなぜに
困惑するのかわかりづらい。
映画は突然帰郷するフアンを映して暗転します。いやこの
ヨーロッパ映画的な終わり方はまあ素敵かもしれないけれど、
アナはあんなに必死で兄の身元調査を願ったのに、あっけなく
あきらめたなとか、フアンはそもそもなぜすぐに帰郷しなかった
のかとかは自分で考えて解消するしかありません。
ただこの映画で、アルゼンチンに残る大きな問題の1つを
初めて知ることができたのは有益だったと思います。
エンドロールに流れる歌はとても心にしみます。
JUGEMテーマ:洋画
「アクト・オブ・ウォー」
原題:Chosen
監督:ヤスミン・ディスダル
2016年 イギリス映画 105分
キャスト:ルーク・マブリー
ハーヴェイ・カイテル
アナ・ウラル
マックスは祖父から第二次大戦中のハンガリーの
ある一人の男の話を聞かされる。その男は病死した
妻の遺志をかなえるため、レジスタンスに身を投じた
義妹を守ろうと自らも戦うのだった。
<お勧め星>☆☆ もう見古したような題材を今更
新しいストーリー仕立てにしても先が読めます。
主人公のおじいちゃま役はハーヴェイ・カイテル。彼は
孫息子マックスの要望で、あるヒーローの話をし始める
のですが、それが誰のことだか、すぐにわかってしまう、
これに気づかないのはよほどのドンだと思ってしまいます。
おじいちゃまの話は、第二次世界大戦中のハンガリーで
ドイツ軍により迫害を受けていたユダヤ人の姿から始まる
のです。
その中のソンソンは、フローレンスという美しい妻と幸せに
暮らしていたものの、彼女が乳がん⇒ユダヤ人のせいで治療中止
⇒身重の妻死亡⇒義妹ユディトを守る約束が遺言⇒嫌っていた
レジスタンス活動に参加、という姿が描かれます。義妹ユディト役
の女優さんは、ちょっとゴリラ顔。(すみません)姉さんは
きれいだったのにねー。
〇見どころ
特になし。
●惜しいところ
「ハイル、ヒトラー」以外は全て英語を話します。それは
ハンガリー人もドイツ人将校もポーランド人も同じなので、
ナチス将校に扮したソンソンを、憲兵隊もドイツ兵も気づかないと
いうアンビリーバボーな展開。
序盤に囚われの身になったレジスタンスの女性への虐待シーンが
あるものの、あとは発砲、爆発などが見られるのみで、とても
単調です。さらにラスト付近に「ソンソンが最後にドイツ兵を
殺したのは1944年5月16日だった」なんておじいちゃまが
話すけれど、おじいちゃま、よーく考えて。彼がポーランドに到着
したのは1944年秋ですよ。もう少しさらに踏み込むなら、
ソ連赤軍の到着を待ったソンソン達は、彼らから勲章をもらい
大喜びしていたけれど、その後のハンガリーやポーランドなど
東欧諸国の混乱は、いくつもの歴史的事実があったはず。こんな
単純な話で終わらせてほしくなかったし、エンドロールに映る
字幕などもっと余分です。作った意味がわからない映画です。