ザ・アウトロー

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JUGEMテーマ:アクション映画全般

 

ザ・アウトロー

出典:iMDb

 

「ザ・アウトロー」

原題:Den of Thieves

監督:クリスチャン・グーデガスト

2018年 アメリカ映画 140分

キャスト:ジェラルド・バトラー

     パブロ・シュレイバー

     オシェア・ジャクソン・Jr.

     50セント

 

48分ごとに銀行が襲われるロサンゼルスで、

郡保安局の保安官ニックは、仲間と共にメリーメン

率いる銀行強盗団を追っている。ニックは団の

ドライバーであるドニーを拘束し、次の計画の情報を
入手するが...。


<お勧め星>☆☆☆ 頭を空っぽにして派手な銃撃戦と

筋肉もりもりの男たちの姿を楽しむ映画です。


バーテンダーは何でも知っている


邦題の「ザ・アウトロー」が「ジ・アウトロー」

なんじゃないかとあちこちで言われていましたが、原題は

Den of Thieves「泥棒の巣窟」なので、そもそもの意味が

全く異なってしまっているし、ザでもジでも全然気に

ならないような大雑把な内容の映画です。
映画開始からずっと疑問に思っていたのは、

ジェラルド・バトラー演じるニックはロサンゼルス郡保安局の

保安官であり、彼の立場はロサンゼルス市警やFBIと

比べるとどのくらいに位置にあるんだろうということです。

ササっと調べると、アメリカでは連邦制度を採用しており、

中央政権と州政府の権限が明確に分けられているので、州の

権限が非常に大きく管轄する地域も広いため、州は郡や
市にそれぞれの警察機関を設置することができるようです。

地方警察機関としては
◇自治体の警察機関
■市警察局
■環境保護警察や市立大学警察など多数存在

(自治体警察の例)
・ニューヨーク市警(NYPD)
・シカゴ市警(CPD)
・ロサンゼルス市警(LAPD)

◇郡の警察機関
■郡保安官=Sherriff (法執行官のトップとして郡で一人選出される)
■郡保安局

(郡警察の例)
・ロサンゼルス郡保安局(LASD)

◇州の法執行機関
■州警察局
■ハイウェイパトロール
■鉄道警察や州立大学警察など多数存在

連邦の警察(法執行)機関
上記の地方警察機関が一般警察業務のほとんどを担うのに対して、

連邦警察機関は特定の分野においてのそれぞれの組織を設置して

おり、管轄が政府機関によって異なります。
連邦警察にはかなりの種類があります。以下が主な連邦法執行機関

の例です。

◇司法省
・麻薬取締局(DEA)
・連邦捜査局(FBI)など

◇国土安全保障省(DHS)
・沿岸警備隊(USCG)
・シークレットサービス(USSS)

・運輸保安庁(TSA)
・税関国境警備局(USCBP)
・国境警備隊(USBP)など

◇内務省
・国土管理局(BLM)
・国立公園局 パークレンジャー(NPS Ranger)など

このように細かく分かれているようです。

(アメリカ転勤ジャーナルより)
だから映画内でロス市警と対等の立場で捜査をするニックたちは

当然なのでしょうが、FBIが彼らより情報を持っていないのは

ややおかしく感じます。まあ映画だからいいのかな。

 

ザ・アウトロー
出典:IMDb

 

ザ・アウトロー

出典:IMDb

 

そんなことより、最初から目が釘付けになるのは、

ジェラルド・バトラーとメリーメンを演じるパブロ・シュレイバー

の筋肉美!前者は身長188cm、後者は196cmでその体に
もりもり筋肉がついているし、どちらが悪役かわからないほど

派手なタトゥーを双方が入れています。このまま総合格闘技に

リングで戦ってもらいたい。
ニックは出所したばかりのメリーメンが再び銀行強盗を働いている

のを追い続けます。メリーメン一味は、海兵隊出身や高校で

アメフトをしていた者ばかりなので、それはそれは体に自信の
ありそうな人ばかりです。こうなると肉弾戦間違いないと思う

けれど、格闘シーンはなく、ほとんどが 銃撃戦です。

 

ザ・アウトロー
出典:IMDb

 

足のつかない金を狙って連邦準備銀行をターゲットにすると、

フェイントのように普通の銀行に押し入り、そこからドロンと

ターゲットに入り込んでいくトリックは、なかなかよくできて

いるけれど、結局は渋滞の車列の中での銃撃戦開始です。

そこまで用意周到なら、渋滞も予測できるだろうになあ。

 

ザ・アウトロー
出典:IMDb

 

しかしここでも双方が、ライフル、機関銃、ピストルなど豊富な

武器と弾薬を用意しているのがすごい。もう、これをするために

持っていたとしか思えないのです。もちろん一般市民に一応

「頭を下げて」
と声掛けしますが、大迷惑だし危険極まりない。

FBIはどこにいるの?(もうどうでもいい)
ラスト付近でのトリックはなかなか想像できなかったな。それに

してもニックはあれじゃあ奥様に三下り半を突き付けられるわね。

仲間が死のうが離婚届が来ようが全然気にしない男、ニック!

 

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アメリカン・アニマルズ

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

アメリカン・アニマルズ

出典:IMDb

 

「アメリカン・アニマルズ」

原題:American Animals

監督:バート・レイトン

2018年 アメリカ映画 116分 

キャスト:エヴァン・ピーターズ

     バリー・コーガン

     ブレイク・ジェンナー

     ジャリッド・アブラハムソン

     ウド・キア

 

ケンタッキー州の平凡な大学生スペンサーは、友人

ウォーレンと何か刺激のあることを求めていた。

そして2人は大学の図書館にあるスペシャルコレクション

の本を盗み出すことを計画するのだが...。


<お勧め星>☆☆☆ 実話を映像化しているので地味

ながらスリルがあります。


平凡な日々には飽きる

 

 

<ネタバレしているかも>

 


実話を映画化し、さらにそこに当事者やその家族が登場

します。英雄となった人たちならまだしも、犯罪に手を

染め、服役までした人たちがよくぞ登場したと誰もが

思うはずですね。彼らが服役後所在不明になっておらず、

それなりの生活をしている証かもしれません。
映画内では犯罪シーンそのものにはもちろん実物は登場

しません。それに至るまでの個々の胸の内や犯行時の思い

などを、回想する形で本人や家族から語られるのです。

したがってどうしても綺麗ごとを言っているようにも感じて

しまいます。

さらに不思議なのは、各々の話に少しずつズレがあること

です。誰がその言葉を発したか、その時に全員の気持ちが

一致していたか、何を求めて行動にうつしたのかが4人の

口から語られます。但し1部分だけ全員が「沈黙」するの

です。それは言いたくないのか、自分でも理解できないのか。
ケンタッキー州レキシントンで逆さまに映される街並みと

メイクをしていく映像から、通常の向きの映像に変わり、

大学教員や家族のインタビュー映像が流れ、再びメイクを

する様子になります。さあ、今から実行するのか、と思うと

「1年半前」に逆戻りです。

 

アメリカン・アニマルズ
出典:IMDb

 

大学生になって親の期待を背負っていても、自分が芸術を学ぶ

目的をはっきり言えず、学生クラブで嫌な思いをさせられる

スペンサー役は

「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリット・ディア」
(2017)でめっちゃ不気味なマーティンを演じた

バリー・コーガン。見た目では表情に乏しく、ちょっと気色悪く

感じられます。

そしてスペンサーの悪友ウォーレン役はエヴァン・ピーターズ。

X-MENシリーズのクイック・シルバー役で有名です。ウォーレンは

スポーツ奨学生として大学に入ったものの、周りが運動バカ

ばかりで大学への期待はすっかり消え去っています。

スポーツ奨学生で成功する人たちは一握りで、普通にスポーツ漬け

の学生生活を送り、それを自分なりに楽しめばいいけれど、

そういう学校では楽しさを求めてスポーツをするわけではないので、

確かにつまらなくなるだろうな。高校にスポーツ推薦で入った

子たちで、その部活が続けられず退学した話は幾つも聞いたことが

あります。
2人は、ただバカ騒ぎをするだけの学生生活も送りたくなくて、

結局「何かを起こして特別な人生」に変えたい、つまり一発逆転を

狙うわけです。それがスペンサーの大学の図書館にある

スペシャルコレクション、オーデュポンの「アメリカの鳥類」を

盗み出すこと。

 

アメリカン・アニマルズ

出典:IMDb

 

価値は1200万ドルだと言います。盗み出す方法の研究に

使われるのが、過去の強盗映画で、その中に「レザボア・ドッグズ」

(1992)が含まれているのはとてもおかしい。だいたいあれは

成功したといえるのでしょうか。でも犯行をする際、一応それぞれに

カラーの名前、

スペンサー=ミスター・グリーン、

ウォーレン=ミスター・イエロー、
後に参加するエリックとチャズにはそれぞれミスター・ブラック、

ミスター・ピンクとつけるのです。でもこれ1回でも使われたかしら。

 

アメリカン・アニマルズ
出典:IMDb

 

そもそも計画自体がものすごく雑かつ「バカ」丸出しなんです。

老けメイクをして4人が図書館に入っていくから、そこで実行すると

思いますよね。あんなに時間をかけてメイクするシーンを流して

いるのだから、あの扮装は誰にも怪しまれないと思いますよね。

この辺りは映像で確認してください。

 

アメリカン・アニマルズ

出典:IMDb

 

大学の図書館に老人4人が入っていくことの違和感を考えなかった

アホの姿が、スリル満点で見られます。
この4人の無謀な行為が、つまらない日々を劇的変えるカンフル剤に

なり、自分たちは他の奴らとは違う人生を歩むのだと信じてしまった

ことの悲哀は終盤、本人たちの言葉で語られます。彼らの言葉に
少しだけ重みを感じるのは、痛みを味わったことによるものだけれど、

とても好意的に解釈すると、「若さ」が正しい道に戻すことが

できたともいえると思います。
ただ、ラストの話を聞くと、確かに「ウォーレンの物語」だった

のかもしれないと憶測してしまうのです。
挿入歌はかっこよく、華麗に犯罪が行われるかのように感じてしまう

からちょっと不思議

 

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ホワイト・ボーイ・リック

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

ホワイト・ボーイ・リック

出典:IMDb

 

「ホワイト・ボーイ・リック」

原題:White Boy Rick

監督:ヤン・ドマーシュ

キャスト:マシュー・マコノヒー

     ジェニファー・ジェイソン・リー

     エディ・マーサン

     ベル・パウリー

     ブルース・ダーン

 

1984年、銃を違法改造し、ギャングたちに

売買している父を持つ14歳のリックは、FBIの

情報提供者としてスカウトされる。彼は顔見知り

のギャングに近づき麻薬取引の情報を入手するため
麻薬売買に手を染めるようになる...。


<お勧め星>☆☆☆ かなり単調な内容で、脇役の

演技力のみが光ります。


デトロイトという街


かつて自動車産業で栄えたデトロイトという街が

全米で最も危険な都市1位にになったのが1999年。

それ以降1,2位を常に争っています。その中に

ホワイト・アメリカンの存在する割合は1割強で

ほとんどがアフリカ系アメリカ人が占めており、映画の

主役となるリックが、ホワイト・ボーイ・リックと

呼ばれているのも、その地域では珍しい白人のためだと

思われるのです。
なぜに彼ら一家(祖父母も近所に住む)がその地域に

住んでいるのか説明はありません。

それと「アニマル・キングダム」(2010)のように

一家そろってワルばかり、というわけでもないのです。
14歳でFBIの情報提供者となり、16歳で麻薬王と

なったリチャード・ワーシュ・Jr.の実話ベースに

映画は進みますが、あくまでもベースで、ストーリー上

では「麻薬王」になるまでの話は描かれません。
この辺りもやや予告情報が大げさで、ふたを開けてみたら

それほどでもないじゃん!という感じ。
銃を購入し、不法に改造して、ギャングたちに売りさばく

父と、クズ男と付き合い、ドラッグに溺れる姉を持つ

リックが、2年の間に「何」をしでかしたか。

 

ホワイト・ボーイ・リック
出典:IMDb

 

「ダラス・バイヤーズ・クラブ」(2013)よりも

「リンカーン弁護士」(2011)でリンカーンを乗り回す

ド派手な弁護士役や「マジック・マイク」(2012)での

ストリップ劇場のオーナー役が大好きなマシュー・マコノヒー

がリックの父親、リチャードを演じます。

 

ホワイト・ボーイ・リック

出典:IMDb

 

そしてFBI捜査官にジェニファー・ジェイソン・リー、麻薬の

大物ディーラー役にエディ・マーサンが登場し、なんとも

豪華な脇役の中で、主役のリックは、学校で廊下に立たされて

いるところをスカウトされた新人リッチー・メリットは、映画内

のセリフ通り「不細工」かも。まあここにイケメンキャラな不要

かしら。
ルックスは別として、このリックが悲しいほど無表情なのです。

それはクールというより、同じ表情しかできないというのが

わかってしまいます。
14歳の息子を連れて銃の見本市に行き、銃を半ば脅しながら

値切って購入し、それにサイレンサーを違法につけてギャング

たちに販売する父も父だけれど、デトロイトという街では、

警察だけでなく市長をはじめとする市の幹部までも、ほとんどが

ギャングとつながっているというのは映画で幾度も見てきました。

 

ホワイト・ボーイ・リック

出典:IMDb

 

本当にそうなんだろうな。確かめに行く気も起らないけれど。
銃はいいが、麻薬はダメだ!という父の言いつけを守らず、FBIに

情報提供者にされたリックは、麻薬ビジネスに手を染めます。

14歳ってまだ義務教育で学校に行っている時期だけれど、

この街の半分に近い層が職務上無学であると知ると、勉強して

何になる夢も持てない街では手っ取り早く金を稼ぐことが

優先されるのもわかる気がします。
ラスベガスでギャングのボスたちの取り巻きの一人として、

闊歩するリックの誇らしげな顔は、傍から見ると不釣り合いで

悲しく感じますが、本人的には得意満面なんだろうな。
2年の間にFBI情報提供者→麻薬売買→銃撃を受ける→人工肛門

の体になる→娘が生まれる...。普通の人に取れば10年以上の

濃い日々を送ったのかもしれません。それもよくない意味です。
貧困から這い上がる方法がどこを見渡しても見つからない、

蟻地獄のような街が描かれていました。

 

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運び屋

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

運び屋

出典:IMDb

 

「運び屋」

原題:The Mule

監督:クリント・イーストウッド

2018年 アメリカ映画 115分

キャスト:クリント・イーストウッド

     ブラッドリー・クーパー

     ローレンス・フィッシュバーン

     マイケル・ペーニャ

     ダイアン・ウィースト

 

デイリリーの栽培に明け暮れ、家族と疎遠になった

アールは、時代に乗り遅れ、農園を差し押さえられて

しまう。彼は 唯一連絡を取り合っていた孫娘の婚約

パーティーで、ある男から「運び屋」の仕事を持ち

掛けられるのだった。


<お勧め星>☆☆☆ 大そう丁寧に作られた映画ですし、

景色も美しい。でもこれをカッコいいと思った時代は

終わったんじゃないのかしら。


時間は取り戻せない


ベースは2014年6月「ニューヨーク・タイムズ・マガジン」

に掲載された「シナロア・カルテル 90歳の運び屋」という

記事です。メキシコからデトロイトへ大量のコカインを運んで

いたレオ・シャープという男性は逮捕時87歳で、この映画を

撮影した当時のクリント・イーストウッドの年齢と同じです。

主人公アールが本当にお爺さんで、やや背中が曲がり、足は

ガニ股気味、そして少し歩くとゼイゼイ言う姿は、ありのままの

姿なんでしょうね。
この映画を見終わった時、なぜか頭をよぎったのが、

日本ボクシング連盟元会長の言葉

「私は歴史に生まれた歴史の男でございます」。

全然つながらないはずなのに、アールが本当に一昔前の「男性」
そのもののように見えてしまいました。かつて朝鮮戦争で戦った

退役軍人であり、人種差別用語が平気で口から飛び出すし、

お金が手に入れば、家族ではなく、自分の周りの人たちにふるまって、

いつも仲間の中心でいたいという極めて自己中心的な人間なのです。

さらに90歳になってもきれいなお姉さんにチヤホヤされるのが

大好きだし、車はガソリン垂れ流しのような「エコ」とは真逆に

位置するものがお好みのよう。

 

運び屋

出典:IMDb

 

最初はオンボロのトラックだったけれど、お金が入ったら速攻

購入したのが、黒のリンカーン・マークLTというわかりやすい

成金ぶりです。そんな車に乗ったら、仲間にお金をたかられてしまう!
いや、そうやって仲間に必要と感じてもらえるのが彼にとって

一番うれしいらしいのです。

 

運び屋
出典:IMDb

 

ひたすらデイリリーの栽培に没頭し、妻とは別れ、一人娘には

口もきいてもらえないアールが唯一連絡を取っていたのが、

孫娘のジニーで、この役はタイッサ・ファーミガ。

そしてインターネットの普及に乗り遅れ、農場を手放すことに

なったアールを再び家族が受け入れてくれるのだろうかという

ことともに、不法な仕事で荒稼ぎしていく様子が並行して映ります。

何を運ぶのか知ってもそれを続けたのは、かつてのような華やかな

生活が一瞬蘇ったような気がしたからかもしれませんね。友に

頼られ褒められ女性にモテて...。なんとなく寂しいなあ。

 

運び屋
出典:IMDb

 

また運び屋の仕事をしているアールを描くとき、アメリカ国内に

はびこる差別問題を絡めています。その部分が監督自身の考え方

と同じなんだと感じ、私は好きにはなれなかったです。これが

かっこいいと思う時代はもう終わっているんだけれど、それに

気づかないのか気づかないふりをしているのか、どちらにしても

受け入れがたいです。でも今また広がっている考えかもしれない。

だから嫌なんです。

 

運び屋
出典:IMDb

 

DEA(麻薬取締局)の捜査官ベイツ役は「アメリカン・スナイパー」

(2014)のブラッドリー・クーパー。彼に対し

「家族を大事にしないといけない」

と語るアールの姿は、もちろん自分を振り返っての言葉なのですが、

気づくのが遅すぎるとしか思えなかった。
とはいえ、組織の人間にスマホを渡されても「メール」が打てず、

通話も危うそうな雰囲気にはなぜか笑えてしまいました。

本当は使えるのかしら...。

 

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オーシャンズ8

4

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オーシャンズ8

出典:IMDb

 

「オーシャンズ8」

原題:Ocean's Eight

監督:ゲイリー・ロス

2018年 アメリカ映画 111分

キャスト:サンドラ・ブロック

     ケイト・ブランシェット

     アン・ハサウェイ

     ミュディ・カリング

     オークワフィナ

 

ダニー・オーシャンの妹デビーは、5年8か月の

服役後出所するが、次々と盗みや詐欺を働いていく。

彼女は刑務所内で壮大な計画を練っており、その

ために仲間を集めていくのだった。


<お勧め星>☆☆☆ 豪華なキャストや衣装、そして

華麗な犯罪計画で目を楽しませてくれますが、今一つ

パンチ不足のような気もしました。


フルコースは素材だけでは楽しめない


「オーシャンズ11」(2001)を女性キャストで

リブートした作品とのことですが、冒頭からわかるように、

ジョージ・クルーニーが演じていたダニー・オーシャンは

墓の中に入っており、「オーシャンズ13」(2007)
の後の話だとわかります。
登場人物とそれを演じる女優名を挙げただけでも豪華で、

それぞれに特技(?)があり、それをポスターにしている

のも楽しいです。

 

オーシャンズ8
出典:IMDb

 

デビー(サンドラ・ブロック) PLAN IT
ルー(ケイト・ブランシェット) RISK IT
ダフネ(アン・ハサウェイ) WEAR IT
ローズ(ヘレナ・ボナム=カーター) FIND IT
ナインボール(リアーナ) HACK IT
コンスタンス(オークワフィナ) TAKE IT
タミー(サラ・ポールソン) FENCE IT
アミータ(ミンディ・カリング) FAKE IT

 

オーシャンズ8
出典:IMDb

 

クールでカッコいいはずのデビーが実はかつて、クロードと

いう男性に罪をなすりつけられており、その復讐も晴らすと

いうのは、ちょっと余分な計画みたいな気がします。

あそこは必要なのかしら。
セレブたちが本気の勝負衣装で参加するファッションの祭典

「メットガラ」を舞台に、カルティエの地下5メートルの

金庫に眠る「トゥーサン」を盗み出す計画には、最初から寸分の

狂いもなく、また失敗もないのでデビーの本気度もわかるけれど、

誰かがドジを踏んで、やや危機的状況に陥るシーンがあるのでは

ないかとずーっと考えながら見ていました。見事にありません。

 

オーシャンズ8
出典:IMDb

 

「トゥーサン」は1億5000万ドルの価値があり、重さも

1,5kgあると言っていました。あれを涼し気に首からかけて、

ササっと歩ける女性がいるのだろうかと思ったら、元々は

男性用だったみたいです。女性用に15〜20%サイズダウン

したそうですが、それでも大きい!いつもあんな大きな

ネックレスやらイアリングを身に付けて、ピンヒールを履いて

いる叶姉妹を尊敬してしまいます。
ストーリーは目に入る映像を楽しめばいい感じで、一番気に入った

のはやはり、「クレイジー・リッチ!」(2018)で

ペク・リン役を演じたオクワフィナの存在です。

彼女だけ「メットガラ」でドレスを着ても似合っておらず、

ストリート・ファッションがしっくりくる女優さんだなと実感

しました。声がいいのよね。
それと8人の女性の人種がいろいろだったのと、最後に中国人を

活用する辺りは、今のハリウッド映画の特徴を表しているようで、

それも気になりました。いろいろ大変なのね。
楽しいけれど何も残らない映画なので、気楽に見たら大丈夫です。

 

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麻薬王

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麻薬王

出典:IMDb

 

「麻薬王」

原題:The Drug King

監督:ウ・ミンホ

2018年 韓国映画 138分

キャスト:ソン・ガンホ

     ペ・ドゥナ

     チョ・ションシク

     キム・デミョン

     キム・ソジン

     チョ・ウジン

 

1970年代も釜山。貴金属密輸に手を染めていた

ドゥサムは、日本に麻薬を輸出するビジネスへと転向し、

次第に勢力を広げていくのだった。


<お勧め星>☆☆☆ ソン・ガンホの演技力に尽きる

映画です。


身の程を知ること


「実在の事件に基づくフィクション」ということで、

ソン・ガンホ演じるイ・ドゥサムは実在しない人物の

ようです。
韓国映画で出演のソン・ガンホ、ペ・ドゥナ、

チョ・ジョンソクなどの俳優陣の名前を見て、さあ、

どんな映画だろうと期待値MAXで鑑賞開始しました。

序盤はヒロポンの存在とその必要性、そしてヒロポンが

取り締まり対象になった日本が「工場」を必要とし、

輸出したい韓国の利害が一致する辺りまで戦時中の実際の

映像を交えて描かれます。調べてみると1951年

覚せい剤取締法が日本で制定され、密造ではなく、

暴力団による闇のルートで1970年から韓国からの

密輸が始まっています。主人公ドゥサムも貴金属の密輸で

細々と財を得ていたものの、大阪にいる北朝鮮系暴力団

から仕事を持ち掛けられ日本で材料を調達し、釜山で

ヒロポンを製造し、再び日本へ輸出する計画を立てる

のです。ここでかなりややこしいのが北と南の関係で、

当時は朴軍事独裁政権だったため、中央情報部に目を

つけられると「アカ」呼ばわりされ、ひどい拷問を受ける

わけです。しかしドゥサムは権力者への賄賂という手段を

用いて、危険な状況をとことん乗り切っていきます。

これは現在の韓国映画でも汚職警官や果ては汚職判事
までも登場するのと全く変わりがありません。

だいたいこの手の映画で足を引っ張る身内が存在するもの

でして、今回は序盤に耳を切られたドゥサムの従弟の

ドゥファンがそれになります。また家族を大事にし、家族の

幸せを願って麻薬取引に手を染めたドゥサムの妻スッキョンも

中盤までは少しふがいない夫を助けるしっかり者の姿を見せ

てくれます。
舞台は日本の大阪、神戸、東京と韓国、釜山にまたがり、

ドゥサム、チェ・ジンピル、チョ・ソンガンという韓国の

ヤクザの協力と対立、裏切りなどを描きつつストーリーが

進むのです。チョ・ソンガン役のチョ・ウジンの全身

入れ墨姿は一見の価値がありますよー。目つきも明らかに

ラリっているの。(映画やテレビでしか見たことないけれど)

最初誰かわからなかったわ。


麻薬王
出典:IMDb

 

ドゥサムは取引を重ねるたびに裕福になり、家や車がみるみる

大きくなっていくのです。冒頭とこの最も大きな家になった時に

流れるBGMが「スカイハイ」。これがなんだか心を躍らせて、

見ている側もハイになるんですよね。映画内のキャバレーや

クラブで流れる韓国や日本のムード演歌とは大違い。
しかしその後のストーリーはかなり単調で、ペ・ドゥナ演じる

キム・ジョンアと知り合ってからは、妻に去られ、自らもヒロポンを

使用するようになり、と絵に描いたような転落の人生をたどります。
そこに何のひねりもありません。さらに朴大統領暗殺事件による

権力の移動がドゥサムの転落を決定づけるのです。終盤は

ソン・ガンホの演技力にただただため息が出るほどで、彼の

独壇場と言っても過言ではないと思います。
というわけで期待値を上げた割にはかなり単調な映画であり、

それでいて138分という上映時間は少々長いような気もしました。

ペ・ドゥナをもっと見たかったのにぃ。

 

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監獄の首領

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JUGEMテーマ:韓国映画全般

 

監獄の首領

 

「監獄の首領」

原題:The Prison

監督:ナ・ヒョン

2017年 韓国映画 125分

キャスト:ハン・ソッキュ

     キム・レウォン

     チョン・ウンイン

     シン・ソンロク

 

元刑事のユゴンはある刑務所に重大な罪を

犯したため収監される。しかしその刑務所には

イクホという強力な力を持つ受刑者がおり、

彼の指示で塀の外で受刑者たちによる犯罪が

行われているのだった。


<お勧め星>☆☆☆半 男臭いバイオレンス映画です。

荒唐無稽な内容と思っても一気に見られます。


刑務所から出たくない男


警官や検事、果ては裁判官の腐敗ぶりまでも描く

韓国映画の極めつけは、なさそう実はありそうな

このストーリーではないでしょうか。
冒頭一人の男が、何かの不正の発覚を恐れ高跳び

しようと計画していると、突然押し入った覆面の

男たちに拘束された上、薬物を注射されて殺されます。

たまたま居合わせて女性も同じく殺されます。
考えてみると女性が登場するのはこのシーンのみで、

あとは全て男性しかいません。男臭く、高校の体育会系の

部活の部室の臭いに血の臭いを加えた感じでございます。

食べ物を食べるシーンもありますが、少しもおいしそうに

見えません。あくまでも「腹を満たす物」でしか存在

しないのです。

 

監獄の首領
 

黄色い名札をつけ刑務所に収監されたユゴンは、血の気が

多く、同房者たちに痛めつけられてもへこたれず、かつて

塀の外で「情報屋」として利用した男から、8号棟の

無法ぶりを聞かされます。そして力づくでそこへ移動すると、

そこではイクホという特別待遇の受刑者をトップとして、

まるでヤクザ組織のような社会が広がっているのをこの目で

見るわけです。刑務官は当然のこと刑務所の所長までもイクホの

言うなりであり、夜になると受刑者たちが脱獄し、犯罪行為を

働いては戻って来る。越えられない塀のある刑務所にいる、

という完ぺきなアリバイがあるわけですから、警察も犯人を

捜せないのは当たり前なのです。なんせイクホは金をたんまり

持っているので、その金で権力を操り、今の所長もイクホの

力で刑務官から出世させたという。ええ〜、まじか。
煙草だって酒だって豪華な食事だってまるで王様のように

自由に楽しみ、ゆったりと刑務所生活を楽しみ?つつ、

ドラッグ強奪や裏切り者粛清、権力者の要請による邪魔者を

消すことまで計画し、実行するわけです。ハン・ソッキュが

とても穏やかな顔つきなのでさらに凄みが増すというものです。

 

監獄の首領
 

ユゴンはこのイクホのためになぜか尽力するわけです。それは

イクホに気に入られて権力を手にしたいのかと一旦は思うの

ですが、時折入り込む回想シーンに登場する彼の兄で記者

ユチョルと何か関係があるらしい...。
乱闘シーンは、素手か棒を使うものがほとんどで、ラスト付近に

なって大爆発と銃が使われます。あ、電動の丸鋸も使われるか。

あれは怖いなあ。
そしてユゴンが隠していた身の上が少しずつ明らかになると、

とっても勘のいいイクホも気づいて行くのです。ユゴンも

焦ればイクホも焦る。ジェットコースターの上昇のように

ゴミ処理機のスロープをゆっくり上っていく局長に姿を見ると、

ああ何度も乗った「センター・オブ・ジ・アース」を思い出します。

へんてこな恐竜やら太古の生物をゆっくり見ながら上がっていると

突然急上昇し、明るくなった途端急降下。あれはそれほど高低差が

ないし、この恐竜を見たら急上昇って覚えてしまうほど乗ったから

全然平気です。いや、このゴミ処理機はそんな楽しいものでは

ないのです。明るい所から出てくるのは金属の破片のように粉々に

粉砕されたものなのです。
しかしながら、仮釈放を断るイクホを見ると、彼が住む世界は

刑務所の中にしか存在しないある意味「裸の王様」なのだなと

実感します。外の世界で生きる術を失ってしまったかのよう。
ところで、せっかく自動小銃を手に入れたのに、それを捨てて

イクホとタイマンをはるユゴンの姿は、アメリカ映画で、

なぜか銃を捨ててタイマンで勝負をつけるという

「アウトロー」(2012)を思い出し、少しだけイラっと

しました。

「ラストスタンド」(2013)のシュワルツェネッガーも

最後はタイマンだったなあ。

 

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アウトレイジ 最終章

4

JUGEMテーマ:邦画

 

アウトレイジ

 

「アウトレイジ 最終章」

監督:北野 武

2017年 日本映画 104分 R15+

キャスト:ビートたけし

     西田敏行

     大森南朋

     ピエール瀧

     松重 豊

     塩見三省

 

済州島に身を隠していた大友は、花菱会、花田に

よって手下を殺されてしまう。彼は市川と共に

復讐のため日本に帰国した頃、花菱会では新会長の

下で抗争が起きようとしていた。


<お勧め星>☆☆☆ 相変わらず悪い奴ばかり登場

しますが、何となく前2作に比べると薄味に感じて

しまいます。


会長にヨロシク


済州島ののどかな海で釣りを楽しむシーンから始まる

この映画は、すぐに海面に向かって発砲する大友の

暴力的な姿へと変貌します。
「アウトレイジ」(2009)「アウトレイジビヨンド」

(2010)と続き遂に最終章。登場人物も多くが変わり、

1から出演している俳優たちもかなり年をとってきたと

感じます。そしてこれはとても大切なことなんですが、
この映画を見る前に絶対に前2作を復習しておくべきだと

いうことです。「なんだ、バカヤロウ」「てめえ、コノヤロウ」

というセリフは幾度となく聞いたことを覚えていても、

人物相関図がかなり複雑であり、あとから文字で見ただけ

ではすっかりさっぱり。
かすかな記憶をたどると「アウトレイジ」ではとにかく

銃だけでなくナイフ、ロープなどといったあらゆる武器が

用いられ、残酷極まりない映像が次々と繰り出されました。

特に椎名桔平演じる水野の最期は凄まじかったです。そして

山王会傘下の大友組が数々の陰謀に操られ、分裂し、大友は

刑務所に収監されてしまう。
「アウトレイジビヨンド」はその大友を利用する刑事が登場し、

刑事とインテリやくざとなった山王会VS関西花菱会の

対立抗争が激しく描かれました。突出しているのは、加瀬亮

演じる石原が椅子に拘束され、ピッチングマシーンのボールを

受け続けるシーンでした。いつまでも響くボールが飛ぶ音と、

それが石原に当たる音が耳に残っています。

 

アウトレイジ
 

しかしながら最終章は主人公が大友であるものの、花菱会の

内部抗争に大友が関わるのは、大友自身の復讐を遂げるためで

あり、昔気質のやくざの姿を見ているような気がするのです。

義理、人情がなによりも優先であり、私利私欲とは無縁と

いう感じかな。

 

アウトレイジ
 

今作で最も目に付くのは冒頭から登場する花菱会、花田役の

ピエール瀧の演技です。ものすごい存在感があって「凶悪」

(2013)でリリーフランキーと並んで見せてくれた薄ら

笑いを浮かべつつ、ある時急に罵声を浴びせるような心底怖い

男を演じています。猫なで声と怒鳴り声の落差が激しく、

それだけでビクリとなってしまう。彼への大友の仕打ちは、

音だけですが、すべてが想像でき、そこに至るまであげ続ける

花田の悲鳴が、なんとも爽快というか、当然のように思えて

しまうから暴力の世界は怖い。

 

アウトレイジ
 

やくざの世界は、映画やテレビドラマなどで知るのみですが、

大友のような、つまりかつての任侠映画に登場するような人物

が今でも存在するのでしょうか。いや、これは一生知りたくない。
ラスト付近に大友が鉄工業者を殺害したのは、2作目のケジメ

だと後で知り、彼の執念深さを思い知るのです。これぞ

「ザ・ヤクザ」なんじゃないのかしら。いや、知りたくない。

 

 

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暗黒街(2015)

4

JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

暗黒街

 

「暗黒街」

原題:Suburra

監督:ステファノ・ソッリマ

2015年 フランス=イタリア映画 135分 R15+

キャスト:ピエルフランチェスコ・ファビアーノ

     エリホ・ジェルマーノ

     ジャン=コーグ・アングラード

     グレタ・スカーアーノ

 

2011年、イタリア与党の議員マルグラーディは、

ある再開発法案の成立を目指していた。その法案には、

利権にありつこうとする政治家やマフィア、教会も

絡んでいたが、彼がある事件を起こしたことで、抗争

へと発展していく。


<お勧め星>☆☆☆半 まさに血で血を洗う抗争の中に

人間の際限のない欲望を感じます。


「取引は今度にしな」


監督は「ボーダーライン」(2015)の続編を担当する

ステファノ・ソッリマ。「ボーダーライン」は「灼熱の魂」

(2010)「メッセージ」(2016)

「ブレードランナー2049」(2017)の

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が製作しており、まさに

「善悪の境界線」の曖昧さを緊張感あふれるストーリーで

描いていました。ベニチオ・デル・トロの凄みのある演技に

酔いしれましたねえ。続編ではさらに非情でかつ無慈悲に

なっているらしいです。
さて、この映画の舞台は、2011年のイタリア、ローマ。

「アポカリプスまで7日」と字幕で出る通り、アポカリプス

(黙示→滅亡、終末)までのたった7日の出来事を描いて

いるのに、中身が本当に濃く、事件が次々と目まぐるしく

起こり続けるのです。
序盤は、人物構成が全く分からず、ただ映像を見ている

しかないのですが、始まってすぐに、未成年のコールガールが

ドラッグ中毒死。その場にいた大物政治家マルグラーディと

もう一人のコールガール、ニンニの行動が、彼が成立を目指す

ウォーターフロント計画の1つの法案とどう関係してくるのか。
このマルグラーディが終盤に検察関係者に向かって放つ言葉が
「司法なんて、くそくらえ。」
権力を持つと人間は万能だと勘違いしていくものなのですね。

 

暗黒街

 

その権力がいかにもろい土台であることすら忘れてしまう

らしい。とりあえず登場する人物は悪い奴ばかりです。

時折映り込む夜のローマの限りなく美しく、そこで

繰り広げられる数々の暴力が全く対照的に映し出されて

いきます。

 

暗黒街

 

暗黒街

 

暗黒街

 

昔気質の一匹狼「サムライ」、マフィアの父を持った

アウレリアーノ、ジプシー集団という見ての通りの悪い奴と、

政治家、教会という表向きは人々のために動くはずのメンツ、
その間を右往左往するチンピラなどが、アポカリプスに近づく

につれて、窮地に追い込まれ、死人が出ていきます。
映像がモノクロっぽく、ノワール・アクションの雰囲気を

醸し出し、音楽もシーンにぴったりのものが流されます。

全てが金のために動いていることが人間の醜さをあぶりだし、

見ていてとても気分が悪くなるのですが、多かれ少なかれ

世界はこんな感じなのだろうと思ってしまう。少し気に

なったのは、皆危険な身の上なのに護衛がいなかったり、

いたとしても弱かったり、自宅が無防備すぎること。まあ

それを抜かすと、大変見ごたえのある映画でした。

 

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泣く男

4

JUGEMテーマ:韓国映画全般

 

泣く男

 

「泣く男」

原題:No Tears for the Dead

監督:イ・ジョンボム

2014年 韓国映画 116分 R15+

キャスト:チャン・ドンゴン

     キム・ミニ

     ブライアン・ティー

     キム・ジュンソン

     キム・ヒウォン

 

アメリカのアジアン・マフィアの殺し屋ゴンは、

任務中1人の少女を射殺してしまう。心に大きな

傷を負った彼の次の任務は、ソウルに住む投資会社

取締役モギョンを殺害することだったが、彼女が

少女の母親だと知ってしまい...。


<お勧め星>☆☆☆ 派手な銃撃戦とアクションが

楽しめますが、ストーリーには疑問が残ります。


何に疲れているのか


監督は「アジョシ」(2010)のイ・ジョンボム。

あの映画では、今はとってもきれいな女性に成長した

キム・セロンと甘いマスクのウォンビンが共演し、

もうね、とにかくウォンビンがかっこ良くて、さらに

セロンちゃんの名演技に涙を流した覚えがあります。

孤独な少女ソミとこれまた孤独な男テシクの繋がり方が

極めて自然な流れだったことが、感情移入を誘ったと

思っています。
さて、この映画はどうでしょう。冒頭アメリカでの任務で、

華麗に銃を扱うチャン・ドンゴン演じるゴン。

(タンスにゴンかごんぎつねを思い出すのは日本人だけ)

彼が現場となるバーで最初から1人の可愛い少女に目を

向けることが不自然なのです。そもそもバーに少女がいる

のも不自然だけれど、その後彼の幼い頃の状況をなど

映されても、この少女に目を向ける理由が1つも見当たら

ないのです。

 

泣く男
 

そこは「この少女が純真で可愛いから」と考えたとしても、

たまたま任務中に誤射で殺害してしまったその子への罪悪感

が強すぎる気がします。自分にもこのくらいの娘がいる、とか、

この少女が自分の過去の姿とそっくりだというならまだしも、

ただ危険を感じて銃を発射したドアの向こうに少女がいたと

いうもの。さらに次の任務で韓国にいるモギョンという女性を

殺害することになり、その女性が少女の母親だと知ってからの、

モギョンへのゴンの執着が強すぎると感じてしまう。殺し屋で

あれば、血も涙もなく、色恋も捨てて任務を全うするのが筋だ

と思う。ここに絶対に納得できる「理由」が見当たらないので、

ストーリーの根幹が崩れてしまっています。

 

泣く男
 

モギョン役は「お嬢さん」(2016)のキム・ミニ。

あの映画では体当たり演技ですごかったですねえ。モデル

出身だけあって170cmの長身で颯爽と歩く姿はとても

様になっています。でも投資会社の敏腕取締役、認知症の

母親の介護、離婚した夫の元で暮らす娘がいる母親という

設定が盛りだくさん過ぎるのも確かです。特に認知症の母親

の存在は不要でしょう。

 

泣く男
 

そうそうゴンの仲間のチャオズ役のブライアン・ティーは

「ワイルド・スピード TOKYO TRIBE」(2006)の

タカシじゃないですか。あの日本語が上手くない日本人ですよ。

個人的にはチャン・ドンゴンより彼の方がタイプです。

(誰にも聞かれないけれど強調します)
一方映画内で発生する団地での銃撃戦は、棟をはさんですごい

勢いで撃ちまくるし、屋上にはスナイパー登場、ナイフや

ナタでアキレス腱切りするなど迫力満点、血しぶきオンパレード

です。ここは廃墟ではなく実は人々が多く住んでいるはずなのに、

他の住民は一切登場しないし、これだけの騒動があっても

パトカーが一台も来ないのです。すごく不思議。

 

泣く男
 

さらにどこで手に入れたか、ゴンはC4爆弾を爆破させるんです。

ソウルは無法地帯ですか?終盤のビル内での攻防はもう

「すごい」としか言いようがないです。こんなに大騒ぎに

なっているのに当然警官が1人もやって来ません。まあ、

アクション映像を楽しむのであれば、これで良かったし、

チャオズが銃口の向きをすっと外してエレベーターの

開閉ボタンを押すのもかっこよかった。ゴンがあそこまで

する理由がどうしても納得のいくものが見当たらないのが

残念です。

 

 

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