フォックスキャッチャー

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フォックスキャッチャー

「フォックスキャッチャー」
原題「Foxcatcher」
監督:ベネット・ミラー
2014年 アメリカ映画 135分
キャスト:スティーヴ・カレル
     チャニング・テイタム
     マーク・ラファロ
     バネッサ・レッドグレープ
     シエナ・ミラー

ロス五輪の金メダリスト、マークは経済的に苦しく、
十分なトレーニングもできずにいた。そんな時、
デュポン財閥のジョンから、ソウル五輪金メダル
獲得を目指す「フォックスキャッチャー」チームへ
の誘いを受けるのだった。

<お勧め星>☆☆☆☆半 すごく面白かった。題名の
意味が後からじわじわ理解できてきます。


実話に基づいている映画ですが、時間軸や人物描写が
かなり異なっている点がある模様。実際、デイヴと
マーク兄弟は同時に「フォックスキャッチャー」チーム
へは参加していなかったそうです。ただ予備知識なく
鑑賞していたので、そこは全く気になりません。
主役のマーク・シュルツ役は、ジャンクフードを絶って
ダイエットに励んだチャニング・テイタム。


フォックスキャッチャー

「最もセクシーな男性」に選ばれたこともあったから、体は
もちろん美しい。ついでにお尻も見せちゃうサービスカット
あり。彼の兄デイヴ役は、マーク・ラファロで、彼は7か月で
16kg増量した上、レスリングのトレーニングも積んだそうです。
このシュルツ兄弟は、ロス五輪で金メダルを獲ったものの、
既に過去の人になり、十分な食事やトレーニング環境を得ること
ができない日々を送っていたのです。この時代アマチュアの制約
は厳しく、また総合格闘技のようなプロになることは、自分の
価値を下げることだと思う風潮があった模様。ロス五輪が東側の
国がボイコット、特にソ連が参加しなかったことで、次のソウル
五輪で勝ってこそ、世界一だと思うのもわかります。
そんな苦しい日々の中、デュポン財閥の御曹司ジョン・デュポン
から、レスリングチーム「フォックスキャッチャー」への参加の
誘いを受けるわけです。


フォックスキャッチャー

ジョン役はコメディ専門と思っていたスティーヴ・カレル。彼は
特殊メイクを駆使し、大きなつけ鼻をして、まるで別人のように
なっています。
デュポン財閥は、南北戦争の時代に武器で財を成した歴史があり、
ジョンはペンシルバニアの広大な屋敷に住み、戦車さえ購入する
という、信じられないほどのお金持ち。彼は金で何もかも手に
入れてきたので、次はオリンピックの「金メダル」を獲得し、英雄
を育てた人物として愛国者としての尊敬が欲しかったわけです。
彼にはバネッサ・レッドグレープ演じる母親がおり、彼女は馬術
という高貴なスポーツをこよなく愛しており、レスリングは下品な
ものと考えています。


フォックスキャッチャー

典型的なアメリカの富裕層の女性という出で立ちで登場。
中盤「フォックスキャッチャー」チームの練習風景を見て
嫌悪感を浮かべる彼女の表情は秀逸です。
ジョンは母に認められたいのと、金でしか買えなかった友情
も欲しかった。それは、友情だけではなかったと思う。
深夜マークを呼び出し、2人だけでレスリングのトレーニング
をするシーンは、彼の性癖を暗喩している気がしました。
マークがなぜにジョンを疎ましく思い始めたのかは、はっきり
描かれてしませんし、実際も彼とジョンとは特別な間柄では
なかったようです。他のレスリング選手とはそういう関係が
あったそうですが。

そして兄のデイヴも「フォックスキャッチャー」チームの副
コーチとして招かれるのです。あくまでもコーチはジョン。
デイヴの妻ナンシー役は「アメリカンスナイパー」(2014)で
主人公クリスの妻を演じたシエナ・ミラー。いかにも家庭的な
白人女性というイメージをここでも演じています。次は悪女
を演じて見せてね。
そして唐突に訪れる事件。なぜこの事件が起きたのか、後から
じっくり考えると、とても苦しい思いになります。
アメリカの栄光と闇の部分も感じられる映画になっています。


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コメント
このような事件があったのは知りませんでした。
大富豪はお金で、何でも自分の思い通りになれると思っているのでしょうか?ただ、マークとデイヴの絆だけは、どうしても手に入らなかったのですね。マークの心の拠り所はデイヴがいましたが、ジョンには冷酷な?親しか味方がいないのが気の毒というか・・・。目指す所は同じだったのに、思う所は3人は違う方向を向いていたのでしょうか?
  • あちゃ丸
  • 2015/09/06 8:21 PM
あちゃ丸さん。
わたしもこの事件は知りませんでした。
実際にはジョンは様々なコンプレックスを抱えていたらしいです。お金が有り余るほどあっても、分かり合える家族や友人は手に入らないものなのですね。
結局ジョンは刑務所で病死しています。デイヴの未亡人とは金銭で和解したとのこと。ふ〜ん、と思ってしまいますよね。
  • ミス・マープル
  • 2015/09/07 9:01 AM
ジョンはもしかしたら、あっち系(ゲイ)であるため
男同士が絡み合うレスリングに興味を持って行ったというのは
考えすぎかもしれませんね^^;
  • ituka
  • 2015/09/07 9:21 PM
こんばんは
何もかも持っていてそれで満足できている幸福な男と、その男に絶対に勝てずに常に二番手にいるしかない男、そして、キツネ狩りをするように一番の獲物を刈り取っていく男。
これは凄い傑作でしたね
勢いあまって、と言うか、二度観してしまいました
うーんと唸るしかない。カレルの演技に脱帽です
チャニングやラファロも、らしい歩き方なんかも工夫したりして、レスリング選手を凄く上手く演じられてましたが、カレルの存在感、あの目線は、…凄かったです
この映画には、陳腐な感想などは不要ですね
  • maki
  • 2015/09/07 9:30 PM
itukaさん、ありがとうございます。
そうか、そうとも取れますね。友人かつ恋人が欲しかった。そしてそれがレスリングという競技と結びついていたとも考えられます。深いですねえ〜。
お金があると何でも手に入ると思うのに、それでも人間の欲望の限りはないのですね。
  • ミス・マープル
  • 2015/09/08 11:22 AM
makiさん、コメント&TBありがとうございます。
同じくすごい傑作だと思います。キツネ狩りという貴族の遊びとそのキツネは最後には殺されてしまうという事実がうまくストーリーと組み合わさってしました。
カレルさんは本当に誰か分からないほどのメイクだし、何を考えているのかわからないジョンをとてもうまく演じていました。
餃子耳もメイクと聞いて細部にまでしっかり作られていると実感。
もう1回見てみようかな。本当に最近見た中ではだんとつ1番の映画です!
  • ミス・マープル
  • 2015/09/08 11:26 AM
貴族と庶民、もっと遡れば王族と奴隷の剣闘士の関係図が現代のアメリカに残っている、民主主義を謳いながらも疑似的な主君制を残してるアメリカの富裕層ってのをしっかりエグってるのは、さすがベネット・ミラーだなぁと。
リトル・ミス・サンシャインでも芸達者っぷりを見せてたカレルですけど、まさかここまでやれるとは!
こんばんは
コメTB
ありがとうございました

実話の映画化ということで内容知らない方がもっと楽しめたはず、試写の際にネタバレしてたのでそのまま想像通りで面白みが半減でした〜
  • mig
  • 2015/09/08 11:25 PM
たおさん、コメント&TBありがとうございます。
その通りですね。イギリスと違って自由の国、移民の国と唄っているのに実は、これほどまでに富裕層が特権階級であると、見事に知らしめましたね。
キツネ狩りなんてヨーロッパの貴族の遊びかと思ったらアメリカのお金持ちもしていたんだ、なんて今さら知りました。
カレルの演技力は目を見張るものがありました!
  • ミス・マープル
  • 2015/09/09 9:25 AM
miqさん、コメント&TBありがとうございます。
試写会でご覧になったのですか?
わたしは予備知識なしで見たので、ものすごく面白かったです。
3人の狂気(デイヴは違うかな)が上手く演じられ地ましたね。
  • ミス・マープル
  • 2015/09/09 9:35 AM
こんばんは。
スティーヴ・カレルの何ともいえない不気味さは怖かったです。今まで見たことのない役ですよね。
全体的に淡々とした流れでしたが引きこまれました。
yukarinさん、コメント&TBありがとうございます。
スティーヴ・カレルがコメディ役者としてイメージがある
だけに何を考えているのか分からない所が怖かったです。
おっしゃる通り淡々とした映画でしたね。
友人に勧めたら「別に面白くもない」と言われてしまいました。
個人的にはすごく引き込まれた映画だったんですけどね。
  • ミス・マープル
  • 2015/09/14 11:47 AM
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