スポンサーサイト

0

    一定期間更新がないため広告を表示しています

    • 2023.01.12 Thursday
    • -
    • -
    • -
    • -
    • by スポンサードリンク

    ロスト・ストレイト

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    ロスト・ストレイト

    出典:IMDb

     

    「ロスト・ストレイト」

    原題:Tangeye Abu Ghurayb/The Lost Strait

    監督:パラム・ダヴァコリ

    2018年 イラン映画 93分 R15+

    キャスト:アミル・ジャジディ

         ジャバド・エザティ

     

    イラン革命防衛隊第27師団は休暇に入った途端、

    イラク軍の侵攻を知らされ急遽援軍に向かう。

    アマル大隊の一員カリールたちは乏しい軍備と食糧の

    まま激しい戦闘に巻き込まれていくのだった。


    <お勧め星>☆☆☆ イラン視線で描かれた

    イラン・イラク戦争ながら、戦争の不毛さを強く感じ

    させます。


    戦争は武器商人のためのもの


    1988年7月12日、イラン革命防衛隊第27師団の

    カリール、アジーズ、マジード、ハッサンが川辺で

    くつろいでいるシーンから始まります。アジーズと

    カリールが何を話しているか賭けたり、家の修理のための

    借金の話や、アジーズが娘のためにイヤリングを買った

    ことなどたわいもないことを言っていると、イラク軍の

    国境越えの報告が入るのです。なぜか彼らは人参ジュースを

    注文していて、それを一気に飲み干すと基地へと戻って

    いきます。

     

    ロスト・ストレイト

    出典:IMDb

     

    なぜに人参ジュース?そして人参が山ほど置いてあったこと

    から、常に飲んでいるのが人参ジュースだろうと伺えるのです。

    と思って調べてみるとイランの人参ジュースは世界でも有名で

    とてもおいしいらしい。アイスクリームが入っているものも

    あるようです。人参フロートジュースかなあ。
    イラク軍が国境を越え、化学兵器を使用し一般人まで犠牲に

    なっているという悲惨な報告は、彼らが前線に向かうときに

    すれ違う、負傷兵や避難民の姿を見てそれがそのまま事実で

    あると物語っているのです。
    のどかなシーンがのどかすぎただけにここから始まる熾烈な状況は、

    ただ流れていく映像を見続けるしかありません。

     

    ロスト・ストレイト

    出典:IMDb

     

    ロスト・ストレイト

    出典:IMDb

     

    容赦ない銃弾、砲撃、空爆でアジーズはあっという間に命を

    落とします。昨日「娘へのイヤリングを買った」と言っていた

    あのアジーズは二度と娘に会うことはないのです。

    それが戦争の非情さです。

     

    ロスト・ストレイト
    出典:IMDb

     

    父親が戦争での負傷で寝たきりになっているアリは、まだ

    あどけなさの残る少年であり、初めての出兵(これは無理

    やり頼んだと思う)なので、「前線」というものを見たこと

    がありません。勢いよくカメラを持ち、戦争を記録に残すと

    言い放っていた彼が、爆風で耳鳴りが止まらなくなり、

    目の前に現れる死体や負傷兵の山に、次第に言葉を失って

    いきます。「戦争」というものを実際に見た者でなければ、

    軽々しくそれを言葉にできるはずもないと思うのです。
    しかしカリールたちは、激しい攻撃を受けると、まず「アリ」

    の安否を確認します。勝手についてきてガスマスクすら

    付けられず、銃を撃ったこともない少年を何とか守ろうと

    するのです。

    前線に向かってからの激しい戦闘シーンは、一瞬たりとも気を

    許すことはできず、それに加え、「渇き」が襲い掛かるのです。

    海峡を守るために砂漠地帯で戦闘を繰り広げるこの部隊は、

    援軍も物資の補充もないまま戦うしかありません。それが

    「祖国のため」の「殉教」であるのです。
    「昨日の今頃のこと」を語り合うとき大爆風を受けますが、

    直前の会話は

    「人参ジュースを半分しか飲めなかった」

    「アジーズが娘のイヤリングを買っていた」。

    とてもたわいもないことなのです。
    そして「イラク軍後退」と司令部の無線が流れますが、それが

    なんと現場の状況とかけ離れたものであるか、これこそ戦争の

    現実であると思うのです。

     

    ブログランキング・にほんブログ村へ にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへ


    ちいさな独裁者

    3

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    ちいさな独裁者

    出典:IMDb

     

    「ちいさな独裁者」

    原題:Der Hauptmann

    監督:ロベルト・シュヴェンケ

    2017年 ドイツ映画 119分

    キャスト:マックス・フーバッヒャー

         フレデリック・ラウ

         ミラン・ペシェル

     

    1945年4月敗戦寸前のドイツで、銃弾をよけながら

    ヘロルトは部隊を脱走する。そして偶然見つけた軍車両の

    中の将校の軍服を身につけ、大尉として振舞いながら

    出会った兵士たちを従えていく。しかしやがて彼の行動は

    エスカレートしていき...。


    <お勧め星>☆☆☆半 ドイツにおけるドイツ人による

    ドイツ人への残虐行為を初めて知ります。1着の軍服の

    威力には恐怖すらも覚えます。


    一兵卒による行為


    第二次世界大戦を語る時必ず触れられるのは、ヒトラー

    指揮下のドイツ軍の大量虐殺行為です。これについては、

    ドイツのみならず、占領下となっていた周辺国でのドイツ軍の

    暴挙は数多く映画化されています。最近見た「家へ帰ろう」

    (2017)はポーランドからアルゼンチンへ亡命した老人の

    話で、非道な行為に出たのはポーランド人達でもあったことに

    驚かされました。(それはポーランドがドイツに併合されていた

    からによる)

    一方同じように占領下にあったフランスではレジスタンス活動が

    行われ、「白バラの祈り ゾフィー・ショル 最期の日々」

    (2005)に描かれていたように、非暴力抵抗活動さえゲシュタポ

    の取り締まり対象となり、一方的な裁判によって、あの時代に

    ギロチン処刑となったことは、戦時の異常さを物語っています。
    そして今回の「ちいさな独裁者」は、敗戦寸前のドイツが舞台です。

    ある部隊から命からがら脱走していく兵士は、体が小さくやせこけ、

    目だけがギョロギョロしています。当時のドイツ軍は、国民突撃隊
    と称して14歳から50歳までの男子を動員していたものの、

    彼らの士気は高くなく、武器不足、食糧不足による脱走兵、

    略奪兵が数多く存在していました。それに対しドイツ軍は「銃殺」

    という方法で対処していたのです。

    この20歳のヘロルトが偶然見つけたドイツ軍の車の後部座席には、

    なんと将校の制服一式が入っています。ボロボロの衣服を脱ぎ棄て

    それを身にまとうと、すっかりヘロルト大尉ができがってしまうの

    です。

     

    ちいさな独裁者

    出典:IMDb

     

    今までの上等兵から一気に大尉に変わった途端、出会う兵士の

    態度が全く違うんですね。多分彼らも「隊とはぐれた」と言う

    もののヘロルト同様に「脱走」してきたのかもしれません。
    このヘロルトはなぜか嘘がとてもうまいのです。序盤はその姿が

    やや滑稽に見えるのですが、ヘロルト親衛隊と称してメンバーが

    増えるにつれ、彼の行為は異常さを増していきます。

     

    ちいさな独裁者
    出典:IMDb

     

    たった一着の軍服が人間をここまで変えるのかと驚きつつ、

    ヘロルト自身の幼稚さが、この後の暴走を止めることが

    できなかったと思えてなりません。

    脱走兵等囚人を収容した施設で、ヘロルトに取り入る所長の

    浅ましさと、それに抵抗する司法当局官もやはり下劣極まりない。
    ヘロルトの口の上手さと権力によって囚人は即決銃殺となって

    いきます。

     

    ちいさな独裁者

    出典:IMDb

     

    この数はなんと90名超だったそうです。この辺りの映像になると、

    もはや気分が悪く、同じドイツ人でありながら、何の大義もなく
    このような行為が平気でできたという事実は驚くしかありません。

    さらに終盤、彼の嘘がバレ、ドイツ軍に捕まった時の裁判では、

    断罪する裁判官に「軍人らしい態度」「戦争時ではよくあること」と
    弁護する軍人らしき人物がいたことには開いた口が塞がりません。

    「戦争」はこういう行為を許すものなんだと実感します。
    結局彼は再び前線に送られ、イギリス軍の捕虜になった後に、この

    行為が明るみとなり、1946年に処刑されています。しかし

    このような人物が他にも存在したのではないか?という思いを抱いて
    しまうような内容でした。
    エンドロール映像は、現代になってもいつ何時へロルトのような

    人物が現れるかもしれないという恐怖を感じさせるものです。

     

     

    ブログランキング・にほんブログ村へ にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへ


    ダマスカス

    3

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    ダマスカス

    出典:IMDb

     

    「ダマスカス」

    原題:Damascus Time

    監督:エイブラハム・ハタミキア

    2018年 イラン映画 113分

    キャスト:ババク・ハミディアン

         ハジ・ヘジャジファー

         リース・モフティ

         ピエール・ダハー

         カレッド・アルサイド

     

    2011年、ISISに包囲されたシリアのパルミラから

    難民を避難させるため、イラン人パイロット、アリと

    父親ユネスが現地へ向かう。無事に離陸も成功したものの、

    難民の中に潜んでいたISIS戦闘員の脅迫によって、彼らの

    飛行機はパルミラに引き返すことになるのだった。


    <お勧め星>☆☆☆半 ジャケットのようなB級アクション

    ではなくまじめに丁寧に作られた映画です。


    殉教の意味


    ISIS「イスラム国」がシリア内戦の混乱に乗じてシリア、

    イラクを2011年に包囲し、世界制覇を目指すことを掲げ、

    次々に支配地域を広げたいったことは、毎日のように報道

    されるニュース等で何度も見たものです。黒ずくめの戦闘員が

    武器を抱え行進していく映像は明らかにISISの宣伝映画に

    すぎないと気づくのに結構時間がかかりました。それまでに

    外国人にとどまらず、日本人ジャーナリトなどがISISに

    拘束され、斬首されたことも記憶に新しいです。その映像が

    ネットで全世界に広まり、それはISISへの恐怖心を植え付ける

    のに大きな力を持ちました。しかし実際にはかなり演出されて

    いて、戦闘員の中に映像関係に詳しい者が存在したことも後に

    わかっています。その辺りもこの映画では少しだけ描かれて

    いるのです。
    まず、この映画はイラン製作であるため、ISISに包囲された

    地域の人々に最も早く空から物資を投下したのイランだったと

    最初に語られます。欧米視線での映画しか見たことがなかった

    ので、この話は初めて耳にしました。その後もISISに対する

    視点は当然ながらイランのそれであり、途中援護に来るのが

    ロシア軍だったり、そもそもアリたちが飛び立ち戻ってくる

    空港がダマスカス空港であること(シリア)にも驚くのです。

    欧米視点の映画ならISIS+シリア軍、ロシア軍は敵になるはず

    ですよね。ISISに対しては欧米と協調して戦うという話でしたが、

    そのつながり方があまりに複雑で何度読んでも理解できません

    でした。
    ダマスカス空港からISISに包囲されたパルミラに向かい、そこに

    いる難民を避難させるため飛行機を操縦するために、ユネスと

    アリ父子が向かいます。このユネスは既にパイロットを引退して

    いるのですが、あまりに危険な任務であるため、息子を解任し、

    自分で行こうとするわけです。このユネスの身の上を聞くと、

    イラン・イラク戦争、ボスニア紛争、イラク戦争、レバノン内戦

    と常に戦争に参加しており、アリは家での父の存在をほとんど

    見たことがなかったらしい。「戦争」が日常に存在する国に

    生まれ、常に危険と隣り合わせでいることはどれほどの苦痛を

    人間に与えるのでしょうか。それは当人だけでなく、家族へも

    大きな影響を及ぼします。
    パルミラから無事に難民を避難させ、飛行機が離陸したものの、

    その中には囚人や戦闘員(どこかの部族の長らしい)がおり、

    その戦闘員が突然襲ってきます。パルミラから離陸するだけ

    でも派手な爆発や銃撃シーンがあったのに、それはあくまでも

    プロローグにすぎません。

     

    ダマスカス
    出典:IMDb

     

    それでもこの戦闘員は、本当の意味でのISISではないようで、

    コーランへの誓いを守ろうとしますが、パルミラで待っていた

    本当のISISは非情です。「取引など裏切り」と言い放ちパッと

    部族長の首を撥ねるのです。

     

    ダマスカス

    出典:IMDb

     

    コロコロ転がる頭は偽物とわかっていてもきっとこういう行為が

    日常茶飯事だったんだろうと思ってしまう。その後は何度も見た

    オレンジの囚人服に着替えさせられたヨネスやアリたちが映ります。

    ここで少年兵を使い大きななたを持たせて宣伝用の映像を撮影

    するのです。少年兵はどこから来たんだろうか。

    これを見るとアフリカでの宗教や部族間の争いに利用される

    少年兵や、南米で麻薬取引に利用される少年少女を思い浮かべて

    しまいます。
    「灼熱の魂」(2003)の1+1=1というあり得ない結果を

    生み出すことも必ず起きるはずでしょう。

     

    ダマスカス
    出典:IMDb

     

    航空機が火を噴くシーンなどはかなり安っぽく感じますが、

    ストーリーはしっかり作られていて、親子の愛情も感じ取れます。

    そしてラストには必ずその選択しかないと気づくはずです。
    美しかったパルミラ遺跡はいつかは元の姿を取り戻すのでしょうか。

     

    ブログランキング・にほんブログ村へ
    にほんブログ村  人気ブログランキングへ


    ヘル・フロント 地獄の最前線

    4

    JUGEMテーマ:洋画

     

    ヘルフロント

    出典:IMDb

     

    「ヘル・フロント 地獄の最前線」

    原題:Journey's End

    監督:ソウル・ディブ

    2017年 イギリス映画 108分

    キャスト:サム・クラフリン

         エイサ・バターフィールド

         トビー・ジョーンズ

         トム・スターリッジ

         スティーブン・グレアム

     

    1918年春、フランス北部でドイツ軍と睨み合う

    イギリス軍スタンホープ大尉率いる部隊へローリー少尉

    が赴任する。ローリーは旧知のスタンホープとの再会を

    喜ぶが、戦場はあまりに過酷なものだった。


    <お勧め星>☆☆☆半 戦争の現場での悲惨な状況を若い

    将校の視線で描いています。


    攻撃計画と夕食の献立


    第二次世界大戦前やその戦争中の状況を描いた映画は数多く

    見てきましたが、第一世界大戦についての映画はほとんど

    見たことがありません。1914年7月28日から

    1918年11月11日にかけて連合国(フランス、イギリス、

    ロシア、日本、イタリア、アメリカ、ベルギー等)と

    中央同盟国(ドイツ、オーストリア=ハンガリー、オスマン等)

    が交戦したもので2000万人近い犠牲者を出した戦争です。
    1930年映画「西部戦線異常なし」ははるか昔テレビの

    ロードショーで見た記憶があり、そこでのリアルな戦場の

    描き方にただただ恐怖を覚えただけでした。

    「大いなる幻影」(1937)

    「武器よさらば」(1957)
    「レッド・バロン」(2008)は題名のみ知っているだけで

    未見です。
    この映画は第一次世界大戦末期、1918年3月のドイツと

    膠着状態にあるイギリス軍の姿を描いています。鍋の蓋のような

    粗末なヘルメットをかぶり、ぬかるんだ塹壕に隠れている

    イギリス兵はいつ侵攻してくるかわからないドイツ軍を

    「ただ待っていた」のです。この「待つ」という行為がいかに

    人間の心をむしばんでいくか、それはアルコールに溺れた

    スタンホープ大尉に始まり、かすかな物音に体を震わす兵士にまで

    現れています。夜昼の区別なく緊張を強いられ、帰還命令が

    出されることはなく、怪我をして担架に乗った時にようやく

    故郷に戻れるという絶望的な状況は、戦争の違う側面を映して

    いるようにも思えるのです。

     

    ヘルフロント
    出典:IMDb

     

    そしてそのスタンホープ大尉率いる部隊にラーリー少尉が

    志願してやって来ます。ここはセリフでしか語られませんが、

    ラーリーは大佐の甥であり、スタンホープは彼の家に仕える

    身の上で、彼の姉マーガレットと恋仲だったようなのです。昔は

    3人でよく遊んだと語るローリーの言葉を遮っていく

    スタンホープは、今の身の上を知られたくないらしい。派手に

    戦果をあげて昇進した過去とは違い、今は塹壕にこもり酒浸りで

    指示を下すだけの日々を送っているからです。

     

    ヘルフロント

    出典:IMDb

     

    それでも副官のオズボーン中尉が彼を何とか支えていたのですが、

    上層部の指示でドイツ軍に急襲をかけ捕虜を連れ去り、侵攻する
    情報を聞き出す任務が下されます。それに参加させられるのは

    将校2名と兵士10名。急襲するために必要な準備期間より、

    その結果の報告をする夕食会の日程が優先されるというあまりに

    非情な命令です。
    これが戦争なのです。戦地の前線で戦う兵士はコマの1つに過ぎず、

    それを現場で指揮する者は、遠く離れた安全な場所で好物を

    食べながら作戦を練る上層部の指示に従うしかないのです。
    また急襲することは、明らかにドイツ軍の反撃を呼ぶことは間違い

    ないのに、援軍、武器の補強はなく、撤退もないと言われる。

    つまりここで死ぬことが決定したことにほかなりません。
    スタンホープに会いたくて入隊したラーリーも少しずつ現場の

    過酷さを実感していき、さらには急襲作戦のメンバーになった

    ことで、初めて「戦争」「死」を体感することになります。

    作戦は成功したと言えるのでしょう。しかし聞き出せた情報と

    失った命が同じ重さであるとはどうしても思えないのです。

     

    ヘルフロント
    出典:IMDb

     

    その後予想通り起こる戦闘風景は、ぬかるんだ塹壕に頭を隠して

    いても、銃弾がヒュッヒュッと容赦なく兵士を襲い、爆発が起き、

    仲間が次々と倒れていきます。そういえばこの塹壕も、フランス兵の
    遺体をそのまま埋めて作り上げたと序盤に語っていたことを

    思い出しました。
    彼らは何のために戦うのか、領土のため、民族のため、信仰のため、

    ひいては自国への愛国心のため。しかしそのどれをとっても

    「戦争」を正当化する理由は1つもなく、いとも簡単に口にすべき

    言葉ではないと心から思うのです。

     

    ブログランキング・にほんブログ村へ
    にほんブログ村  人気ブログランキングへ

     

     


    ザ・ハント ナチスに狙われた男

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    ザ・ハント

     

    「ザ・ハント ナチスに狙われた男」

    原題:Den 12th mand

    監督:ハラルド・ズワルト

    2017年 ノルウェー映画 135分

    キャスト:トーマス・グルスタッド

         ジョナサン・リース=マイヤーズ

         マリー・ブロックス

         ベガール・ホール

     

    1943年、イギリス軍に訓練されたノルウェー人

    12人が、ノルウェー占領中のドイツ軍への破壊工作

    のため、母国への上陸を試みる。しかし寸前でドイツ軍

    の攻撃を受け、ただ一人を残して捕まってしまう。逃亡に

    成功したヤンは、仲間と合流するためトロムソーへ

    向かおうとするが...。


    <お勧め星>☆☆☆半 とにかく寒いシーンが多い。

    しかしノルウェーという自国のために行動した人々の

    姿が気高く映ります。


    あなたが生き残ったことに意味がある


    北極海の水温はどのくらいだろうと思って調べてみると、

    だいたい−2℃程度らしい。映画で幾度となく登場する

    あの海水は、それはそれは冷たいわけで、そこに浸かって

    いたらあっという間に低体温になってしまうはず。

    ちなみにその海水にプカプカ浮かんでいる氷の場合、

    塩分は約1%なので、氷から溶けた海水は飲むことが

    できるそうです。しかし漂流したとしても渇きよりも冷えで

    命を奪われそうな気がしますね。
    1940年4月。占領下のノルウェーを拠点とした

    ドイツ軍は、極北侵攻を進め、連合軍は苦戦を強いられて

    いたのです。ドイツがノルウェーを占領下に置いた大きな

    目的は、鉄鉱石の輸出入で友好的な関係にあった

    スウェーデンへの航路確保のためであり、映画内で

    「中立国スウェーデン」と幾度となく出てくるように、

    スウェーデンは武装中立を厳守しつつ、連合国側への配慮から
    偽装開戦準備をするという複雑な状況下にあった模様。

    1943年、イギリス軍の訓練を受けた12名のノルウェー人が

    「マーティン・トッド作戦」のためノルウェー上陸を試みるも

    失敗し、ヤンを除く11名がドイツ軍捕虜となります。

    1名はその場で射殺。

     

    ザ・ハント
     

    このシーンは、逃亡中にヤンがうなされながら見る悪夢や

    終盤に「なぜ失敗したのか」を遡って回想する時に描かれ、

    完全武装したドイツ軍に対し、ポンコツの漁船に乗った

    12名がにわか兵であったことが即座にわかります。

    作戦遂行のために漁民に扮していたのでしょう。
    そして辛うじて逃亡できたヤンは、とにかく凍った海水に

    浸かり、冷たい風を受け、雪にまみれ、つららが落ちて

    くるような場所を移動し続けるのです。その上ドイツ軍の

    銃弾が雨あられのように襲い掛かります。

    本当に寒いんですって。
    「ノルウェー人にも寝返る者がいる」と語られるように、

    スパイをする者もいれば、ナチスに入り、ドイツ軍と一

    緒に活動する者もいます。彼らは戦後どうなったんだろう。
    しかし大半のノルウェー人は、自国に誇りを持ち、占領された

    ことを怒り、「ドイツ軍はオーロラさえ盗むのか」と

    自虐的に語るのです。

     

    ザ・ハント
     

    極限状態に近い過酷な自然環境の中、ヤン以外の捕まった

    メンバーの姿とヤンの逃亡風景が映り、捕まったへ側の容赦ない

    拷問の光景には思わず目を背けてしまいました。またヤンも

    最初に銃弾を足の指に受けそれが化膿し、壊疽を起こして

    いるので、自ら銃弾を抜くために指を切り落としていくのです。

    ああ、これこそ痛い。
    一難去ってまた一難という感じで、ヤンには不運が次々に襲い

    掛かります。しかしそこに必ず支援する人々が存在するのです。

     

    ザ・ハント

     

    積極的に抵抗するのではなく、大人も子供も極めて静かに

    それでいて強い意志を持って抵抗を続けると、その目的は必ず

    達成できるような思いにもなります。そうであってほしい。
    一方のナチスドイツのシュターゲ司令官は必ず反逆者を捕まえて

    きた誇りから、執念でヤンを追い続けるのです。ヤンを

    スウェーデンまで向かわせたい名も知れないノルウェー人と

    シュターゲ司令官。もう手に汗を握る展開なんですよ。

     

    ザ・ハント

     

    雪原での徒歩の移動から始まり、スキーで滑れば雪崩を起こされ、

    ソリで山頂付近に移動すると、受け入れ側との手違いが生じます。

    ああ、またしても寒い。
    なんて寒い映画なんだろう。まつ毛は凍り、髪の毛に雪がまとわり

    つき、唇はがちがちと震え続ける。それはラスト付近まで続き、

    ようやく...と思ったら再び雪の中へズボッ!!この辺りの展開は
    実話ベースながらフィクションが多く入っているような気もしました。
    ヤンがなぜ冒頭に片足だけ靴も靴下もなかったのかを回収する

    映像を見ると、その時から彼は不運が続き、その不運の連続と

    同時に幸運にも恵まれていたのだと思っています。

     

    ブログランキング・にほんブログ村へ
    にほんブログ村  人気ブログランキングへ


    ザ・ウォール

    4

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    ザ・ウォール

     

    「ザ・ウォール」

    原題:The Wall

    監督:ダグ・リーマン

    2017年 アメリカ映画 90分

    キャスト:アーロン・テイラー=ジョンソン

         ジョン・シナ

     

    2007年、イラク戦争終結後、復興支援に

    向かったアメリカ軍の中で、アイズとマシューズは

    何者かによって狙撃されたある村の偵察にあたる。

    アメリカ兵の遺体が横たわる村を監視して20時間が

    たち、マシューズが安全チェックに向かうとどこからか

    飛んできた銃弾を受けてしまう..。


    <お勧め星>☆☆☆ とても地味な映画なのですが、

    その中に織り込まれたメッセージが強く伝わります。


    その壁はかつて学校だった


    「ザ・ウォール」という題名を聞くと、どうしたって

    思いだすのが「グレートウォール」(2016)です。

    マット・デイモン主演で大々的に宣伝したものの見事に

    大コケを果たしましたが、監督はチャン・イーモウなん

    ですよね。「初恋のきた道」(1999)

    「あの子を探して」(1999)はどちらも大好きな映画で、

    特に「初恋のきた道」なんて、チャン・ツィイーの

    愛くるしさに涙が溢れてしまいました。

     

    初恋
     

    その監督が怪獣スペクタクルアクション映画を製作するとは

    まさか、まさかです。これ以上は言いません。
    こちらの壁は文字通り「壁」なんです。とはいえそこは砂漠の

    真ん中にあり、数名のアメリカ兵が狙撃されて遺体として

    周りに横たわっています。それを20時間も遠くから偵察

    しているのが、アーロン・テイラー=ジョンソン演じる

    アイズとジョン・シナ演じるマシューズで、砂にまみれ

    どっちがどっちかわからない。

    登場人物で動いているのはラスト付近をのぞくとこの2人

    のみです。極めて地味なんです。マシューズは業を煮やして

    安全チェックに向かうと、どこからか狙撃されてしまう。

     

    ザ・ウォール

     

    そして助けに向かったアイズも脚を撃たれるのです。なぜか

    2発撃たれるのには訳があって、水筒と無線機のアンテナを

    破壊したかったらしい。そこまでできるのか!いや伝説の

    スナイパーをモデルにしているから百発百中でないといけません。

     

    ザ・ウォール
     

    アイズは命からがら壁の向こうに隠れるわけですよ。すると

    無線機から英語が聞こえてきて、それがどうも訛りがあるの

    です。そう、狙撃手と同一人物なんですね。それは早々に

    わかり、アイズと狙撃手との地味な攻防が始まるわけです。

     

    ザ・ウォール

     

    会話の端々にイラク戦争への批判が盛り込まれていて、

    イラク側からすると、終わった戦争ならなぜ何度もアメリカ軍

    が来て民間人をも攻撃するのかと言う。全員がテロリスト

    なのかと問う。逆にアイズはなぜテロを起こしたのかと

    言いつつ、自分自身が幾度もイラクに来るのは、故郷に

    戻りたくないからだと語るわけです。つまり自分のせいで

    亡くなった同胞がいて、そのために町には居場所がないと言う。
    この壁がかつて学校であり、そこには子供たちが楽しく学び

    遊んでいたのに、それを壊したのはアメリカ軍であり、そこに

    インフラ整備を行うためにアメリカ軍がやって来るというのは、

    やはり不毛な行為としか思えないのです。破壊しておいて

    再建する。それで全てが元通りになるはずもない。
    ラスト付近にわかる真相を知ると、ここでの出来事は、

    今イラクで起きている様々な戦闘行為を例えているのだと

    実感するばかりでした。

     

     

     

     

    ブログランキング・にほんブログ村へ
    にほんブログ村  人気ブログランキングへ


    アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場

    3

    JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

     

    アイ・イン・ザ・スカイ

     

    「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場」

    原題:Eye in the Sky

    監督:キャビン・フッド

    2015年 アメリカ映画 103分

    キャスト:ヘレン・ミレン

         アーロン・ポール

         アラン・リックマン

         バーカッド・アブディ

         ジェレミー・ノーサム

     

    イギリス軍のパウエル大佐は、ケニア、ナイロビ

    にいるテロリストの捕獲作戦を指揮していた。

    しかし彼らのアジトで自爆テロの準備が行われて

    いることを知り、無人機によるミサイル発射を

    決行しようとするが...。


    <お勧め星>☆☆☆半 よくできた映画だし、俳優陣

    の演技も素晴らしいです。でも現実はもっと冷酷

    だろうと思う。


    戦争において正義などない


    無人偵察機「空の目」で標的を追い、特定できたら

    遠く離れた国から遠隔操作のドローンでのミサイル

    発射ボタンを押す。目の前には破壊された光景が広がる。

    そんな映画は、イーサン・ホーク主演の

    「ドローン・オブ・ウォー」(2014)で描かれて

    いました。あの映画では、その無人機のパイロット

    (実際に乗っているわけではない)が心を病み、家族を

    失っていく様を絶望的に映し、戦地で直接戦うこと

    なくして人間の命を奪うことは、直接戦ったことと同じ

    意味を持つと訴えていたように思います。

     

    アイ・イン・ザ・スカイ
     

    アイ・イン・ザ・スカイ

     

    アイ・イン・ザ・スカイ

     

    この映画では、いわゆる「キル・チェーン」つまり、

    パウエル大佐指揮下のイギリス軍の対テロリストチーム、

    国家緊急対策委員会、アメリカの空軍基地、アメリカ政府

    などが共に標的排除に向かう姿を描いています。実際に

    発射ボタンを押すのはネバダ州の空軍基地にいる若い軍人で

    あり、男性は学生ローンの返済のために働いている。笑顔で

    軽口を叩いていられたのは映画の序盤ののみです。

     

    アイ・イン・ザ・スカイ
     

    「捕獲作戦」だったはずが、ケニアでの「鳥の目」そして

    「虫」により標的の家で自爆テロの準備が進められている

    ことがわかると、パウエルはこの後必ず決行される惨劇を

    防ぐと共にテロリストを排除する絶好のチャンスと捉える

    のです。しかしたまたまその家の前で少女がパンを売り

    始めてしまう。この少女を巡って、攻撃することに法的、

    政治的に問題がないか各部門での判断が分かれてしまう。

    一人の少女を救うか、テロによる犠牲者を防ぐか。命の

    価値は同じとはいえ、そこに持ち出されるのは、その

    攻撃が世界から非難されないか、民間人の死でテロリストに

    「大義」を与えてしまはないかなどという全く異なるレベル

    の話なのです。

     

    アイ・イン・ザ・スカイ

     

    アイ・イン・ザ・スカイ

     

    これらが、テロリストのアジトの内部カメラ、「空の目」

    から見た少女の姿、そして遠く離れた場所で決定権を話し

    合う軍人や政治家を次々に映し、こちらの緊張は高まる

    ばかりです。こういう戦争はもうとっくの昔から始められ

    ていて、映画になってようやく知るというのも恐ろしいし、

    実際はもっと冷酷で、目的のためには手段を選ばず、犠牲

    への配慮などみじんもないに等しいのではないかと思って

    しまいました。その辺りはナイロビで英米軍のスパイの

    ような行為をさせられる現地人の扱い方からも伺えます。
    「付随的損害の推測値」なんて、ただの計算上の数に

    過ぎないことは誰だってわかるというもので、それは

    いくらでも自国の有利な値に変えることもできるのです。
    とてもよくできた映画ですが、やはり戦争映画は見終わって

    気分が良くないです。そしてこの映画がベンソン中将役の

    アラン・リックマンの遺作となってしまったことは本当に

    残念です。

     

     

    ブログランキング・にほんブログ村へ
    にほんブログ村  人気ブログランキングへ

     

     


    ハクソー・リッジ

    4

    JUGEMテーマ:洋画

     

    ハクソー・リッジ

     

    「ハクソー・リッジ」

    原題:Hacksaw Ridge

    監督:メル・ギブソン

    2016年 アメリカ=オーストラリア映画 

    139分 PG12

    キャスト:アンドリュー・ガーフィールド

         サム・ワーシントン

         ルーク・ブレイシー

         テリーサ・パーマー

         ヒューゴ・ウィービング

     

     

    第二次世界大戦末期、信心深いドスは、武器を

    持たない衛生兵として沖縄に到着する。そこで

    繰り広げられる熾烈な戦闘の中で、彼は傷ついた

    兵士を救うために力の限り行動するが...。


    <お勧め星>☆☆☆ よくできた映画ですが、最後

    まで違和感が消えませんでした。


    もう一人助けさせて


    映画の公開前日6月23日が「沖縄慰霊の日」であり、

    この映画の宣伝において「沖縄」と明示したものを

    ネット以外では目にしなかったのは、もちろん遺族や

    被害者への配慮があってのことだそうです。いやそんな

    配慮はいらないから、はっきり宣伝して日本人がどう

    受け取るか、その反応を見ればよかったと思う。

     

    ハクソー・リッジ

     

    「ハクソー・リッジ」は沖縄浦添城址跡の南東にある

    「前田高地」という150mの断崖絶壁であり、上陸

    したアメリカ軍が苦戦を強いられた場所です。そもそも

    沖縄戦は、本土決戦の礎として、連合国側から

    「アイスバーグ作戦」と名付けられたものであり、

    大戦末期の日本軍が死闘を繰り広げた場所なのです。

    沖縄に行って青い海を美しいと思い、三線の音色を耳に

    しながら泡盛に酔いしれているだけではなく、必ず

    南部戦跡に足を運んでほしい。どんな状況だったのか

    この目でしっかり見てきてほしい。
    さて、映画はこのような日本側の状況は一切描かれず、

    前半はデズモンド・ドスという1人の男の生い立ちから

    語られます。そこには、彼の父が先の大戦で仲間を失い

    酒浸りとなっていること、子供たち、つまりドスとハルに

    暴力をふるうこと、また敬虔なキリスト教徒(その中でも

    特にセブンス・アドベンチスト派という異端)で、安息日

    を厳守することがわかるのです。とはいえドスはちゃっかり

    一目ぼれしたドロシーとデートしたりしてなんだか

    中途半端に進みます。
    そこで急にドスは良心的兵役志願兵として入隊するのです。

    理由は「真珠湾攻撃を知って戦うべきだと思ったから」

    ここで彼の言う「戦う」の意味がわからない。召集ではなく、

    志願であり、入隊すれば銃をもって訓練するに決まっている。

    軍隊は戦うために存在するのでしょう?守るためであっても

    武器をもって対抗するでしょう?
    さらには戦地に向かえばそこには、敵と味方しかおらず、

    最終目的は「敵を倒すこと」以外にないと思うのです。
    中盤、訓練において武器を持つことを拒否したドスは軍法会議

    にかけられ、父の口添えもあって、「武器を持つことの拒否権」

    の存在を認められるのですが、仲間から浮いてしまうのは

    当たり前なのです。
    キミの目的はいったい何なのか?

     

    ハクソー・リッジ
     

    沖縄におけるすさまじい戦闘とおびただしい犠牲者の姿の中で、

    ドスは武器を持たず、衛生兵として、負傷者を救い出すことに

    専念します。映画内ではごく短い時間に行われたように思え

    ましたが、実際はもっと長い期間の功績だそうで、

    そりゃそうだ、と納得。
    一応傷ついた日本兵を救うシーンも入れるという配慮もあります。

    つまり救える命を救うことが使命と考えたのでしょうか。
    彼が75名の兵士の命を救ったことで良心的兵役拒否者として

    初めて名誉勲章を獲得したと字幕で流れ、存命時の本人、弟、

    上官の言葉も流されますが、どれも心に残りません。
    彼が銃を持たなかったにしても、この戦争で散っていった命は、

    彼が救った命の1つ1つと全く同じ価値であり、そこまで

    想像力を働かせたら、このような映画に満足などできるはずも

    ないのです。いや視点が違うと考えるべきか。
    もちろんこの映画はよく作られていたと思います。

    「神様、もう一人助けさせて」

    と自らの危険も顧みず負傷者のもとに向かったドスには、その

    時点で神が宿っていたのかもしれませんね。キリスト教徒でない

    のでわかりません。

     

    ハクソー・リッジ

     

    ドスの所属する隊を率いるグローバー大尉役はサム・ワーシントンで、

    前よりもイケメンに感じました。

     

     

    ブログランキング・にほんブログ村へ
    にほんブログ村  人気ブログランキングへ

     

     


    ダンケルク

    3

    JUGEMテーマ:洋画

     

    ダンケルク

     

    「ダンケルク」

    原題:Dunkrik

    監督:クリストファー・ノーラン

    2017年 イギリス=アメリカ=フランス=オランダ映画 

    106分

    キャスト:フィオン・ホワイトヘッド

         トム・グリン=カーニー

         トム・ハーディー

         キリアン・マーフィー

         ハリー・スタイルズ

     

    1940年、ドイツ軍は、イギリス、フランス軍をフランス

    北部のダンケルクへ追いつめる。イギリス首相チャーチルは、

    ダイナモ作戦と称する兵士救出作戦を指示するが...。


    <お勧め星>☆☆☆ IMAXで観たらまた感想が違っただろうか。


    戦争に英雄など存在しない


    映画の予告編が劇場やテレビで幾度となく流され、CGなしの

    実写(IMAXカメラ)であると知っていたものの、2D上映の

    近場の劇場にて鑑賞。
    この映画を見た途端、夏頃Blu-rayにて鑑賞した

    「ヒトラーの忘れもの」(2015)を思い出してしまった。

    砂浜なんですよ。場所は全く違うし、時期も第二次大戦終結直後の

    話なのに、砂浜がその映画と被ってしまう。あの映画では、

    一度はナチスドイツ軍に占領支配された地域に、元の住民が戻って

    きて、敗戦国となったドイツ軍兵士を捕虜として、砂浜に

    埋められた地雷の除去にあたらせるというものでした。

    終戦間際に召集されたのは14,5歳の少年がほとんどであり、

    その多くが生きて祖国に戻ることができなかったのです。
    戦争は勝敗によってその立場が一気に変わり、勝者にまわった途端、

    自分たちがされたことと同じく、いやそれ以上のことを敗者に行って

    しまう。また戦時下の極限状態では、たとえ同胞であっても、

    見捨てたり、裏切ることさえいとわない者も現れてしまうのです。

    人間の本質をあぶりだすかのような行為かもしれません。
    さて、この映画では、海岸(1週間)、海(1日)、空(1時間)

    という3つの視点からそれぞれの場所にいる人たちを描いて行く

    のです。兵士などはほとんど名前を呼ばれることがなく、

    エンディングクレジットで配役を見ても、名前と顔がくっつくのは

    ごくわずか。

     

    ダンケルク

     

    ダンケルク
     

    ドイツ軍に追い詰められたダンケルクの海岸からの救出に来た

    艦船に乗った途端に、魚雷やら空からの爆撃やらで、幾度と

    なく海に放り出される兵士の姿は、テープを巻き戻しているか

    のように思えてしまうほどです。

     

    ダンケルク
     

    一方民間船の船長は息子とその友達を乗せ、果敢にも兵士の

    救助に出港します。この船長についてのみ、長男を既に戦争で

    亡くしているという説明がなされるのですが、それが彼の

    勇気ある行動につながっていたと考えるのは当たり前のこと

    なのです。

     

    ダンケルク

     

    またイギリス空軍のパイロットはスピットファイアを操縦し、

    敵機と交戦。トム・ハーディーはコックピット内で勇気ある

    パイロットとして存在感を示します。
    ただ戦闘シーンは「プライベート・ライアン」(1998)の

    冒頭20分間に繰り広げられたノルマンディー上陸作戦での

    凄まじさには程遠く、飛び交う銃弾の音や爆撃機の飛来する音、

    何かが近づくことを示す船や桟橋が揺れる音など、ひたすら

    「音」でそれを表わし、頭や手が吹き飛び、うめき声をあげる

    悲惨な戦場の姿を感じ取ることはできません。それはまるで

    戦闘ゲームのように思えて仕方がない。
    そしてこの3つのバラバラの時間軸がどのように繋がって

    いくのか、結末は分かっているだけにあっという展開はなく、

    さらにかなり拍子抜けするシーンに変わってしまう。
    第二次世界大戦は、ここからさらに熾烈なものになるわけで、

    それを考えると見終わって心が晴れるものではなかったです。

     

     

     

     

    ブログランキング・にほんブログ村へ
    にほんブログ村  人気ブログランキングへ


    ノーザン・リミット・ライン

    5

    JUGEMテーマ:韓国映画全般

     

    ノーザンリミットライン

     

    「ノーザン・リミット・ライン 南北海戦」

    原題:Northern Limit Line

    監督:キム・ハクスル

    2015年 韓国映画 130分

    キャスト:キム・ムヨル

         イ・ヒョヌ

         チン・グ

    2002年、サッカーワールドカップ開催された

    韓国で、その同時期に北方限界線の海上で北朝鮮軍が

    突然韓国軍に攻撃を仕掛ける。韓国357号に乗船して

    いた兵士たちは、必死に抗戦するが...。

     

    <お勧め星>☆☆☆ いつ見ても戦争映画は悲しい。

     

    映画の60分くらいは、2002年サッカーワールドカップ

    開催で盛り上がる韓国国内の様子と、北方限界線の海上で

    警備にあたる韓国高速艇の兵士たちの和やかな日常が描かれます。

    事実に基づいているから、このメンバーが北側の攻撃を受け

    るのはわかっているので、こののどかさが、いつ破られるのか、

    緊張の連続です。

     

    ノーザンリミットライン

     

    〇見どころ

    最初に漁船のふりをして拿捕された北朝鮮人が、いかにも漁師に

    見えないのに、ワールドカップ開催時には戦闘を避けたい上層部の

    指示で、簡単に解放。そして数回の領海侵犯の後に突然韓国側は

    攻撃を受けるのです。

     

    ノーザンリミットライン

     

    実際の戦闘時間と同じく30分間続く砲撃、銃撃、火災の連続は

    とにかく悲惨であり、かつすさまじい。「プライベート・ライアン」

    の冒頭20分並みにかそれ以上にリアルに描かれています。

     

    ノーザンリミットライン

     

    前半に357号に乗船している兵士の日常が描かれているだけに、

    バタバタ倒れていく姿を見ると、とにかく早く終わってほしいと

    思うことしかできません。数多くの演出があるでしょうが、兵士

    たちの固いきずなや、職務を全うする姿は勇敢そのものなのです。

     

    ●惜しいところ

    韓国側が製作しているので、美談にしすぎた感があり、韓国軍兵士

    の士気を鼓舞するものに思われてしまう。北側の思惑は一切わからず、

    (仕方ないけれど)さらに、この壮絶な戦闘を、南北間の衝突という

    話で片づけ、大統領はワールドカップの閉会式へ行ってしまう。

    その方が異常だと思うけれどな。

     

     

     

    ブログランキング・にほんブログ村へ
    にほんブログ村  人気ブログランキングへ



    PR

    カレンダー

    S M T W T F S
         12
    3456789
    10111213141516
    17181920212223
    24252627282930
    31      
    << March 2024 >>

    ブログランキング

    今日のわんこ

    powered by 撮影スタジオ.jp

    アマゾン

    遊びにきてくれてありがとう!

    カウンター

    死語レッスン

    最新記事

    categories

    過去の記事

    コメントありがとうございます!

    トラックバックありがとうございます!

    recommend

    お友達

    ミス・マープルについて

    書いた記事数:3431 最後に更新した日:2023/01/12

    あの映画を探そう!

    others

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM