暗黒街(2015)
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「暗黒街」
原題:Suburra
監督:ステファノ・ソッリマ
2015年 フランス=イタリア映画 135分 R15+
キャスト:ピエルフランチェスコ・ファビアーノ
エリホ・ジェルマーノ
ジャン=コーグ・アングラード
グレタ・スカーアーノ
2011年、イタリア与党の議員マルグラーディは、
ある再開発法案の成立を目指していた。その法案には、
利権にありつこうとする政治家やマフィア、教会も
絡んでいたが、彼がある事件を起こしたことで、抗争
へと発展していく。
<お勧め星>☆☆☆半 まさに血で血を洗う抗争の中に
人間の際限のない欲望を感じます。
「取引は今度にしな」
監督は「ボーダーライン」(2015)の続編を担当する
ステファノ・ソッリマ。「ボーダーライン」は「灼熱の魂」
(2010)「メッセージ」(2016)
「ブレードランナー2049」(2017)の
ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が製作しており、まさに
「善悪の境界線」の曖昧さを緊張感あふれるストーリーで
描いていました。ベニチオ・デル・トロの凄みのある演技に
酔いしれましたねえ。続編ではさらに非情でかつ無慈悲に
なっているらしいです。
さて、この映画の舞台は、2011年のイタリア、ローマ。
「アポカリプスまで7日」と字幕で出る通り、アポカリプス
(黙示→滅亡、終末)までのたった7日の出来事を描いて
いるのに、中身が本当に濃く、事件が次々と目まぐるしく
起こり続けるのです。
序盤は、人物構成が全く分からず、ただ映像を見ている
しかないのですが、始まってすぐに、未成年のコールガールが
ドラッグ中毒死。その場にいた大物政治家マルグラーディと
もう一人のコールガール、ニンニの行動が、彼が成立を目指す
ウォーターフロント計画の1つの法案とどう関係してくるのか。
このマルグラーディが終盤に検察関係者に向かって放つ言葉が
「司法なんて、くそくらえ。」
権力を持つと人間は万能だと勘違いしていくものなのですね。
その権力がいかにもろい土台であることすら忘れてしまう
らしい。とりあえず登場する人物は悪い奴ばかりです。
時折映り込む夜のローマの限りなく美しく、そこで
繰り広げられる数々の暴力が全く対照的に映し出されて
いきます。
昔気質の一匹狼「サムライ」、マフィアの父を持った
アウレリアーノ、ジプシー集団という見ての通りの悪い奴と、
政治家、教会という表向きは人々のために動くはずのメンツ、
その間を右往左往するチンピラなどが、アポカリプスに近づく
につれて、窮地に追い込まれ、死人が出ていきます。
映像がモノクロっぽく、ノワール・アクションの雰囲気を
醸し出し、音楽もシーンにぴったりのものが流されます。
全てが金のために動いていることが人間の醜さをあぶりだし、
見ていてとても気分が悪くなるのですが、多かれ少なかれ
世界はこんな感じなのだろうと思ってしまう。少し気に
なったのは、皆危険な身の上なのに護衛がいなかったり、
いたとしても弱かったり、自宅が無防備すぎること。まあ
それを抜かすと、大変見ごたえのある映画でした。

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- 2018.03.30 Friday
- 犯罪★★★
- 09:48
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- by マープル