最初に父が殺された

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JUGEMテーマ:サスペンス映画全般

 

最初に父が殺された

 

「最初に父が殺された」

原題:First They Killed My Father

監督:アンジョリーナ・ジョリー

2017年 アメリカ映画 136分

 

<お勧め星>☆☆☆☆ 

 

ルオンは何も知らない

 

 

監督はアンジョリーナ・ジョリー。「最愛の大地」

(2011)ではボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争中

の性暴力への国連の無策ぶりを訴えたかったので

しょうが、的が絞り切れておらず不要と思われる恋愛も

絡めてあって、全く感情移入ができませんでした。
「不屈の男 アンブロークン」(2014)は公開前から

反日映画とネットで叩かれていたのでどんなものかと

思いとりあえず見始めたものの、10分ほどで脱落。

日本人の描かれ方があまりに雑すぎて、問題のシーンまで

辿りつくことができませんでした。というわけで、わたし

の心の中ではアンジョリーナ・ジョリーは、女優としては

才能があるけれど、製作する側には向いていないのではと
思い続けていたのです。彼女が人道支援の崇高な志を持ち、

実際に活動していることはとても尊敬に値するのですが、

それが映像になったときにはグロテスクなシーンが誇張

されてストーリーが追い付いていない気がしていました。
今作はルオン・ウンという人物の

「最初に父が殺された 飢餓と虐殺の恐怖を超えて」

という実話を基にした映画です。
カンボジアといわれて頭に思い浮かんだのは、

アンコールワット

シハヌーク国王

ロン・ノル将軍

ポル・ポト政権

大虐殺

という単語でそれらがどのようにつながっているのか全く

理解できていません。しかしこの程度の知識で映画を見ると

まるで、映画の主人公で8歳のルオン同様に何が起きている

のかわからず、言われるがままに田舎へ追い立てられ、

強制的に働かされ、身内の死に涙を流し、突然の爆撃や銃撃に

怯える気持ちになれたような気がします。

 

最初に父が殺された
 

最初に父が殺された

 

冒頭、かなり裕福そうな一家が映ります。父は政府の職員で

あったのに、突然現れた武装集団、クメール・ルージュに

よって家を追い出され、街から農村へと強制移住させられるの

です。それは1975年クメール共和国崩壊により、反米かつ

極端な共産主義をとるクメール・ルージュと総称される

政治勢力によるもので、半植民地主義と原始共産制をめざすと

いうもの。だから映画内で欧米のものは捨てさせられ、財産は

すべて没収、労働キャンプで働き、すべて国のものとして納めて

いくことになるのです。
しかしこの極端な思想が広がった元をたどると、アメリカが

引き起こしたベトナム戦争が存在し、さらに南ベトナムへの空

爆はカンボジア全域にも達していたことから、今の世界情勢と

少しも変わらない構図が見え隠れします。
ただルオンにしてみると、なぜ急に自分の家を追い出されたのか、

父が農民と身分を隠すのか、「オンカー」と呼ばれる少年兵も

含む戦闘服の人たちが、なぜに自分たちを憎み、労働を強制する

のか全く分からないのです。それは飢えと暴力、監視され、

密告されることへの恐怖、やがては拷問され死んでいく恐怖を、

目のまえに広がる光景から察して行くのが手に取るようにわかります。

同じ国の人民なのに、同じ言葉を話すのに、なぜにこんな行動を

とるのだろうか。
「灼熱の魂」(2010)ではレバノン内戦での少年兵の姿が映り

ましたが、ここでも洗脳しやすい少年少女を戦闘員として扱います。

これは現在も中東やアフリカなどで数多く見られている状況で、

いったいいつになったらこのような悲惨な光景を見なくなるのだろう

と考えるだけで心が暗くなります。

 

最初に父が殺された
 

ベトナム側の難民キャンプに逃れて仲間ができたと思ったとたん、

そこをクメール・ルージュが襲う。なぜに自国民を銃撃するのか。

この不条理さを体験したルオンはそれでも兄妹たちと再会する

ことができました。しかしそれ以上に失われた命の多さを考えると、

戦争ということの不毛さを感じざるを得ないのです。
映画全体がルオン視点で描かれており、ラストも希望が見えるもの

だったことで、今までのアンジョリーナ・ジョリーの映画の中では

最も好きなものになりました。

 

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