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- 2023.01.12 Thursday
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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般
出典:IMDb
「エノーラ・ホームズの事件簿」
原題:Enola Homes
監督:ハリー・ブラッドビア
2020年 イギリス映画 123分
キャスト:ミリー・ボビー・ブラウン
ヘンリー・カヴィル
サム・クラフリン
ヘレナ・ボム=カーター
1884年、イギリス、ファーンデル。エノーラ・ホームズが
16歳の誕生日を迎えた朝、母ユードリアは謎のメッセージを
残し姿を消す。エノーラは2人の兄マイクロフト、シャーロック
を呼び寄せるが、マイクロフトによって彼女は花嫁教育を受ける
予定になってしまう。こっそり家を抜け出したエノーラは、母が
いると思われるロンドン行きの列車に乗り込むと、偶然にも
家族から逃亡を図るテュークスベリー家の若い侯爵と出会って
しまい...。
<お勧め星>☆☆☆☆ まあなんとも天真爛漫でパワーあふれる
お嬢さんの冒険物語が楽しく描かれていること!
未来は自分次第
シャーロック・ホームズには兄マイクロフトがいたことは小説に
出てきて知っていますが、妹はいたっけ?と思っていると、
アメリカ人のナンシー・スプリンガーという児童文学作家が
「エノーラ・ホームズの事件簿」という本を出しているそうです。
つまりコナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズとは
少しも関係がないということ。映画内に登場するシャーロックが
彼の手掛けた事件についてほとんど語らないのはその関係ですね。
しかしシャーロック役が「マン・オブ・スティール」(2013)
のヘンリー・カヴィルというのもちょっと違和感あります。
「ヤング・シャーロック/ピラミッドの謎」(1985)
のニコラス・ロウや「Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」(2015)
の イアン・マッケランは、シャーロックの若い時期や年老いた
時期がそのまま映像になって表現されていた気がしますが、
まさかのマッチョなお方。実際には話の本筋に深く関わってこない
のでこれでいいのかしら。
出典:IMDb
兄二人が家を出た切り戻ってこないホームズ家では、母ユードリアが
娘エノーラに独特の教育を行っていたのです。帽子をかぶり、
コルセットで体を締め上げた後に美しドレスを身にまとい、そして
最終目標は良き夫を見つけることだったこの時代の女性教育と
正反対のことで、二人は暗号解読、あらゆる本を読むこと、科学実験、
そして体を動かすことを兼ねて武術の練習を毎日行っていました。
「女性の解放」これがユードリアの口癖であり、エノーラはまさに
それを見て育ってきたのです。したがって16歳の誕生日の朝、
母が忽然と姿を消した理由が全く分からず、得意の推理力で考えても
思いつかず、兄2人を呼び寄せるのです。
出典:IMDb
政府のお役人であるマイクロフトは、妹のじゃじゃ馬ぶりに驚き、
嘆き、早速寄宿学校へ入れる手配を済ませます。シャーロックは
「すべて兄に任せる」と語るのみです。エノーラはenolaと書き
アルファベットを入れ替えるとalone。つまり「一人」。同様に
兄2人、特にシャーロックは現実逃避者である模様です。
しかし謎が解けないまま寄宿学校に入ることなどエノーラには
考えられず、知恵を振り絞ってロンドン行きの列車に乗り込みます。
追手に気づかせない手法は結局シャーロックには気づかれてしまう
のですが、しばらくは安泰...と思ったら、同じ列車内に
テュークスベリーの若い侯爵がいたことで話はややこしくなります。
出典:IMDb
彼が殺されそうになるのを助けるのはエノーラで、二人で列車から
飛び降ります。実際は劇場公開が予定されていたそうで、ここも
含めて大画面で見たら迫力抜群と思えるシーンが随所に見られます。
列車から飛び降りるなんてジェームズ・ボンドかと思っちゃう。
「望まない人生を生きるのが嫌」と侯爵は語ります。彼は貴族院議員
になることが決まっているのに、家族が無理やり軍隊に入れようと
しているのを嫌い、家を飛び出してきたらしい。
さて二人はこれから一緒に行動するかというと、ロンドンですぐに
別れ、エノーラはドレスを購入し、宿屋を見つけ、さらには母が
読みそうな新聞に伝言を掲載するのです。もちろんそれが得意の暗号
を使っています。エノーラの母親探しのカギを握る人物は
「母親を捜さず、自分を捜しなさい」と語り、彼女はその表情を見て、
母親が何かの集団に入って秘密に活動していたことを思い出すのです。
ロンドンの街には貧しい人々がそこかしこにおり、「改正法案」
可決に向けてシュプレヒコールを上げる人が幾度となく映ります。
そして母が残した文字を組み合わせてたどり着いた場所には、なんとも
物騒なものが置いてあるし、列車内で侯爵を襲った男に、今度は
彼女が襲われます。
出典:IMDb
割と拷問に近いことをされますが、さすが誰でも読んでも安心な内容
通り、母と培った無術の腕前と持ち前の灰色の脳細胞(ちょっと違う)
でかろうじてかわして逃げ通せます。若い女の子を蹴っ飛ばすなんて
不届きな男ですが、その前に花嫁学校の校長に平手打ちされても
泣きもしなかったエノーラですから大丈夫!
エノーラはここで侯爵がなぜ命を狙われているのか(もちろん自分
が巻き添えになったからで)調べることを開始します。
テュークスベリー家に向かうエノーラは、未亡人姿。エノーラは少年に
なったり見事なドレスを着こなしたり、はたまた未亡人となったりと
あれこれ変装し、その時々「なぜこの格好が有効か」を説明するので
とても楽しいですよ。
そして侯爵と再会したのも束の間、スコットランドヤードの
レストレード警部によってエノーラは捕まり、見事花嫁学校へと移送
されます。今まで野ウサギのように自由に学び、動き、考えてきた
少女が、頭に本を乗せて歩いたり、テーブルマナーを厳しくしつけられる
のです。たまったもんではありません。もちろん大人しく従っている
はずもありません。
ラスト付近にわかる真相は、とても大きな変化へあくまでも抵抗し続ける
人々の怨念のようなものを感じ、それは命すらもかける必要があるのか
と思ってしまいます。
それでも若い世代が新しい発想を求め自由に考え、行動していく姿を
見るのはとても気分のいいものです。エノーラに惚れた晴れたという
気持ちが起きないのも好感度アップ!いいぞ、エノーラ!