ラッキー

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JUGEMテーマ:洋画

 

ラッキー

出典:IMDb

 

「ラッキー」

原題:Lucky

監督:ジョン・キャロル・リンチ

2017年 アメリカ映画 88分 PG12

キャスト:ハリー・ディーン・スタントン

     デビッド・リンチ

     ロン・リビングストン

 

90歳で一人暮らしのラッキーは毎日同じ時間に起き、

全く同じことを繰り返す日々を送っている。しかし

ある日彼は家で突然倒れ、医者に「加齢」が原因と

言われたことで、急に自分の「死」について考え始める

のだった。


<お勧め星>☆☆☆半 哲学的な会話も個性あふれる俳優の

演技ですんなり頭に入ってきます。


タートルではなくトータス


2017年9月に亡くなったハリー・ディーン・スタントン

の最後の主演作です。映画内の設定は90歳。亡くなった

年齢が91歳ということで、ほぼ同年齢の男性を演じた

ことになります。
ラッキーは毎日同じ時間に起き、たばこに火をつけ、朝の

身支度をし、ヨガらしきものを行い、牛乳をコップに1杯

飲むのです。次に飲む牛乳をコップに注ぎ冷蔵庫にしまって

おくことも忘れません。
彼のしわだらけの顔やたるんだからだの皮が、その老いを

十分すぎるほど感じさせます。

 

ラッキー

出典:IMDB

 

そしてカウボーイハットをかぶってダイナーへ行き、店主の

ジョーに禁煙を勧められるのを無視し、パズルをしてから

帰宅する途中で牛乳を買っていくのです。夜は行きつけの

「エレインの店」でブラッディ・マリーを必ず注文。

ブラッディ・マリーはウォッカベースのトマトジュースの

カクテルだけれど、トマトジュースは嫌いだから、ウォッカ

好きだけれどこれは飲めないな。それにラッキーのグラスに

マドラー代わりに差してあるのは明らかにセロリよね。

これもアウト。

 

ラッキー

出典:IMDb

 

この「エレインの店」で友人ハワードが飼っていたリクガメが

逃げ出したと語るのです。名前は「ルーズベルト」。

ハワード役はなんとデビッド・リンチで、それなりに味わいの

ある姿を見せています。そういえば映画の冒頭とラストに

リクガメがのろのろ砂漠地帯を歩いていたことを思い出し、

あれがルーズベルトかと気づくのです。鶴は千年、亀は万年と

いうことわざがあるので、亀は1万年生きると思っていたら、

実は鶴は最長でも80年、亀も180年ほどらしい。しかし

180年も生きるとしたら、夜店の露店で軽々しく亀など

買えなくなりますよね。でも180年生きたことを誰が

覚えていられるでしょうか。「この亀、今50歳よ」と言い

伝えていくのかしら。それでもハワードはルーズベルトを

100歳だったと語るわけです。
ラッキーは結婚したことはなく、家族はいないけれど、町の

人々はみな顔なじみだし、悪態をついたり、笑わせたり、

パズルの答えを聞くために夜、電話を掛けたりと、とても

居心地のいい空間に存在しています。神を信じていない

ラッキーにとって、「生」を意識した行動ではなく、ただ

彼なりのこだわりの生活を送ってきたにすぎないのですが、

ある日、彼が家で倒れ、医者から「加齢」が原因と言われた
ことで、急に心が揺らぎ始めるのです。ちなみにその診察の

時の医師との会話や手渡されたポップキャンディーをめぐる

やり取りは必見。大笑いしました。
今まで気にも留めなかった自分の「老い」と「死」。

その日から急に何か変わるかと思うと、やはりそれはなく、

いつも通りの生活を送ります。ただラッキーの心の中に

沸き起こった「死への恐怖」は夢となり現れ、また町の人々

との会話に少しだけ変化を見せます。彼を心配して自宅を

訪ねて来たダイナーのウェイトレスに打ち明ける秘密

「闇が怖い」

という言葉こそ彼のその時の心情を表していたのでしょうね。

他にもダイナーでの元海兵隊員との会話に出てくる少女の

笑顔など、「死」を意識したものが彼の心の大部分を占めて

いた時、牛乳をいつも買っているメキシコ人の店主の息子の

誕生日パーティーに呼ばれるのです。そこで急に立ち上がって

歌いだすラッキーと、それを見てほほ笑むメキシコ人たちを見ると、

ラッキーの存在が何かを超越したかのように思えます。

 

ラッキー
出典:IMDb

 

真実は物、全てはなくなり、ウンガッツ=ナッシング=無、

となるけれど、それへの執着を手放したとき、ラッキーの

ような笑顔が見られるのでしょうか。
同じように日常を描いた「パターソン」(2016)よりも

個人的には好きな映画です。

 

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コメント
パターソン」より、ずっとずっと好きです(笑)
今年の上半期のbest10に入れたんですけど、処々の事情で選外になちゃいましたが…
ネタバレ的なので、ここで少し、私の興奮に少しお付き合いして下さいね。スミマセンm(__)m

 老いと死! Mayumiさんのご指摘には、いつも、いろんな事に気付かされます。
“老い”のド真ん中にいる後期高齢者のラッキーも前期高齢者の私も、“死”はそれほど間近な恐怖ではないんですね。ラッキーも私も、ルーティンのように繰り返す日常は淡々として、目に見えない“死”はReal(現実的)ではないですね〜。
 ただ、突然、訳もなく昏倒したラッキーのように、自分の体に変調の“赤いシグナル”を感じ取った場合は、別で!
 この映画は、そこのところを、とても上手く掬い取っていると思いましたね。
 病気は治せても、加齢は治せない!彼は、その時、“老い”のすぐ横の“死”を見て、恐怖に駆られる、その表情がさすがにスタントン、素晴らしかったですね❣ 
 朝、赤く点滅するタイマーの赤い点滅が彼の顔に映るシーンや、バーの店外に出たラッキーが、真っ赤なライト照らされ、EXITのネオンサインが人生の“EXIT”(退場)というように見えるシーン。良かったですね〜
 
 彼の現実主義Realismは、物事Thing!客観的事実。 目に見えるもの、そこに実在するものがすべて。
だから、亀は亀であり家族でないし、エレインに想像でモノを言うなと言い、喫煙を咎められると、権力は主観的なものだ、と言い切るわけで。

 そんなラッキーが変わっていくところは実に見どころでしたよね☆彡
電話で友人に、子どもの頃、BB弾で小鳥を撃った瞬間、囀りが消え“静寂”が訪れた、あの悲しみ。暗闇の恐怖を、思い出すんだと、問わず語りするシーン。
朝、鏡に映る老いた顔を見て「生きたい」と思い、訪ねてきたロレッタに彼は「秘密を聞いてくれるか?死ぬのが怖い…」と打ち明けるシーン。彼女の「I know I know」に胸打たれましたわ。
 また、ダイナーの客、老退役軍人から、「沖縄の美しい少女が、米兵を見て輝くような“笑顔”を見せた」「彼女は、殺される運命を喜んで受け入れ“微笑む”のだ」と聞き、驚愕するラッキーの表情もスゴイですね。
 ビビに誘われたメキシコ人のパーティで、マリアッチ「今なら、やりなおせる」を歌うシーンも好きよ!
会場のみんなからの暖かい拍手が、ラッキーに、誰かに認められ、愛され、受け入れられる喜び!誇らしさ、幸せを教えてくれる❤
 
 AloneとAll Aloneは違う。“ひとり”と“孤独”は違うんだ!って。いいですよね(感涙)
 ラッキーは、初めて“Thing”が“Nothing”になる恐怖を感じたんだと思うんです。
だけど、一人で暮らしていても孤独じゃないんだってことも同時に知るわけで…。
彼の周りに彼を想う人達が何人もいて、愛されて、一緒に悲しんでくれ、一緒に喜んでくれると分かったからなんですよね。
 ペットショップの前で飼い犬を撫で「可愛い!」と言い、そこで買った給餌用のコオロギと一緒に眠り、廃園に置かれた女性像に微笑みかけるラッキーの変化がステキ。すべてを、ありのままを、優しく微笑んで受け入れられる、感動的でした。
 「暗闇、空(無)には、笑ってやるんだ!“微笑む”のさ!」って、いいな〜。
人生のエンドロールの彼は、笑って、微笑んで、生きる!私もそうありたいけど…

 サボテン荒野の坂道を歩くラッキーの遠景に画面手前から、ひょっこりとルーズベルトが歩いてくるシーンは最高に面白かったです。
流れるハリー・ディーン・スタントンの人生を歌う歌詞に、涙が流れちゃいました(笑)

というわけで、Mayumiさんの恩恵で、もう一度あの感動が蘇りました!(^^)!thank you❤です。
  • 中浜 恵子
  • 2019/01/03 5:37 PM
恵子さん、いつもありがとうございます。ラッキーが憎めない存在なんですよね。大戦中、日本と戦ったことで「ジャップ」と言い、本当は、差別だと怒るべきセリフなんですが、90歳の退役軍人ならそう言うだろうなと妙に納得してしまう。
その土地からほとんど出たことがないような白人だらけの町で、彼は何の変化もない日常を送っていたのに、そこに波風をたてたのは抗えない「加齢」とは、本当に皮肉です。
人間は誰でも老いて生を終えて行くけれど、その時、つまり「ナッシング」になる時笑顔が浮かべられたらそれでいいのかも?と思ってしまいました。
  • ミス・マープル
  • 2019/01/05 8:40 PM
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