ある過去の行方

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ある過去の行方

「ある過去の行方」
原題:Le Passe
監督:アスガー・ファルハディ
2013年 フランス=イタリア=イラン映画 130分
キャスト:ベレニス・ベジョ
     タハール・ラヒム
     アリ・モサファ

フランスに住むマリーと正式に離婚手続きをするため
テヘランから夫アーマドがやって来る。マリーには
既に再婚相手サミールがいることを知ったアーマドは
彼には妻がおり、自殺未遂が原因で植物状態であること
を聞かされるのだった。

<お勧め星>☆☆☆ 個々の人物描写は丁寧なのですが
相変わらず肝心なことははっきりわからない内容です。


監督は「彼女が消えた浜辺」(2009)、「別離」(2011)
のアスガー・ファハルディです。どちらの映画もイラン
社会における女性の苦悩を、小さな出来事をきっかけに
大きな波紋となっていく様子を映し出しながら描いていま
した。それが主演女優の美貌と重なってミステリアスな
雰囲気を醸し出しています。
オープニングの空港でのガラス越しでの会話シーンは、互い
の声が聞こえないため、無音であり、始まりから見事な演出
に驚かされます。


ある過去の行方

ヒロイン、マリー役は「アーティスト」(2011)でペピー役を
演じたベレニス・ベジョ。全然雰囲気が違っていて気づかず。
映画内では常に不機嫌で、かなりヒステリックであり、煙草を
頻繁にくゆらします。彼女には4年前、テヘランに行ったきり
戻ってこない夫アーマドがいて、今回、彼の帰国を待って正式に
離婚手続きをとるという話になっているのです。アーマドが
なぜテヘランに行ったきりだったのかとか、離婚手続きをなぜ
弁護士に任せなかったのかなどは、ほぼ説明がありません。
なにか理由を話していたけれど、ものすごく曖昧だったな。
そしてそのアーマドのために、なぜかホテルを予約しないマリー
は(本当に来るかどうかわからなかったからだそうです)自宅
に彼を泊めるのですが、そこには次の再婚相手サミールもいる
わけです。


ある過去の行方

そもそも車自体がクリーニングした衣服を積んでいて、男の
免許証が入っているし、家には知らない男児までいるから、
早々に事態が飲み込めるというもの。サミールの息子フアッド
はまた反抗的で、マリーは叱りつけてばかりなのです。さらに
マリーの子供、リュシーとレアという娘のうち上のリュシーは
サミールとの再婚に大反対で、毎日帰宅が遅い。


ある過去の行方

とはいえこの2人の娘はアーマドの子供ではなく、リュシーは
ブリュッセルに住む元夫が父親のようで、じゃあレアの父親は
?という問いの答えは見つかりません。2人とも「アーマド」
と彼を呼びます。
さらにサミールには、妻セリーヌがいて、自殺未遂で植物状態
だとわかるのです。自殺の原因は鬱病というが、これに関して
とてもミステリアスに話が展開します。つまりリュシーがなぜ
サミールを嫌っているかと言うと、母親と浮気をして妻を自殺
に追い込んだからと思っているからなのです。ふーん、ここまで
きてもマリーとアーマド、サミールの心の内が上手くわからない。

ついでにマリーは、再婚を決めたからサミールの子供を妊娠して
いると言うのです。フランス人は恋愛に奔放とは言いますが、
これはあまりにも自由すぎるんじゃないのかとちょっと理解不能。
そしてリュシーは、マリーとサミールのメールをセリーヌが自殺
する前日に彼女に転送したと告白するのです。ヒステリックな
マリーの声とそれをなだめるアーマドが対照的で、なんとなく
彼女と暮らせない原因が理解できたような気がします。ところが
このメールを送る転送先のアドレスをなぜリュシーが知ったのか?
話は、また謎めいてくるのです。
「電話で聞いた。すこし訛りがあるフランス語だった」
リュシーの言葉に、サミールは、自分の店で働く不法就労の女性
を思い浮かべるわけです。しかしそんなことより、マリーとの仲
はどうなるんだろう。マリーとサミールは互いに
「妻の(夫の)穴埋めにした」
と解釈し、サミールは
「お腹の子はなかったことにしてくれ。あれは事故だった」
とまで言うのです。
一方のアーマドも親しいイラン人の男性に
「両方での生活は無理だったんだ」

などと言われる。あれ?もしかして彼はテヘランに家庭があるの?
どれもこれもわからないまま、ラストはセリーヌの病室に座る
サミールが映ります。
嗅覚だけは残るらしい。と言うことで、彼女に好きだった香水を
持ってきたサミール。
「わかったら手を握り返してくれ」
一筋の涙がセリーヌの目から流れ落ち、カメラは彼女の指を大写しに
します。それは無意識の反応だったのか。それもまたわからないまま
エンディング。前の2作品に比べると、分からない度がさらにアップ
したという感じがしています。





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コメント
マリーという女性は自由奔放な方ですね。今の自分の立場とか、子供の存在、選んだ相手の男性、様々な問題が出てきて複雑過ぎますね。一度では理解できずに、何度も読み返しました。自分のことしか考えない行動をしていると、周りの人にも悪影響が広がってしまう事を、彼女は分からないのでしょうか。
  • あちゃ丸
  • 2015/11/21 8:18 PM
あちゃ丸さん。
これについては全然理解できないというか、なんとも奔放な方々の話だなと言うのが実感です。
家族であってもいったいどういうつながりなのか、途中で調べてしまいました。どうもそれぞれ父親が違う子供のようです。まあそれはいいとしてもなぜにあんなにヒステリックなのかというシーンが多く、あまり好きになれない映画でした。
  • ミス・マープル
  • 2015/11/22 5:04 PM
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『別離』が第84回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したイラン出身の鬼才、アスガー・ファルハディが放つ人間ドラマ。お互いの子どもを連れて再婚しようと考える男女が、女性の娘のある告白を機にそれぞれが抱えていた思いも寄らなかった秘密を知ることになる。『アーティ
  • パピとママ映画のblog
  • 2015/11/22 12:15 PM
 イランの名匠・アスガー・ファルハディ監督が、フランスを舞台に男女の根深い闇のある心理をサスペンスタッチで描いた作品。最後のほうで、相当注意してみたはずなのですが、一番、重要なシーンを見落としてしまいました。これがあるとないとでは、180度意味が違うの
  • 映画好きパパの鑑賞日記
  • 2015/11/24 8:55 PM
大人の事情に振り回され傷つく子供たち 公式サイト http://www.thepast-movie.jp4月19日公開 監督: アスガー・ファルハディ  「彼女が消えた浜辺」 「別離」 4年前に別れた
  • 風に吹かれて
  • 2015/11/26 9:03 AM

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