グッバイ、レーニン

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グッバイ、レーニン

「グッバイ、レーニン」
原題:Good Bye Lenin!
監督:ヴェルフガング・ベッカー
2003年 ドイツ映画 121分
キャスト:ダニエル・ブリュール
     カトリーン・ザース
     チュルパン・ハマートヴァ
     マリア・シモン

東ベルリンに暮らすアレックスは、父が西ドイツに
亡命した後、社会主義に傾倒した母と、離婚し子連れ
で居候する姉を持っている。しかし心臓発作で倒れた
母が8か月の昏睡状態から目覚めた時、ベルリンの壁は
崩壊していた。次のショックは命取りになると医師に
告げられたアレックスは以前と変わらない体制であるか
のように繕うのだったが...。

<お勧め星>☆☆☆☆☆ 最近見た映画ではダントツ1番。
コメディタッチでありながら様々なメッセージが伝わり
ます。


「オスタルギー」 聞きなれない言葉ですが、東西ドイツ
統一後に旧東側出身者の「昔だってそんなに悪くなかった」
という感情を表すそうです。映画内でも、東側だった老人が
幾度となくベルリンの壁の崩壊をボヤく言葉を発しています。
映画はややもすると重くなりがちな内容を、軽快に描き、
時にコミカルに時にしんみりといった緩急織り交ぜたストーリー
になっています。


グッバイ、レーニン

アレックス役は「ラッシュ/プライドと友情」(2013)で
ニキ・ラウダを演じたダニエル・ブリュール。まだ幼さの
残る若者の顔立ちです。彼の父ローベルトは、西ドイツへ
亡命し、残された母クリスティアーヌはその後急速に社会主義
に傾倒し、熱心な愛国主義者としての活動を開始します。それは
建国記念40周年には祝賀パーティーに呼ばれるほどの活躍ぶり
なのです。一方のアレックスは、子供の頃、ソユーズに乗って
宇宙に行ったイェーンにあこがれ、宇宙飛行士を目指すも、
10年後の今はしがないテレビの修理工。姉アリアネは子連れで
出戻ってきています。

そして建国40周年パレードの際、デモに参加したアレックスは
逮捕され、その姿を見た母は心臓発作で倒れてしまうのです。
そこから昏睡状態が8か月続き、その間にベルリンの壁は崩壊、
あっという間に東西の行き来が簡単にできるようになります。
この辺りは、実際の映像も含めてテンポよく描かれ、東側の
急速な変化が手に取るように伝わるのです。こんな変化に
ついていけたのは、きっとごくわずかな人々であり、価値観や
今まで信じていたものを一切否定することができなかった人も
いたはず。それでもアレックス達若者はあっという間に順応して
いくのです。社会主義の象徴だった「赤」がコカ・コーラの
「赤」に変わっていきます。

かつてデモで出会ったララが看護師として働いていていて、母の
担当だという偶然から、急速に接近していると、なんと母が奇跡的
に目を覚まします。しかし医師からは「次のショックは命取りに
なる」と宣告されてしまう。社会主義と再婚した母が現状を知った
らどうなることか。アレックスの奮闘が始まるのです。その行動は
極めてコミカルであり、骨董市で東ドイツ時代の物資を買ったり、
親友に偽のニュース映像を作らせたりします。


グッバイ、レーニン

ニュースでは西側の難民を東側が受け入れている、という内容に
なっているのですが、このアナウンサー役は親友であり、背広の
下はパンツ一丁という姿。
母が欲しがる東ドイツ時代のピクルスは既に存在せず、必死で
空き瓶を探し、中身を入れ替えるという涙ぐましい努力もします。
ここまで母に献身的なのは単なるマザコンか。いや、それは、
あまりに急速な西側思想の流入に戸惑い、格差を嘆いた東側の人々
の気持ちを代弁しているのではないでしょうか。

姉の娘ポーラにわざわざビニールのおむつをはかせる努力も空しく
ある時、奇跡的に歩けるようになった母が外で見たのは、壊れた
レーニン像がヘリコプターで運ばれていく姿です。


グッバイ、レーニン

それでもアレックスは偽のニュース映像を見せ続けます。そして
姉は西側出身のライナーという恋人の子供を妊娠してしまう。

「僕たち家族も統一した」
自虐的なアレックスの言葉が流れます。
そして家族全員で「統一ピクニック」に行った時、母の口から
聞かされた父ローベルトの真実。
母クリスティアーヌはいつの頃か真実に気づいていたのでは
ないでしょうか。それを息子に悟られまいと、気づかないふりを
して、偽のニュース映像を見続けていたのでは?
死の迫った母のために作られた最後のニュース映像は、真実とは
全く異なる内容でしたが、それこそ母のみならず、多くの人々が
理想と描いていたものだったと思います。


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コメント
ベルリンの壁が崩壊した時は、世紀の大事件と思うほど、衝撃でした。時代の流れは常に進化していますが、やはりそれについていけない人々だって当然いるわけですよね(私もそうですが)マザコンとかじゃなくて、親子愛を感じますね。部屋にいる時はごまかせても、外はもう統一した現状はごまかせません。それでも少しでも心に負担をかけないように奮闘するアレックスの姿が微笑ましく感じます。クリスティアーヌも、薄々は気がついていたと思いますが、息子の懸命な姿を見て、気がつかない演技をしていたのかもしれませんね。
  • あちゃ丸
  • 2014/10/01 2:22 PM
あちゃ丸さん。
ベルリンの壁が崩壊したのはまるで映画のシーンのようにニュースで流れていたのを思い出します。
同じく時代の流れが速すぎて、近年ついていけない気がしています。
ラストの偽りのニュース映像は、東側に西側の避難民をすべて受け入れ、まったく対等の境遇を与えるというようなものでした。おそらくは西側の住民は裕福であり、それの不満を持つ東側の人々の気持ちを代弁したのだと思っています。そもそも東西に分かれたのも戦争が原因ですからね。
  • ミス・マープル
  • 2014/10/02 8:05 AM
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