しゃぼん玉

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JUGEMテーマ:邦画

 

しゃぼん玉

出典:IMDb

 

「しゃぼん玉」

監督:東伸児

原作:乃南アサ

2016年 日本映画 108分

キャスト:林遣都

     市原悦子

     藤井美菜

     相島一之

 

両親に捨てられ、ひったくりを繰り返していた翔人は、

遂にナイフで人を刺してバッグを奪ってしまう。そして

逃走中、山の中でバイク事故で倒れているスマを助けた

ことから、彼女の家に居候することになるのだった。


<お勧め星>☆☆☆☆ 無償の愛を与えることが人間性を

取り戻すきっかけになるのだと実感します。


「坊はええ子じゃ」

 

<ネタバレしているかも>


原作は乃南アサ「しゃぼん玉」。

2004年出版作品なのですが、未読。直木賞受賞作品

「凍える牙」は大変有名で、こちらはちゃんと読んでいます。

でもその後で読んだ「暗鬼」が実はとても好きなんです。
ただこの話の映像化は絶対に無理だと思っています。あれを

映像化したら誰が演じるのだろうか、それとR指定が必要

なんじゃないだろうか、などと余計な心配をしたけれど

大丈夫みたい。全く映像化される話は起きていませんね。
さてこの映画は市原悦子さんの遺作になってしまいました。

「あん」(2015)でも短い時間の出演ながら存在感は

大きかったです。しかし市原さんといえばテレビドラマ

「家政婦は見た」(1984年〜2008年)
「おばさんデカ 桜乙女の事件帖」(1994年〜2017年)

が私にとっては、とても印象に残っています。家政婦、石崎が

毎回可愛がっていた猫の「はるみちゃん」も何回か変わって

いるから、きっと虹の橋を渡ったんだろうなあ。おばさんデカは

いつも上司に「乙女」のことを「オカメ」と呼ばれて怒って

いたなあ。それが少しも怒って見えないのが市原さんの魅力。
さて、この映画のオープニングは、サスペンス映画並みに

ドキドキします。土砂降りの雨の中、地下通路を歩いて行く

女性に狙いを定め、何者かがバッグを奪おうとし、最後には

刃物で女性を刺して逃げ去ります。その時に浮かび上がる顔が

林遣都演じる翔人。

「闇金ウシジマくん」(2012)で最後に...。あれは怖かった。

チャラいイベントサークルの代表役が本当に似合っていて、

こういう奴って最近でも何人も捕まっているとニュースで知ると、

いつになっても悪い奴は存在するのだと思うし、まあ、あの

ラストでよかったなと思うのは残酷なんでしょうか。
翔人は、ナイフで脅してトラックに乗り込んだものの、あろう

ことかすごい山の中で車外に放り出されてしまうのです。そして

一晩明け、とぼとぼ道を歩いていると、日ごろの行いが悪いのに

なぜか天の助けかバイクが倒れています。

これはっ!ところが草むらから「お〜い」という声がするんですよ。

よく見れば老婆が血まみれで倒れているではありませんか。

ここで彼女を無視してバイクを盗むという選択もあったのに、

彼は、老女を背負って家まで送り届けるのです。この老女スマは、

本当に彼に感謝し、何も聞かず、彼に食事や風呂、寝場所を

提供します。

 

しゃぼん玉

出典:IMDb

 

よく「田舎の人は素朴で親切だ」と言う人がいますが、それは

半分当たっているけれど半分は大間違いだと思います。これに

ついては後で書くとして、翔人は、これまでの素行の悪さから、

スマの家の引き出しをさばくるし、金がないとわかると仏壇の

お供え物であるタバコをくすねます。これを見た時は、ただ

「無償の愛」を与えるだけでは、すぐに「更生」できる人間など

いないと実感します。しかし毎日、スマと過ごし、スマが
雨の日も働き、彼のために食事を用意する姿を見ると、彼の心に

少しずつ変化が出てくるのです。さらにシゲ爺という男に

「平家祭り」までの手伝いを言いつけられ、朝早くにたたき

起こされ、ものすごい山道を上って働くことを教えられます。

 

しゃぼん玉

出典:IMDb

 

これがね、反抗したり、のろのろしているとすぐにパンチが

飛ぶという「セッション」(2014)の鬼教師フレッチャー

並みのしごきに見えてしまう。
「まじかよ」
翔人は言い、キー付きの軽トラを見て、それに乗って逃げようと

思う気持ちが浮かんだ途端、またシゲ爺の大声が聞こえるんですね。

このタイミングは全て翔人の行動を読んでいるかのように思えます。
またシゲ爺の言葉が1つ1つ重いんです。
「逃げることばかりするな。自分から向かうんだ」

「逃げない癖をつけろ」
この辺りを見ていても、前にも書いたように原作者はもしかしたら

「都会は悪、田舎は善」

と思い込んでいるのではないかと感じ、田舎育ちの私からすると、

かなり反論したくなります。しかしそんな話ではないと気づきます。
翔人がスマの慈愛に満ちた態度に接し、「坊はええ子や」と何度も

言われ、シゲ爺に厳しく鍛えられている時、ミチという女性と会

う機会ができるのです。この限界集落のような場所に、最も

存在しそうにない若い美女。

 

しゃぼん玉

出典:IMDb

 

それに「彼氏はいない」と言う。これはトキメキますね。

「恋」の予感がプンプン漂いますね。ところがミチが時々

つくため息の意味を知り、そしてスマの息子の登場によって、

翔人は今までの自分の姿をそのまま映す鏡を見た気分になるのです。

育った環境は確かに最悪だったけれど、それが今まで自分のして

きたことの理由にはならないし、その行為1つ1つがものすごく
醜いものだったと気づくのです。
しかしミチにしても翔人にしても、新しい人生を歩み直そうとする

きっかけを作った場所、そうこの村が「桃源郷」のような存在で

あったと思えてきます。きっとそうなんです。

 

しゃぼん玉
出典:IMDb

 

壇ノ浦の合戦に敗れた平家残党の隠里椎葉は平家と源氏が唯一共存

する村。それもこのストーリーに大きく影響しているのだと気づくと、

市原悦子さんの遺作映画にふさわしいものだったと感じます。

 

 

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