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- 2023.01.12 Thursday
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JUGEMテーマ:韓国映画全般
「哭声/コクソン」
原題:The Wailing
監督:ナ・ホンジン
2016年 韓国映画 156分
キャスト:クァク・ドウォン
ファン・ジョンミン
國村 隼
チョン・ウヒソウル
ソウル郊外の小さな村で家族を惨殺する事件が多発する。
警官のジョングは村人の話から、山の向こうに住む1人
の日本人が怪しいと考えるが、彼の娘ヒョジンの体に、
殺人を起こした人々と同じ発疹が出たことで、次第に
追いつめられていき...。
<お勧め星>☆☆☆☆ ホラー映画は大体平気なんですが、
この映画はとにかく怖かったです。人間の恐怖のツボを
ビシビシついてくる感じがしました。
何が起きたのか?
監督は「チェイサー」(2008)「哀しき獣」(2010)
で極めてハードな暴力描写と、スピード感あふれる
アクションシーンの連続で、ひと時たりとも目が離せない
映画を製作したナ・ホンジン。どちらの映画もとことん
残酷であり、人間の心の闇を、そう、ここは隠しておいて
ほしいと思う部分を露呈するという内容でした。
今回の映画の題名「コクソン」は主人公ジョング達が住む
山あいの小さな村、谷城(コクソン)と「泣き叫ぶ」という
意味の「哭声」をかけているそうです。
冒頭から血生臭い殺人事件が起き、警官ジョングが現場に
駆け付けると、血まみれで顔に発疹のできた親戚の男が呆然と
座っています。彼が犯人なのですが、その姿はまるで人間とは
思えない形相なのです。最初からドカンと衝撃をくらった
感じで、この先どうなるのか読めないストーリーに胸は
ドキドキするばかり。
そして一方、山の向こうには素性の知れない日本人が住んで
いて、彼はふんどし一丁で山を駆けまわりシカ肉を生で
食べているというにわかには信じがたい噂が広まっている
のです。この日本人役を國村隼さんが演じているのですが、
その迫力たるや「物凄い」に尽きます。日本の田舎町に
おいても「よそ者」=「不審人物」と思われがちなのと
同じで、ここでも多くの事件はこの日本人が犯人なのだと
信じられていくわけです。明確な根拠はないのですよ。
これが加速するのは、ジョングの一人娘ヒョジンの体に発疹が
表れ、様子が明らかに変になってから。この子役の演技も
凄いんです。笑い、泣き、悲鳴を上げ、雄たけびのような
声を出し、のけぞる..。ジョングは事件の犯人にみな同じ発疹が
出ていたことから、もう彼の頭では「犯人」=「よそ者」と
決まっているわけで、彼を懲らしめるため、山へと向かい、
彼を脅し、犬を殺したうえで「3日以内に村を出ていけ」と
言い放ちます。この辺りのスピードある映像はさすが
ナ・ホンジン監督と思うけれど、犬については関連性を
持たさなくても良かったと思ってしまう。
そしてジョングの義母は、孫可愛さにソウルから祈祷師を
呼ぶわけです。この役はファン・ジョンミン。彼も穏やかな
役から残酷な役まで幅広い演技のできる俳優さんで、今回は
何やら胡散臭いけれど、口は達者な祈祷師役を熱演しています。
この祈祷師の祈祷するシーン、日本人の何かを唱え続けるシーン、
それによって「エクソシスト」のリンダ・ブレア並みに
海老ぞるヒョジンの声や動きがくるくる順番に映り続け、見て
いる側はただただ圧倒されるばかりです。
ところがもう一人人物がいたことに気づくのは映画の終盤で、
そういえば火事になった家の警備にあたっていたジョングは、
白い服の若い女性を見ているのです。この人物は誰なのか?
悪や不吉の象徴である「カラス」が幾度も登場し、この村に
巣食う「何か」を印象づけます。それは何か?
ラストについてはいろいろな解釈ができると思うけれど、人と
いうものが「よそ者」に対し必要以上に警戒心を持ち、それが
「決定的な認識」に変わるのはいともたやすいことで、まさに
悪魔は「釣り糸を垂らしていてそれに食いついたら最後」と
いうことになるのですね。いや、もう1回見直してちゃんと
理解したくなる映画だけれど、見るたびに解釈が変わりそうな
すごい映画でした。
特に後半の怒涛の畳みかけなんか見事だったと思います。
揺れるよ〜揺れちゃうよ〜とか思いながらみてました(笑)
國村さん、私は朝のテレビ小説が存在知ったのが初だったんですが、いい役者さんですよねえ。