小さいおうち

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小さいおうち

「小さいおうち」
監督:山田洋次
原作:中島京子
2013年 日本映画 136分
キャスト:松たか子
     黒木 華
     片岡孝太郎
     吉岡秀隆
     妻夫木聡
     倍賞千恵子

昭和十年、東京へ女中奉公に出たタキは、平井家で
働き始める。その家は赤い瓦の洒落た家で、玩具メーカー
常務の夫を持つ美しい妻時子と一人息子が暮らしていた。
そして戦争が近づく中、年頭のあいさつに訪れた会社の
若い社員板倉に時子は心を惹かれていくのだった。

<お勧め星>☆☆☆☆☆ 映像も美しく、ストーリーに
強いメッセージを感じる素晴らしい映画でした。


この映画の山田洋次監督が、「永遠の0」と似ているという
指摘に対し、「全く違う」と憮然と語ったことが印象的です。
「風立ちぬ」の宮崎駿監督も同じでした。わたしも「永遠の0」
とは全く異なるスタンスで描かれていると思います。
物語は大叔母布宮タキの死後、部屋の片づけをする姪夫婦と
その息子健志の姿から始まります。健志役は妻夫木聡。いつ
泣くかなあ、と思ったらやはり最後に号泣しています。年老いた
タキ役は倍賞千恵子。健志は、生前タキと深い交流があり、
彼女に自叙伝を書くことを勧めるのです。この自叙伝の内容と
タキと健志との生前の姿が交互に映ります。


小さいおうち

昭和十年、山形から東京へ女中奉公にやってきたタキ役は
この映画でベルリン国際映画祭最優秀女優賞を獲得した黒木華。


小さいおうち

色白でプクリとした顔立ち、割烹着から見えるふくよかな腕や
指が古き日本人女性を象徴しています。彼女の表情が奥ゆかしく
とてもいいんですよ。奉公先は、赤い瓦のモダンな家で、そこには
玩具会社常務の旦那様と奥様、時子、坊ちゃん、恭一が暮らして
いるのです。奥様役の松たか子もその育ちの良さから、当時としては
ハイソな生活を送る女性の姿がよく似合います。仕事が忙しく
コンサートに行けなくなった夫に怒り、それを隠して平然を装う
時子の姿と旦那様のやり取りがとてもおもしろいです。間のとり方
がとてもうまいですよね。

タキはこの家の前に小中という小説家の家で女中奉公を始めており、
その時ご主人に「女中としての心得」を教わっていたのです。彼女
はあくまでもそれに忠実に生きるのですが、ある年の年頭にこの家
にやって来た旦那様の会社の若い社員、板倉正治の存在から、さざ波が
たち始めます。


小さいおうち

時子と板倉との小さな秘密。オリンピック開催に向け、いけいけ
どんどんだった日本が、戦争に向い始める大きなうねりにのまれる
ように、この家の中でも動揺が広がっていくのです。もちろん戦争
や恋愛模様は直接的にはほとんど描かれません。登場人物の発言や
身なり、ポスター、ラジオ、新聞などで日本の情勢が手に取るように
わかるのです。

中盤でタキの元に舞い込む見合い話の相手が、50過ぎで子供が3人
孫までいる上に、「産めよ、増やせよ」とまだ子供を欲しがる男性
なのにはびっくりしました。そうだ、当時は若者は戦争に行くかも
しれないし、働き手を増やすために子供をどんどん産ませようという
風潮だったんだ。この考え、つまり女性は子供を産む機械と思って
いる殿方は今でも存在しますね。それもたくさん。

話はそれましたが、この見合い話の後、タキは女中部屋でオイオイ
泣くのですよ。それを時子が見て断ってくれるのです。
そんな時子を心から慕うタキは、徴兵検査で丙種でありながら、
召集された板倉が故郷に帰る前日、あるウソをついてしまいます。

これをタキは一生引きずり、後悔しつづけるのです。
映画のラスト付近で、恭一が「不本意な選択」を強いられる嫌な時代
だった。と語ります。こんな選択をさせるような国にはなってほしく
ないですね。
全編に散りばめられた反戦のメッセージが心に響くとてもいい映画でした。



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コメント
この時代に、珍しくハイカラな生活を送っていた時子さん。お手伝いさんがいて、とても裕福な家だったんですね。と、なるとやはり秘密とは考えられるのは1つしかありませんね。ただ、今と違い純粋なイメージがありますが、夫がいる身ですから純粋とは言えませんね。そこをうまく取り繕うタキさんは時子さんを心から慕っていたのでしょうね。
  • あちゃ丸
  • 2014/08/11 2:58 PM
あちゃ丸さん。山田洋次監督は今までそれほど好きな映画監督ではなかったのですが、この映画を見て大好きになりました。
松たか子さんがとてもきれだし、黒木華さんが奥ゆかしい日本女性という感じでした。
赤い瓦のモダンな家の最期は東京大空襲で焼失です。
戦争などするものではありませんね。
  • ミス・マープル
  • 2014/08/12 3:08 PM
ミス・マープルさん、こんにちは!

戦争直前、戦中というと戦後世代としては暗いイメージしか持てないですが、タキが懐かしく愛おしそうに話していたのは印象的でしたよね。
時代は暗い方向にいこうとしていても、普通に暮らす人々がすべからく不幸であったわけではなく、その人たちには小さな幸せはある。
その幸せをタキさんは守りたかったんですよね。
はらやんさん、コメント&TBありがとうございます。
タキが健志に女中奉公時代のことをとても幸せだったように語るのは、本人が本当に幸せを感じていたからなのですね。戦争を知らず、あの時代はみんなが苦労してつらい時代だったと決めつけるのは、間違いであると気づかされました。彼女がなぜ「長く生き過ぎた」と泣いたのか、後になって理解できました。いい映画でした。
  • ミス・マープル
  • 2014/08/14 2:33 PM
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こちらの作品は観る予定ではなかったのですが、出演している黒木華さんがベルリン映画
  • はらやんの映画徒然草
  • 2014/08/14 9:09 AM

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