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- 2023.01.12 Thursday
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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般
「ドローン・オブ・ウォー」
原題:Good Kill
監督:アンドリュー・ニコル
2014年 アメリカ映画 104分 R15+
キャスト:イーサン・ホーク
ブルース・グリーンウッド
ゾーイ・クラヴィッツ
ジャニュアリー・ジョーンズ
ジェイク・アベル
ラスベガスの空軍基地に勤務するイーガン少佐は、
現在は無人機でアフガニスタンを攻撃する任務を
行っている。遠く離れた国を毎日攻撃し、帰宅すると
現実の家庭が待っている生活に、彼は次第に疲弊して
いくのだった。
<お勧め星>☆☆☆ 「アメリカン・スナイパー」よりも
ある意味怖い戦争映画です。
空軍少佐トーマス・イーガン役はイーサン・ホーク。青年の
雰囲気はいつしか消え、神経質そうなチョイ悪オヤジ感が
漂います。
トーマスは元ダンサーの妻モリーと2人の子供に恵まれ、
庭付きの大きな屋敷を持っており、とても幸せな家庭に
見えるのだけれど、彼は特殊な任務を遂行しているのです。
それは毎日はるか遠くの国アフガニスタン上空3000mを
飛ぶ無人機を操作し、ターゲットを爆撃するというもの。
映画内でも中佐が語る通り、モデルはXboxで、ゲームの世界が
そのまま現実の戦闘に使われているわけです。2人1組で
無人機を操作し、3,2,1で発射。ミサイル到達まで数秒。
爆撃が行われるとその後に立ち上る火柱や土煙、そして遺体が
転がるのです。もちろん何秒かのズレがあるから誤爆もあり、
それは9.11テロ犠牲者のために愛国精神をもって行った
適切な行為の結果と片づけられてしまうのです。これでは
24歳で燃え尽き症候群になり、コカイン中毒になるのも
理解できます。現にイーガンもほぼアルコール依存症なのです。
彼はもう一度戦闘機に乗り、実際に現地へ向かいたいのですが、
それは許されず、また妻からもここで一緒に暮らす安心を求めら
れています。
そしてさらなる過酷な任務がCIAから課せられるのです。
「標的殺人」ではなく「特徴攻撃」、つまり怪しいと判断されたら
攻撃するというもの。映画内の話で知りましたが、ターゲットを
捕まえ刑務所に収容する努力や、そこでの待遇を批判される前に、
殺害してしまう方が、アメリカにとって最も安全な方法であると
いうのです。とても恐ろしいです。世界で最も多くの戦争を行って
きたであろう国の行きつく先なのでしょうか。この作戦は対テロ戦争
であり、場所が戦闘地区であろうとなかろうと、そこに民間人が
いようと考慮しない、「先制的自衛権」を駆使するもので、
「切迫脅威」の前には、何の配慮も不要ということなのです。
この指令を出すのは、実際に操縦しない人物であり、その命令に
従って多くの命が奪われる現場をモニター越しに見続けるイーガンは
疲弊し、妻モリーとも関係が悪化してしまい、酒におぼれます。
肥料を作っている小屋はいずれは爆薬工場になる恐れがある。これは
大量破壊兵器があるといってイラクを攻撃した時と同じ論法です。
病院への誤爆も結局「戦闘員が隠れている恐れがある」ということ
だとはっきりわかりました。
スアレス一等空員が「これはendlessですよね?」と言ったのは
もうみんな知っていることで、中止することは、これまで亡くなった
犠牲者の家族へ説明がつかなくなるということです。愛国者精神、
国の威信、世界での覇権争いに負けることを意味するのです。
こんな国でなくてよかった。負の遺産をこれからの人々に負わせる
国でなくてよかった。ずっとこう思い続けたいですね。