オオカミは嘘をつく

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オオカミは嘘をつく

「オオカミは嘘をつく」
原題:Big Bad Wolves
監督:アハロン・ケシャレス
   ナボット・パプシャド
2013年 イスラエル映画 110分 R18+
キャスト:リオル・アシュケナージ
     ツァヒ・グラッド
     ロテム・ケイナン
     ドブ・グリックマン

イスラエルの森の中で、1人の少女が行方不明になる。
刑事ミッキは、執拗な暴力で1人の容疑者に自白させ
ようとするが、上司に止められる。惨殺体で見つかった
少女の父親は、その容疑者に復讐を企てるのだった。

<お勧め星>☆☆☆半 ストーリーはうまくできていて
見ごたえがありますが、バイオレンス描写がリアルです。


イスラエルという国に蔓延する暴力とそれに対する自覚の
欠如を、これでもかと見せつけます。しかし実は、紛争の
絶えないアラブ諸国とイスラエル社会を寓話的に扱って
いるのだそうです。そういえば映画の中でも、突然馬に
乗ったアラブ人の男が現れ、それに対し、イスラエル人の
誰もが驚いていたな。アラブ人が住んでいる地域だから、
家が安い、とかアラブ人がいるから怖いとか。ところが
実はお互いを全然知らないことも描かれていて、知らない
からこそ恐怖が生まれるのだとわかります。

ストーリーはかくれんぼをする3人の少年少女の姿から
始まります。そして廃屋の箪笥に隠れた1人の少女は姿を
消し、履いていた赤い靴の片方だけ残っている。
次のシーンは既に容疑者を暴行する刑事の姿に変わっている
のです。この容疑者もあやふやな目撃証言に基づくもので、
「監視しているだけ」
と言いつつ、ボコボコに殴っていきます。その容疑者は
教師をしているドロール。そして暴力刑事はミッキ。一応
上司に伺いを立てる刑事はラミですが、上司である署長の
指示も
「最近うるさいからやめろ」

的な発言です。それだけこの国では暴力への意識が低いと
感じられます。そんな暴行シーンを隠れて撮影し、you tube
にアップする少年がいるのは、どこの国でも見られる姿かな。
金を握らせて他言無用とドロールを返した後、少女の所在を
知らせる電話が警察に入るのです。
少女のいる場所に続くカラフルなジェリービーンズと、後ろから
イスに縛られている少女の足が映ります。ハエの羽音から遺体
であることがわかるのです。この時少女がどんな姿だったかは
後半、被害者の父の口から語られ、映像にできないおぞましい
ものだと知ります。これは驚いた。このようにカメラワークや
その構成はかなり凝っていて、時々P.O.V.映像に切り替わるのも
効果的です。

さて、動画が公開されてしまったため、ミッキは交通課へ移動、
ドロールは学校をクビになります。結構シリアスなシーンなのに
ちょいちょいコミカルな映像も入れるので、飽きることはあり
ません。
そして一応停職扱いになったミッキは、「停職中だから何をして
もいい」ということで、独自にドロールを監視していると、もう
1人監視する男が存在するのです。この男ギディこそ怖いんですよ。


オオカミは嘘をつく

とても40代に見えないギディは被害者の父親であり、ドロール
を監禁して、娘の体になかった部分(ここは内緒)の在りかを
問い詰める計画を立てています。娘と同じことをドロールに
すると言う。ギディが拷問をするたびに、ドロールが上げる悲鳴と
ギディの高揚していく姿は、もう怖いに尽きます。暴力って人間
の気持ちを壊し、それが快感に変わっていく恐ろしい物だと
実感するのです。携帯の着メロやキッチンタイマー、玄関ベルの
音などが、拷問の間に入り込み、これがまた次の恐怖を強める
効果をあげています。
さらにもう一人加わると、イスラエル軍仕込みの拷問が始まり
ここはさすがR18指定だと納得。


オオカミは嘘をつく

ラストはまさかそこまでするか、と思う行為までやってのける。
ところがオチを知るととても残念なことに気づくのです。
あのシーンさえなかったら、あのシーンをラストの後に持って
来たら、見る側をすっかりだませたのにな、と思ってしまう。
でもイスラエル映画の醍醐味を感じました。






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コメント
この映画は見たいなと思ってました。マープルさんがお勧めするのだから、きっと面白いのでしょうね。内容を見て思ったのですが、怒りや復讐のために何も見えない状態になった人間は、たとえそれが間違いだとしても気が付かず、思い込みで行動してしまうのは「プリズナーズ」と同じだな、と思いました。愛する家族がヒドイことをされて殺されたとなれば、当然、復讐心に燃えるでしょうが、そのやり方がお国柄なのですかね?拷問している人間も犯人と同じ事をしていると、気づかないのでしょうか?
  • あちゃ丸
  • 2015/06/11 2:54 PM
あちゃ丸さん。
あちゃ丸さんなら大丈夫、見られると思います。かなりすごいです!
痛いし、熱いし、もうCIAの拷問シーン顔負けなんですよ。
それでもし犯人でなかったらどうするんでしょうね。
ところがラストを見ると、ああ、あの子はあの人の子供だったのね、と思い出すシーンがあって、そこがすごくわかりやすくなっているんです。
是非見てくださいね。あのシーンはいらないと思うんですけど。
  • ミス・マープル
  • 2015/06/11 6:47 PM
>あのシーンさえなかったら
“騙し”ってのが意外と重要でもなかったりするんで、逆に何も明らかにしないで終わってしまった方が強烈な印象を残したかも知れませんねぇ。
後味は猛烈に悪いですけど^^;
たおさん、コメント&TBありがとうございます。
そうですね。
敢えてなくしてしまったら、それはそれでモヤモヤしてしまったかも。アノシーンと電話が重なっているから、そこでバレてしまうんですよね。せめて電話の声だけでもラスト以降に持って来たらどうでしょうね。
  • ミス・マープル
  • 2015/06/30 8:35 AM
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監督 アハロン・ケシャレス/ナヴォット・パプシャド 主演 リオル・アシュケナージ 2013年 イスラエル映画 110分 サスペンス 採点★★★★ 普段は可能な限り想像したくないんですけど、痛ましいニュースを見聞きすると頭をよぎる“もし自分の子供が殺されたら?
  • Subterranean サブタレイニアン
  • 2015/06/30 7:55 AM

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