ある戦争

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JUGEMテーマ:洋画

 

ある戦争

 

「ある戦争」

原題:Krigen

監督:トビアス・リンホルム

2015年 デンマーク映画 115分

キャスト:ビルウ・アスベック

     ツバ・ノボトニー

     ソーレン・マリン

     ダール・サリム

 

アフガニスタンの平和維持のため巡視任務に

あたるデンマーク軍のクラウス率いる部隊は突然

敵襲を受ける。瀕死の重傷を負った部下を救うため、

彼は敵を確認しないまま空爆を指示するが、そこで

民間人が犠牲になり、軍事裁判を受けることになって

しまう。


<お勧め星>☆☆☆☆  全てを見終えたとき虚無感と

いう何とも言えない思いが残ります。


世界が望まない方向へ行かないために


デンマークは幸福度ランキングではトップに挙げられる

国であり、日本から見ると高福祉高負担国家と、まさに

恵まれた国であるかのように思えます。しかしながら

18歳〜32歳の男子に徴兵制があり、4か月の兵役が

あることは全然知らなかったです。また平和維持活動に

積極的に参加しており、対テロ戦争にも多くの人員、物資を

供給しているのです。だから遠く離れたアフガニスタンに

主人公が「巡視」として派兵されるのも当然なのですね。

また成文憲法を長期間改正していない国としては1946年

以来の日本に次いで、1953年以来という2番目という

事実もあります。
さて、この映画では、前半がアフガニスタンにおける

平和維持活動を行うクラウスの部隊の日常が映し出され、

冒頭若い兵士がIED(即席爆発装置)で両足を吹き飛ばされ

命を落とします。彼らは「巡視活動」しているはずなのに、

ですよ。現場は常に緊張感に包まれており、それは本国で

夫のいない生活を送るクラウスの妻子の日常生活において

ギリギリ保てる平静さと同じレベルで感じられるのです。

夫婦は電話を通しては互いに「何もなく平和だ」と語ります。

胸の内など語れるはずもないのです。
後半は、突然攻撃を受けた部隊は、隊員の1人が瀕死の重傷を

負い、敵の位置確認をしないまま空爆を要請したことで、

クラウスは軍事法廷で裁かれることなる風景と変わります。

そう、隊員は空爆の後のヘリの到着で命は助かったものの

空爆により、アフガニスタンの民間人が11名亡くなったこと

への起訴なのです。軍事法廷に立つクラウスに問われる質問は

ただ一つ「敵が空爆地区、つまり第6地区にいたのを確認したのか」

その場の混乱する姿を見ている側としては、真実を語りたい

クラウスの気持ちも手に取るようにわかります。しかしそうする

ことで、クラウスは犯罪者となり懲役刑をうけることになるし、

クラウスの家族をさらに追いつめることになるのです。また部隊

の名誉も損なわれてしまう。
検察側の尋問は厳しく、犠牲者の中に子供がおり、その遺体写真

まで見せます。

「あなたの指示でこんなことが起きた。たとえ事情があろうとも

国際人道法に例外はない」
実際のところ、裁判自体は形式的に行われ、仲間の証言が決定的な

証拠となって、クラウスは無罪となります。民間人への誤爆に

対する責任を追及したという姿勢を見せることが必要であり、

それが国や軍隊の立場を守ることにつながるのだなあと思って

しまう。それは法廷にいたすべての人々が知っていることなのでしょう。
しかし無罪を獲得し、晴れて帰宅したクラウスは、息子ユリウスを

寝かしつけるのですが、その時、小さな2本の足に目が留まる

のです。それは、タリバンに襲われるからかくまってほしいと

訴えたアフガニスタンの一家に対し、「翌日向かう」と伝えた後、

その翌日銃殺された姿で見つかった一家の息子の足。そして

クラウスが空爆を指示したことで犠牲になった少女の傷ついた足

と何も変わらない、同じ子供の足なのです。
戦争に善悪などない。戦地、いや緊張はあるけれど戦闘状態に

ないかもしれない地域に派兵された兵士たちは、敵と遭遇すれば

戦うことが「使命」であり、そうしなければ自らの命を失うことに

なるのです。日本では1993年、カンボジアへPKO部隊として

赴任していた文民警察官が現地の身元不明武装勢力に殺害される

事件が起きました。最近になってNHKスペシャルでその真相が

報道されましたが、文民でいられなくなる緊迫した状況下であり、

現地で秘かに武器を購入していたことを知りました。「平和維持」

などときれいな文字で語られようが、正当化する理論を

ふりかざそうが、現実はそんなものではないことを実感します。

こんなこと皆知っているのに。
興味深いのは、最終法廷で、検察側、弁護側の主張の最後が全く

同じこと「世界が望まぬ方向に向かってしまう」を訴えたことです。

結局は何かの犠牲を伴って幸福を得ている国が世界に数多く存在

することを知らされ、無力感に包まれてしまいました。

 

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