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    12年の長い夜

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    JUGEMテーマ:洋画

     

    12年の長い夜

    出典:IMDb

     

    「12年の長い夜」

    原題:La Noche de 12 Anos/A Twelve-Year Night

    監督:アルバロ・ブレッヒナー

    2018年 ウルグアイ=スペイン=アルゼンチン

    =フランス=ドイツ映画 123分

    キャスト:アントニオ・デ・ラ・トレ

         チノ・ダリン

         アルフォンゾ・トール

         セサル・トロンコーソ

     

    軍事独裁政権下の1973年、ウルグアイ。政権に

    敗北した極左ゲリラ組織トゥパマロスのメンバーは

    政治犯として刑務所に収監される。そこでの数々の

    劣悪な環境を耐えた一人が、後の大統領になる

    ホセ・ムヒカだった。


    <お勧め星>☆☆☆☆ 地味な映画なのですが、

    ウルグアイという国について少しだけ知ることができます。


    あなたを忘れてない

     

     

    <ネタバレしています>


    20世紀初頭、南米唯一の福祉国家であり、チリと並んで

    民主主義国家であったウルグアイも、経済の低迷から政情が

    不安定になります。そして映画に登場する極左ゲリラ組織

    トゥパマロスが台頭するわけです。
    この治安抗争から始まった内戦状態を、軍部に頼って終結

    させたことで、1973年に軍事独裁政権が誕生し、

    ゲリラ組織のメンバーは政治犯として収監されていくのです。

    映画の中盤にこの制圧方法が描かれていて、明らかに無防備な

    女性を銃撃し、そしてその家に入り込み、メンバーを射殺して

    いく軍人の姿が映り、政府の幹部はその制圧した後を確認します。

    「ゲリラが発砲したため制圧した」

    と印象付けようとする軍部と政府幹部に「投降する」と訴える

    ゲリラの姿を見ると、本当は全部射殺したかった軍部の思惑が

    手に取るようにわかるのです。これが立場の違いなんだろうな。

     

    12年の長い夜
    出典:IMDb

     

    ストーリーはこのうちのニャト、ルソ、ペペというメンバーの

    監禁生活を延々と映し、時折、捕まる前の幸せな映像も流されます。

    それはごくわずかで、ほぼ独房での過酷な状況を映し続けるのですが、
    不思議と全く飽きません。

    それは各々の状況をリアルに再現しているからでしょうか。
    目隠しをされ、独房に入れられ、ずっと壁をむいて立たせる。

    囚人同士の会話、呼びかけ、看守への声かけ禁止。

    さらには唯一光が差し込む窓にトタン板が打ち付けられるのです。

    食事はおろか、水分もろくに与えられず、トイレすらない暗闇に

    一人で閉じ込められる事の恐怖は想像できないほどのものです。
    あばら骨が浮き上がるほどやせ細り、髪の毛やひげは伸び放題、

    葉は黒ずみ、爪の間や皮膚が垢だらけの姿では、家族とは面会

    させられないと、急に髪を切り、ホースで冷水を浴びせ、一応

    身なりを整えたところで、家族は息子の姿を見れば、彼が今どう

    いう状況にいるのか一目でわかるはずです。

    過酷な獄中生活の中にも笑えるシーンもいくつかあり、トイレに

    座れないから手錠を外すか否かで、どんどん上官に尋ねにいき、

    最終的に最も上の地位の軍人がトイレまで来るのは大笑いです。

    いかにも縦割り社会の縮図という感じがしました。

     

    12年の長い夜
    出典:IMDb

     

    ルソとニャトは同時期に房が隣同士だったこともあり、壁を叩いて

    それを文字に変化する会話法を会得しますが、たった一人

    閉じ込められているペペは、その孤独から精神状態が悪化して

    いきます。

     

    12年の長い夜
    出典:IMDb

     

    この時、フラッシュバックして映るのが彼らの受けた数々の

    拷問シーンで、いつの時代にも政治犯には「拷問」がつきもので、

    それに「意味」を求めているわけではなく、痛めつけるという

    「目的」を持っているのすぎないと実感します。「拷問」で

    思想を変更させるとか、真実を語らせるとか、そんなことは

    できないことなどとっくにわかっているのに、なぜに存在

    し続けるのでしょう。
    ペペの母親の言葉「乗り越えて先に進むしかない」

    しかし長い期間監禁されているうちに、ルソは、持ち前の文才で、

    軍曹のラブレターを代筆ことになります。それが成功するたびに、

    鉛筆がもらえ、紙がもらえ、パンをもらえ、たばこをもらえ、

    遂には外の景色を見ることもできます。その景色がとても美しく

    感じるのは、彼らが収容されている場所があまりに劣悪すぎる

    だけでなく、本当に緑があふれて青空が広がって明るい日差しに

    あふれているいるからだと思う。

    映画内でジーンと来たのは、ニャトが娘のガブリエタと面会する

    シーンです。手錠でつながれた両手を隠す父に

    「どうして手がないの?」

    と尋ねると、父は

    「手はいろいろな形に変わるんだよ」

    と手錠がわからないように蝶々が羽ばたく姿を演じます。

    ここは泣ける。ガブリエタはニコリと笑うんですよ。オヨヨ。
    最終的には1985年、3人を含めた政治犯は解放され、家族の

    もとに戻ります。その後の活躍は字幕で流され、ペペこと

    ホセ・ムヒカが2009年にウルグアイ大統領に就任したこと、

    ルソは詩人、作家になったこと、ニャトも国会議員になった

    ことを知ります。ホセ・ムヒカの質素な生活ぶりは彼の強い

    意志に基づくものだったろうし、「園芸」を愛したというのは

    出所の際に、トイレ用に支給されたボウルに花を育てていた

    ことからも伺えました。彼についてこの映画で初めて知った

    けれど、調べれば調べるほど尊敬に値する人物だという思いが

    募るばかりです。

     

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