フィッシュマンの涙

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JUGEMテーマ:韓国映画全般

 

フィッシュマンの涙

出典:IMDb

 

「フィッシュマンの涙」

原題:Collective Invention

監督:クォン・オグアン

2015年 韓国映画 92分

キャスト:イ・グァンス

     イ・チョニ

     パク・ボヨン

 

記者を目指しているサンウォンは、「魚人間事件」の

真相を追うことが採用のチャンスと告げられる。彼

は恋人が「魚人間」とネットで主張するジンの家を

訪問するのだったが..。


<お勧め星>☆☆☆☆ 「魚人間」をめぐる笑いと涙の

ストーリーなどと片付けられない深い映画です。

音楽も気に入っています。


広い海


社会派映画とアピールされ、その通りの内容だろうと身構えて

いた場合、先の展開がおおよそ読めてしまうことがあります。

この映画はコメディ映画のジャンルに入れたのですが、

実は社会派映画でもあると思うのです。
設定はあまりに荒唐無稽なもので、いやそれでもあり得るかも

しれないから怖い。製薬会社の臨床試験の報酬、300万ウォン

につられ、それに参加したものの、なぜか魚人間に変わって

きた男が、そこから逃走したことをきっかけに始まるのです。

この魚人間になったパク・グという男があまりに平凡な若者で、

秀でた能力もなければ、自分の夢もないのが、まさしくその

あたりにいる若者という感じ。
一方彼を匿っている女ジンは、ドラマのエキストラとして彼と

知り合い、一夜の関係を持ったものの、同じエキストラに恋人が

いて、さらに同じエキストラの違う男とも関係があり、それを

知ったその違う男の恋人でこれまたエキストラの女性に、

監督に告げ口された...ああ、この辺りは、簡単に説明すると、

二股のあげくにもう一人とデキて、最初は監督が女性ばかりを

責めると訴えるジンが同じ女性からも責められると、女の敵は

女と言い始めます。いやいやどれもよくあるけれど、すべてが

一人に起きることはそんなに多くないかも。

 

フィッシュマンの涙
出典:IMDb

 

そしてネット上で炎上している「魚人間」の真偽を確かめるため、

記者志望のサンウォンが彼女のもとを訪れるわけです。コネなし、

地方大学出のサンウォンが報道機関に就職することは、韓国では

限りなく不可能に近いらしい。日本よりもさらに学歴、縁故社会

と言われる韓国で、それらがなかったら、そして他人より優れた

能力もなかったら、将来への希望が持てるのでしょうか。
司法浪人する男の映画「犯罪の女王」(2016)を見た時も

強く強く思いました。
「魚人間」をめぐる世間の風潮も、序盤は同情的であり、

人権派弁護士キムのアピールもあって裁判も有利に進みます。
「危機に陥った若者の象徴」
として共感を呼ぶわけです。逆に言うと、それだけ社会に不満

を持っている若者が多いということなんだな。それはどこの国

でも同じかもしれない。
そして白黒はっきりしないうちは、グのことを「全く知らない」

と語っていた同級生が、世間の見方が変わり、グが「悪」であると

いう流れになると、急に饒舌になるのです。ワイドショーで事件の
容疑者の知り合いへのインタビューが流れる時、ぺちゃぺちゃ

話すのは全く信用できないし、そもそも

「そんな人には見えなかったです」

などというまさにどうでもいい内容を垂れ流すのはやめたらいいのに。
「わたしは○○のようなことをしそうな人間です」

と見るからにわかるような人はそれほどいないと思う。
そう、この実験そのものが、世界の飢餓や癌治療、長寿に役立つ

ものであるという宣伝が始まると、俄然グの立場が悪くなって

きます。裁判に時間をかけている間に、他国に遅れを取ってしまう。
そしてこの分野で世界をリードするチャンスだと言われたら、

グ個人の犠牲より、大義の方が勝ってしまうのでしょうね。

その上、グへの根拠のない中傷も始まるわけです。

 

フィッシュマンの涙

出典:IMDb

 

ああ、こんな展開も何度も見たことがあるような気がします。
そして、グの存在を抜きにして、「支持派」と「反対派」が

激しく争い始めると、遂には「北の手先」という言葉も飛び出します。

朝鮮戦争はまだ休戦状態であって、決して終結していないことを
今更ながらに思い出すのです。
ここまで書くとかなり暗い内容のように思えますが、実際は、

この「魚人間」がとても間抜けな顔だし、すべてを悲観して

首つり自殺を図っても、えらにロープがひっかかっただけという

有様で、あくまでも軽いタッチでストーリーは進みます。

しかしグへの生体実験は、わずかな時間しか映らないけれど、あれは

つらい映像です。
「突然変異で気持ち悪い」と、グに殴り掛かる中学生の存在は、

異質なものを排除する考えへの警鐘のようにも思えました。

気持ちが悪いから殴るなどという、ものすごーく浅い考えは絶対に

してほしくない。いつ自分がそうなるのかわからないし、何が

異質なのか、決めるのは少なくとも殴ろうとしているキミでは

ないんだよ。
結局裏をたどっていくと、そこに渦巻くのは「欲望」のみで、

人間の欲の深さに本当にあきれてしまいます。
でもね、ラスト付近はとても素晴らしい内容なんですよ。まさかの

展開なんですよ。ここはぜひ見てほしいです。
「平凡な人間になる夢」=これがグの夢だったとしたら、ラストは

ものすごくハッピーだったんだろうと思います。
そして映画のセリフで心に残ったものは

「真実を知りたがるのは真の記者」
事実は1つだけれど真実は複数あると言われています。その真実を

知るために、深く深く調べつくすのが記者本来の姿なのでしょうね。

 

 

 

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