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    金子文子と朴烈(パク・ヨル)

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    JUGEMテーマ:韓国映画全般

     

    金子文子と朴烈

    出典:IMDb

     

    「金子文子と朴烈(パク・ヨル)」

    原題:Anarchist From Colony

    監督:イ・ジュンイク

    2017年 韓国映画 128分

    キャスト:イ・ジェフン

         チェ・ヒソ

         キム・インウ

         山野内扶

         キム・ジュンハン

     

    1923年、東京。おでん屋で働く金子文子は朝鮮人

    アナキスト朴烈の書いた「犬ころ」という詩を読み、

    感動する。そして朴烈と会い、彼の志の共鳴して、彼の

    活動に参加するだけでなく、「同居誓約」を交わして

    一緒に住み始めるのだった。しかし関東大震災の後、

    自警団による朝鮮人虐殺が始まり..。


    <お勧め星>☆☆☆☆ 一つ一つの事件の真実はなんだったのか

    深く考えさせられると共に二人の愛情の深さを感じます。

     

    万歳事件の万歳を法廷で


    1923年というと大正12年であり、大正デモクラシーに

    よって日本国内では労働運動・民権運動・女性運動など支配

    権力に対する社会主義者らの抵抗・権利拡大運動の活性化が

    進んでいた時代です。
    しかし外交面では、1910年に韓国を併合したものの朝鮮

    総督府への民衆の反発は強く、三.一独立運動で大規模な民衆蜂起

    が示され、国外では米英との対立、シベリア出兵の失敗、さらには

    首相暗殺(原敬)恐慌などにより保守派が一気に急進し始めた時期

    です。

    この混とんとした時代に、おでん屋で働く金子文子は「犬ころ」と

    いう詩と出会い、その作者朴烈に一方的に「一緒に住みましょう」と

    語りかけます。

     

    金子文子と朴烈
    出典:youtube

     

    現代ではどちらが主導権を握ろうがあまり驚くことはないのですが

    (いや化石は存在するか)大正デモクラシーで自由を謳歌していた

    とはいえ、女性からろくに知りもしない男性にこういう申し出を
    することはそれほど多くなかったと思います。金子文子役の

    チェ・ヒソは日本語が流ちょうで、映画内では日本人であるが、

    朝鮮に両親と住んでいたことがあり、そこで朝鮮語を習ったという

    設定です。
    他の日本人政治家や役人、検事などもほとんど韓国人で、かなり言葉

    の練習をしたと思うのですが、時折つたない発音を耳にするのとは

    別次元のレベルです。さらに表情が豊かで、どこまでも明るいです。

     

    朴烈
    出典:youtube

     

    朴烈は「不逞社」という革命団体を組織しており、アナキストと

    して天皇制の転覆を企てていました。この経緯は歴史の授業では

    一切習っていないし、なぜ朝鮮人が日本帝国主義に反発していた

    のかは自らの手で調べてみるといいと思います。
    そして爆弾を入手し、ある計画を実行しようとした矢先に

    関東大震災が起こるのです。震度7.9の大地震は、民衆の不安を

    さらに煽り、政府は「対策」を講じなくてはならなくなります。

    「対策」は「戒厳令」をひくことが手っ取り早いのですが、

    そのためには明確な「理由」が必要です。暴動が起こる前に

    「戒厳令」を発動させる「理由」として内務大臣水野錬太郎が

    考えたのは「朝鮮人たちが井戸に毒を入れ、あちこちに火をつけ

    まわっている」という噂を流すことでした。彼はこの地震の前に

    朝鮮総督府に向かった際、ソウルで爆弾を投げつけられたことを

    大そう恨んでいた模様で、それはある意味個人的な恨みではないか

    と他の役人に指摘されますが、「怒る国民の標的をそらす方法は

    他にありますか」と言い切り、その噂を新聞社に流すように

    仕向けるのです。
    こうしてあちこちで自警団による朝鮮系日本人への襲撃が始まり

    ました。この際の被害者は数百人から役6000人と論する人に

    よって大きな開きがあり、その追悼式典へ今の都知事が小池知事が
    “歴史家がひも解くべきもの”としてかたくなに追悼文を送らないこと

    には、大きな違和感があります。数ではなくそういう蛮行によって

    子供までも殺された事実は記録されており、その歴史に対して
    背を向けることが先進国に住む者の姿であるとはとても思えません。

    そこについては様々な意見があるでしょう。
    さて朴烈たちのところにももちろん警察がやって来て、彼らは自ら

    捕まる道を選択します。その方がかえって安心だったのです。文子は

    日本人でありながら自ら出頭し、朴烈と行動を共にします。

     

    金子文子と朴烈
    出典:youtube

     

    そして水野内務大臣は立松検事に朴烈を起訴に持ち込むように自供を

    させることを命じます。自供する過程は合理的に、しかし結論は

    決まっているというわけです。しかし朴烈は爆弾を入手しようと
    していましたが、それは手違いで入手できなかったし、その目的が

    何であったかははっきり決まっていなかったはず。ところが水野は

    「大逆事件」として大陪審にかけようと画策します。
    ※大逆罪 天皇・太皇太后・皇太后・皇后・皇太子・皇太孫に対して

    危害を加え、または加えようとすることによって成立した罪。犯した

    者は死刑に処せられることになっていた。昭和22年(1947)
    の刑法改正で廃止。(デジタル大辞泉より)

     

    金子文子と朴烈
    出典:youtube

     

    立松検事は、朴烈の取り調べを丁寧に行うのです。同時に「わたしが

    ヨルを脅迫して事件を起こそうとした」と文子は自供します。もちろん

    朴烈と行動を共にしたいがためのことです。
    そして実際に日本皇太子狙撃事件が起き、「犯人は朝鮮人か?」と

    いう水野の期待に反して難波大輔というアナーキストが逮捕されるの

    です。(虎ノ門事件)

    これを聞いた朴烈は、本当の大逆事件の発生によって「朝鮮人虐殺事件」

    が闇に葬られると考え、ハンストを始めます。収監されている二人を

    つなぐのは手紙のやり取りのみで、実は学問をろくに受けていなかった

    文子は字が正しく書けないこともわかってきます。彼女の生い立ちこそ

    まさに悲惨で、それが今の思想に繋がっているのではないかとも思える

    のです。

     

    金子文子と朴烈
    出典:youtube

     

    立松検事の配慮で二人は再会し、記念撮影してもらえるのです。後に

    この写真が大騒動になるのですが。
    身寄りのない文子と獄中結婚することを朴烈が申し出たのは、死刑に

    なった後、遺骨の引き取り者は身内しか許されなかったからで、彼の

    文子を思いやる気持ちと文子がそれを聞いて驚きつつ、涙を一筋

    こぼすのが印象的です。
    韓服とチマチョゴリ姿の二人が法廷に現れるとそれは結婚式のような

    雰囲気です。もちろんそれは1回きりで以降は一般傍聴禁止となり、

    死刑判決が言い渡されます。二人は一緒に死ねると思い、幸せを

    感じますが、ここでまた「天皇による恩赦」で無期懲役となって

    しまいます。それは朝鮮人たちの不満を抑え込む意図があったの

    ですが二人にとっては絶望にほかならなかったのです。
    民族差別の罪、日本民衆の良心のどちらも感じ取れる映画です。

    そして起きた事実を正確に伝えようとしないことへの怒りも起こり

    ます。二度と起こしてはいけないことだからこそ、正しく事実を伝え、
    それについて深く考えることが最も大事なことだと思います。

    起きたことをなかったことにはできないのですから。

     

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