カルテット!人生のオペラハウス

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JUGEMテーマ:洋画

カルテット

「カルテット!人生のオペラハウス」
原題:Quartet
監督:ダスティン・ホフマン
2012年 イギリス映画 98分
キャスト:マギー・スミス
     トム・コートネイ
     ビリー・コノリー
     ボーリーン・コリンズ
     マイケル・ガンボン

引退した音楽家たちの老人ホーム、ビーチャム・ハウスへ
1人の女性が入居してくる。かつて名オペラ歌手だったジーン
は、先に入居しているレジーの元妻で、彼はいまだに彼女を
許していないのだった。

<お勧め星>☆☆☆☆ 人生の先輩たちの姿に希望と情熱を
与えてもらえます。


原作はロナルド・ハーウッドの舞台劇「想い出のカルテット
〜もう一度唄わせて〜」です。
ビーチャム・ハウスは現役を退いた音楽家が余生を送る老人
ホームなのです。といってもイギリスの田舎にあるそれは、
広大な敷地に庭園があり、建物も調度品も一流で、おそらくは
日本で言うと高級老人ホームなのでしょう。こんな生活を送れる
人は一握りしかいないだろうなあ、と思いつつ、そんな人々にも
確実に「老い」は訪れるのだと実感します。毎日、豪華な
朝食の後には、それぞれの楽器を奏でたり、歌を歌ったりと
優雅な暮らしをしています。

ウィルフは自称脳溢血の後遺症である欲望が制御できない。
ホームの若い女性医師や他の入居者にエッチな言葉ばかり
かけています。レジーはウィルフの友人で、彼を見舞って
そのまま入居。シシーはいつも大きなカバンを持ち、オペラを
聴いていますが、ちょっと認知症が進んでいる模様。何かの
パニックになると、「家に帰らなくちゃ。パパとママが待っている」
と慌て始めます。でも周りのみんながそれを知っていて、うまく
なだめるんですよ。夫も子供もいないシシーは
「このホームは天の恵み」
と言います。まさにそんな場所なのです。


カルテット

そんなある日、1人の新しい入居者がやって来ます。この女性
ジーンはかつて名オペラ歌手であったのですが、年老いて
一人暮らしかつ腰を痛めているため、ここへ入ることになった
のです。かなり有名な歌手だったようで、窓から覗き見する
入居者の驚きようは大へんなもの。しかしレジーだけは怒りに
燃えるのです。
「なぜ彼女がここに来るんだ。わたしはよそへ移る」

実はレジーとジーンはかつて夫婦であったのですが、たった8時間
で離婚していました。レジーは生真面目なんでしょうね。映画の
中で若者への講義の準備のため、自分としては全く音楽と考えない
ラップをPCで調べます。ジーンの謝罪の言葉やその姿を見ていた
レジーは、急に石頭が柔軟になるのです。音楽は方法は異なれど
気取った人のものではない。気軽に気持ちを表現するものだと
若者に話します。オペラなんて敷居が高く感じますが、実はラップ
と同じような位置にいたのですね。それを勝手に高くしていったのは
誰だ?

一方ジーンは、このハウスの仲間とは打ち解けられず、一人で食事
を取る日々を送りますが、純真なシシーの誘いで少しずつ心を
開いていくのです。


カルテット

ジーン役のマギー・スミスの気品もさることながら、シシー役の
ボーリーン・コリンズがとても上手です。いつも持ち歩いている
バッグの中にあるのは、大好きなCDやかつて身につけていた水着
など。でもそれがないと彼女は落ち着かないのです。
そしてこのホーム維持のための募金集めとしての「ガラ」で、今年は
ウィルフ、レジー、シシー、ジーンのカルテットをしようと考える
のですが、かつての歌声が出せないジーンは首を縦に振りません。

かつて次はもっとうまく歌おうと考えて舞台に立っていた者の
プライドですね。それは老いていくことへの無念と悲嘆でもあり
ます。この気高い女性が「Fuck You!」などとのたまう。
それでもなんやかやでカルテットをすることになりますが、当日
緊張のあまり「家に帰る」と言い始めたシシーを諭すのがなんと
ジーンなんです。お互いをいたわる心は若い頃にはなかったもの
ですよね。それが持てるようになったこの「今」、人生の最高の
時間なのではないでしょうか。
ラストに舞台の上で、しわしわの手をつなぎ合うジーンとレジー。
歌声が響く中、エンドロールが流れます。そこには出演者がかつて
有名な音楽家であったその当時の写真と現在とが映し出されて
いきます。
美しい音楽を聴きながら幸せな気分に浸れる映画でした。




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コメント
こんにちは
とっても優しい映画でしたね〜
そしてシシーがとても可愛い。認知症であっても彼女が彼女らしく生きていけるようにみんなに助けられていて、とても素敵と思いました
音楽家の集まる老人ホームだなんて、品があって素敵と思いますが、これが映画好きの集まる施設だったらどうでしょう。
アレコレ議論をかわして、ケンカして仲直りとかありそうです(笑)
  • maki
  • 2014/02/10 10:22 AM
makiさん、コメント&TBありがとうございます。
とても優しい気持ちになれました。
シシーの純粋さがジーンの心を開かせたのでしょうか。そしてレジーとも本当の仲直りができましたね。映画好きの施設でしたら、ホラー系、ロマンス系、SF系と分けないといけませんね。でもおっしゃる織り絶対に意見が分かれて喧嘩をして、そして仲直りが出来ればうまく行くかもしれませんね。意外と。
  • ミス・マープル
  • 2014/02/10 1:15 PM
ダスティンホフマンが監督が監督ですか?今やいろんな俳優が監督してもおかしくない時代ですからね。個性派なダスティンですから、内容もとても凝っていそうですね。音楽家たちの老人ホームですか。考えもつかないことですね。一般の方と違って音楽家たちの人たちは、プライドが高いと思いますが、色々ともめてもやはり、ラストはもちろんハッピーだと思います。
  • あちゃ丸
  • 2014/02/10 8:48 PM
あちゃ丸さん。ダスティン・ホフマンはお洒落で優しい映画を作ってくれました。全体的に品がありつつ脱線するけれど、やはり上品な映画です。こんなホームがあったら皆入りたいですよね。
ラストはもちろんハッピーです。この映画を見ると心が温かくなりますね。
  • ミス・マープル
  • 2014/02/10 9:19 PM
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ダスティン・ホフマン初監督作品。 引退した音楽家たちが余生を送っている老人ホームで起こるヒューマンドラマです。輝かしい過去の栄光を引きずるのではなく、「今」を生きる老人たちの姿が眩しい。 若い頃は、共演したり浮気したり競ったりした人たちが集まって
  • いやいやえん
  • 2014/02/10 10:20 AM

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