マイネーム・イズ・ハーン

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マイネームイズハーン

「マイネーム・イズ・ハーン」
原題:My Name is Khan
監督:カラン・ジョーハル
2010年 インド映画 162分
キャスト:シャー・ルク・カーン
     カージョル
     ジェヌファー・エコルス
     ジミー・シェルキッレ

インドに住むリズワンは、アスペルガー症候群を
患うイスラム教徒である。彼は母の死後、弟の住む
アメリカへ渡り、同じインド人でヒンドゥー教徒の
マンディラと結婚する。連れ子のサミールとも打ち解け
幸せな暮らしを手に入れた矢先、9.11テロが起こる
のだった。

<お勧め星>☆☆☆☆☆ インド映画に外れはありません。
この内容はアメリカでは作れなかったことでしょう。


主人公リズワンの母親の教えがとにかく素晴らしいです。
「世の中の人は2種類しかいない。いい人と悪い人」
彼女の献身的な教育で、アスペルガー症候群を患うリズワン
は「正しい」人間に成長したと言っても過言はないのです。
その病の存在すらわからなかったインドでも彼女は息子の
ために奔走します。それは弟ザキールの嫉妬を呼ぶほどだった
のですが、それでも母はリズワンに寄り添うのです。
病を前面に打ち出し、お涙ちょうだい映画に仕上げるのはよく
見かけるし、そこに偽善的な行動が存在しがちなのですが、この
映画は全く異なるのです。様々な要素をうまく詰め込み、
162分という時間、飽きることなく見続けられます。

ストーリーは、2007年11月、サンフランシスコの空港で
職員の厳しいチェックを受けるリズワンの姿から始まります。
その一方でリズワンの生い立ちも映していきます。
空港の手荷物検査で呼び止められたとき、
「My name is Khan. I'm not a terrorist.」
という言葉を大統領に伝えに行く、とリズワンがなぜ言ったのか。
それがわかるのが映画の中盤です。そこまでは、アメリカ大統領
の行き先々を調べ、後を追う彼の姿と、母の死後、弟の住むアメリカ
に移住したリズワンが弟の下で営業マンとして働き始める姿が
交互に映ります。リズワンは、その病のせいで、甲高い音や黄色、
初めて会う人など苦手なものがたくさんあります。ケーブルカーを
止めてしまいパニックになったリズワンを救った美容師マンディラ
に「Marry me.」と唐突に言うリズワン。その姿は異様にも感じられ
ますが、彼はどの人が善人かすぐに見極められるのです。

同じインド人でありながら、イスラム教徒のリズワンとヒンドゥー教徒
のマンディラの結婚は弟との絶縁を意味しました。しかし彼は連れ子
のサミールと3人で幸せに暮らし始めるのです。


マイネームイズハーン

かつてインド国内でも2つの宗派で争いが起きており、普通なら
お互いに敬遠する相手かもしれません。しかし純粋に信仰心の厚い
リズワンにとって、宗教と愛は同じくらい重要なものだったのですね。
そこには何の壁もないのです。
しかし9.11テロが起こるのです。その事件はアメリカ政府の対応
もあって、イスラム教徒=テロリストという極めて短絡的な考えを
国民に植え付けてしまうのです。初めて本土を襲われた恐怖はそれを
憎悪に姿を変え、イスラム教徒への差別、迫害へとつながっていきます。
それでもサミールには親友でいてくれるリースという白人の少年がいた
のですが、彼の父でリズワン一家と親交の厚いマークがアフガニスタン
での取材中に亡くなってしまいます。愛する父を失ったリースの悲しみは
サミールへの怒りで紛らわすことしかなくなるわけです。何の罪もない
サミールはその怒りが理解できません。ここは本当に胸が痛い。こんな
形で、何の関係もない人々が差別され、暴力を受けたのだろうと察しが
つきます。

そしてサミールはサッカーの練習の後死亡するのです。激しい悲しみに
襲われたマンディラは、ある言葉をリズワンに投げつけます。それが
「息子はイスラム教徒だから殺された。ハーンという名前のせいで
死んだ。あなたがテロリストじゃないと大統領に言ってよ!」
ここから大統領に直接面会するためのリズワンの長い旅が始まるのです。


マイネームイズハーン

長距離バスの客の前でもイスラム式のお祈りを欠かさないリズワン。
その姿を蔑むような目つきをして客たちが通り過ぎます。この時期
イスラム教徒はその信仰さえ隠して行動するものが多かったでしょうし、
今もそうかもしれません。さらにテロリストの疑いをかけられたリズワン
へのアメリカ人の過剰な反応と拷問は、まさにこの国への痛烈な皮肉と
なって描かれていきます。ひょんなことから彼のことがマスコミに取り
上げられると手のひらを返したように彼を支援する人々、彼と知りあい
であったことを自慢する人々。しかしリズワンにとってはそんなことは
全く関係ないことで、彼はマンディラとの約束を果たすことが優先なのです。
さらに旅の途中で親切にしてもらったジョージア州のママジェニーへの
恩返しも忘れません。
アメリカは自由の国であり、様々な人種や宗教の
混在しています。そのことを忘れ、偏った考えに陥ることは、「自由」
自体を限りなく制限していくことにつながることを忘れてはいけないの
です。ラストはある意味ハッピーなものですが、そこに至るまでの
リズワンの苦労が全て集約されており、本当に、見る価値のある映画でした。




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コメント
さすがインド映画だけあって、時間が長いですね。
でも飽きずに見られて、しかも内容も満点に近いと、眠気なんか起こしませんね。この病気の設定は「レインマン」と同じですか?宗教の違いと健常者との違いが重なっても、リズマンのママが、良い人として愛情を沢山注がれて育ってきた事が、彼の人生に大きく関わってきて、周りの人々も賛同する様に変わってきて、素晴らしいですね。
  • あちゃ丸
  • 2014/12/08 2:34 PM
あちゃ丸さん。
この映画は長いので少し見るのをためらっていましたが、見ていたら全然長く感じませんでした。
短い駄作を見るとすぐに眠くなるけれど、これは長くても平気です。
インド人のパワーを見せつける映画でしたね。それも偽善や勧善懲悪という短絡的なものではありません。
主演の俳優さんは有名な方らしく、とても演技が上手でしたよ。
  • ミス・マープル
  • 2014/12/08 4:44 PM
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