やさしい本泥棒

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JUGEMテーマ:洋画

やさしい本泥棒

「やさしい本泥棒」
原題:The Book Thief
監督:ブライアン・パーシバル
2013年 アメリカ=ドイツ映画 130分
キャスト:ジェフリー・ラッシュ
     エミリー・ワトソン
     ソフィー・ネリッセ

1938年2月、共産党員の両親を持つリーゼルは、ハンス、
ローザ夫妻の養子に出される。読み書きのできない彼女に
ハンスは文字を教え、隣の少年ルディとも親しくなるが、
ナチス統治下のドイツでは読書まで禁止されてしまう...。

<お勧め星>☆☆☆☆☆ おそらく今年見た大好きな映画
の1つになるはず。やさしさの中に強い反戦のメッセージ
を感じます。


雪の降りしきる中、走り続ける汽車が映し出され、いつも
人間のそばにいる「あの人」は語り部として話し始めます。
ヒロインのリーゼは、両親が共産党員であったことから、
赤狩りに遭い、弟と共に養子に出されるのです。しかし弟は
道中に病死し、リーゼは、彼を葬った墓掘り人が落とした本を
そっと持ち帰るのです。彼女がこの後幾度となく口にする
「借りた」だけなのです。
田舎町のハンス、ローザ夫妻の養子になるのですが、ローザ
はいつも不機嫌で、「給付金欲しさに里親になった」と公言
します。エミリー・ワトソンが珍しく意地悪な役を演じて
いますが、実は優しい心の持ち主であると次第にわかってくる
姿を実に上手く描いていきます。


やさしい本泥棒

また最初からリーゼルに優しいハンス役はジェフリー・ラッシュ。
ぐうたらのアコーディオン弾きかと思っていると、実はナチス
入党を断り続け、強い意志を持ってこの貧しい暮らしに耐えている
のだと知ります。実に気骨のある人物であり、「人の価値は約束
を守れるかで決まる」とリーゼルに教えるのです。このように
人間には良い面、悪い面があり、その両方を見せつつストーリー
は進んでいきます。
隣家のルディは、最初からリーゼルに思いを寄せ、いつかは彼女
にキスしたいと思っています。彼は足が速く、ジェシー・オーエンス
というベルリンオリンピックで金メダルを獲得したアメリカ人の
黒人陸上選手にあこがれ、体を黒く塗ってフィールドを走り、親に
叱られるのです。ルディは叱られた意味が全く理解できません。


やさしい本泥棒

さらにハンスの家に、マックスというユダヤ人青年が転がりこんで
きます。ハンスが彼をかくまう理由は、彼がいつも奏でるアコーディオン
にも絡んでくるのです。1つ1つの小道具に色々な意味を持たせ、どれを
とっても無駄がありません。
食いぶちが増えたのに収入は減っていると愚痴るローザも含めて
4人で地下室ではしゃいだ雪合戦は、ものすごく寒いはずなのに、
とても温かな映像に見えてくるから不思議です。


やさしい本泥棒

読書さえ禁じられたナチス統治下で、町長夫人の計らいで本が読める
場所ができたリーゼル。しかしそれも町長に見つかり禁じられます。
すると、彼女は町長の家に「本を借りる」ために侵入するのです。
悲劇的な現実を映しつつ、その中に一筋の希望の光を残していく。
そんな映画はラストに悲しさと共に静かな怒りを覚えさせるのです。
「言葉は命」とマックスはリーゼルに教えた。
「言葉があふれたから行動になった」とハンスはリーゼルに教えた。
しかしその行動は決して他人や他民族を貶めるものではない、と
実感するのです。


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コメント
リーゼルは厳しい時代の中、読み書きができなくても大切に本を持っていたのは、やがていつか自分で理解できる日が来ることを信じていたからなのでしょうか?ハンスに読んでもらっても意味を理解しないと、本が語っている本筋が見えてきませんからね。ハンスやマックスがリーゼルに言った言葉は、それぞれの立場から教えたことなのでしょうね。
  • あちゃ丸
  • 2015/01/19 11:56 AM
あちゃ丸さん。
リーゼルがなぜ読み書きができなかったのかは、両親が共産党員だったため、学校に通えないような迫害を受けていたかと思われます。
そういう子どもが初めて手にした本が「墓掘り人の手引書」。でも彼女がどんどん文字を吸収していくのですよ。それが防空壕での語り部となって、人々の心を落ち着けます。本当にいい作品です。
  • ミス・マープル
  • 2015/01/19 4:52 PM
『愛を読むひと』でもそうだったように、学びたくても学べない人がたくさんいたんでしょうね。
文字が本となり、本は後世にまで残って人に愛や優しさを教える。
戦争の時代を舞台にしているのに、温かさを感じる映画でしたが、同時に語り継がなければいけないことがたくさんあるとも感じさせてくれる作品でした。
  • pu-ko
  • 2015/01/21 7:38 AM
pu-koさん、コメント&TBありがとうございます。
「愛を読む人」もそうでしたね。
学びたくても学べずそれでも学ぼうとする。
本の持つ重要さも心に残りました。悲惨な戦争の記憶と同時に、人間の持つ温かな心をうまく描いていたと思います。大好きな映画です。
  • ミス・マープル
  • 2015/01/21 8:23 AM
こんばんは
ルディ役の少年が可愛くって。
彼らが焼夷弾にのみこまれたときが、
眠っていてくれていて、良かったです
苦しむ姿は見ていられないから…。
  • maki
  • 2015/12/25 8:25 PM
makiさん、コメント&TBありがとうございます。
今これを読み返しても涙がこぼれそうになります。ルディ役の少年はとても可愛いかったですね。リーゼルが彼の土にまみれた手を見つけた時の表情が忘れられません。
大好きな映画です。
  • ミス・マープル
  • 2015/12/26 5:08 PM
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作家シリーズの最後に、おまけとして本に関係する作品を一本。マークース・ズーサックのベストセラー『本泥棒』をブライアン・パーシヴァル監督した戦争ドラマです。やさしい本泥 ...
  • シネマ・クレシェンド
  • 2015/01/21 7:40 AM
【概略】 第2次世界大戦下のドイツ、戦争により家族を亡くした少女・リーゼルが、1冊の本をきっかけに心を開き、人々に希望を与える人間ドラマ。 ドラマ 「人の価値は約束を守れるかどうかだ」 焚書や、ユダヤ人の強制連行など、様々な弾圧の下で苦しむ人々を
  • いやいやえん
  • 2015/12/25 8:25 PM

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