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    鬼が来た!

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    鬼が来た

    「鬼が来た!」
    原題:鬼子来了
    監督:チアン・ウェン
    2000年 中国映画 139分
    キャスト:チアン・ウェン
         香川照之
         チアン・ホンポー
         ユエン・ティン
         ツォン・チーチェン

    1945年、日本軍占領下の中国北部の村に住むマーは、
    ある夜、麻袋2つを押し付けられ、引き取りに来るまで
    の5日の間に中の男を尋問するように命じられる。村人
    たちは、彼らを尋問するが、引き取り手は一向に現れ
    ないのだった。

    <お勧め星>☆☆☆☆ 何とも重い内容の映画です。
    「鬼」はいったい何をさすのか、見終わっても考え込む
    ばかりでした。


    映画は終始モノクロで進行し、ラストに地面を転がる生首
    の視点から初めてカラー映像に変わります。それが意味する
    ことは何なのでしょうか。
    1945年、日本軍占領下の華北の村。毎朝軍艦マーチを演奏
    しながら、日章旗を掲げて行進する日本海軍、野々村隊が
    映し出されます。占領下のため、村人は蔑まれているけれど、
    集まってくる子供たちに隊長は飴を与えるなど、どこかのどか
    な雰囲気を醸し出しているのです。
    しかしある夜、未亡人と情事を重ねていたマー・ターサンの家に
    「私」がやって来て2つの麻袋を置いていきます。


    鬼が来た

    「30日に引き取りに来るまで尋問しておけ。日本軍に見つかれ
    ば、村人全員殺す」
    え〜!マーは村人や長老を集め、その袋を開けると中から出てきた
    のは2人の男であり、1人は日本兵、花屋小三郎。(香川照之)
    そしてもう1人は、中国人通訳のトン・ハンチェンなのです。帝国
    軍人の教育を受けた花屋は、それは汚い言葉で村人を罵り、捕虜と
    いう辱めをうけたことで「殺せ」と言うのですが、なんせ言葉が
    通じません。通訳のトンは、限りなく真反対のことを話し、彼らは
    極めて友好的だと思われてしまいます。この翻訳は、花屋が真剣に
    怒るほど滑稽であり、映画もこの辺りはまだのんびりしています。
    「できるだけ汚い言葉、下品な言葉で激怒させる」と息巻く花屋に
    トンが教えた言葉は

    「お兄さん、お姉さん、新年おめでとう」
    なんで怒りながら日本人はこんな言葉を発するのか、なんて疑問に
    思いつつ、村人は彼らの世話を続けます。
    しかしいつになっても「私」は現れません。
    日本人を救うこと→売国奴
    この日本人を殺したことで村人全員が死ぬことを招く→売国奴
    このジレンマに悩むわけですよ。
    そして村人の決心で2人を殺すことになったのに、マーは彼らの
    命を救って、のろし台に匿ってしまいます。それがバレるとマーは
    殺し屋を雇うことにするのですが、それが「ひと太刀リウ」。でも
    全く役に立たず、そうこうするうちに花屋は「生きたい」と思い
    始めるわけです。自分だって実は、こんな農家の出身だった。生きて
    日本の地を踏みたい。
    するともう殺されないように言う言葉は言いつくしてしまっていると
    いうこれまたコミカルなシーンが映ります。


    鬼が来た

    でも本当に怖いのは花屋が所属していた陸軍の隊長酒塚の登場から
    です。花屋が提案した小麦粉を分ける話の前に、花屋はもうぼっこ
    ぼっこにされます。当然なんですよ。捕虜になった男が偉そうに
    上官に意見を言うなんて信じがたき行為なんですから。しかしなぜか
    村人たちは褒美をたくさん持たされ、ついでに酒塚隊の軍人たちと
    村で飲めや歌えやの大宴会を開催することになります。ここでとても
    嫌な予感がたちこめます。そして酒塚になれなれしく近づいた村人の
    手を花屋が切り落としたことから、楽しい宴は地獄絵図に変貌して

    行くのです。モノクロの中、赤い火だけが立ち昇ります。そして
    序盤に野々村隊長から飴をもらった少年は、その野々村隊長に刺殺
    され、村全体が焼き討ちにされるのです。その中で冒頭の銃が映ります。
    それは誰が持っていたのか、いやそれに意味はなく、銃を使うように
    命令した何者かが存在したのかもしれません。
    そして実はこの時、既に戦争は終結しており、それを知らせない酒塚の
    あくまでも「軍人」であり続けたいという心も伝わります。
    そして村は今度は連合軍支配下に置かれ、トンは中国人でありながら
    国民党の指示で銃殺され、日本兵に復讐を図ったマーは、命を救った
    花屋によって斬首されるのです。中国人でありながら、敵兵日本兵の命

    を救ったあげく、そのせいで生活を全て無くし、助けた花屋の手で命
    を奪われる。この皮肉なラストが戦後も続く中国国内の不条理さを意味
    しているのかもしれません。



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      • 2023.01.12 Thursday
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      • 15:03
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      コメント
      つくづく戦争は、負の連鎖しか残りませんね。
      モノクロシーンが、異様な雰囲気を醸し出していますね。通訳の方が荒波を立てないように反対の言葉を通訳する所が、皮肉めいてますね。シナ人の村人が、なぜひどい仕打ちをされなければならないのか、日本人が見ても疑問に思います。そもそも麻袋を持ってきた人は誰なのでしょうか?
      • あちゃ丸
      • 2016/01/06 7:59 PM
      あちゃ丸さん。
      この映画は中国人の監督が作っているのに、日本、中国どちらにも肩入れされておらず、極めて公平な描き方になっています。
      通訳の異訳には笑わせられるし、村人も基本的に善人ばかりなんですよ。それがある時、「悪」に変わるという恐ろしい瞬間も描かれていました。「私」は誰なのでしょうね?
      • ミス・マープル
      • 2016/01/07 6:28 PM
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