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- 2023.01.12 Thursday
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JUGEMテーマ:洋画
「ニュースの真相」
原題:Truth
監督:ジェームズ・バンダービルト
2015年 オーストラリア=アメリカ映画 125分
キャスト:ケイト・ブランシェット
ロバート・レッドフォード
エリザベス・モス
トファー・グレイス
デニス・クエイド
2004年CBSテレビの「60ミニッツ」は再選を目指す
ブッシュ大統領の軍歴詐称疑惑を報じる。プロデューサーの
メアリーは、丁寧な裏付けをとり、内容に自信を持っていたが、
一部のブロガーから、疑惑を追及され始めると、証言者が発言を
次々に撤回していくのだった。
<お勧め星>☆☆☆☆ まさに現代の報道の現場を見るような内容
でした。
真実を追求することはジャーナリストの本質だ
原題「Truth」そのものの内容です。この映画が製作されたのが、
アメリカ大統領選を控えた時期であり、政治的な意図を感じるの
ですが、問題はそんな単純なものではないと知ってほしい、いや
知るべきなのです。
「昔は良かったね」昭和の人間はよく言います。情報源がテレビ、
ラジオ、新聞、雑誌のみであり、各々が限られた情報の中から、
自分の考えを持つことができ、それを見ず知らずの人に批判される
ことなどなかった。しかし、ネットが普及した現代社会においては、
東京五輪のロゴ盗作問題がネット上の指摘から始まったことのように、
あらゆる人々が溢れる情報を得、そこから真偽を指摘することが
できるのです。悪意のある偽情報も流せます。
CBSテレビのプロデューサー、メアリー役はケイト・ブランシェット。
もう貫禄の演技なので安心して見られます。そして彼女の父親的存在で
看板キャスター、ダン役はロバート・レッドフォード。ルックス的
にはかつての面影もないけれど、広い心を持ちいつも落ち着いている
人間を好演。
スクープとして取り上げたブッシュ大統領の軍歴詐称問題が、1つの
綻びから始まって、CBS会社自体の問題となり、親会社が共和党側で
あったことも大きく関係して、報道の撤回、さらには調査委員会実施
まで追い込まれていく様は、映画中盤より坂道を転がり落ちるように
描かれていきます。
そこでの論点が「真実」つまり「軍歴詐称があったのか否か」ではなく、
報道した人間の個人の資質にすり替えられていくのは、まさに
現在進行形で起こっているようで空恐ろしい気がします。どれだけ
「確証」をあげたところで、出来上がった構図を塗り替えることは
困難を極めるのです。
「権力者の横暴」と冒頭にメアリーは語りますが、
「報道する側の傲慢」も見え隠れするし、取材された人間が、
一般人でありながら追いつめられるのは見ていて辛い。
「真実を追求すること」の難しさは、時代が変わるにつれてますます
困難になっているのかもしれません。しかしだからといって、真実を
求める姿勢をうしなってはいけないのです。