アメリカン・スナイパー

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JUGEMテーマ:洋画

アメリカンスナイパー

「アメリカン・スナイパー」
原題:American Sniper
監督:クリント・イーストウッド
2014年 アメリカ映画 132分 R15+
キャスト:ブラッドリー・クーパー
     シエナ・ミラー
     ルーク・グライムス
     ジェイクス・マクドーマン
     ケビン・ラーチ

テキサス州のカウボーイだったクリスは、ベイルート
のアメリカ大使館爆破事件を知り、志願して入隊、
そしてネイビー・シールズの隊員となる。彼の狙撃
能力はイラク戦争で見事に発揮され、「レジェンド」
と呼ばれるほどになるのだが...。

<お勧め星>☆☆☆☆ 様々な意見がある映画ですが、
この時期に是非見てほしい内容です。


映画の始まりが、本当に究極の選択なのです。9.11事件
の後始まったイラク戦争で戦地に派遣されたクリスは
建物の上からある母子を狙っています。母は確かに爆弾
を息子に渡している。その子は7,8歳でしょうか。そして
子供が米軍の戦車に近づいていく。それを目視できるのは
クリスしかいません。
「お前の判断に任せる」


アメリカンスナイパー

この結末は、その後描かれるクリスの生い立ちの映像を経て
再び映るシーンでわかります。戦場において守らなければ
ならないのは「国家」であり、「仲間」であり、ひいては
本国に残してきた「家族」なのです。
テキサス州に生まれたクリス・カイルは、幼い頃から父親に
猟銃の手ほどきを受け、羊を守る番犬であれ、と教えられて
きました。その教え通りクリスは、腕力や精神力が強く、弟
ジェフはそんな兄に守られながらずっと憧れを抱いていたのです。
そしてベイルートでアメリカ大使館爆破事件が起こります。その
ニュース映像を見て、クリスは愛国心に燃え、アメリカ軍に入隊

するのです。クリス役のブラッドリー・クーパーが、かなり
体を鍛え、まるでボディビルダーのような体格になっているのは
驚きです。


アメリカンスナイパー

「世界にひとつのプレイブック」(2012)での心を病んだ少し
神経質な青年とは大違い。
クリスは、軍のスカウトマンに勧められネイビー・シールズ
への入隊を目指します。ああ、この訓練シーンはいろいろな映画
で見たなあ。タヤという酒場で出会った女性と意気投合し、結婚
までした途端、9.11事件が起こるのです。タヤ役のシエナ・ミラー
があまりきれいじゃないのよね。一番嫌いなのは出べそだったこと。
映画に全然関係ないけど、おへそって大事よ。


アメリカン・スナイパー

そして遂にイラク戦争が起き、いや起こし、クリスは派兵
されるのです。そこから冒頭のシーンに変わります。つまり
彼が初めてスナイパーとして仕事をしようとしたのが、あの
母子に対してだったのです。
その後クリスは見事な狙撃で次々と敵を倒していきます。

戦争のシーンは敢えてなのかゲームのように描かれ、そこに
人間の心はないことを物語っていきます。一方敵側にも凄腕
のスナイパーがおり、米軍のメンバーも次々に倒されていく
のです。

仲間からは「レジェンド」と呼ばれ、イラクの4回も出撃した
クリスですが、彼の強靭だと思えた心は少しずつ崩壊していき
ます。tour one,tour two...と出撃し、激しい戦いを経て家に
戻るたびに彼の様子が変わっていくのを妻タヤが感じると
同様に、見ている側も悟ることができます。ドリルの音、車の
エンジンの音に驚き、しばしば虚ろな表情を浮かべる。そして
異常に高い血圧など。それでも彼は「もっと仲間を救いたかった」
と言うのです。この映画を見て当初マイケル・ムーアが
「スナイパーは背後から敵を撃つ臆病者でヒーローではない」
など発言していましたが、もっとよく映画を見てから発言した
方がいいと思います。後に訂正をするくらいなら、ペラペラ
簡単に情報を発信するものではありません。

彼は4度目の派兵を経て帰国したとき、すぐに家に戻らないの
です。この理由はなぜか。
また友人たちとのバーベキュー会で、飼い犬が息子にじゃれついて
いた時、彼はその犬を殺そうとしてしまいます。自分は番犬の
役目を果たしてきたのに、今や何が狼で何が羊か判断することが
難しくなってきたことを知るのです。
そして除隊した彼は退役軍人との交流を続けますが、その終わりは
突然訪れます。

何が正しいか判断するのは誰か、そしてその責任はどこにあるのか、
深く考えさせられるラストでした。敵からは「悪魔」と呼ばれ、
懸賞金さえかけられたクリスは、本国では数々の勲章を獲得して
います。エンドロールは無音であり、様々な思いが頭の中を
よぎりました。
終盤の砂嵐のシーンは、まるで砂が自分の目に入って来るような
印象を受けるほどリアルなものでした。



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コメント
イーストウッド監督は凄いですね。これまでの戦争映画とはまたちょっと違った内容かと思います。原作に忠実に作るのがモットーだったと言う監督。そしてクーパーもカイルに近づく為に20kg近く増量したんですね。カイルが敵を覗く時の心境は、極限状態だったと思います。彼の手に命がかかっているのですからね。無事に帰国してもその記憶が消えない限り、妻や子供に笑顔で振る舞うなんて、辛いでしょう。PTSDになって彼自身も戦争の犠牲者ではないでしょうか。4度も戦地に向かったのは家庭より戦争に関わっていた方が、仲間を救って安らぎを感じたかったからなのでしょうか?とても難しいですね。
  • あちゃ丸
  • 2015/02/26 10:43 AM
あちゃ丸さん。
20kgも増量したんですね。顔も丸くなって筋肉がもりもりでした。
クリスがなぜ4度も戦場へ行ったのかは今となってはわかりませんが、そのたびに失った仲間のためや愛国心だったと思います。
共和党支持者のイーストウッドが政治的な立場を全く中立にして、自らの考えを述べた映画と思っています。
娯楽映画と切り捨てるのはちょっと違和感がありますね。
それにしてもいろいろなジャンルの映画を老いても撮れるってすごいですねえ。
  • ミス・マープル
  • 2015/02/26 5:08 PM
コメント&TBありがとうございました!

除隊して帰国してからのカイルの姿が、
痛々しくて見てられなかったですね。
飼い犬を殴り殺そうとしたシーンが最も象徴的でした。
番犬が番犬を殺そうとする。
もはや守るべきものまで見失ってしまった。
いや、もしかしたら彼が戦地で倒してきた相手は、
初めから狼などではなかったのかも……。

いや〜すごい映画ですね!
深すぎて、考え出したらキリがありません。
スパイクロッドさん、コメント&TBありがとうございます。
イラクに行くたびに人を数多く殺し、それを「狼」と思ってきたのに、もはやどれが「狼」なのかわからなくなっている自分に気づいた時が怖かったですね。
またイラクにいるシリア人のスナイパーも愛する家族がいて、同じ様に「狼」を刈っているのだと考えると不毛の連鎖のような気がします。
本当にいろいろ考えさせられる映画でした。
  • ミス・マープル
  • 2015/02/27 10:56 AM
こんばんは。
とても見応えある作品でした。
仲間からはレジェンドと呼ばれますが、本人自身は少しずつ心が壊れていく様子が痛々しかったです。
無音のエンドロールは映画を通していろいろ考えさせられる時間でもありました。
yukarinさん、コメント&TBありがとうございます。
中だるみが一切ない映画でしたね。
「レジェンド」とはやし立てられても、クリスは少しも嬉しそうでなかったし、彼が救った兵士を見舞ったときにお礼を言われて戸惑っている姿も印象的でした。
やはり無音のエンドロールが素晴らしかったです。
  • ミス・マープル
  • 2015/03/02 1:22 PM
コメントありがとうございます!
最初は何でエンドロールが無音なんだろうと首をかしげましたが、皆様のレビューを見て、なるほど!と思いました。

砂嵐のシーンはリアルでしたよね。
実際の戦場でもああいう光景が普通にあると思うと、誰が敵で誰が味方なのか、見分けがつきにくくなるので、ぞっとしますね。

色んなブログを見られているようなので、またお邪魔します!!
ミスターシネマさん、コメント&TBありがとうございます。
それまでの激しい映像が急に終わってエンドロールになった時、無音。ちょっと疲れを感じながら映画についていろいろ考える時間になりました。
砂嵐のシーンでクリスは銃などを置いてきますよね。きっとあれは自分が二度と戻らないことを意味したのでしょうね。
こちらこそこれからもよろしくお願いします!
  • ミス・マープル
  • 2015/03/04 8:33 AM
ミス・マープルさん、こんにちは!

ほんとうに守らなければならないものは何なのか、国家なのか、家族なのか、それともひとりひとりの命なのか。
それは自分の価値観というか生き方そのものになってくるのですよね。
究極の選択を迫られたとき、自分はどうするのか、自分でもわからないです。
はらやんさん、コメント&TBありがとうございます。
うーん、おっしゃる通り重い内容です。
彼は国のために、国を愛するからイラクに向かった。でもそれが「正義」かどうかは誰が判断するのでしょう。
そもそもその戦争自体に大義がなかったら?と思うと兵士の心が壊れていくのもわかると理解できると思います。難しいですね。
  • ミス・マープル
  • 2015/03/14 8:09 PM
この作品、不思議と観る人の思想傾向を反映した正反対の感想が出てたりするんですよねぇ。「反戦だ!」「戦意高揚だ!」と。
もっと根源的な殺人の重さってのをえぐってる気が私にはしたんですけどねぇ。。。^^;
たおさん、コメント&TBありがとうございます。
単なる戦争映画ではなく、人が人を殺すことの罪悪感について書いている人は少ないですね。おっしゃる遠い「戦争」に対する見る側の考えを呼び起こすんですが、それ以上深く考えていないかもしれません。
「プライベート・ライアン」のような凄惨なシーンがそれほど映らず、まるでゲームのように敵を倒していくのも逆に言うと、敢えてそう描いた気がしてきました。
  • ミス・マープル
  • 2015/09/17 8:04 AM
こんばんは。
本当に、責任をとるべき人と、それを主張してもいい人との間に乖離がある気がしてなりません。
結果的にクリスが迎えた人生の結末は、自分で自分の責任をとった形のような気がしました。
ここなつさん、コメント&TBありがとうございます。
本当に責任を取るべき人は、危険から最も遠くにいる、と「ジェノサイド」に書いてありました。これはずっと昔から繰り返されてきたことですね。
クリスが迎えた最期も結局は彼が心のどこかで望んでいたものかもしれませんね。
  • ミス・マープル
  • 2016/01/18 9:58 AM
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