サンド・ストーム

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JUGEMテーマ:洋画

 

サンド・ストーム

 

「サンド・ストーム」

原題:Sufat Chol/Sand Storm

監督:エリート・ゼクサー

2016年 イスラエル=ドイツ映画 87分

キャスト:ラミス・アマル

     ルバ・プラル

     ハイサム・オマリ

 

イスラエルの砂漠地帯に暮らすレイラの父は第二夫人

と結婚する。華やかな宴の後、第一夫人であるレイラ

の母アシュラは不機嫌となり、レイラの携帯電話に

男性からの着信があったことから、彼女の外出禁止を

言い渡すのだった。


<お勧め星>☆☆☆ 古い価値観が今も存在し続ける

社会をこの目で見ると、どこか似ている部分を感じて

しまいます。


トンネルと格子窓


映画の序盤と終わりに、おませな次女が新婚夫婦の部屋

をのぞき見するのですが、その中にいるのはまったく

別の2人であり、またまったく違う表情を見せています。

しかしのぞいている次女もいずれはこの格子窓の世界に

入っていくのだろうと思えるのです。
この映画はイスラエルとドイツの合作映画で、イスラエル

におけるイスラム教徒、ベドウィンと呼ばれるかつての

遊牧民族の姿を描いています。戒律の厳しいイスラム教徒

の姿を描いたものはイラン映画「彼女が消えた浜辺」

(2013)があり、男たちがしきりに口にするのは

「名誉と恥」という言葉で、この映画でも「恥」「手順」

など宗教だけでなく部族のしきたりに縛られた人々の姿を

見ることができるのです。
砂漠の中を走る車を運転しているのは、女学生のレイラで、

彼女の成績をしきりに気にする父スリマンが映ります。

 

サンド・ストーム

 

そうか、この父は進歩的な人なんだ、と思ったのもつかの間、

人家が見えてくると運転をサッと交代するのです。何となく

ですが、この砂漠に暮らす人々の中にも新しい風が吹き込んで

いるようにも思えるのですが、いったん村に入るとその風は

ぱたんと止まってしまうのです。

 

サンド・ストーム
 

第二夫人をもらうスリマンに対し、終始不機嫌な第一夫人

ジャリラは、レイラにも厳しく、因習に縛られた人物そのもの

のように感じるのですが、やはり終盤には、隠されていた

本当の心を表します。
「ここで生きなくていい」
さらに幸せそうな第二夫人アファフも、レイラに対し

「早く結婚しないと私のようになる」つまり「年の離れた男性の

第二夫人にしかなれない」と語り、自らの境遇を望んで選んだ

わけではないと知るのです。

 

サンド・ストーム
 

レイラには学校でのBFアンワルがいるけれど、彼女の村では

部族同士で男たちの決めた相手と結婚しないといけない。

アンワルがレイラの家を訪れた時、風にはためく洗濯物が

邪魔で邪魔でたまりません。どれだけ洗ったんだろうと思う

ほどの量の洗濯物がロープに挟んで並んでいます。それが

彼女を含め、ここに住む人々の囚われている多くの物を

示しているように見えます。なんせ駆け落ちしちゃったら、
「恥」をかかせたということで首を切られても文句が

言えないほどなのです。アンワルについて細かく描かれて

いませんでしたが、何か宗教的な罰を受けることで家を

壊さなければならないと語っていたような。
そんな家に嫁がせるなど、スリマンにとっては「恥」に

ほかならないわけです。あれほど冒頭に開けた話をしていた

スリマンが、村の長老には二つ返事でレイラの婚姻を受けて

しまう。そこにレイラの意志は存在しません。
レイラは第一夫人としての座も追われた母の姿を見、恋しい

相手の存在も知らせ、そして遂に家を出ようと決心するの

ですが、「真ん中のトンネルを抜けたら待ってるよ」という

アンワレのもとにどうしても行けないのです。
あそこにトンネルの出口が見えていて、向こうは明るいのに..。

ここで車の中で泣き崩れるレイラを見ると、なぜかその

気持ちがわかったような気になります。日本でも田舎の因習は

目に見えないけれどとても厳しく、それを破ると二度と戻れ

ないし、戻ったとしても、居心地の悪い生活しか送れなくなる。

郷に入ったら郷に従え。いや、そんなんじゃない。地縁血縁

のつながりが強すぎるのです。
レイラが戻ってきたのは夜の闇に包まれた村であり、スリマンに

強い意志でわがままを言うのです。それは彼女が守りたかった

ものがバラバラにならないために仕方のないことなのだろうか。
母と父と妹たちと祖父母を捨てるエネルギーを持つには、まだ

レイラは幼すぎたのだろうか。ここを出た先の生活への不安が

強かったのだろうか。それともそれら全てなのだろうか。
戻ったレイラの気持ちがよくわかると同時に、彼女もきっと

母や第二夫人同様に、いつかは後悔するんだろうなと思って

しまうのでした。

 

 

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