万引き家族

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万引き家族

 

「万引き家族」

監督:是枝裕和

2018年 日本映画 120分 PG12

キャスト:リリー・フランキー

     安藤サクラ

     松岡茉優

     樹木希林

     城桧吏

     佐々木みゆ

 

東京の高層ビルの谷間にある古い家屋に治、信代夫妻

と息子の祥太、信代の妹亜紀が祖母初枝の年金を頼り

に暮らしている。治は祥太に教えるのは、万引きで

あったが、ある寒い晩、一人の少女が団地の外で座って

いるのを発見し、治は家に連れ帰ってしまう...。


<お勧め星>☆☆☆☆半 見るたびに解釈が変わるような

映画です。中身が濃く奥が深いです。


捨てたのではなく拾った


是枝監督の映画はどれも好きで、

「誰も知らない」(2004)

「歩いても歩いても」(2007)

「空気人形」(2009)

「海街diary」(2015)

「海よりもまだ深く」(2016)

「三度目の殺人」(2017)などを鑑賞して

います。一番好きなのは「海街diary」ですが、美人4姉妹が

みんな好きな女優さんだからという極めて単純すぎる理由で

あり、どの映画も淡々とした中にいくつも考えさせられる内容

が盛り込まれていると思っています。
「万引き家族」を劇場で観たのは公開の翌週であり、

パルムドール受賞作品かつレディースデイもあって、ほぼ満席の

状態でした。観終わってエンドロールになっても誰一人席を

立たず、わたしも今目の前に映し出されたことを頭の中で

まとめきれず、ただ座り続けました。ただ今になって思い返すと、

あの時の感想が一番この映画について自分の心を表している

のではないかと思ってしまいます。それは

「しっかり考えるべき深い映画だ」

ということ。
その後いろいろなメディアやsnsなどで情報を知るたびに

「その通り」「いやそれは違う」と怒りにも満ちた感情すら

湧くのを覚え、つい「映画は観たままの映像を理解すれば

いいものと、その時のセリフ、視線、状況を自分なりに解釈

して想像するべきものがある」などと傲慢なことを発信して

しまい、とても反省しました。
さて、この一家は、一応日雇いで働いている治とパートの信代

の稼ぎで生活していると思いきや、実は祖母初枝の年金が

主な生活費であるとわかってきます。そして治は祥太が日常的

に行っている万引き。「棚に並んでいる物は誰の物でもない」

と治に教わり、祥太も何の罪の意識もなく、そのスキルを

身につけていくわけです。
そしてある凍えるように寒い晩、団地の外に一人で座っている

少女を見つけてしまう。連れ帰った治の後先を考えない行動は、

これまでの人生もそうだったんだろうし、これからもそうなん

だろうと思うけれど、「悪い奴」ではないのです。「あの人、

人はいいと思うんだけど」と「あの人、悪い人じゃないのよ」

とは微妙に違う意味合いを持っている、そんな感じがする男の

ように思えます。
「あんた痩せてるわねえ」「この傷はどうしたの?」

「ほら食べな」ゆり、と名乗る少女に家族がかける言葉から、

今社会問題になっている出来事が目の前に提示されていくことに

気づきます。それがとてもさり気ないし、映画内で特に重く

取り上げられるわけでもありません。ただ信代と風呂に入った

その少女ゆりが、信代が仕事で負った火傷の跡に手を当てた時、

信代はものすごく幸せそうな顔をするのです。安藤サクラを

初めて映画で観たのは「愛のむきだし」(2009)で

カルト教団の信者役であり、ものすごく不気味な女性と

感じたのですが、「百円の恋」(2014)では凄まじい

女優魂を見せつけ、今作では誰も真似ができないような笑顔、

泣き顔、怒りを秘めた顔を見せています。特に終盤の演技は

信代の気持ちが全て自分の体に乗り移ってしまうように感じて

しまうのです。それから忘れていけないのは信代の妹亜紀役

の松岡茉優の演技であり、可愛いだけじゃなく、どんな

汚れた役にも適応できる素晴らしい女優さんになっていくの

だろうと確信しました。
家族の中で隠されていた事実や嘘が明らかになっていくと、

彼らが結びついていたのは単に「生活」のためではないと

わかってきます。

人並みの幸せがほしかったのか?

人並みって何を定義として語るのか。

手に入れられるはずもないものを手にしたかったのか?

それを安易に捨てる人がいるから拾ったんじゃないか。
怒りと嘆きに満ちた気持ちに包まれますが、自分たちの知らない

世界の存在を知ることができた子どもたち、短い期間でも

どうしても欲しかったものを手にすることができた人たちは、

その瞬間は幸せだったんだろうと思うのです。

 

万引き家族

 

刹那的な幸せを求めるのではなく将来を見据えて行動しよう

などと語る人々に、将来の展望以前に明日を無事に迎えることが

できるかを考える人たちのことを理解できるのでしょうか。
細野晴臣さんの音楽がとても耳障りがよく、それも心を穏やかに

してくれる要因の一つになりました。
是枝監督の書き下ろし本も読みましたが、映画を観てから

読んでもいいし、読んでから観てもいい、どちらにしても両方

ともお勧めの作品です。

 

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