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- 2023.01.12 Thursday
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JUGEMテーマ:洋画
「アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち」
原題:The Eichmann Show
監督:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ
2015年 イギリス映画 96分
キャスト:マーティン・フリーマン
アンソニー・ラパリア
レベッカ・フロント
ナチスドイツでホロコーストを指揮したアイヒマンが
敗戦から15年でアルゼンチンで拘束、イスラエルで
裁判を受けることになる。イスラエルのTVプロデューサー、
ミルトンは、アメリカからカメラマン、レオを呼び、
一流のチームでその裁判をテレビ放送しようと考えるが...。
<お勧め星>☆☆☆半 なかなかよくできた映画です。
監督は「アンコール!!」(2012)の
ポール・アンドリュー・ウィリアムズ。この映画は、
アイヒマン裁判を全世界に放送しようと計画した人々の姿を
記録映像と撮影映像をうまく組み合わせて作られています。
〇見どころ
イスラエルのTVプロデューサー、ミルトンに呼ばれた、
アメリカ国内で吹き荒れる赤狩りの嵐で仕事がないレオと
いう一流のカメラマンのそれぞれの私生活を少しずつ描きながら、
核心のアイヒマン裁判撮影までの苦労、そして実際の裁判時の
苦悩、葛藤などが次々に映し出されます。テレビ報道はある程度の
見立てがあるわけで、レオがアイヒマンに求めるリアクションが
一切得られないことへの焦燥感が強く伝わります。報道する側が
ほしい映像が事実は異なっていても、それが撮れたら、世間に
公開するんだろうな。このあたりも丁寧に見せてくれます。
●惜しいところ
この実際の写真からもわかるように、アイヒマン裁判は、結果ありきの
ショーであり、新国家を進むイスラエルの国家のユダヤ人のために
行われた見世物なのです。そこに一切触れないのはやや一方的かな。
それは見た人が考えることなのかもしれません。
とはいえ、ファシズムはどこにでも存在する。誰もがファシストに
なりうる。理性の喪失が狂気への道。全て納得できる言葉であり、
「顔のないヒトラーたち」(2014)でも同じようなメッセージが
伝えられました。それでも同じ道を進もうとする人々がいるのを、
理性ある者が全力で止めるべきなのでしょう。
レオの宿泊したホテルの女主人の腕にも番号がありました。過去を
語ろうとする口を封じてはいけないのです。いつまでも過去の
負の遺産にとらわれてはいけない?いやそれを語ることで正しい道を
進めるのです。
当時の映像も混じっているのですか?モノクロ映像だとリアルティありますが、俳優もアイヒマンに少しでも似る様に努力されたのでしょうね。マスコミは視聴率のために注目を集めるのに必死かと思いますが、当事者やユダヤ人の人々は嫌なことは忘れたい気持ちで、口を封じて誰にも言えないのでしょう。でもこれを風化させては、やはりいけないのですよね。