ブリッジ・オブ・スパイ

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ブリッジオブスパイ

「ブリッジ・オブ・スパイ」
原題:Bridge of Spies
監督:スティーブン・スピルバーク
脚本:ジョエル・コーエン
   イーサン・コーエン
2015年 アメリカ映画 142分
キャスト:トム・ハンクス
     マーク・ライアンス
     スコット・シェパード
     エイミー・ライアン
     セバスチャン・コッホ

保険専門の弁護士、ドノバンは、ソ連の
スパイとして捕まったルドルフの弁護を
依頼される。誰もが死刑判決を望む中、
ドノバンは公正な裁判とルドルフの価値を
訴え、禁固刑を勝ち取る。しかし国内で
大きな批判を浴びた後、ソ連領内で捕虜
になったパワーズとルドルフの身柄交換の
交渉を引き受けることになるのだった。

<お勧め星>☆☆☆☆ ドノバンの見事な
交渉術に目を見張ります。


1957年、冷戦の真っただ中のストーリー
なのです。冷戦というと、ソビエトを主軸
とする東側の国々と、アメリカを主軸とする
西側の国々との情報戦争と簡単に理解して
いましたが、東側でもソビエトの傀儡政権と
言われた東ドイツが、国として認められたい
という政府の思惑もうごめいていたのですね。
今また冷えつつある米ロ関係の中で、唯一
アメリカに認められたいと示威活動を行う
北の小国を思い出します。


ブリッジオブスパイ

さて、トム・ハンクス演じるジェームズ・ドノバンは
保険専門の弁護士であり、かなりやり手なのです。
家庭では、しっかり者の妻や3人の子供に囲まれ普通
に暮らしていたのですが、なぜかソ連のスパイとして
捕まったルドルフ・アベルという男の弁護を引き受ける
ことになるのです。政府の取引にも応じないルドルフの
運命は死刑と決まったようなもので、形だけの裁判の
ための弁護人が必要だっただけのこと。


ブリッジオブスパイ

ところがドノバンは弁護人たるものの仕事を極めて
誠実にこなすわけです。つまり彼は正当な理由で
逮捕されたのか、証拠は正当な手続きで確保された
のか、さらには公正な裁判が行われるかなど、俄然
奮闘します。そして判事までも死刑を念頭に裁判を
進めていたのに、
「おそらく近いうちに彼が保険として必要になる」
と説得し、見事禁固刑を勝ち取るのです。マスコミの
力はすごいですよね。電車の中で、新聞に目を通す
一般市民が、ドノバンを白い目で見るし、家には
銃弾が撃ち込まれます。当時は小学校でもソビエトは
原爆を落とす国、という教育がされていたのも映り、
思想教育の恐ろしさも感じます。

時を経ずして、ソ連領土内で偵察飛行を行っていた
パワーズ中尉の軍用機が墜落し、彼はソビエトの捕虜
になるのです。


ブリッジオブスパイ

そこでドノバンはCIAの依頼で、一般市民として、ルドルフ
とパワーズの交換の交渉のため、東ドイツへ向かうのです。
ところがその直前、東西ドイツの対立が激しくなり、
ベルリンの壁ができ、たまたま東ドイツへ留学していた
フレデリックというアメリカ人大学生がシュタージに
拘束されるのです。
ドノバンはその事実を知ると、CIAの計画

パワーズ対ルドルフ
の交換ではなく、
パワーズ+フレデリック対ルドルフ
という極めて難しい交渉を考え付きます。この交渉相手
というのが、ソビエトに決まっているのに、なぜか東
ドイツも絡んで、両国の関係も含めて極めて複雑になって
しまうのです。
何とか約束の建物に到着したドノバンの前で涙をこぼす
ルドルフの妻と娘と従弟が、ある瞬間、平然と立ち去って
行く。どこに真実があるのか、それを見極めるのが本当に
難しい時代だったのですね。

ラストの橋の上でのシーンは、吐く息の白さと降り積もる
雪の中、緊張感が一気に高まります。本当に見ごたえの
ある映画でした。






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コメント
普通なら「私の専門外だから」と言って断るところでしょうが、ドノバンの人柄なのでしょうね。自分の仕事は公平に全うする・・・みたいな強い信条があるのでしょうね。世間からの強い批判にもめげず、家族を守りながらの仕事は並大抵のことじゃありませんね。冷戦時代だけあって、国もドノバンを完全に守ってくれる保証もないのに、よくぞ立ち上がってくれました。と、希望を与えてくれる映画ですね。
  • あちゃ丸
  • 2016/01/28 8:52 PM
こんにちは。

本当に最後まで緊張感がある映画でしたね。
橋の上がハラハラになりました。

>どこに真実があるのか、それを見極めるのが本当に難しい時代だったのですね。

本当にそう思います。見極めるちからって大切ですよね。
序盤の自動車保険の案件で揉めてましたが
アレがドノバンの策士としての力量を見せつける伏線でしたね。
こういう男を一家にひとり専属で欲しいモノです(笑)
  • ituka
  • 2016/01/28 9:55 PM
あちゃ丸さん、そうなんですよね。ドノバンがなぜこの案件に力を入れたのか、その説明がやや不十分だったかなと。でも保険専門の弁護士ですから、顧客のための弁護に徹するということで納得しました。
じゃあ、東ドイツで捕まったアメリカ人大学生もなぜ一緒に救おうと思ったのか。そこもうまく理解できません。でも見ごたえのある映画です。
  • ミス・マープル
  • 2016/01/29 1:58 PM
Nakajiさん、コメント&TBありがとうございます。
ドノバンの人の嘘を見極める力は卓越していたようで、それがこの交渉の成功につながったのでしょうね。
橋の上のシーンは、本当にハラハラしました。どちらもスナイパーがいるという状況ですもんね。
  • ミス・マープル
  • 2016/01/29 2:01 PM
itukaさん、コメント&TBありがとうございます。
そうなんですよね。序盤の保険の交渉シーンが後半に生かされていましたね。まさかあれがメインになるとは思わなかったです。
しかし弁護士は口八丁手八丁だな、という気もしました。家族にほしいのは、医者と弁護士ですね。
  • ミス・マープル
  • 2016/01/29 2:11 PM
こんばんは。
とても見応えのある作品でしたね。
ラストの橋の上でのシーンは一番緊張しました。
本当にドノバンの交渉術はすごいですね。
他のお仕事も映像で観てみたいと思いましたわ。
yukarinさん、コメント&ありがとうございます。
本当に橋の上は緊張しました。
間違ってスナイパーが発砲するんじゃないかとか、本当に目的の人物が来るのかとかいろいろ考えました。
ドノバンの交渉はこの後キューバでも実践されたということですから、そうとうな腕の持ち主なのでしょうね。同じく見てみたいです。
  • ミス・マープル
  • 2016/02/01 2:51 PM
こんにちは。こちらにもコメントさせて下さい。
ドノバンには本当に先見の明があったというか、やはり頭のいい人特有の先読みというか、打つ手打つ手がどんぴしゃとハマっていくのがすごいな、と思いました。
本業は弁護士ですけど、交渉人、かくあるべし。
こなつさん、コメントありがとうございます。
本業の弁護士の能力がこんな形で生かされるとは本人もびっくりしたかもしれませんね。
冒頭の保険交渉のシーンが長いと思ったらこんな形で生かされたわけだ。
おっしゃる通り交渉人、かくあるべし。ですね!
  • ミス・マープル
  • 2016/02/10 1:45 PM
法に忠実なドノヴァンと国家に忠実なアベル。状況が良くない時だからこそ原理原則を守ろうとする二人だからこそ生まれる絆ってのを、ホント見事な緊張感とユーモアを織り交ぜて描いてましたよねぇ。“法に忠実”=“ただの真面目”ってわけではないって描き方も好みで。
たおさん、コメント&TBありがとうございます。
ただ真面目であればいいってもんじゃないということをうまく描いていました。
まさか自動車事故の保険交渉術が、国同士の交渉に使えるとは思わなかったです。時折入り込むユーモアもよかったです。
  • ミス・マープル
  • 2016/05/18 2:59 PM
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