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- 2023.01.12 Thursday
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JUGEMテーマ:韓国映画全般
「殺されたミンジュ」
原題:One on One
監督:キム・ギドク
2014年 韓国映画 122分 R18+
キャスト:マ・ドンソク
キム・ヨンミン
イ・イギョン
チョ・ドンイン
テオ
ある夜女子高生ミンジュが謎の集団によって殺害される。
そして1年後、事件の実行犯が1人ずつ拉致され拷問を
受けていく...。
<お勧め星>☆☆☆ メッセージ性は強いのですが、
「嘆きのピエタ」の方がずっと上を行くと思います。
セリフの多さは、テーマをブレさせる。
かなりの低予算かつわずか10日間で撮影完了だけあって、
シーンも限られており、カメラワークも統一性がなく、
俳優の演技力によって、映画が成り立っている気がします。
「ミンジュ」というのはあちこちで書かれているとおり
韓国語で「民主」の意味であり、つまりこの1人の少女が
殺されたことを韓国国内だけでなく、全世界に広がる
民主主義の崩壊になぞらえているのです。
冒頭に襲われたミンジュは、あっという間に殺害され、
「なぜ?」ということは最後までわかりません。そして
1年後、事件の実行犯が1人ずつ拉致され、拷問を受けた
挙句、調書を書かされていくわけです。この拷問はかなり
ソフトであり、こんなもんじゃないだろうと思ってしまう。
この集団は「シャドウズ」と呼ばれるらしいのですが、
そんな風に映画の中で呼んでいたのか全然気づかず。
さらに、シャドウズは、ある時は警官、ある時は軍人、
ある時はヤクザ風などコスプレをして実行していくのです。
それはどの世界にも同じような「悪」が存在するという
ことを示したのでしょうか。
またシャドウズのメンバーの日常生活があまりにも
悲惨なのです。ある者は、重い病の妻のために金を借り、
取り立てに苦しむ。ある者はアメリカのアイビーリーグの
大学まで行き英語もマスターしたのに職がなく、兄夫婦の
世話になっている。認知症の母親とホームレス状態の者、
DV男から離れられない女。いずれも「負け組」にしか
すぎないのです。これでもかと見せつける「負け組」を
率いるリーダー的存在は元軍人のマ。
マ・ドンソクが演じています。結局は彼の個人的な
恨みを晴らすために、ネットで社会に不満を持つ者を
募ったということが分かっても、心になにも響きません。
「私は誰なのか?」って最初に実行犯として拷問を
受けるオ・ヒョン役のキム・ヨンミンは8役もこなし、
借金取りだの、エロ社長だの、DV男だのを演じている
ことで、「誰にでもなれる」ということを示唆している
のかもしれません。
見終わって考えなおしてみても、やはり人間は哀れで
悲しい存在なのだとしか思えず、心が暗くなるだけの
映画でした。