風立ちぬ

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風立ちぬ

「風立ちぬ」
監督:宮崎 駿
2013年 日本映画 126分
キャスト:庵野英明
     瀧本美織
     西島秀俊
     西村雅彦
     風間杜夫

飛行機の設計技師をめざす堀越二朗は、関東大震災
の時、同じ列車に乗っていた菜穂子という女性を助ける。
彼はその後就職し、飛行機を作るために日夜研究を重ね
るが、ある夏避暑地で菜穂子と再会するのだった。

<お勧め星>☆☆☆☆ エンドロールに流れる「ひこうき雲」
が懐かしい。そして監督の静かなメッセージを感じることが
できます。


大正末期から昭和初頭、世界は限りなく大戦へと近づいている
中、日本では関東大震災が起こるのです。その時同じ列車に
乗り合わせていたのが堀越二朗と里美菜穂子。二朗役の声優
には賛否両論ありますが、わたしはあれでよかった気がします。
二朗のひょうひょうとした雰囲気によく合っていました。
二朗は菜穂子とお手伝いのお絹を助けるのです。燃えさかる家々
や立ち上る煙、そして真っ赤に染まる空などが、これから始まる
不気味な世相を反映しているようでした。それとは逆に美しい
青空や真白な雲も映るシーンが見られ、青年の夢をそのまま映像に
しているかのように思えます。


風立ちぬ

二朗はサバの骨のような美しい曲線を描く飛行機を作りたい、という
夢を持ち、就職してからも日夜、その設計に明け暮れるのです。
そうそう映画内で「シベリア」というあんこをはさんだカステラ
のような食べ物が出てきますが、昔見たことがあるような。でも
そんな名前ではなかった気がする。地方によって名称が異なるの
かな。
時折、二朗が夢を見るシーンが入り込み、その中で、イタリア人
設計家カプローニと語り合います。これはこの映画に置いて結構
重要なシーンだと思うのですが、序盤はやや違和感を覚えました。
そしてある夏、二朗は菜穂子と再会します。彼女との恋物語は
幾度となく映るパラソルが風に飛ばされるシーンと重なり、美しい
けれどはかなく感じられるのです。


風立ちぬ

自分の夢を追いつつ、菜穂子との限られた時間を大切にする二朗。
彼女の元へ向かう列車の中でも設計をしながら、そのノートに
落ちる彼の涙の粒は、見る者を切なくさせます。
そして遂に彼は夢を実現させ、零式艦上戦闘機を完成させるのです。
「ぼくたちは戦う飛行機ではなく、美しい飛行機を作りたい」

二朗はそう願って設計し続けたのですが、結局は戦闘に使われ、
最後にはろくに操縦もできない兵士が、整備不良のまま飛行し、
目的地に到達することなく散って行ったのです。そこを語ると
際限がない。
ラストに二朗は夢の中でカプローニにこう語ります。
「1機も戻ってこなかった」と。
その虚しさは、監督の反戦への強いメッセージと重なりました。
「生きて」という菜穂子の言葉に表れています。


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コメント
ひこうき雲という曲は、この映画のために作られたものと思ってましたが、かなり前の曲だったんですね。歌詞が切ないですね。ここでも昨日の「サンザシの樹の下で」と同じような話で、病によって2人の幸せな未来も見ることがなくて、時代がそうさせている気がしました。確か、たばこのシーンでなんだか騒ぎがありましたよね。
スミマセン。「大きなたまねぎの下で」が正解でした。
  • あちゃ丸
  • 2014/05/25 9:47 PM
あちゃ丸さん。「ひこうき雲」は松任谷由実さんが荒井由実時代、ごく初期に発表された曲です。今聴いても詞も曲も斬新ですよね。
そうそう結核患者の前で、二朗がタバコを吸うシーンがあり、ひと悶着ありましたが、それは映画を見ていればなんの違和感もありません。この時代の喫煙率はかなり高ったらしいし、二朗も彼女を気遣って外で吸おうとしたのに、彼女が「ここにいて」と言ったからそこで吸うんですよ。これの何が問題なのかなあ。とてもズレているわ。
  • ミス・マープル
  • 2014/05/26 11:03 AM
こんばんは!
コメント&TBありがとうございました。
宮崎監督は子供にも見せるアニメを得意としていましたが、最後の作品なだけに彼が好きな飛行機のアニメを真面目に思う存分描きたかったんでしょうね。
主人公の姿を通して、彼の人生を一緒になって私も歩んでいるようなそんな思いを抱きながら観ていました。
とても良く出来た作品でしたね。
  • ヒロ之
  • 2014/08/09 10:43 PM
ヒロ之さん、コメント&TBありがとうございます。
この映画は大好きです。
監督が「永遠の0」に対して批判的なコメントをしたこともよくわかります。同じ視点で描いていないことを理解してほしかってのでしょう。
宮崎監督の最後の作品ということですが、本当によくできていました。そして映像も美しかったです。
「一機も帰って来なかった」二朗の言葉が胸に刺さります。
  • ミス・マープル
  • 2014/08/10 8:53 AM
ミス・マープルさん、こんにちは!

美しい飛行機を作りたいという思いと、飛行機を作るのであれば戦争に関与しなくてはいけないという状況。
技術者の中にある自己矛盾のようなものがあって、それに答えが明確に出ていないというところにその課題に対する難しさというものがうかがえました。
はらやんさん、コメント&TBありがとうございます。
二朗が「美しい飛行機」を作りたいと切望し、その夢をかなえていったのですが、それが時代によって、大きく目的が変わってしまったのですね。
今の時代に生きていたならば、研究者として好きな仕事をできたのでしょうにね。
静かで美しい映像だからこそ心に響くものがありました。
  • ミス・マープル
  • 2015/01/25 3:47 PM
関東大震災が起こる瞬間のあの禍々しい演出は秀逸でした!
何より「音」がすばらしい!
飛行機のエンジン音も♪

この映画が優れていたところは、
わかりやすい反戦のための反戦映画ではなく、
それを内に込めたひとりの芸術家の理想と現実、
恋とエゴイズム、そして生と死を描いた、
すばらしい人生ドラマだったという点ですね。

二郎が初めに想いを寄せていたのはお絹さんのほうだったという、
やらしい現実と矛盾もある意味リアルですごいです。
ここで「え!?」って思わすとこがミソですよね♪
スパイクロッドさん、コメント&TBありがとうございます。
「音」とあの映像は素晴らしかったですね。美大在学中の知り合いが、あれはすごい!と言っていました。どうすごいか説明されたけど理解できなかった(^-^;
二朗は本当はお絹さんに心を寄せていた。でもそうはいかないご時世だった。さらに戦争と戦闘機づくり。本人の意にそぐわないことばかりが続きましたね。
カプローニとのシーンは二朗の胸の内をうまく描いていました。
  • ミス・マープル
  • 2015/03/04 8:23 AM
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THE WIND RISES 2013年 日本 126分 ドラマ/ロマンス/青春 劇場公開(2013/07/20) 監督: 宮崎駿 『崖の上のポニョ』 プロデューサー: 鈴木敏夫 原作: 宮崎駿 脚本: 宮崎駿 音楽: 久石譲 主題歌: 荒井由実『ひこうき雲』 制作: スタジオジブリ 声の出
  • 銀幕大帝α
  • 2014/08/09 10:40 PM
「崖の上のポニョ」から5年ぶりの宮崎駿監督の新作です。 本作は宮崎監督としては珍
  • はらやんの映画徒然草
  • 2015/01/20 10:51 PM
2013年/日本/126分 監督:宮崎駿 声の出演:庵野秀明      瀧本美織 ■概要 ゼロ戦の設計者として有名な堀越二郎の半生をモデルに、堀辰雄の小説『風立ちぬ』からのエッセンスも盛り込んだ、スタジオジブリ製作による2013年の伝記アニメーション映画です
  • 偏愛映画自由帳
  • 2015/03/03 10:50 PM
 宮崎駿監督の育った家は、戦争中とても景気のいい家だった。  自動車の個人所有が一般的ではなく、しかも原油不足から民間では木炭自動車が使われていた当時にあって、彼の父はガソリンの自家用車に乗っていた。世間が食糧難で、食べる物が何もない中、宮崎家はおひ
  • 映画のブログ
  • 2015/03/28 8:40 AM

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