縞模様のパジャマの少年

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縞模様のパジャマの少年

「縞模様のパジャマの少年」
原題:The Boy in the Striped Pyjamas
監督:マーク・ハーマン
2009年 アメリカ=イギリス映画 94分 PG12
キャスト:デヴィッド・シューリス
     ヴェラ・ファーミガ
     リチャード・ジョンソン
     シーラ・ハンコック
     ルパード・フレント

第二次世界大戦下のドイツ。ナチス将校の息子
ブルーノは、父の昇進に伴って、家族と一緒に
田舎へ引っ越してくる。友人もいないブルーノは
遠くに見える農場へ探検に出かけ、そこで縞模様
のパジャマの少年と出会う。有刺鉄線の向こうに
いる少年には友達がたくさんいるようで、ブルーノは
うらやましくて仕方ないのだった。

<お勧め星>☆☆☆☆ クライマックスを迎えると
同時にあまりに残酷なラストに絶句します。


第二次世界大戦下のドイツ、ベルリンでナチス将校を
父に持つブルーノは、探検好きで、国を守っている父
が誇りなのです。


縞模様のパジャマの少年

冒頭に戦闘機の真似をして友人と走り回る彼の姿が映り、
無邪気な子供の姿がほほえましく感じられます。ところが
ブルーノの父ラルフが昇進し、田舎へ赴任するということで
盛大なパーティーが開かれるのです。はしゃぎまくる将校や
ラルフの父の様子とは裏腹に、母ナタリーだけは、今の息子
の姿を嘆きます。私がこんな風に育ててしまったのだと。
映画の中盤で、ラルフの部下の中尉の父親が、元大学教授で
あり、とっくにスイスへ脱出しているという話をすると、その
中尉は次には、前線に送られています。この中尉は国を捨てた
父の責任を追って前線に送られたのだとすぐにわかるのです。
このようにナチス政権をドイツ人全員が支持していたわけでなく、
知識や常識のある人、単なる熱狂に酔いしれることのなかった
人たちは、冷静に物事を考えていたのでしょう。ただそれを
言葉に表せた人は少ないし、表せたとして当局に拘束されて
しまったにちがいない。言論の統制は恐ろしい。

ラルフの妻エルサは、やや違和感を感じながらも、国のために
尽力する夫を誇りの思い、彼の赴任を喜んでいたのです。しかし
それは田舎についた途端に見えた煙突から立ち上る煙を見て
少しずつ変化していきます。


縞模様のパジャマの少年

彼女の思いはさておき、ストーリーはブルーノの視点で進みます。
到着した日に部屋の窓から見えた遠くの農場は何?そこの人は
なぜみんなパジャマを着ているの?さらに庭仕事や野菜の皮むき
をする人々も下にパジャマを着ているのはなぜ?彼の幼い脳裏には
次々に疑問が沸き起こるのです。家で働くパジャマ姿の男を奴隷の
ように扱う将校。庭のブランコから落ちてけがをした時、芋の皮
をむいていたパジャマの男が的確な治療をしてくれます。
「もとは医者だったんだ」

ブルーノは父たちの教えから、ヤブ医者だったから今は芋の皮を
むいているんだ、と納得するのです。幼さはあまりにも残酷な考え
に結びつきます。
そして愛国心ばかり教える家庭教師に飽き飽きしたブルーノは、
内緒で探検に出かけ、農場にたどり着くのです。そこで出会った
シュムールは8歳で、彼と同じ年。でもなぜかいつもお腹を空かせて
いるし、そこにいる人はみんな同じパジャマ姿だけど、たくさん
仲間がいて、胸につけた番号でなにかの遊びをしているらしい。
好奇心旺盛なブルーノは彼がうらやましくてたまらなくなるのです。
この子供に父が本当のことを伝えたとしても理解できるはずもない。
ブルーノは、ただ遊びたいだけでそこへ向かい、シュムールが期待
していたチョコレートなんて忘れてしまいます。それでも2人は
有刺鉄線越しに様々な話や遊びをするのです。

ところがたまたまブルーノの家の手伝いにやってきたシュムールに
お菓子をあげたのを将校にとがめられ、
「彼が勝手に食べたんだ。こんな子知らない」
とブルーノは答えてしまうのです。この後のシュムールは、彼の
腫れあがった顔を見れば一目瞭然なのに、ブルーノは気づきません。
それより嘘をついたことの罪滅ぼしをしたくてたまらなくなるのです。
この少年は本当に素直な心を持っていたのです。彼の青い瞳が、一面
に広がる青い空と重なって純真さをひたすら描きます。その空に
もくもく立ち上る煙。なぜ変な臭いがするんだろう。

そしてブルーノは姉と母の3人で引越しをすることになるのです。その
前にどうしてもシュムールに会って、前の償いをしないと、と考えた
ブルーノは、シュムールのために一肌脱ごうと考えます。
彼は直前にその農場の様子を収めた8mm映画を見ており、そこは
まるで「パラダイス」のようだと信じてしまったのです。そして彼は
ある行動に出ます。それがなぜあの時だったのか。そしてその時に
彼の父は皮肉にもさらなる焼却場の増設計画の会議をしていたのです。
幼い瞳を通して見た大人の世界がいかに不条理に映ったか、彼はそれ
を知ることはなかったのです。

民族で優劣をつけること、宗教の違い、領土などはいつの時代も戦争の
きっかけになり得ることを肝に銘じておきたいですね。戦争はは絶対に
してはいけない。


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コメント
ブルーノとシュムールはただ、遊び相手が欲しかっただけなのでしょうね。でも、時代はお互いの立場を敵対者とみなしている訳ですから、仲良くなどなれませんね。ブルーノの親も、自分達のしている事を、子供に教えるなんてありえないですから、ブルーノはただ素直にシュムールを助けたい為に、行動に出てしまったのでしょうね。大人の事情で子供が犠牲になるのは辛いですね。
  • あちゃ丸
  • 2014/12/18 2:20 PM
あちゃ丸さん。
まさか、ユダヤ人を収容してガス室に送り、その遺体を焼いている煙があれだ、などとは言えませんよね。
ただこの後戦争が終わった時も、ナチスの戦犯は逃げ続け、「もっと殺しておけばよかった」と言っていたのは恐ろしいことですよね。
  • ミス・マープル
  • 2014/12/18 4:04 PM
この映画は、英映画誌で気が滅入る映画BEST20に入っていましたね。もう、観終わった後のなんとも言えない気分が辛いですね。

前半、子供二人の友情を描き、無垢が故の行動が非常に興味深かったですね。大人の事情で差別された二人ですが、子供にはその壁は全く無いんですよね。

戦争って嫌ですね。と違った視点で訴えかけられる作品でした。

とらさん、コメント&TBありがとうございます。
見終わった時の突然訪れた絶望感が後を引きました。
「気が滅入る映画BEST20」に入っているんですね。確かにその通りです。
周りの景色が美しいのにもくもく立ち上る煙の意味があまりに残酷で、その対比だけでも深く心に響きました。
戦争はなんてひどいことなんだろう、と改めて実感させます。
  • ミス・マープル
  • 2014/12/23 2:33 PM
これは本当に衝撃のラストでした。見る前に衝撃のラストだとういうことだけ掴んでいたのですが、まさかああなるとは。。。
戦争の一番の被害者は子供たち。こういう映画を見ると、やはり、なんと言われようと、平和三原則を守り通さなきゃと思わされます。
  • ihuru
  • 2015/01/28 11:03 PM
ihuruさん、コメントありがとうございます。
唐突に訪れるラスト。悲惨なシーンは敢えて映さず、見る側に想像させていますね。
戦争を決めるのは、もっとも戦地となるべき場所から遠くにいる人だ、という思いが強くなるばかりです。何と言われようと平和三原則は守らなければなりませんね。
  • ミス・マープル
  • 2015/01/29 8:33 AM
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『縞模様のパジャマの少年』  THE BOY IN THE STRIPED PYAJAMAS 【製作年度】2008年 【製作国】イギリス 【監督】マーク・ハーマン 【出演】エイサ・バターフィールド/ジャック・スキャンロン/アンバー・ビーティー/デヴィッド・シューリス/ベラ・ファーミ
  • こわいものみたさ
  • 2014/12/22 11:21 PM

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