チャイルド44 森に消えた子供たち

5

チャイルド44

「チャイルド44 森に消えた子供たち」
原題:Child 44
監督:ダニエル・エスピノーサ
2015年 アメリカ映画 137分 PG12
キャスト:トム・ハーディ
     ゲイリー・オールドマン
     ノオミ・ラパス
     ジョエル・キナマン
     パディ・コンシダイン

1950年代、スターリン体制下のソヴィエトで
国家保安省に勤務するレオは、同僚の息子の死を
事故死として処理する。しかし彼の妻ライーサに
スパイ容疑がかけられ、田舎町に左遷されると、
同様の事件が頻発していることに気づくのだった。

<お勧め星>☆☆☆ 原作をうまく映画化している
と思います。ただ少しわかりづらいかも。


いつも参考にするRotten Tomatoesの評価はかなり低い
のですが、それを見ずにDVD鑑賞しました。原作は
2009年版「このミステリーがすごい!」の海外編1位
を獲得しているトム・ロブ・スミスの同名小説です。
「グラーグ57」「エージェント6」と続く3部作の第1部
であり、3作とも既読ですが、どれもものすごく面白かった
です。
主役のレオ・デミトフ役は「オン・ザ・ハイウェイ その夜、
86分」(2013)のトム・ハーディ。そしてその妻ライーサ
役はミレニアムシリーズのノオミ・ラパスです。


チャイルド44

このライーサが原作ではとても美しい東欧出身の金髪美女の
はずなのに、どうもノオミ・ラパスではしっくりきません。
逆にレオはかなりのイケメンさん。
さてストーリーは原作にかなり忠実に進みます。スターリン
体制下の1953年、モスクワで先の大戦の英雄だったレオ
は国家安全保安省に勤務するエリートなのです。彼の仕事は
反体制派の粛清であり、映画では描かれませんが、容疑者への
拷問、処刑までを冷酷に行っていました。それは序盤のブロツキー
への対応で描かれます。
それ以前に1933年のウクライナ飢饉でのポロドモールの
虐殺については、ささっと字幕で流れるのみなので、原作を
読んでいないと、この意味が全然つかめないと思うのですが、
まあそれを描くと、あれもこれもとなるので、思い切って削った
のかな。


チャイルド44

レオの同僚で上昇志向の強いワシーリーは、残虐であり、隙あらば
レオを出し抜こうとしている。そんな時、同僚アレクセイの息子
ユーラが線路脇で惨殺体で発見されるのです。しかしスターリン
体制は「理想の国」であるから、犯罪は存在しない。もし存在した
ならば、それは精神疾患者もしくは同性愛者、さらには西側の
汚れた思想に感化された者によると考えられていたため、ユーラは
「事故死」として処理されます。レオも納得の上で、アレクセイに
それを伝え、アレクセイも涙ながらに納得するのです。

一方、ブロツキーを拷問して聞き出したスパイの名前の中になぜか
ライーサが入っていたことからレオは、大きな窮地に立たされます。
国家に忠誠を誓っているのならば、妻を差し出すか、家族全員を
差し出すかの二者択一なのです。この辺りはかなりアップテンポで
描かれ、ライーサの嘘やレオの両親の存在などは、あまり意味を持ち
ません。あっという間にレオは左遷されて田舎町ヴォリスクへ赴任
します。あらら、ここの警察署長ネステロフ将軍は
ゲイリー・オールドマンだわ。ちょっと貫禄あり過ぎよね。ここで
実は少年が幾人も同じような死体で発見されていることを知り、レオは
ユーラの事件との関連を疑い始めるのです。原作は上下巻に分かれて
おり、かなり内容が濃いので、それを137分に収めるのは難しかった
と思いますが、要所要所はしっかり描かれていて、サスペンスとしては
結構面白く見られます。ワシーリーの追手から、辛うじて逃げる夫妻の
姿はハラハラ抜群です。また列車の中での格闘もテンポがいい。

特にラスト付近の泥の中での格闘は、スリルにあふれているし、ラストの
体制の変化でころころ変わる上層部の方針も皮肉たっぷりに描かれて
います。欲を言うと、犯人の描き方が、かなり雑なので、犯人がなぜ
このような犯行をし続けたのか、全く理解できません。本当はあーで、
こーなのよ。だから犯人はこの人で...。やっぱり本の方が面白かったな。


  ブログランキング・にほんブログ村へ にほんブログ村 映画ブログへ 人気ブログランキングへ


コメント
キャッチコピーの言うとおり、ほんとに凄いのですか?制作がリドリー・スコットだから面白いのでしょうね。子供が44人も、いなくなったのかしら?国の政策には事件など存在しないからといって、真実を捻じ曲げてしまうのは、ビックリな展開ですね。真実は一つしかない訳ですから、ラストはちゃんと決着をつけるのでしょうね。ノオミ・ラパスって黒髪の方があってる気がします。
  • あちゃ丸
  • 2016/01/07 8:23 PM
あちゃ丸さん。
原作は「このミステリーがすごい!」の第1位になっています。確かに読みごたえがあってものすごく面白かったです。ただ映画になると、だいぶ割愛された部分が多く、時代背景や人物の相関図をよく見ておかないと、少々わかりづらいですね。ラストの決着もスターリン体制ならではのものでした。そうそうノオミ・ラパスは黒髪のイメージが強いですよね。
  • ミス・マープル
  • 2016/01/08 8:29 AM
結構夫婦のお話になってて、それはそれでいいのだけど、誘拐事件を執拗に追うという部分は随分端折られてしまいましたね。
ラストシーンにレオの優しさが見えたのは好きでした。
  • pu-ko
  • 2016/01/08 11:00 AM
pu-koさん、コメント&TBありがとうございます。
そうですね。
夫妻には実は大きな溝があったのですが、その意味がよく理解できなかったし、誘拐事件の捜査も短い時間で描かれ過ぎていましたね。
ラストにレオ夫妻が引き取る姉妹の瞳に「憎しみ」を感じさせてくれればもっとよかったかな。
  • ミス・マープル
  • 2016/01/08 11:43 AM
こんばんは!
コメント&TBありがとうございました。
原作の方は1位を獲得しているだけあって、かなり内容の濃いものになっているようですね。
原作を読んでいない私が言うのもなんですが、分かり難い感じは凄くしました。
全てがあやふやで、何をメインにした作品なのかが伝わってこず、注目する箇所は犯人の正体と目的なのでしょうけど、それすらも端折って描かれているので、スッキリとした気持ちが生まれてこなかったです。
  • ヒロ之
  • 2016/01/08 10:38 PM
ヒロ之さん、コメント&TBありがとうございます。
こんにちは。
おっしゃる通り原作を読んでいないと内容がわかりづらい映画になっていますね。まず冒頭の「飢饉」の意味が、本当は犯人の動機と大きくかかわってくるのに、さらりと文字ででただけでした。誘拐事件とスターリン体制下の不自由な生活が中途半端に描かれていたので、夫婦の再生のような内容になっていました。違うんだよね。
  • ミス・マープル
  • 2016/01/09 4:07 PM
如何せん原作は未読なんですけど、原作からあれもこれも可能な限り拾って、でも破綻しないようにした結果、ちょいととっ散らかったダイジェスト版になっちゃったって感じがした一本でしたねぇ。ネタはすっごく面白いだけに、映画としてはちょっと惜しかったなぁと。
たおさん、コメント&ありがとうございます。
そうそう原作がかなり長いので、それを端折った分、人物像を浅くしか描けなかったのは否めませんね。犯人がなぜ少年を殺したのかとかレオと犯人の関係とか、すごく重要なところが省かれたので、サスペンスとしてはいまいちになった気がします。
  • ミス・マープル
  • 2016/02/02 4:22 PM
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック
チャイルド44 森に消えた子供たち(2014)アメリカ 原題:Child 44 監督:ダニエル・エスピノーサ 日本公開:7月 作品情報  あらすじ 1953年、スターリン政権下のソ連で子供の全裸死体が発見され、事故死として処理される。しかし同様の子供の死
  • アリスのさすらい映画館
  • 2016/01/08 11:01 AM
CHILD 44 2014年 アメリカ 137分 サスペンス/ミステリー/犯罪 PG12 劇場公開(2015/07/03) 監督: ダニエル・エスピノーサ 『デンジャラス・ラン』 製作: リドリー・スコット 原作: トム・ロブ・スミス『チャイルド44』 出演: トム・ハーディ:レオ
  • 銀幕大帝α
  • 2016/01/08 10:33 PM
監督 ダニエル・エスピノーサ 主演 トム・ハーディ 2015年 アメリカ/イギリス/チェコ/ルーマニア/ロシア映画 137分 サスペンス 採点★★★ 快楽殺人鬼や連続殺人鬼ってどこか西洋や特にアメリカの特産品のような印象もありますが、日本で散発的に起きた殺人
  • Subterranean サブタレイニアン
  • 2016/02/01 9:15 PM

カレンダー

S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930   
<< September 2020 >>

ブログランキング

今日のわんこ

powered by 撮影スタジオ.jp

アマゾン

遊びにきてくれてありがとう!

カウンター

死語レッスン

最新記事

categories

過去の記事

コメントありがとうございます!

トラックバックありがとうございます!

recommend

お友達

ミス・マープルについて

書いた記事数:3213 最後に更新した日:2020/09/18

あの映画を探そう!

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM