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- 2023.01.12 Thursday
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JUGEMテーマ:Horror
「ザ・シェフ 悪魔のレシピ」
原題:K-Shop
監督:ダン・プリングル
2016年 イギリス映画 120分 R18+
キャスト:ジアド・アバザ
スコット・ウィリアムズ
ダーレン・モーフィット
ケバブ店を営むクルド人移民のサラールは、父を
不条理に殺され、怒りを募らせる。ある晩、身勝手な
ふるまいをする客を、彼は誤って殺してしまい...。
<お勧め星>☆☆☆ 単なるホラー映画ではなく、社会
問題を提起する内容になっています。
キャッチコピーがあの「スウィーニー・トッド」(2007)
にインスパイアされた...とあるけれど、復讐物、舞台が
ロンドン、人肉、光る刃物くらいで、ストーリーは全然違うと
言っても過言ではないです。
○見どころ
ケバブは、中東や周辺地域で供される料理であり、よく吊るした
肉塊を刃物でそぎ落として客に提供するシーンが映りますよね。
当然この映画では、そのケバブの原材料が人肉なのですが、
そこに至る経緯があまりにも悲しいのです。
主人公の親子がクルド人移民であり、フセイン政権下で毒ガス攻撃
を受け、イギリスで自由を求めようとしたこと。しかし彼らは
イギリス人から差別を受け、治安の悪い地域で傍若無人な若者の
振る舞いに毎晩耐えていることなどを知ると、この酒とドラッグに
溺れ、下品な言葉を連発する奴らはどんどんケバブにしちゃえ!
などと思ってしまうのは、あまりに浅はかな考えでしょうか。
最初はアクシデントで客を殺してしまい、代金を払えない
ことで在庫がない肉の代わりに、それを使っちゃう。この辺りは
丁寧に丁寧に描かれます。結構グロいんですが、ホラー映画に
慣れていれば大丈夫かな。案の定、そのケバブは「最高に上手い!」
とにかくクソみたいな客ばかりくるわけですよ。そして必ず移民を
差別する言葉を口にするんです。イギリスがEUを離脱したのも
そんな人々の声が高かったからなのでしょうが、どこの国でも移民が
支えている産業が多いはず。彼らは重労働、低賃金にも甘んじて夢を
追いかけるわけです。「ディーパンの闘い」(2015)ではタミル人
難民が、最後にはイギリスでの夢のような生活を送ることを願って
いました。
映画内でサラールは、店の切り盛りで学位取得をあきらめますが、
学位を取ったところで、トルコ系移民サマのように安ホテルの支配人に
なれるのが関の山なのです。
こんな風に移民目線で映画が進むので、サラールの行為が一概に
否定できなくなってしまう。
●惜しいところ
邦題がおかしい。「悪魔のレシピ」って「悪魔のいけにえ」を
意識してつけたのでしょうが、あちらは能天気なソーセージ作り一家、
こちらは苦労してもそれが全く報われない親子の姿、おい、違うだろ。
どちらかというと「人肉ラーメン」(2009)に近い気がします。
一応付け加えると、血が苦手な人、リバースシーンの嫌いな人には
絶対にお勧めしません。