「スノータウン」
原題:snowtown/the snowtown murders
監督:ジャティン・カーゼル
2011年 オーストラリア映画 120分
キャスト:ルーカス・ピッタウェイ
ダニエル・ヘンシュオール
ルイーズ・ハリス
オーストラリア南部の田舎町に住む16歳のジェイミーは、定職のない
母親や兄弟と共に貧しい暮らしを余儀なくされている。彼は隣人に性的
暴行を受けても抵抗できなかったが、ジョンという母親の新しい恋人は、
そんな彼に仕返しをすることを教え、彼は次第にジョンに心を許していく
のだが...。
1995年から99年に起きた「The snowtown murders」と呼ばれる
男女12人猟奇殺人事件を描いた作品です。この事件が猟奇的なのは
被害者が子供や障がい者を含めた貧困層など社会的弱者であり、彼らを
拷問したうえで殺害、さらにその一部をドラム缶に集めていたということです。
映画はジェイミーと弟2人が隣人に預けられるシーンから始まります。しかし
この映画では全編にわたって正面からその現場を映すことはほとんどなく、
冒頭のシーンも少年たちを下着姿にして写真を撮り、少し経てデブ男の裸
が映るというふうに、観客にそこで起きたことを想像させるものになっています。
しかしながら、そこで何が起きたかは全て理解でき、不快感は高まります。
さて、この虐待に気づいた隣人たちの連絡で、母エリザベスは、警察に通報
しますが、その男は翌朝には保釈されてしまいます。そこで住民たちが近所
に住む変態の野放しについて話し合いをするのです。そこにいるのは、ジャンキー
やゲイ、定職のない人など社会の底辺にうごめく人たちばかりです。
しかしその中でジョンという男が、この問題は自分たちで解決すべきだ、と
主張します。彼はすぐにエリザベスの恋人となり、ジェレミーの家庭に入り込んで
来るのです。いつも不機嫌そうな顔で煙草ばかり吸っているエリザベスと彼を
虐待する兄、幼すぎる弟たちに囲まれ、ジェレミーの身の置き所はどこにも
なかった。そんな彼を一人前の人間として扱ってくれたジョンに、ジェレミーは
次第に尊敬に近い感情を持ち始めます。ジェレミー役の少年の表情のない演技が
寒々とした映像と重なって、彼の心の苦しみを訴えます。
しかしジョンは、実はとてつもなく冷酷で残忍な人間であり、
「クズは死んで当然。消えても誰も気にしない。」
と言ってのけます。映画の中で鹿(本物かどうかわかりません)をさばくシーンや
犬の虐待シーン(これは犬の悲鳴と音だけ)があり、本国では退場者が相次いだ
そうです。
ジョンが卑劣であるのは、ある殺人において、わざわざジェレミーに現場を見せ、
首を締めながらすんでのところで緩めるという行為をを繰り返し、
「殺さないでくれ」という気持ちから「もう殺してくれ」という気持ちに変わるほどの
状況を見せつけるところにも伺えます。そこで彼は殺人の共犯になるわけです。
その後、通りに出ると、向かい側では、少女たちが楽しそうに遊んでいる。しかし
もう彼はそんな世界へは戻れないことを実感します。彼の頬を伝わる涙はこの
映画で何度見たことでしょうか。
見終わって心が重く苦しくなるだけの映画でした。
<マープルの採点>
お勧め星 ☆☆
グロ星
ハラハラ星
エロエロ星
ダルダル星
日差しは暖かかくなってきたけど、気温は低い。
ジェレミーがせっかく心のよりどころを見つけたと思いきや、その男まで・・・(´Д` )大体、家にすぐ転がり込んでくる事自体、善人ではないですね。
自分達で解決できてたら、こんなに長引かないと思います。やはりこの街から抜け出さない限りムリなのでしょうか?街全体が荒んでしまった様で、楽になるには・・・と考えてしまうのも、当然だと思います。しかし、身内までが「クズ」になってしまっているのは、悲しいですね。
「ジョニー・イングリッシュ」観ました。Mr・ビーンのあの人、どうしても好きになれません。(旧作なので借りた)ラスト辺りでキスしたカウンセラーは「アウトロー」に出てたロザムンド・パイクだったんですね。トムとのキスシーンさえなかったのに、この人とはするなんて、もったいないな〜。