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- 2023.01.12 Thursday
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「帰ってきたヒトラー」
原題:Er ist wiedew da
監督:デビッド・ベンド
2015年 ドイツ映画 116分
キャスト:オリバー・マスッチ
ファビアン・ブッシュ
クリストフ・マリア・ヘルプスト
カーチャ・リーマン
2014年、ベルリンの空き地で突然ヒトラーは
目を覚ます。周りの人々は、彼を偽物と笑い者に
するが、彼を利用して仕事を得ようとするフリー
の制作者フェビアンが、TV局に話を持ち掛けるの
だった。
<お勧め星>☆☆☆ コメディタッチに描かれて
いますが、実は今すぐにでも起こりそうな現実味の
ある恐怖も同時に感じさせます。
ヒトラー率いるナチスの蛮行を描いた映画や彼の
最期の日々までの映画などは数多くあるものの、その
ヒトラー自身を主役にして作られたコメディ映画は
最近では存在しないのではないでしょうか。ヒトラー
が現代に蘇ったらどうなるか、という斬新なアイデア
でこの映画のストーリーは進むのです。
反ユダヤ主義、ホロコーストの首謀者、選民思想の
持ち主でありながら、あの時代のドイツ人がなぜあれ
ほどまでに熱狂的に彼を支持したのか、ドイツだけでなく
近隣の国々も然りです。そこには、彼のカリスマ性と
極めて卓越した演説能力が深く起因していたのは否定
出来ません。
冒頭、挨拶の仕方をヒトラーが注意されるシーンが映り
ます。ドイツだけでなく今や日本でさえもヒトラー式
敬礼は避けられる風潮にあり、ドイツ国内では彼の著書
を入手することすら困難なほど厳しく取り締まられている
ことが語られます。まさにドイツにとって「負の遺産」で
あるはずのヒトラーが、2014年、ベルリン市内の
空き地に突然姿を現すのです。
まさに彼が別荘で自殺を図る直前の姿で。
観光客は彼をそっくりさんと思い、記念撮影をするし、彼を
利用してTV局の仕事を得ようとするフェビアンまで出現する
のです。
もちろん誰一人として彼を本物とは思っていません。彼の
ことを知らない子供もたくさん存在します。
TV番組の視聴率アップのために彼を利用する女プロデューサー
ベリーニは、風刺的なコメディ番組に彼を起用するとこれまた
大人気となります。
ここにドイツ人の本音も現れるのです。
「戦後70年、いつまで謝罪すればいいのか」
若者の貧困、移民急増による失業率のアップ、経済の低迷など
今まさにドイツは、あの時代の前と近い状況にあるのかもしれ
ません。そこを突いてくるストーリーは極めてブラックであり、
同じことを繰り返そうとしているヒトラーが、本物であると
気づく者がいつ現れ、その人物は彼の暴走を止められるのか、
いやきっと止められないんだろうなと思ってしまう。とても
怖い内容でもありました。