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- 2023.01.12 Thursday
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JUGEMテーマ:洋画
「ひつじ村の兄弟」
原題:Hrutar
監督:グリームル・ハゥコーナルソン
2015年 アイスランド=デンマーク映画
93分 R15+
キャスト:シグルヅル・グルヨンソ
テオドル・ユーリウッツ
アイスランドの高原で牧羊に携わるキディーと
グミーは優良な羊を育ててきたが、40年間口を
きいていない。そして品評会で1位になったキディー
の羊がスクレイピーに感染している疑惑を持った
グミーは、そのことを仲間に打ち明けるのだった。
<お勧め星>☆☆☆☆ アイスランドの大自然の
美しさとその過酷さを感じつつ、兄弟の心の動きが
上手く描かれています。
アイスランドののどかすぎるほどの景色を堪能できます。
このアイスランドという国は北ヨーロッパに位置する
島国で首都はレイキャヴィク。
こんなおとぎ話の世界のような街並みらしいです。すぐに
思い浮かべたのは
「レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー」という
裕木奈江さんが出演していた2009年のスプラッター映画。
違うんです。この映画はカンヌでも「ある視点賞」を獲得した
ほどの映画なんです。さてどこが素晴らしいのか。
登場するのは、隣接する敷地に住みながら40年間口をきいて
いない不仲な兄弟、キディーとグミー。そして彼らと同様に
牧羊で生計をたてている住民、獣医、保健局の職員など。
○見どころ
冒頭に羊の死骸を見つけ、耳のタグから隣で鳴く子羊を無言で
隣家に連れて行く男とそれを無言で受け取るやや髪の毛の薄い
同じような風貌の男が映ります。この2人が兄弟であり、口も
利かない仲だということは映像を見ていれば自然と伝わってくる。
なぜ不仲なのか?そこは敢えて説明がなかったけれど、この敷地の
名義が全て父親の意志でグミーのものになっていたことから、
何となく分かるような気がするのです。そこは想像しよう。
そして品評会で1位になったキディーの羊が、スクレイピーに感染
している疑いをグミーが仲間に話すと瞬く間に検査が入ります。
このスクレイピーは羊や山羊類の神経系を冒し、致死性の高い伝染病
かつ突発的に発症するらしい。そうなればもちろん鳥インフルエンザ
同様に、近隣の羊は全て殺処分になるわけです。
後で調べると、ここで飼育されている羊はアイスランディックシープ
という「世界で最も古く純粋な品種」ということで、この血統に
こだわる村人、特に兄弟の姿は納得できるというもの。処分後2年間の
収入保障や新たな羊購入資金を得ることができたとしても、血統は
途絶えるわけです。キディーはグミーの嫌がらせと考え、さらに
憎しみを募らせるけれど、実はグミーにも秘密があり、それをキディーは
知ってしまう。村人と歩調を合わせていたはずのグミーと、処分に
反抗し、村八分状態で酒に溺れるキディーが、同じ思いを持っていた
ことを知る瞬間は、言葉ではなく彼らの行動で全て理解できます。
カンヌ国際映画祭などヨーロッパの有名な映画祭で賞を獲得する映画の
ラストは大体唐突ですが、これも然り。キディーの家に飾ってあった
父と兄弟の昔の写真の時同様に兄が弟の世話をした時代に戻るためには、
生まれた時の姿に戻る必要があった気がしてなりません。
ホワイトアウトした世界が明るくなった時、希望が見えたのでしょうか。