ロープ 戦場の生命線

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JUGEMテーマ:洋画

 

ロープ

出典:IMDb

 

「ロープ 地上の生命線」

原題:A Perfect Day

監督:フェルナンド・レオン・デ・アラノア

2015年 スペイン映画 106分

キャスト:ベニチオ・デル・トロ

     ティム・ロビンス

     オルガ・キュリレンコ

     メラニー・ティエリー

     フェジャ・ストゥカン

 

1995年、バルカン半島で「国境なき水と衛生監視団」

は住民の水源である井戸に投げ込まれた死体を引き上げて

いた。しかしそのロープは切れてしまい、彼らは地雷が

置かれている危険な道路を車で走り、ロープを探すことに

なるのだったが...。


<お勧め星>☆☆☆☆ のどかな雰囲気を漂わせながら、

実は重いテーマを扱っており、それがかなり違った角度

から描かれています。


今だけを見て進むだけ


水は人間が生活していくうえで必要不可欠なものであり、

砂漠地帯や山岳地帯ではその水を求めて何時間もかけて

歩いていくという現実があります。その水源が井戸で

あったとき、もしも紛争が起きて敵味方に分かれたら、

その井戸を使えなくする行為を考えつくのは当然なのかも

しれません。しかしそれは敵が行ったとは限らず、

もしかしたら水を有料で販売して商売をしようと考える

不届きものの行為かもしれない。この映画では井戸に死体が

投げ込まれ、それを引き上げるためのロープがあと少しの

ところで切れてしまったため、ロープを求めてひたすら

車で移動する「国境なき水と衛生監視団」のある1日が

描かれているのです。

 

ロープ
出典:IMDb

 

この団体の現場のリーダーはベニチオ・デル・トロ演じる

マンブルゥ。「ボーダーライン」(2015)の眼光鋭い男

とは打って変わって、心は優しいけれど、女にはだらしない

男です。

 

ロープ
出典:IMDb

 

相棒のビーを演じるのは「ミスティック・リバー」(2005)

のティム・ロビンス。それにフランス人ソフィーと現地通訳

ダミールが2台の車で行動していくのです。
場所はバルカン半島のどこか。時は1995年。映画内で

「ボスニア」というセリフがあったことから、セルビア人が

ボスニアからの独立を目指して戦争を繰り返した

ボスニア・ヘルツェゴヴィナ紛争直後のその地域を描いていると

思われます。「平和協定」がNATO主導のもとに締結され、

国連軍が駐留していても「国際紛争中でなければ行動しない」し、

「地雷があれば除去に向かう」というあくまでも杓子定規な
考え方は現場で通用するはずもない。それは誰でもわかること

だけれど、さらに深く考えると、「国境なき水と衛生監視団」

が住民のために活動をしている、武器は持っていないとアピール

したところで、所詮彼らは「外国人」=「よそもの」なのです。

地元民にすると「外国人は戦争とともに来る」と考えられ、

無償の好意だとしてもそれが必ずしも受け入れられるわけでは

ないのです。したがって切れたロープの代わりを購入するために、

危険を冒して町に向かっても、目の前に山ほど置かれたロープを

販売してもらえません。
たかがロープ、されどロープ。

ロープがなければ井戸の死体は引き上げられないし、そのロープを

入手するために、地雷や武装組織を避けながら移動しなければ

ならないのです。さらに死体は腐敗するので24時間以内に

引き上げないといけないというタイムリミットもあるわけです。

この死体がものすごく太った男?で、その太った理由を話す

マンブルゥとビーの会話がかなり間抜けな内容になっています。

 

ロープ
出典:IMDb

 

実際はかなりヘビーな内容で、地元の子供ニコラがボールを

取られているのを止めに入ると、そのいじめている年長の少年は、

マンブルゥに銃を向けます。子供すら銃を持って武装している

のです。また地元の検問所には捕虜と思しき人々がバスに

乗せられていくのをこの目で見るのです。彼らの行く末は

言わなくてもわかっています。それが紛争地域の現実なのです。
と、どんどん暗くなりそうでハラハラしてきた内容の中に突然

入りこむコミカルなシーンには必ず笑わせられます。新しい女性が

加わったと聞いて覗きに行くとそこにいるのは、かつてマンブルゥと
関係があったカティヤがいるのです。この役は「007 慰めの報酬」

(2008)のオルガ・キュリレンコ。カティヤと付き合った

ものの実はマンブルゥには恋人がおり、それが後にカティヤにばれて、
彼女から恋人サラに二人の関係をバラされてしまうという修羅場が

あったらしい。

修羅場だよな、絶対に。
ロープがあるにはあったものの、それは猛犬をつないだもの

だったり、その犬には鎮静剤が一切効かず、全く別の場所で見つけた

ロープを使うことを決意するものの、それはこの紛争の悲惨さを

リアルに伝えるものであったりと、緊張の糸が緩んだり、強まったり

の繰り返しです。さらにようやく死体の引き上げを再開すると...。
あらゆることが不条理で、机上の論理を振りかざす権力への抵抗も

許されず、また地元民の理解も得られず、それでも彼らは活動を

し続けるしかない。かつて多くの人々の生活の場であった場所が

瓦礫の山と変わっていて、人々は二度と同じ場所に集まることはな

いだろうとしても、過去は振り返らず、そして未来も期待せず、

今、この時を見て進むことが彼らの唯一出来ることなのだと

実感します。

 

ロープ
出典:IMDb

 

最後に乾いた大地に降り注ぐ雨は、その地に住む人々を同じように

濡らし、そして潤いをもたらしていく。しかし彼らは今から

壊れた難民キャンプの便所を直しに行くのだ、と聞くと、この雨は
恵みの雨でありつつ、皮肉な雨でもあると思えて、また少し笑って

しまいました。雨が降る直前に

「これで雨が降ったら便所があふれてえらいことになる!」と

言ったばかりなのです。どうなっているんだろう。

紛争地域の一日を切り取って、静かに反戦のメッセージを伝える

秀逸な作品です。

 

 

 

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