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- 2023.01.12 Thursday
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JUGEMテーマ:洋画
出典:IMDb
「ビール・ストリートの恋人たち」
原題:If Beale Street Could Talk
監督:バリー・ジェンキンス
2018年 アメリカ映画 119分
キャスト:キキ・レイン
ステファン・ジェームス
レジーナ・キング
コールマン・ドミンゴ
テヨナ・パリス
1970年代のニューオリンズ。幼なじみの
ファニーとティッシュは恋人となり、2人で住む
家を探していた。そんな矢先、ファニーがレイプ犯
として逮捕されてしまう。妊娠が発覚したティッシュは
家族の協力を得て、彼の無罪を証明しようと奔走する
のだった。
<お勧め星>☆☆☆半 ストーリーは予告編通りのもの
でしたが、音楽や衣装などがとても美しく、印象的でした。
この子の時代にはすべてが変わっている
「ムーンライト」(2016)のバリー・ジェキンス監督
作品です。1970年代のアメリカで、黒人青年が白人警官
にハメられ、逮捕されてしまう...という予告編を見ただけで、
「フルートベール駅で」(2013)の黒人青年の死を
思い出すし、「デトロイト」(2017)での自白強要を
する白人警官たちの高圧的な姿がよみがえります。しかし
今作では、その「差別」という大きな壁以上に、若い二人の
初々しい純愛が描かれ、そのシーンだけ切り取ると、
どこにも「憎悪」のような黒い影は見られないのです。
出典:IMDb
ファニー22歳、ティッシュ19歳という一番輝いている時代の
話です。電車の中でも道を歩いていてもお店の前でも、お互い
しか見えていない、そんな時代はある年代を過ぎると消えて
しまうのですよね。あれは何に変わってしまったんだろう。
幼なじみであったファニーとティッシュが互いを意識し、
恋人同士になっていく過程と、ファニー逮捕後、ティッシュの
妊娠が発覚し、それを祝福する彼女の家族やファニーの父親の
姿が映されます。
しかしごくごく庶民のような雰囲気のティッシュの家族に
引き換え、ファニーの母や姉妹は、身なりも上品だし、どこか
彼女一家を見下している風があります。それはまるで白人が
黒人を蔑んでいる姿のようで、黒人の中でも存在した階級を
感じ取ることができるのです。
出典:IMDb
そしてファニーにレイプされたと主張したプエルトリコ人の
ヴィクトリアという女性の行方探しや、弁護士費用、
ヴィクトリアの所在が分かると、そこに向かう渡航費用のため、
家族はあらゆる方法で金を得ようとします。当のティッシュは
デパートの香水売り場で、とても小ぎれいな姿で立っています。
しかしそこでも客から受ける差別行為があるわけです。
出典:IMDb
逮捕前と逮捕後の映像を描くうちに、なぜファニーは白人巡査
ベルに「犯人だ」と証言されたのかわかってきます。この時代の
黒人は、白人に対して何一つ不審な行動をとってはいけなかったし、
反抗することなどもってのほかだったと多くの映画で描かれ、
実際にそうだったのです。映画の最初と最後に流されるモノクロ
写真は、当時のものなのか、今のものなのか、迫害される黒人たちが
映っています。
出典:IMDb
この不条理な世界がなぜか美しく感じられるのは、登場人物の
衣装の鮮やかな色や可愛らしさ、そして家においてある小物類、
冷蔵庫、ポット、バスタブなど1つ1つが「ままごと」に登場
するようなこじゃれたものであることと、レコードから流れる
素敵な音楽によるものだと思うのです。雨が降ってきたシーン
では、小さな真っ赤な傘をさします。とても2人が入りきるとは
思えないほど小さいのです。それがまた二人を接近させます。
この子の時代には変わっている..と考えたような世界になって
いるのかどうか、今考えてほしい。「差別」のない世界が訪れて
いるのか考えてほしい。